ティボー リジェベレール、特級昇格を目指すレ サン ジョルジュ 垂直2005-2008

こんにちわ。
昨日に引き続き、ティボー リジェベレールの4ヴィンテージ垂直テイスティングです。
前回はクロ ヴージョでしたが、今回はティボーリジェベレールの懐刀、レ サン ジョルジュです。

ニュイ サン ジョルジュ最高の1級畑といえば、基本的にはレ カイユ、レ ヴォークラン、オー ブド、そしてレ サン ジョルジュの4つである事に異論は無いかと思います。その中で最高のクリマはどれかと問われれば、諸説あるかもしれませんが、基本的にはレ サン ジョルジュが筆頭とされている場合が多いです。(個人的にはどの畑も非常に優れていると思いますし、スタイルが異なるので優劣を付けがたいと思うのですが...)
それらの外的要因もあって俄に動き出したレ サンジョルジュのグランクリュ昇格運動。個人的にはカイユもヴォークランも同等のポテンシャルを持っているので、是非その二つも、と思うのですが、どうやらそんな事はなさそうです。
残念。

ティボーリジェベレールはニュイサンジョルジュに拠点を置く生産者で、ヴォーヌロマネのコント リジェベレールと同様、ルイ リジェベレールに連なる家系です。2002年 27歳の時にドメーヌを設立し、現在38歳、ブルゴーニュの新世代生産者であるとともにレ サンジョルジュのグランクリュ昇格運動の代表者でもあります。
※ちなみに他の賛同者はアンリ グーシュのグレゴリーグーシュ(30歳)、メゾン フェヴレのエルワン フェヴレ(30歳)、そしてティボーリジェベレール。若き生産者による運動です。
2005年からビオディナミを始めており、収穫された葡萄は除梗せず全房発酵を行なう。低温浸漬は約1週間程度行なわれ、アルコール発酵も含めキュヴェゾンは4週間程度。ピジャージュは3回程度。新樽は30%程度で瓶詰めされます。

今回のレ サン ジョルジュは東向き斜面で傾斜は7~8度程度。表土は小石(石灰岩、大理石、ウーライト)、濃褐色の粘土質土壌。水はけの良さとミネラルの強さが特徴です
さて行ってみましょう。


生産者: ティボーリジェベレール
銘柄: ニュイ サン ジョルジュ プルミエクリュ レ サン ジョルジュ 2005

約13000円
やや濁りのある濃いルビー、粘性は高い。
熟成香を感じるが、溌剌した力強いダークチェリーやブルーベリーの果実味が感じられる。そして均衡を取りながら線香や五香粉のオリエンタルなニュアンスも感じ取れる。
そして徐々に甘露なビターなカラメルやシナモン。乾いた土や紅茶。
クローヴ、薔薇の華やかな香り。ドライハーブや茎、タイム。わずかに生肉や溶剤などのニュアンスも。
タンニンは柔らかだが、酸味は強め。やや後味に軽い苦味。
グリーンピースやダークチェリーの果実味が口の中で感じられる。
この中で2番目に良好な作りだと思う。酸味とタンニンは強いが、甘みもあり力強さを感じる作り。


生産者: ティボーリジェベレール
銘柄: ニュイ サン ジョルジュ プルミエクリュ レ サン ジョルジュ 2006

約10000円
色調は2005年よりも淡いルビー、粘性は高い。
酸味は最も穏やかでダークチェリーやデーツの様な濃厚な果実味、バニラやシナモン、シロップの様なクリーミーで柔らかい香りが強く感じられる。力強さは2005年に劣るものの、全体の調和が見事に取れている。完成度が高い。
土っぽさ。タイムやドライハーブ、樹皮、茎や薔薇などの強い野生のニュアンス。燻製肉の野性的な風味。オリエンタルスパイスなど。
時間が経過してもひたすら柔らかい甘みが継続する。抽出よりも果実味が勝っている。
酸味やタンニンは滑らかで、苦味も無く、とても良い状態。ダークチェリーの心地よい酸味や果皮成分を感じられる。
最も素晴らしい作りだと思う。
甘やかな香りと溌剌した酸味、やや落ち込んだタンニン。バランスの良い作り。


生産者: ティボーリジェベレール
銘柄: ニュイ サン ジョルジュ プルミエクリュ レ サン ジョルジュ 2007

約10000円
外観は淡いルビー、粘性は高い。
抽出がやや強めか。オレンジやダークチェリーやブルーベリーの果皮っぽい果実味。ややドライで硬質な印象を感じる。鉄っぽさや燻製肉など。
徐々にシナモンやシロップの様な風味が現れる。そして土っぽい香りやドライハーブ、トリュフ。燻製肉やファンデーション。ハーブのアフターがある。
果実味は最も瑞々しい。溌剌した心地よい酸味とやや収斂性の高いタンニン。花のアロマオイルとダークチェリーのやや青さと果皮成分の強さを感じるスタイル。


生産者: ティボーリジェベレール
銘柄: ニュイ サン ジョルジュ プルミエクリュ レ サン ジョルジュ 2008

約10000円
外観は淡いルビー、粘性は高い。
ちょっと茎や土の香りが過剰な気がする。強い抽出感を感じるオレンジやそら豆のニュアンス。そしてダークチェリーやブルーベリーの引き締まった酸味の強い香り。徐々に線香やインセンスなどに近いロースト香が前に出てくる。薔薇やスミレの華やかなタッチ。果実の蜜の様な風味と線香の香りが混ざり合う。謎めいた感じ。茎やドライハーブやタイムの清涼感、なめし革、トリュフなど。
酸味は強く、やや果皮のタンニンが強く感じられる。収斂性も高い。口内ではラムネや線香の香りが広がる。ややキツ目の印象を受ける。後味はやや苦め。


まず今回で言うと最も完成度が高かったのは2006年、次いで2005年といったところでしょうか。
前回のクロ ヴージョでもそうでしたが、2006年はこじんまりとしていながらも果実味が豊かで非常にバランスが良い様に感じました。タンニンも酸も険しい訳ではなく、熟成のポテンシャルとしては恐らく低いと思いますが、現段階ではとてもクリーミーで美味いワインに仕上がっていると思います。
次いで2005年は2006年より随分とパワフルな作りでした。恐らく良好な天候に恵まれた為でしょう。やや強めに効いている樽や梗っぽいニュアンスは太い果実味とバランスをとってい流のではないかと。2006年と比べてこちらは熟成を必要とするワインですね。長い熟成期間に耐えうる様な作りだと思います。
そして2007年、2008年に関してはハーブやスパイスなどの、やや青っぽいニュアンスが強く出ていました。共に引き締まったタンニンとミネラルが特徴的でかなり硬い印象を受けます。ボディはしっかりとしていますが、果実味としてはあまり高くありません。
幾分か2007年の方がこなれているとは思うんですが、やっぱりちょっと印象としては弱いです。2008年は樽と梗の風味は強いんですが、ちゃんと果実味かあるので、ひょっとしたら数年後にもう少し良くなるかもしれません。


■2005年
2005年は水不足による干ばつに見舞われた。4-6月までに一部の地域で雹が降ったが、8月中旬まで雨は降らないものの乾いた冷夏だった。水不足の為葡萄の生育時期が遅れ始めたが、8月末から9月にかけて気温が上昇し、2週目には乾燥した大地に雨が降った。バン ド ヴァンダンジュは12日でその翌日に強い風が吹き、以降好天が続いた。大部分の生産者は下旬には全ての収獲を完了している。

■2006年
3月中旬まで雪が残った状態で、下旬まで下草すら動き出さない状態が続いた。4月から6月にかけて例年より寒い状況が続き(6月初旬でも早朝は氷点下ぎりぎりだった様です。)6月中旬以降やっと開花が始まり7月は暑く乾燥した干ばつの危険性もあったが8月になると涼しく湿った気候となった。その為カビ、ウドン粉、べド病の恐れもあった。9月中旬まで気温が高いがにわか雨が多く、早い生産者は18日より収穫を始めたが、概ね完了したのは25日だった。

■2007年
4月の発芽期は好天に恵まれて暖かい日が続いた。しかし以降8月までは曇天が続き良い天候の日は無かった。8月にはカビが発生している。収穫時期の9月上旬には好天候に恵まれている。

■2008年
4月の発芽期は2007年の様に暖かくなく6月まで曇天が続いた。7月に関しては1週間好天候に恵まれ、暖かく乾燥した日が続いたものの、8月は冷え込みが続いた。下旬から持ち直し暑い日が続いた。9月前半も崩れ気味だったが下旬より良い天候に恵まれ、大部分は9月25日より収穫を開始した。


一般的に2005年は2009年よりも優れたヴィンテージとされており果実味も抜群ですが、その分他の要素を強く施しており、熟成し始めの現状として、やや飲むのには厳しい感じがしますね。
2006年はクロ ヴージョと同様とても良かったです。7月の成熟期に乾燥した空気だったのが、かなり良かったのかな、と思います。
2007年、2008年は共に成熟期にあまり良い天候に恵まれなかった為、2008年はやや取り戻せた感じはするものの、概ね熟度が低いですね。その分やはり2008年には共通したミネラル感がある様な気がします。

個人的にはクロ ヴージョ同様、バランスの取れた2006年が良いと思いました。次に2005年、2008年、2007年といったところでしょうか。
ここまで見るに、やはり2007、2008年はティボー リジェ ベレールとしてあまり良い年とは言えない様です。
狙い目は2006年ですかね。今飲む事を前提とすると最も美味しく頂けると思います。

さて、前回のクロ ヴージョとレ サン ジョルジュを比較すると、共に太い果実味を持つ事に関しては同様なんですが、微妙な差異があってレ サン ジョルジュは土っぽい香りが感じられます。
対してクロ ヴージョはもう少し果実の密度ときめ細やかさ、華やかさが際立っていると思います。
実際に隣において飲んだわけではないのですが、大まかな印象としてヴィンテージごとに照らし合わせてみると、そんな印象が強いです。

個人的にはクロ ヴージョの方が好みですね。若干ヴィンテージごとの安定感もあると思います。
でもまあホント好みですよね。
2008、2007年の方が好みという人も多いので。

ロベール シュヴィヨンのレ サンジョルジュを飲んでると「おお、特級クラス」と思うんですが、ティボーのそれはやや不足感があるんですよね。
ここのリシュブールは本当に凄いんだけど、旗印にすべきレ サンジョルジュにはもう一歩何か抜きん出たものが必要ではないかと思ってしまうんですよね。いいにはいいんですが。
ただその分値段もこのクラスとしては平準的なんで、ヴィンテージによってはお買い得です。

面白かったです。




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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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