ティボー リジェベレール、クロ ヴージョ 垂直2006-2009

こんにちわ。
本日はティボー リジェベレールのクロ ヴージョの垂直テイスティングです。

ティボーリジェベレールはニュイサンジョルジュに拠点を置く生産者で、ヴォーヌロマネのコント リジェベレールと同様、ルイ リジェベレールに連なる家系です。2002年 27歳の時にドメーヌを設立し、現在38歳、ブルゴーニュの新世代生産者であるとともにレ サンジョルジュのグランクリュ昇格運動の代表者でもあります。
※ちなみに他の賛同者はアンリ グーシュのグレゴリーグーシュ(30歳)、メゾン フェヴレのエルワン フェヴレ(30歳)、そしてティボーリジェベレール。若き生産者による運動です。
2005年からビオディナミを始めており、収穫された葡萄は除梗せず全房発酵を行なう。低温浸漬は約1週間程度行なわれ、アルコール発酵も含めキュヴェゾンは4週間程度。ピジャージュは3回程度。新樽は30%程度で瓶詰めされる。

さてクロ ヴージョ4種類、行ってみましょう。


生産者: ティボー リジェ ベレール
銘柄: クロ ヴージョ グランクリュ 2006

外観は澄んだ中庸なルビー、粘性は高い。
やや2007年と同程度の熟成感を感じるが、こちらの方が樽が若干強く、果実の甘露さに関してもこちらの方が強く感じられる。凝縮感に関しては、僅かに劣るか。
2009年ほど顕著では無いが甘露なシナモンやシロップ、コーヒー、そして時間が経過するとクレームブリュレの甘いアロマも現れる。
そしてブルーベリー、ダークチェリーの凝縮感のある果実味。薔薇や若葉などの青っぽさも強く感じられる。
酸味と旨味の他の要素とのバランスがいい。徐々に梅しばの様な風味も。そしてなめし革やナツメグ、お香、ファンデーション、焼いたゴムなどの香り。
とにかく滑らかなタッチのタンニンと酸。若干タンニンは強いが、後からググッと旨味と鉄っぽい風味が来る。煌びやか。なかなかバランスが良いヴィンテージだと思う。


生産者: ティボー リジェ ベレール
銘柄: クロ ヴージョ グランクリュ 2007

外観は澄んだ中庸なルビー、粘性は高い。
この中では最も熟成感を感じさせる。液体密度は高く、樽の要素より果実味と熟成香が主軸となっている。2006年や他のヴィンテージと比べて酸味と旨味が最も強い。
ブルーベリーやアメリカンチェリーの酸味を伴う果実味。ドライアプリコット的でもあり、過剰な甘さは感じない。2008年の澄んだドライさとは異なる甘みのないジャムの様。
青っぽさはあまり無く、スミレや薔薇の華やかさ、濡れた土、スーボワなどの大地香を感じる。そしてパストラミハム、生肉。お香、ベニヤ板、グローヴ、タイム、焼いたゴムなど風味も感じ取れる。
タンニンは穏やかだが、酸味は強め。ただ2006年と比較して旨味が突出している為、果実味とのバランスは取れていると思う。ベリーっぽいアタック。甘さと旨味を感じる。


生産者: ティボー リジェ ベレール
銘柄: クロ ヴージョ グランクリュ 2008

外観はやや薄目のルビー、粘性は高め。
樽はまだ溶け込んでおらず、五香粉、焼いたゴムのロースト香が非常に強く感じられる。果実味が目立たない為、やや冷淡な印象を受ける。薔薇や茎などの青っぽさが強いのも、その要因のひとつかもしれない。そしてダークチェリー、ブルーベリーの果皮のアロマ。なめし革、燻製肉の動物的な香り、ナツメグ、グローヴ、リコリスなどのスパイス。お香、ベニヤ板。
酸味やタンニンは2006年、2007年と比較するとかなり強め、収斂性も高い。やはり華やかでドライな印象を受ける。果皮や薔薇などのアフター。余韻は長い。


生産者: ティボー リジェ ベレール
銘柄: クロ ヴージョ グランクリュ 2009

外観は赤みの強いルビー、粘性は高いこの中で最も甘露で果実に集中力が感じられる。かつしっかりとした樽香があり、非常に官能的な素晴らしい味わい。最も完成度の高く感じられる。
強い五香粉の香りと共にシナモン、シロップやバニラの甘いスパイスの風味。そして凝縮感のある完熟したブラックベリー、ダークチェリー。さながらミルクキャンディーの様な果実味。スミレやフレッシュハーブ、なめし革、燻製肉などのニュアンスと樹皮、乾いた土、グローヴ、タイム、甘草、焼いたゴムなどのアロマも感じ取れる。
酸味とタンニンはかなり強め。収斂性も高く、香りと反してやや厳しい印象を受ける。
非常にパワフルで、かつ複雑な構成と豊かな果実味を持った極めて品質の高いクロ ヴージョ。


どのヴィンテージを飲んでも思うのが、(すべてではないものの)全房発酵によるスパイシーな側面がかなり出ていると思います。それを骨子として据えた上で、当然ながら最も完成度の高いのは2009年だと思います。
まず果実味が卓抜しているし、それに合わせる様に(新樽比率が低い割に)樽もしっかりと効いている。
意外と果実味だけに特化しているわけではなく、キチンと複雑性が見えるのもいいですね。
やはり色々利いてみて思うのが、どの生産者も相当2009年の果実味は強く出ているんですが、それでもバランスを取れる生産者が多いなと。このティボーリジェベレールのクロ ヴージョもちゃんとフィネスがありますね。
次に2006年。これはある程度熟成している部分が良さに繋がっていると思います。
そもそもでいうと決して強いヴィンテージではないのは明らかですが、クリームブリュレの様な果実の甘さとややコーヒーの様な樽香が、大きな規模感ではないものの、こじんまりと奇麗に纏まっていると感じました。
少なくとも2009年の様にビッグワインにはなっていませんが、バランスの良いワインだと思いました。奇麗な旨味がアフターにあるのもいいですね。
2006年に対して、2007年はやや熟成を帯びた感じがします。
樽っぽさは少なくて、より熟成香と果実味に満ちた造りだと思います。意外と凝縮感もあって、ジャングリヴォーの様な薄い印象はありませんでした。そこに梗のスパイシーさがちょっと乗る感じ。旨味がしっかりと出ているので、2006や2009の様なシロップやクリームの様な風味はあまり無いんですけど、しっかりしたボディがあると感じました。
2008年は青っぽさと樽のニュアンスが強く出過ぎている感じがします。ちょっとバランスが悪いですね。
非常にドライというか硬い印象を受けます。

それでもテロワール自体が冷涼なボーモンと比べると明らかにクロ ヴージョの方が、まだきっちり生育している感じはします。


■2006年
3月中旬まで雪が残った状態で、下旬まで下草すら動き出さない状態が続いた。4月から6月にかけて例年より寒い状況が続き(6月初旬でも早朝は氷点下ぎりぎりだった様です。)6月中旬以降やっと開花が始まり7月は暑く乾燥した干ばつの危険性もあったが8月になると涼しく湿った気候となった。その為カビ、ウドン粉、べド病の恐れもあった。9月中旬まで気温が高いがにわか雨が多く、早い生産者は18日より収穫を始めたが、概ね完了したのは25日だった。

■2007年
4月の発芽期は好天に恵まれて暖かい日が続いた。しかし以降8月までは曇天が続き良い天候の日は無かった。8月にはカビが発生している。収穫時期の9月上旬には好天候に恵まれている。

■2008年
4月の発芽期は2007年の様に暖かくなく6月まで曇天が続いた。7月に関しては1週間好天候に恵まれ、暖かく乾燥した日が続いたものの、8月は冷え込みが続いた。下旬から持ち直し暑い日が続いた。9月前半も崩れ気味だったが下旬より良い天候に恵まれ、大部分は9月25日より収穫を開始した。

■2009年
5月下旬から6月下旬まで好天が続いたが、7月中旬2日間、下旬2日間に大きな嵐に見舞われ天候を崩した。葡萄は局地的にベド病やカビに見舞われたが健全に生育し始めた。8月中は2日間の嵐以外は素晴らしい天候が続いた9月中旬に素晴らし良い天候のもと収穫が行われた。

上記のヴィンテージの条件を照らし合わせると、2009年は別格として2008、2007年、2006年は概ね同程度とされています。
若干2006年が良い様ですが、これは7月の結実時期に乾いた気候だった事と雹害などが無かったためでしょうか。
実際の所2006年は果実味がしっかり出ており、2007年、2008年に比べるとこじんまりとしつつも安定した造りでした。2007年のやや強く現れている熟成感は若干果実の力が弱かったからでしょうか。ただそんなに弱いヴィンテージだとは思いませんでしたが。
2008年は生育期に厳しい気候が続いた為か、確かに凝縮感の部分でいうとかなり厳しい感じはしますね。
ミネラル感というか硬い感じはしますので、これは多分前回のエントリーでも記載しました、母岩からの養分吸収時期が長かった為かなと。青っぽい感じが過剰に出ているのは、きっと梗が熟しきっていないところに由縁するのかなと。
そういう意味ではジャングリヴォは100%除梗ですので、有利に働いたのかも。もちろんティボーも機械的に除梗有無を決めている訳ではないかと思いますので幾分かは調整しているんでしょうけど。
2009年はやはり良かったですね。
エレガントで果実に力があるという。素晴らしいヴィンテージでした。

ここまで見るとやはり2009年は他を圧倒していますね。
2009年はもっとも飲んでいるヴィンテージなのですが、これを基本とすると他のヴィンテージがどうしても厳しく感じてしまいます。
個人的には2010年の方が好きですが、こちらもタイプとしては2009年に概ね近いと思います。





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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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