【オーストラリア:3】トルブレックのフラッグシップ、レ ザミとラン リグを並行で利く



こんばんわ。
今日も引き続きオーストラリア。トルブレックのフラッグシップ2本です。
トルブレックはデヴィット パウエル氏が率いるバロッサバレーに拠点を置くワイナリーで、1994年にローヌの生産者に影響を受けてワインを作り始めました。
バロッサバレーのトルブレックの敷地内にはシラー、グルナッシュ、ムールヴェードルの古木(中には樹齢150年のトレ ヴィエイユ ヴィーニュも)が植わっています。

フラッグシップであるラン リグはマラナンガ、クーヌンガ・ヒル、モッパ、グリーノック他8つの畑にある最高140年の超古木を使用しています。収量は平均14hl/haと超低収量。収穫は全て手摘みで、発酵前に丁寧に除梗を行ない、畑毎に木製樽とコンクリートタンクの開放発酵槽にて6~7日間のマセレーション、アルコール発酵を行ないます。バスケットプレス後、60%新樽のフレンチオークで30ヶ月熟成を行ない、瓶詰め前日にヴィオニエをブレンド、無清澄、無濾過で瓶詰めされます。
そしてレ ザミはランリグと対になるグルナッシュ100%の南向き単一畑で作られたワインで、ランリグ同様、樹齢110年級の超古木を使用、平均収量15hl/haという超低収量で栽培された葡萄を使用しています。こちらも収穫は手摘みで、7日間のマセレーション、アルコール発酵の後、バスケットプレスを行ないます。その後100%新樽のフレンチオークで18ヶ月の熟成を経て、無濾過、無清澄で瓶詰めされます。

トルブレックのシャトー ヌフ デュ パプ、そしてエルミタージュとも言うべき、このフラッグシップ2本、いってみましょう。


生産者: トルブレック
銘柄: レ ザミ 2009
品種: グルナッシュ100%

21000円、WA94pt(2006)
外観は濃いガーネット、粘性は高い。
シラーズの様に外に大きく伸びていく風味ではなく、やや穏やかで丸みを帯びた印象を受ける。
こってりとしたブラックベリーのコンポートやドライプルーンの様な果実味。まるでシロップの様。
ラン リグと比べても群を抜いてクリーミーで甘露。
ハチミツやシナモン、キャラメル、バニラ、アニス等の様々な要素を感じる。
全体的に甘露な要素が主張するが、それだけではなく薔薇の華やかな香りや、スーボワやドライハーブ、トリュフ等の大地っぽい香りも。わずかに燻製肉や樹皮、葉巻など。
酸味やタンニンは強いが、口に含むと爆発的な煮詰めたジャムやコンポートにした果実味が広がる。
甘い。パワフル。最高。徐々にハーブやミントの香りが強くなってくる。


生産者: トルブレック
銘柄: ラン リグ 2009
品種: シラーズ95%、ヴィオニエ5%

25000円、WA98pt
外観は濃いガーネット、粘性は高い。
シラーズ主体らしい凝縮したブルーベリーキャンディやプラム、ドライアプリコットの様な酸味を伴う濃厚な果実味。
爆発的に外に広がって行くイメージを感じる。グルナッシュの落ち着いた感じからすると、こちらは非常にに溌剌として、明確な輪郭を感じる。
ワッフル、シナモンや、清涼感を感じるミントやドライハーブ、タバコっぽさ。
わずかに薔薇やラベンダーの華やかな風味が抜けて行く。燻製肉や黒檀、やや黒胡椒の風味も。
強烈な酸を伴う濃厚な果実味。ドライアプリコットの力強い果実味が口の中に広がる。
タンニンも強いが、やはり特徴的なのはこの力強い酸。
パワフルでアグレッシヴ。時間をかけてもひたすらドライアプリコットの溌剌とした風味を感じる。


いや、マジで最高。本当に美味しいです、この2本。
それこそグルナッシュ100%のレ ザミは半端なシャトーヌフデュパプなら吹き飛ばす様な凝縮感と果実味だし、ランリグはシャーヴやギガル、シャプティエの様なスタイルとは違うけれども、近年流行のエルミタージュのスタイルには良く似ていると思う。ドゥラスに近いかも。半端無く良く出来たグルナッシュとシラーズだと思う。

全体的な観点で言うと共に非常に果実味の凝縮感が高く甘露である点がとても目立ちます。
近年の品質重視のシャトーヌフもとても収量が少ないですが、それを遥かに超えるヘクタールあたり16ヘクトリットル程度、約半分。ボルドーの収量からすると約3分の1という超低収量。そしてそれを実現する驚異的な経年を経たトレ ヴィエイユヴィーニュ。フランスはそれこそフィロキセラ渦で植え替え、継ぎ木を余儀なくされましたが、こちらはヴィーニュ フランセーズ。たしかにこの異常な程の凝縮感を生み出すに足る栽培、ちょっと異常なくらいの手の入れ方だと思います。
さて、それぞれの比較でいうと、品種の個性が非常に前に出ていました。
グルナッシュ100%のレ ザミは酸が際立ったシラー種主体のラン リグと比べて丸みや落ち着きがあり、よりクリーミーな甘露さが際立っています。対してシラー95%のラン リグに関してはより果実然とした甘露さ。外向きの溌剌な印象を受けます。どちらが濃厚かという訳ではなく、同じくらいのボディに同じ位の甘露さがあるんですが、向いている方向性が異なっている印象を受けますね。
意外とどちらも複雑で果実味だけではない、他の要素との均整が取れたワインだと思います。
基本的に非常に果実味が高いワインを生み出すシラーズとグルナッシュですが、他のワイナリーと一線を画す部分はこういったところなのではないか、と思います。
フランス、ローヌ地方との差異はグルナッシュに関してはさほど大きくないと思いますが(特に新進気鋭の生産者に関しては大きな時差は無い様に感じます。)シラーがやはり違いますね。
ローヌの方はもっと黒胡椒のニュアンスがしっかりと出ていると思います。果実味ベースか、スパイスと果実味のバランス型か。そんな感じでしょうか。
新樽比率に関しては過剰な焼きを行なった樽っぽい感じは無くて、よりバニラやシナモンなどに寄ったローステッドな風味になっていると思います。

非常に優れたシラーズ、そしてグルナッシュでした。
オーストラリアの本懐というか本気を見た様な気がします。
この手の造りのワインは多いですが、やはり突出したクオリティだと思います。

これくらいのワインをのめるといいんですけどね。なかなか難しいところです。



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プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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