デュジャック2008年水平+マルコンソール。各々の畑の個性溢れる4種類。



こんばんわ。
先月はデュジャックのシャルムシャンベルタンの並行をレポートしましたが、今日は更に視点を変えて、2008年の一級オーコンボット、特級シャルムシャンベルタン、特級クロ サン ドニ。そして2010年の一級マルコンソールを比較します。

ドメーヌ デュジャックは天才ジャックセイス率いるモレ サン ドニの大スター生産者。
クレールダユやジェラールポテルの元で修行したジャックセイスが1967年に設立したドメーヌで、近年特に畑を買い足し規模を大きくしています。現在は16のAOCを保有しており、伝家の宝刀クロ ド ラ ロッシュ、そしてル シャンベルタン、クロ サン ドニ、ボンヌマール、ロマネサンヴィヴァン、エシェゾー、そして今回のシャルムシャンベルタン。綺羅星の如き特級畑を複数保有しています。
現在は約75%は有機農法が実践されており、一部の畑はビオディナミの実験が成されています。
(程度は変化しますが)基本的には除梗は行わず、数日間の低温マセレーションを行った後、圧搾、破砕。やや高温でアルコール発酵した後、軽く焼いた新樽は一級畑で80%、特級で100%使用され、15ヶ月間熟成されます。そして無濾過、無清澄で瓶詰めされます。

非常に豪華なテイスティングだけに気合いが入ります。
さて行ってみましょう。


生産者: ドメーヌ デュジャック
銘柄: ヴォーヌ ロマネ プルミエクリュ オー マルコンソール 2010

約19000円、WA92-94pt(2009)
外観はカティアールと比べるとやや淡いルビーだが、粘性は高い。
クロ サン ドニと同様、非常に甘露かつ穏やかでありながら、外向きの印象を受ける。
シロップで煮詰めたストロベリーやフランボワーズの明るく凝縮感のある果実味。シナモン、八角などのスパイス、鉄の様な風味が感じ取れる。スミレや薔薇の華やかなアロマや茎っぽさ、スイカズラ、パストラミハム。樽に由縁するであろう仄かなアーモンド香。グローヴ、炭焼きなど。
香りに赤系果実を煮詰めた様な丸みと溌剌さ、そしてヴォーヌロマネらしいお香の色っぽいニュアンスがある。
タンニンや酸はしっかりしているが、こちらも非常に滑らか。やや後味に苦味を感じる。余韻は非常に長い。ボディはしっかりしているが、全体的に柔らかく香り高い印象。


生産者: ドメーヌ デュジャック
銘柄: ジュヴレ シャンベルタン プルミエ クリュ オー コンボット 2008

約15500円、WA92pt
外観は済んだルビー、粘性は中庸。
印象としては豊満でパワフル。瑞々しく甘露な黒系果実のジャムの様な果実味を感じさせる。丁度クロサンドニとシャルムシャンベルタンの中間の様な印象。
アメリカンチェリーやブルーベリーなどの黒系果実の瑞々しく甘露な果実味。なめし革や鉄の香り。そしてスミレや薔薇の香りもあるが、茎や松のニュアンスの方がやや強いか。シナモン、グローヴ、タイムなどのハーブやスパイス。
酸味とタンニンは非常に柔らかく、逆にボディの心配をしたくなるが、ゆっくりとジワリと広がる酸味と旨味を感じる。


生産者: ドメーヌ デュジャック
銘柄: シャルム シャンベルタン グランクリュ 2008

約17800円、WA92-93pt
外観は済んだルビー、粘性は中庸。
凝縮した硬質な黒系リキュールの果実味。はりめぐらされた緊張感のある香り。
ダークチェリーやブルーベリーの果皮成分を強く感じる果実味。甘露さよりドライさが際立つ。濃縮した果実味やミネラル感を感じる。徐々に花の蜜やバニラ、シナモンの風味。なめし革、茎や松の樹皮、クローヴ。最もロースト香が強く出ている。わずかに線香や五香粉、トーストの様な風味も。硬質な印象のまま徐々に甘露な要素が急激に開き始める。
タンニン、酸味は最も強いがそれでも軽やかで滑らか。じわりとしたシルキーな凝縮感がある。
華やかで硬質だが、今日は一瞬甘露な面を見せてくれた。


生産者: ドメーヌ デュジャック
銘柄: クロ サン ドニ グランクリュ 2008

約18400円、WA96pt
外観は済んだルビー、粘性は中庸。
瑞々しく明るい赤系フルーツのジャムの様な風味。凝縮度は高い。
ストロベリーやラズベリーのジャミーで甘露な凝縮した果実味。花の蜜やシロップの様な風味。もっとも強烈な甘さを感じる。
薔薇やスミレ、茎、若葉、松の樹皮などの野生的で華やかな風味。紅茶、パストラミハム、鉄分や土っぽい雰囲気を感じる。そしてローステッドなコーヒーや五香粉の風味も少しずつ現れるが、シャルムほど強くならず、あくまで果実味の強さが主張している。
軽やかで華やかな風味が全体に漲る。酸味は最も強く、タンニンは穏やか。
こちらもシルキーな味わい。瑞々しい果実味に満ちている。


全体的な印象としては、比較的新樽比率が高めなのにも関わらず、強すぎる樽香が無い事が特徴ですね。果実味が強いからか、はたまたは樽熟成期間が短い(ってほど短くないですが)からか、分かりませんが。
もっとも強かったのはシャルムでしたが、それでも一般的なグランクリュと同程度の樽香で、全体的に綺麗な果実味が全面に出たワインが多かったと思います。
ヴィンテージで言うと、全体的に2008年は液体密度の薄さを感じました。香りは2010年と比べて全く遜色無いのですが、2010年の様な目の詰まった酸味と旨味、ボディの厚さは無い様に感じます。もっとジワッと旨味が来る系ですね。
ただそこは考え様で「エレガント」という言葉で代用できると思います。勿論完成度でいえば2010の方が素晴らしいのですが。

まずオーコンボットですが、これはクロサンドニとシャルムの中間を行く様なタイプで黒系果実でありながら瑞々しいジャミーな甘露さを感じました。他の3本に比べると凝縮度や持続性、余韻において劣るものの、香りの方向性としてはクロ サン ドニやマルコンソールに近いと思います。単純にこれらの下位互換といった所でしょうか。
マルコンソールはクロ サン ドニほど外向的ないですが、骨格や果実味の方向性に関しては近い性質を持っていると思います。
果実味の鮮明さや青っぽさは抑えめになり、より煮詰めた様な果実味や八角、鉄分、スパイスなどの風味が前に出ている印象。故に外向的でありながら、非常に妖艶でヴォーヌロマネらしい雰囲気を演出していると思います。
そしてクロ サン ドニはこの中で最も外向的なタイプで、コアに最大級のエネルギーを持ちながら、瑞々しく可憐な赤系のニュアンスを強烈に放射する。
シャンボールミュジニー的な特徴が強いが、ミネラル感が排除され、より肉感的なニュアンスを感じます。背徳的、享楽的と呼べるワインで、一般的なボンヌマールのテールルージュ的な性質を持つワインです。ちなみにシャルムと比べるとやや早いうちから飲めそうな感じで、シャルムが良くなってきた時に、若干の落ち込みを感じさせる造りとなっています。そういう意味で方向性は異なりますが、概ね格としては同等と言えます。
最後、シャルムは前回のテイスティングと同様にドライかつ硬質な印象を受けます。
凝縮度が最も高く、クロサンドニが広がるワインだとしたら、シャルムは内に向かうワイン。
ただそれに留まらず徐々に時間が経つにつれ、シロップの様な甘露さや樽の香りが強く現れる。特に甘露さの発露は顕著で、凝縮した密度の高い香りが現れます。前回は樽が強い印象でしたが、その部分は落ち着いていて、本当の姿を見せてくれた様な気がします。長期的に見ると酒質は最も強いかもしれないですね。


さて、恒例のテロワールです。

ヴォーヌロマネ1級マルコンソールはヴォーヌロマネ最南端のクリマで南東の急傾斜。土石灰分の強い粘土石灰質土壌で構成されています。


ジュヴレシャンベルタン1級オーコンボットはシャルムシャンベルタン、ラトリシエールシャンベルタンに隣接しているものの、表土が薄い他の特級畑と異なり、堆積物があり、ウミユリ石灰岩、コンブランシアン石灰質で構成される。クロ ド ラ ロッシュに隣接し、やや場所によっては水分の含有量は多いものの日照条件は良いようです。
特級シャルムシャンベルタンはラトリシエールシャンベルタンと一級オーコンボットの下部に位置する東向きの斜面に位置するクリマで粘土石灰質土壌、母岩はウミユリ石灰岩、コンブラシアン石灰岩。グリザール小渓谷から冷涼な風の影響を受ける土壌です。
特級クロ サン ドニはジュヴレシャンベルタン寄りのグランクリュで3つのリューディで構成されています。
デュジャックが保有しているのは上部のカルエールと下部のクロサンドニ。
土壌は褐色石灰岩の混じった泥灰質、粘土質。母岩はバジョジアン石灰岩とウミユリ石灰岩。

ここで面白いのがシャルムシャンベルタン、オーコンボット、そしてクロ サン ドニの位置関係です。
オーコンボットを基準にすると、下部にシャルムシャンベルタン、南側上部にクロ サン ドニが隣接しています。
テイスティングレポートでオーコンボットとクロ サン ドニとタイプが近いという事を書きましたが、調べてみるとオーコンボットの土壌構成はシャルムよりクロ サン ドニに近いみたいです。やや表土が厚く標高が高め、そして日照条件が良い事が共通点を生み出しているのかもしれません。対してシャルムシャンベルタンは下部に位置しており、日照条件は良いのですが、グリザール小渓谷からの冷涼な風の影響を受けるため、ややドライでフェミニンな印象を受けるのかも。
ヴォーヌロマネ マルコンソールはちょっと遠すぎてあまり比較は出来ませんが、タイプとしては日照条件が良い感じ。もともと筋肉質で力強い性質のラターシュに隣接するクリマなので、ややジュヴレシャンベルタン寄りの性質を感じますが、そこはヴォーヌロマネ。女性的な艶やかな雰囲気も感じさせます。
次のエントリーはマルコンソール比較なのですが、デュジャックのワインは比較的ジュヴレシャンベルタンよりだと思います。


以上、テイスティングレポートでしたが、また長くなりましたね...!!
やっぱりデュジャックのワインは最高に美味いです。かつ畑ごとの違いを奇麗に書き出してくれるので勉強になります。そして前回も言いましたが...クロ ド ラ ロッシュ飲みたいなぁ。




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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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