シャブリ最高の生産者、ラヴノーの卓抜したプルミエクリュ4種の違いを暴く。


こんばんわ。
本日はフランソワ ラヴノーのシャブリ プルミエクリュに絞ってレポートします。一級に絞って飲むのは始めてですが、存外テロワールがしっかりと違いとして現れているのに驚きました。
ミネラル重視あり果実味重視ありと多岐に渡ったラヴノーの表現に、技術力が垣間見えますね。

フランソワ ラヴノーはドーヴィサと双璧を成すシャブリのトップドメーヌ。
ドーヴィサとは親類関係にあります。個人的には価格的にシャブリとは思えない生産者、というイメージですが、品質も一般的なシャブリとは大きく乖離するレベルの仕上がりを見せます。
生産方式もコート ド ボーヌの白ワインが如き手の込み様。
栽培はすべてリュットレゾネ。樹齢50−85年前後の古木を芽掻きなどで50hl/haまで収量を落とし(そんなに減ってはいないですが平準的なシャブリと比べると収量は低いです。)収穫は全て手摘み。除梗はせず、ステンレスタンクで全房発酵ののちマロラクティック発酵を行ないます。その後オーク樽に移し、18カ月以上の樽熟成。基本的には1年以上の旧樽を利用しますが、モント ド トネルの新樽比率は10%程度で発酵を行ないます。
清澄/濾過は軽く行なった上で瓶詰めを行ないます。

ちなみにこの中のフォレ、ビュトーはすべてモンマンの小区画です(この中のモンマンもいわゆる畑ではなくモンマンという小区画を示しています)。傾斜や条件が若干異なるため、小区画名として個別にリリースされています。モント ド トネルだけは別の畑となります。

さあ、征こうぜ!


生産者: フランソワ ラヴノー
銘柄: シャブリ プルミエクリュ ラ フォレ 2008

約12000円、WA92pt
外観は淡いストローイエロー、粘性は高い。ライチやカリンなどの溌剌した明るい果実味。しっかりとした厚みのあるシャブリだが、ボーヌのワインと比べると、やはりミネラル感が際立つ。バターやカシューナッツの風味も感じるが、その要素はグランクリュと比較すると強くは出ていない。あくまで溌剌とした印象を残すシャブリだ。
ただ時間が経過するとバニラや花の蜜、核種類の蜜の風味が強く現れてくる。フレッシュハーブや白檀、西洋サンザシなど。
酸は柔らかで落ち着いているが、集中力のある密度の高い果実味を感じる。


生産者: フランソワ ラヴノー
銘柄: シャブリ プルミエクリュ ビュトー 2009

約15000円、WA91pt
浮遊物のある澄んだストローイエロー、粘性は高い。
前述の2本と比べると果実味はやや抑え気味。果実味より若干ミネラル感の方が強く感じられる。溌剌とした印象を受けるワインで、ライチやグレープフルーツの酸味の強い果実味が主軸となっている。ボディを固める様にナッツやバターの風味も。モンマンやモント ド トネルと比較すると、やや遅咲きで徐々に蜜やシロップの様な甘露さが現れてくる。またフレッシュハーブ、白い花、アカシア、キノコの風味も感じ取れる。
この中では最も酸味豊かで、果実味のタイプもあいまって溌剌とした印象がある。旨味もしっかりとあるが他の二本と比べるとやや劣る印象でラヴノーのワインにしてはやや平凡な出来。


生産者: フランソワ ラヴノー
銘柄: シャブリ プルミエクリュ モン マン 2009

約23000円、WA91pt
浮遊物のある澄んだストローイエロー、粘性は高い。
最初から全開で最も甘露でシロップ漬けのライチや洋梨の果実味が非常に前に出ている。またバニラやバターなどのニュアンスが感じられる。最も丸みのあるスタイル。
こちらもクレームブリュレの様な風味が出てくるが、やはり印象として穏やかで、ドラスティックなモント ド トネルの変化にはやや劣る。フレッシュハーブ、カシューナッツ、火打石の様なミネラル感、白檀などのニュアンスも。
やや酸味やミネラル感は落ち着いており、旨味と果実とバニラの甘さがシルキーに口の中に広がる。非常に心地よい味わいではあるが、卓抜したミネラルと芯のある果実味を持つトネルと比較すると、スタイルの違いがあれど、やや落ち着いてしまった印象が強い。
価格的にはモンマンの方が高いが、複雑さやバランス、パワフルさの格としては明らかにモント ド トネルに軍配が上がる。


生産者: フランソワ ラヴノー
銘柄: シャブリ プルミエクリュ モント ド トネル 2009

約16000円、WA93pt
浮遊物のある澄んだストローイエロー、粘性は高い。
石油の様な強いミネラル感とフレッシュハーブが前に出ており、その裏に白い花の蜜やシロップ、ライチや洋梨の果実味が感じられる。
一見硬めの作りだが、5分程度で急激に開花する。クリームブリュレの様な甘露さ、西洋サンザシの清涼感、そしてキノコっぽさも現れる。
酸味が強いが、旨味の凝縮感も非常に高く、ライチの果実味がビロードの様にジワリと口の中で広がっていく。
途轍も無くグレートなバタールモンラッシェが如きシャブリだと思う。同生産者のフラッグシップ、レ クロやヴァルミール、ブランショに勝るとも劣らない卓抜したクオリティのプルミエクリュだ。


うーん、流石に素晴らしいですね。こういっては失礼なのかもしれませんが、とてもシャブリのワインとは思えません。毎回ドーヴィサやラヴノーを飲んでいて思うのですが、本当にこの生産者たちのクオリティはとてつもないものがありますね。恐ろしい。

フランソワ ラヴノーの一級畑4種、かなり畑によってカラーが異なっていたと思います。
ビュトーに関しては、全体的にドライな印象を感じる作りで、酸味が強く、硬めのミネラルと溌剌とした果実味が主軸に置かれています。このスタイルは時間が経過しても大きく変化はせず、僅かに甘みが現れる程度。強固といえば強固ですが、果実味としてはさほど強く無いのかもしれません。
またフォレはビュトーと同様に硬めのミネラルと溌剌とした果実味が感じられます。ただ時間が経過した際に蜜の香りが強く現れる所と、酸味がやや落ち着いている所が、ビュトーとの大きな違いを生み出しています。丸みを帯びた印象を受けますね。
モンマンになると他の2本と比べてグッとクオリティが上がってグランクリュに非常に近いスタイルになっています。果実味が豊かでアロマティック、複雑さ、樽と果実味のバランス、いずれも非常に高レベルに仕上がっています。ただ他のグランクリュと比べると若干ミネラルが柔らかく、ボディもそれに応じて丸みを帯びた豊満なスタイルになっています。これは日照条件による果実味の突出によるものかもしれません。
モント ド トネルはまさにグランクリュ並といって差し支えないレベルのプルミエクリュ。レ クロに見られた強烈なミネラルと、ドラスティックに変化するドメーヌルロワのワインが如き果実味の甘さ、豊かさ。これらが極めて高レベルで均衡を取っていて、シャブリというより、シュヴァリエモンラッシェのミネラルを持ったムルソープルミエクリュといった所。驚異的な作り込みがなされている。
ミネラルにおいてはグランクリュほどではないのだけど、総合力としては決して劣っていない。


概ね私のレポートはこんな感じですが、土壌のデータとちょっと照らし合わせてみます。

フォレ:保温性が高く、粘土の種類が豊富であり、石が多いため排水性に富む。
ビュトー:白色粘土が多く構成されている。
モンマン:白亜分が多く含まれた南東向けの立地
モント ド トネル:南西を向き白色粘土に多くの石を持つミネラル分と優れた日照。

フォレはミネラル、果実味を併せ持った多面性のあるワインだと解釈しましたが、恐らく排水性が高い部分と保温性が果実味を、石そのものがミネラルを司っていると解釈しています。
ビュトーは白色粘土質がもたらすどっしりとしたボディが現れるとのことでしたが、どちらかというとミネラルが出ています。ただそれにしてもフォレと比べるとミネラル分は同じくらいで、あまりインパクトの無いワインでした。
モンマンも一般的な評価と私の感想が乖離していて、精緻というより、外向けの規模感の大きい丸みのあるワインだなと思います。ふくよかで果実味に溢れている。ミネラルはフォレに劣りますし、持続性と総合力はモント ド トネルに比べると若干劣っていると思います。
モント ド トネルは粘土質かつ排水性が高く日照条件が良い事から、フォレ並のミネラルと、モンマン以上の果実味を高いレベルで両立していることが分かります。

若干モンマンとビュトーのテロワールとの感じ方の差がありましたが、概ね状態とかにもよるので、こんなものじゃないかと思います。
今回最も高いポテンシャルを示したのはモント ド トネルですね。個人的にはグランクリュと同等のクオリティを持ったプルミエクリュだと思います。
区画の広さでいうと最も広く、収穫量も多いので手に入りやすい銘柄ではあるのですが、それがこのクオリティだというのがとても良心的ではないかと。価格的にもモンマンより安いです。

買うならモント ド トネルですね。
ひょっとしたらグランクリュを頑張って買うよりも良年ならいいかもしれません。


ラヴノー/シャブリ 1級 フォレ[2008] 750ml

ラヴノー/シャブリ 1級 フォレ[2008] 750ml
価格:15,435円(税込、送料別)



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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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