ラターシュに隣接する別格一級畑、マルコンソール 2010を生産者別に。

こんばんわ。
デュジャックのほぼバーチカルに引き続き、本日は生産者違いのマルコンソールを水平テイスティングします。

まず早速マルコンソールのテロワールから。

マルコンソールは、DRCのモノポールである特級ラターシュ、一級ゴーディショ、そしてニュイ サン ジョルジュの一級オー ブドに隣接する別格一級畑です。ジャスパーモリスMWはこの一級畑をクロ サン ジャック、レ ザムルーズと同等と位置付けています。土壌は基本的には土石灰分の強い粘土石灰質土壌で構成されており、クリスティアンヌだけは(ラターシュ下部と同等と考えると)バジョジアンの硬いウミユリ石灰岩を基岩としているようです。

生産者は以下3名、デュジャック、モンティーユ、カティアール。
ドメーヌ デュジャックは天才ジャックセイス率いるモレ サン ドニの大スター生産者。
クレールダユやジェラールポテルの元で修行したジャックセイスが1967年に設立したドメーヌで、近年特に畑を買い足し規模を大きくしています。現在は16のAOCを保有しており、特級畑を複数保有しています。
現在は約75%は有機農法が実践されており、一部の畑はビオディナミの実験が成されています。
(程度は変化しますが)基本的には除梗は行わず、数日間の低温マセレーションを行った後、圧搾、破砕。やや高温でアルコール発酵した後、軽く焼いた新樽は一級畑で80%、特級で100%使用され、15ヶ月間熟成されます。そして無濾過、無清澄で瓶詰めされます。

ユベール ド モンティーユはヴォルネイ、ポマールの筆頭ドメーヌでどちらかというとコート ド ボーヌ寄りのドメーヌ。現党首になってからニュイにも大幅に範囲を広げています。
栽培は一貫したビオディナミで行われ、収量は芽掻きと果実選定で30hl/haまで抑えられます。除梗は年によって比率を変えています。アルコール発酵は高めの温度で行われ、過度の抽出(ルモンタージュ、ピジャージュ)はしません。フレンチオークでの新樽はクリスティアンヌで80%、一級では30%とドラスティックに変えているようです。樽熟成の期間は20ヶ月前後で、ノンフィルター、ノンコラージュで瓶詰めされます。

シルヴァン カティアールはヴォーヌロマネに拠点を置く、評価の高い小規模ドメーヌ。非常に評価が高い生産者でワインアドヴォケイトでも09マルコンソールが98ポイントを獲得しています。
栽培はリュット・レゾネで行われ、肥料は有機肥料を使用し、ホルモンカプセルを使用した害虫駆除がなされます。樹齢は約60年。手摘みで収穫後、100%除梗され、2~10日間低温浸漬、アルコール醗酵はコンクリートタンクで高い温度で維持した状態で行われる。空圧式プレス機で圧搾され樽熟成に回される。マルコンソールには新樽比率60~70%程度で18ヶ月間の熟成後、無清澄、無濾過で瓶詰めされています。


それでは行ってみましょう。


生産者: ドメーヌ デュジャック
銘柄: ヴォーヌ ロマネ プルミエクリュ オー マルコンソール 2010

約19000円、WA92-94pt(2009)
外観はカティアールと比べるとやや淡いルビーだが、粘性は高い。
クロ サン ドニと同様、非常に甘露かつ穏やかでありながら、外向きの印象を受ける。
シロップで煮詰めたストロベリーやフランボワーズの明るく凝縮感のある果実味。シナモン、八角などのスパイス、鉄の様な風味が感じ取れる。スミレや薔薇の華やかなアロマや茎っぽさ、スイカズラ、パストラミハム。樽に由縁するであろう仄かなアーモンド香。グローヴ、炭焼きなど。
香りに赤系果実を煮詰めた様な丸みと溌剌さ、そしてヴォーヌロマネらしいお香の色っぽいニュアンスがある。
タンニンや酸はしっかりしているが、こちらも非常に滑らか。やや後味に苦味を感じる。余韻は非常に長い。ボディはしっかりしているが、全体的に柔らかく香り高い印象。


生産者: シルヴァン カティアール
銘柄: ヴォーヌ ロマネ プルミエクリュ オー マルコンソール 2010

約33000円、WA96-98pt(2009)
外観はやや濃いめのルビー、粘性は高め。
デュジャックと比べて、ややローステッドな樽香が特徴的。非常に華やかで妖艶。浮世離れした香りを放つ。方向性としてはコント リジェ ベレールの様なスタイル。
なんかもういきなりオーラが違う。
コーヒーや五香粉などのロースト香や、甘やかなシロップ、バニラの香りが主体となり、ダークチェリーやブルーベリーなど凝縮度の高い黒系果実、スミレの華やかなニュアンスが感じられる。
そしてグローヴやナツメグなどのスパイス。なめし革や鉄。ファンデーション、アーモンド、炭焼きなど風味も。木材の香りとダークチェリーの果実味が強く現れている。
タニックで酸も強いが、ジュヴレの様な肩幅の広い印象は無く、ひたすら妖艶でエロティックなマルコンソール。余韻も長い。


生産者: ユベール ド モンティーユ
銘柄: ヴォーヌ ロマネ プルミエクリュ オー マルコンソール 2010

約25200円、WA92-95pt(2009)
外観は赤みの強いルビー、粘性は高い。スパイシーでやや冷ややかな印象を受ける。
華やかさを重視しているのか、ドライハーブ、薔薇とスミレの香りが突出している。チェリーリキュールとブラックベリーのエレガントで瑞々しい果実味。蕩ける様な甘露な味わいで、僅かにシナモンやコーヒー豆のロースト香、シロップの様な甘やかさも徐々に現れる。またトースト、土っぽさ、茎、グローヴなどの香りも。
密度は高いが、酸、タンニンが刺々しい感じは無くて、シルキーで滑らか。口に含むとスミレやブラックチェリーなどの華やかな果実味が開いていく。
意外とクリスティアンヌよりマルコンソールの方が出来は良いか?


生産者: ユベール ド モンティーユ
銘柄: ヴォーヌ ロマネ プルミエクリュ オー マルコンソール クリスティアンヌ 2010

約37800円、WA92-95pt(2009)
外観は赤みの強いルビー、粘性は高い。
スパイシーな印象がありミネラル感も感じる。無名マルコンソールと比較すると何故かこちらの方が果実味が弱い印象で香りも穏やかで一瞬拍子抜けしてしまった。
しかし徐々に妖艶で華美な香りが現れる。基本的にはマルコンソールと構成要素は同じで、ドライハーブや薔薇とスミレの香りが突出している。そして果実味も濃厚で、チェリーリキュールやブラックベリー、プラムの凝縮したエレガントな風味を感じられる。トースト、シナモン、コーヒーの樽香。なめし革、パストラミハムや生肉などの野性的なニュアンス。土や茎、松の樹皮、ミルクティーなどの青っぽさ、スパイシーなグローヴ、オリエンタルスパイスなどのニュアンスも。
徐々に果実味が強く現れ、全体的に香りの強度は無名マルコンソールを上回る。肉厚で高密度だが、スロースターターだ。
酸味、タンニンはクリスティアンの方が強い。特に酸味から生まれる凝縮感は無名マルコンソールを超越する。口に含むと華やかなスミレなどの風味とダークチェリーの果実味。余韻は長い。


まず生産者ごとに比較をしてみると、かなり違いを感じます。
まずデュジャックは非常に甘露さが目立つマルコンソールですね。これは正に生産者のスタイルなのですが、煮詰めたストロベリーやフランボワーズなどの赤系果実のジャムなどの瑞々しい果実味が目立ちます。
スパイシーさは全房発酵によるものでしょうか。他の2本と比べると特に印象が異なっていると思います。
果皮成分より果実の高い糖度を感じさせる造りです。

対してシルヴァンカティアールは、かなり樽がやや強く出ていて、五香粉やコーヒーのアロマ、やや黒系果実の密度の高い果実味が特徴ですね。煌びやかかつ密教的な雰囲気を感じさせる風味が強いです。新樽比率が同じなので、樽熟成期間に由縁するものかと思いますが...3ヶ月なので誤差範囲内ですかね。樽の焼き具合か、はたまたはメーカーなのか...分かりませんが樽の香りが強く、かつ果実味が凝縮した傑出したヴァンドガルドなプルミエクリュだと思います。
こちらはどちらかといえば果実の糖度も高いですが、果皮成分の華やかさを感じます。

ユベール ド モンティーユは、硬いミネラル感と花やハーブの香りが前に出ていて、かつブラックベリーやチェリーリキュールなどの果皮がやや強めのドライな印象、そこに樽が乗りながら徐々に甘露になっていく感じですかね。
やや冷涼な感じというか。デュジャックのシャルムシャンベルタンと同様の方向性を感じさせる造りだと思います。
後からグッと果実味がくる事から、果実の力は強いみたいです。樽熟成期間がやや長めなのが、ちょっと閉じている感覚を与えるのでしょうか。

いつもならば次に共通点を探すのですが、今回は生産者毎のテイスティングですので、ぶっちゃけ共通点を探すのは難しいです。ていうか無理です。いや、言い訳をさせてください。テロワールの違いは、生産者単位の畑ごとの方向性の違いを確認した後、同様の方向性を感じ取ることで理解し得るものだと思っています。なので例えばエシェゾーのテロワールを感じ取るのであれば...

生産者A(除梗100%、低温浸漬あり、新樽100% 20ヶ月熟成 →生産者の個性:パワフルでローステッド)
ヴォーヌロマネ →基準(濃い)
ボーモン →太い(濃い)
エシェゾー →伸びやか、瑞々しい(濃い)

生産者B(全房発酵、低温浸漬なし、新樽20% 12ヶ月熟成 →生産者の個性:瑞々しくエレガント)
ヴォーヌロマネ →基準(エレガント)
ブリュレ →果実味豊か(エレガント)
エシェゾー →伸びやか、瑞々しい(エレガント)

つまりエシェゾーは生産者の個性がエレガントであれパワフルであれ、「他の畑と比べて相対的に瑞々しく伸びやかである」という結論になるということです。同一の畑でテイスティングしたとしても、その生産者の他の畑のタイプを知らないと、ポートフォリオの中での対象の畑の位置づけが分からず、生産者の個性しか理解は出来ません。
なので、今回のモンティーユとカティアールは他のワインが分からないので、ぶっちゃけ生産者の個性しか理解できません。はい、言い訳終了。わかりません。

ただ面白い事に、これらの生産者はそれぞれ拠点が異なっていて、それが同一の畑でも強く影響をおよぼしています。
デュジャックの拠点はモレ サン ドニですし、モンティーユはポマールやヴォルネイ、シルヴァンカティアールはヴォーヌロマネ。共通のマルコンソールというテロワールを表現した時にどうなるかと言えば、正直拠点の味がするんですよね。
デュジャックはモレサンドニの文法で作られたヴォーヌロマネ、モンティーユはヴォルネイの様な繊細さを持ったヴォーヌロマネ、そしてカティアールはヴォーヌロマネの王道の様な(例えばモンジャール ミュニュレの様な)造りをしています。共通する特徴はやはり女性的で東洋風のスパイスの風味を伴った香りでヴォーヌロマネらしい味わいと言えます。

非常に興味深い比較でした。
ただいきなりマルコンソールという別格1級ではなく、村名とかから特徴を追って行けば良かったかなぁとちょっと後悔してます。美味しかったですけどね!




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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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