ボルドーメドック第一級: セカンドラベル2010年水平テイスティング!



こんばんわ。
2010年ヴィンテージのボルドーが出そろった所で、5大シャトー(ラフィット除く)のセカンドラベルの水平テイスティングです。1級ファーストラベル4本はあまりにも気前が良すぎるとおもうので、セカンドラベルにしました。
まぁいきなり贅沢はあかんでしょ。


シャトーマルゴーはマルゴー村に拠点を置く、メドック第一級に位置するシャトー。いわゆる5大シャトーのうちの一つ。一時期ジネステ社が所有した時期にその評価を落としたが、メンツェロプロス家に売却されてからは、エミールペイノーをコンサルタントとして迎え、急激な資本投資もあり、1980年以降その評価を回復させた。現在はポール ポンタリエの指揮の下、一級に相応しい卓抜した品質を堅持し続けている。今回はセカンド ラベルのパヴィヨン ルージュ。栽培面積は78haで平均樹齢35年程度の葡萄の収量を45hl/haに抑え収獲を行う。除梗後、温度管理された木製槽で3週間のマセレーションとアルコール発酵が行われ、オーク樽の新樽で18~24ヶ月熟成される。基本的に無濾過で瓶詰めされる。

シャトー ムートン ロートシルトはポイヤック村に拠点を置く、メドック第一級シャトー。5大シャトーの中では唯一1973年に格付けの変更を実現させた。現在はその格付け変更を成功させたフィリップ ド ロートシルト男爵の娘であるフィリッピーヌが指揮を執り、パトリック レオン、エルヴェ ベルローと共にこの1級シャトーを牽引している。
毎年変わるアーティスティックなラベルが特徴的なシャトーでコレクターズアイテムにもなっています。
今回はセカンドラベル、プティ ムートン ド ムートン ロートシルト。
栽培面積は78ha、平均樹齢は45年、平均収量は40hl/ha程度。
除梗は100%、完全な果実のみ選定され木製槽で15~25日間、発酵とマセレーションが行なわれる。新樽にて19~22ヶ月熟成。無濾過で瓶詰めが行なわれる。セカンドラベルのプティ ムートンの生産数は現在不明。

シャトー オーブリオンは5大シャトー唯一メドック以外から選定された第一級シャトー。拠点はグラーヴ地区ペサックレオニャン。現在はクラランス ディロンが指揮を執っている。一時期評価が低迷した時期があったが、1978年からネガティブセレクションをより厳格に行なうようになって以降、品質が回復し、今や第一級に恥じない品質を保持している。今回はセカンドラベル、クラランス オー ブリオン。
栽培面積は43ha、平均樹齢36年、平均収量は35ha/ha。
クリスチャンムエックス同様、房ごと切り取るグリーンハーヴェストを行ない収穫はすべて手作業で行なわれる。
温度調整をシステム的に行ないながらステンレスタンクでアルコール発酵を30℃で実施、新樽熟成期間は最大30ヶ月と瓶詰め時期が最も遅い。清澄は卵白を使用し、濾過はされない。

シャトー ラトゥールはポイヤックに拠点を置くトーチカの様な塔が特徴的な第一級シャトー。現在はフランソワ ピノー氏が指揮を執る。ラトゥールはその品質を安定させる為に約60%がセカンドラベルに回される。1974年に至っては25%のみがグラン ヴァン ド シャトー ラトゥールとなる。また、その偉大なワインが産出がされる畑はメドックにおいて最も歴史が古い畑のうちの一つ。レオヴィルラスカーズに隣接する細かい砂利質で非常に水はけに良い土壌である。今回はセカンドラベル、レ フォールド ラトゥール。
栽培面積は60ha、平均樹齢は35年、収量は40hl/ha程度。
マセラシオンは21日間行なわれ、温度調節機能付きのステンレスタンクで30℃を維持したままアルコール発酵。
新樽を100%使用し20~26ケ月熟成を行なう。清澄は行なうが濾過は行なわない。
清澄:新鮮な卵の白身(樽1つにつき6個分)


さて出来たて2010年、いってみましょう。


生産者: シャトー ムートン ロートシルト
銘柄: プティ ムートン ド ムートン ロートシルト 2010
品種: カベルネソーヴィニヨン68%、メルロー24%、カベルネフラン8%、プティヴェルト1%以下

25000円、WA90-93pt
外観は澄んだ濃いガーネット、粘性は高い。
この4本の中で最もバランスの良さを感じた一本。
印象としては豊満でリッチ、そしてボルドーの王道を行く作りだと感じた。
西洋杉の清涼感、そしてクレーム ド カシス、ブラッグベリーのジャムの様な果実味、スミレや薔薇の華やかさが液体に満ちている。
僅かに煙草などのスモーキーさも。タイム、リコリス、ミントなどのドライハーブやスパイス。そしてわずかにピーマン香やインク香が感じられる。
洗練されていながら、心地よいボリューム感とふくよかさを感じる。とにかくこの中では最もバランスがいい。
アタックは強烈でタンニンと酸味、ぎゅっと引き締まった苦味など、最初はやや取っ付きにくいタッチだが、徐々に丸みを帯びてくる。カシスや濃厚な黒い果実の風味が楽しめる。


生産者: シャトー オー ブリオン
銘柄: レ クラレンス ド オー ブリオン 2010
品種: メルロー52%、カベルネソーヴィニヨン36%、カベルネフラン10%、プティヴェルト2%

約25000円、WA90-93pt
外観は澄んだやや薄目のガーネット、粘性は高い。
ブラックチェリーやプラムの果実味に満ちた中で、唯一特異な存在感を放っている。
この中だと果実味自体は最も落ち着いているが、最も複雑で難解。
野生的な風味が顕著で、煙草やハーブ、リコリス、タイム、ローリエ、落ち葉などの青っぽい香りが強い。
徐々に過剰なハーブやスモーキーのニュアンスからブリオッシュ、花の蜜の様な甘露な風味も現れる。
燻製肉、トリュフなども。冷ややかで細身な印象、最もボディが軽やかで、やはりこれだけ異質な感じ。
こちらもタンニンと酸がきつめ。酸の方が突出しているだろうか。
徐々に甘やかな風味になる。ベリーの甘みやスモーキーな風味。やや酸は激しいがタンニンは滑らかな印象。


生産者: シャトー マルゴー
銘柄: パヴィヨン ルージュ シャトー マルゴー 2010
品種: カベルネソーヴィニヨン66%、メルロー30%、プティヴェルト4%
(2009: カベルネソーヴィニヨン67%、メルロー29%、プティヴェルト4%)
(2008: カベルネソーヴィニヨン68%、メルロー26%、プティヴェルト6%)

約20000円、WA90-92pt
外観は澄んだ濃いガーネット
プラムやブラックベリーなどの凝縮した果実味がムートン並みが突出していながら、ハーブや薔薇やスミレの香りが強く感じられる。タイム、リコリス、西洋杉、そしてコーヒーの樽香。スモーキーで全体的に樽が強い。甘い花の蜜、シナモンやワッフルなどの甘露なニュアンスも。やや毛皮の様なニュアンスも。ややインクっぽさが残るが、この中だと澄んだ味わいに感じる。
ムートンと比較するとやや線が細い感じだが、丸みがあり、刺が無い。
こちらも当然だが酸とタンニンは突出しているが、カシスの甘みはしっかりと感じるので比較的若いうちから飲みやすく感じる。徐々にバランスの良くブラックベリーや薔薇の香りが現れてくる。


生産者: シャトー ラトゥール
銘柄: レ フォール ド ラトゥール 2010
品種: カベルネソーヴィニヨン72.5%、メルロー25.5%、プティヴェルト2%

約33000円、WA92-95pt
外観は澄んだ最も濃いガーネット
やはり堅牢で黒い果実の濃厚な風味や土っぽさが最も強い。
カシスやブラックチェリーの濃厚な果実味。セカンドラベルとしては群を抜いて1級シャトーに接近する味わいで、シャトーラトゥールに通じる強烈で過剰なまでの濃縮感と重厚さを感じる。
乾いた土やトリュフや西洋杉、黒檀。コーヒーやミルクチョコレートの様な樽香、ミント、リコリスなど。
燻製肉、スパイスなど。徐々に薔薇の強い香り。
開き方はツインターボの様に急激で、あくまで主体は土の香りだが、膨大なボリューム感の甘露さが現れる。
他の2010年が当然ながらきつかったので、おっかなびっくり飲んだが意外とタンニンと酸のバランスが良い。
全体の印象も時間が経っても変わらず、大地香やスパイシーさ、力強く堅牢な風味を感じる。
ファーストラベルをまるっと小振りにした感じだ。



もう既にここまで既に長いので、正直な話とてもめんどくさいのですが、飲んでしまったからにはアウトプットしないともったいないですね。
ではいきます。
この4本は概ね一級の特徴を踏襲していたと思います。例えばプティムートンはいかにもカベルネ比率が高そうな豊満さで極まった王道ボルドー的なリッチさがよく出ていたし、レ フォールドは堅固で重厚なタンニンがありながら土の香りや卓抜した果実味があったし、レ クラランスはボディは柔らかく、エレガントでハーブやスパイスなどの複雑さとスモーキーさが出ていました。パヴィヨン ルージュはファーストラベルにある輪郭の鮮明さや透明感を伴った凝縮感はないのですけど、丸みがあり、とても樽がしっかり効いていて果実の密度も高いです。
平たくいえば、どのセカンドラベルも格付級に匹敵するぐらいの品質があるんですが、その中で完全に別々の方向を向いているという。


■いつものテクニカルデータ

総合ポイントはF1形式を採用。ただどれだけ手を混んだ作りか、ヴィンテージの良し悪ししか判断していない為、調和を重視するワインの旨さとしては指標にはあまりなりません。
※ピジャージュ、ルモンタージュ、ビオの有無、除梗ありなし、圧搾時の手法などは資料が見つからなかったので考慮していません。なので一部、これらの要因が突出していた場合上記の指標通りの作りにはなっていません。


今回はグレートヴィンテージ2000、新樽比率は一律100%、マセレーション期間もあまり大きくは変わらない印象。なんで比較はしやすいかもです。要点は下記に箇条書き。
1:樹齢は概ね一律35年程度、しかしムートンは45年と10年以上樹齢が高い。
2:オーブリオンは樽内熟成期間が長い。同じく長いラトゥールと比べても4ヶ月程度長い。
3:収量はラトゥールとムートンが僅かに少な目。
4:カベルネソーヴィニヨン比率はラトゥールの約73%が最も高い。ムートンもマルゴーも65%以上。
5:オーブリオンだけ52%とやたらと低い。その分メルロー比率が高い。

プティムートンは全体を見渡してみても果実味が高く丸みがありリッチな雰囲気でしたが、これは樹齢と収量の差でしょうか。新樽はそもそも高いので対象外として、他のキュヴェと比較しても豊かさが突出していたと思います。果実の単純な力としては(土壌は今回考慮に入れていませんが)ムートンが最も強いと思います。
カベルネ比率が高いのでややピーマン香が出てましたが、まぁこれは仕方ない事でしょうか。
パヴィヨンルージュは造りこみ方が若干他のキュヴェに対して劣るからか、若干樽香が強く出ていました。
樽熟成期間も比較的長めに設定されているのもあり、恐らく果実の力より樽の方が強く出てしまっているんでしょうか。ただセカンドは50%ネガティブセレクションされたものになるので、ファーストラベルはその分果実味が強くなり、樽が目立つことは恐らくないでしょう。ちなみに他のヴィンテージのマルゴーで樽が強すぎると感じたことはほぼありません。
レ フォールドの最も際立った点はやはりそのカベルネ比率でしょうか。
(比較的飲みやすく作られているにせよ)相変わらずの硬さでびっくりしましたが、やはり若い頃のカベルネはメチャクチャ硬い。土っぽいニュアンスも相まって岩を感じさせる硬さ、強固さ。でもそれがラトゥール。
ただ、開いてきた時の果実の甘さは半端ない。土とスパイスの香りと相まって強烈なラトゥールのイメージを作り上げている。そしてマルゴーと同様に樽が溶け込んでいないっぽいのは、ファーストラベルで解消されるのではないかと思います。

そして、最後、クラランスオーブリオン。
ファーストラベル同様、異質。そもそもボディの作りが違う。ミディアムボディ。
そして特徴的なハーブやスモーキーな香りは、長い樽熟成期間によるものでしょうか。コーヒーっぽくは無いんですよね、スモーキー。土壌も関係してるんですかね??
セパージュはカベルネ比率が低くメルロー比率が高く、ボディ自体はしなやかなんですが、丸みとかリッチさとは何か違うんですよねー。
もっと冷涼で硬質な感じがします。

さて、ざっくりと4種類比較しましたが、基本的に言えることは「第一級の個性を踏襲した作りであること」そして「それぞれ別の方向を向いている」という。
セパージュでいうと、そこまで大きくは変わらないんですが、出来たワインはこんなにも違う。それでいてどれも群を抜いて素晴らしいという。
なるほど同じタイプでは並び立たないのが一級か。

ちなみに個人的には、リッチで豪華なムートン、もしくは堅固なラトゥールか好きです。
面白いテイスティングでした。



あれ?
5大シャトーなのに、一本足りませんね?





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プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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