【カリフォルニア:4】卓抜したカリピノ。オーベール、ピーターマイケル、リバースマリーを利く



こんばんわ。
今回もカリフォルニア ピノノワール特集です。前回はブルゴーニュスタイルの生産者でしたが、今回はカリフォルニアらしいピノノワールを作る生産者。非常に豪華で濃厚。ピノノワールのひとつの完成された姿をレポートします。
カリピノの名手といえばマーカッシン、キスラー、オーベール、ロキオリ、ピーターマイケルなどが有名です。今回はオーベール、ピーターマイケル含めたカリピノ カルト3種類をレポートします。

リバースマリーは、シュレーダーなどのカベルネソーヴィニヨンを手がける醸造コンサルタント、トーマス リバース ブラウン率いるワイナリー。ソノマコーストで自身の名前を冠したピノノワールを作っています。2009年が初ヴィンテージ。
シルバーイーグルヴィンヤードはウリテス ヴァルデスの所有する畑。土壌は海の堆積物で構成されます。海からの霧の影響を受けるため涼しいですが、日照条件は良い土地です。テクニカルデータは不明です。

オーベールはピーターマイケル、コルギンなどの醸造コンサルタントを務めたマーク オーベール夫妻によって設立されたワイナリー。ソノマでシャルドネとピノノワールをメインに生産しています。 (ちなみにあの気難しいヘレンターリーのアシスタントも務めていたとのこと!)日本への輸入は2010年が初。ウリテス ヴァルデスの所有す?ストーツレーン ヴィンヤード(UV-SL)は冷涼なソノマ コーストにおいてやや温暖な地域にあり、25hl/haという低収量により凝縮感のある力強い果実が産出されます。発酵はフレンチオーク新樽を使い、無清澄や無濾過で瓶詰めされます。新樽比率、キュヴェゾン、除梗の有無は不明です。果実の厚みに隠れていますが、多分全房発酵か、一部除梗だと思います。新樽比率も多分高いかと(70-100%っぽい)

ピーターマイケルワイナリーは「サー」ピーターマイケルによって1982年に設立されたワイナリー。カベルネソーヴィニヨン、シャルドネ、ピノノワールと大きく方向性が異なる品種を作りながら、その全てで高い評価を受けている稀有な生産者です。ナパにおいて最も冷涼なカリストガ地区に拠点を構えており、混在する2つの気候による温度差によって品種の個性を引き出しています。現在の醸造責任者はニコラ モーレ。マルチなヴァラエタルで最高の評価を受けています。今回はソノマのピゾーニヴィンヤードから作られたピノノワール。
テクニカルデータはわかりませんが、ピゾーニらしいピゾーニに仕上がっており、甘酸っぱい味わいになっています。



生産者:リヴァース マリー
銘柄:シルバーイーグル ヴィンヤード ピノ ノワール 2011

約7000円
外観は濃い外観のルビー、粘性は高い。
非常に甘露な味わいで果実味に溢れている。この中だと最もスタンダードなカリフォルニア ピノノワール。ブルーベリーやダークチェリーの非常に熟した黒系果実味が感じられる。バニラ、シロップ、シナモン、黒砂糖の甘露さ。スミレなどの華やかさ。オーベール程濃くはなく、複雑さもやや劣るが甘露さにおいては同等程度。やや土っぽさ、燻製肉、グローヴなどの風味も。全体的に甘露で果実味が強く、非常に魅力的な味わい。酸味もタンニンも滑らか。アタックは強く、豊満な果実味が感じられる。


生産者: オーベール
銘柄: UV-SL ヴィンヤード ピノノワール 2010

約20000円、WA93pt(2009)
外観は赤みの強いルビー、粘性は高い。
いわゆるカリフォルニアの力強いピノノワール。シナモン、シロップ、焦がした黒砂糖、キャラメルなどの甘み、豊満な果実味を感じる。ブルーベリーやプラムの凝縮した力強い果実味。樹皮やアーモンド、燻製肉。スミレやドライハーブの自然な華やかさ、わずかに茎やグローヴなどの風味も。
ブヨブヨと膨れ上がった甘さではなく、しっかりしたタンニンと酸味で骨格が象られている。
口の中で甘露で複雑なシロップや黒砂糖の様な果実味が広がる。余韻は長い。ハーブの様な風味も。
果実味と甘さは圧倒的で他のカリピノとは一線を画す重厚なピノノワール。最もパワフル。時間を経ても黒砂糖の様な強烈な甘みが残る。
ブルゴーニュと全く異なるピノノワールだが作りは卓抜している。


生産者: ピーター マイケル
銘柄: ル ムーラン ルージュ ピノノワール(ピゾーニ ヴィンヤード) 2003

約26000円、WA93pt
外観は赤みの強いルビー、粘性は高い。
果実の自然な凝縮感のある甘さ。UV-SLヴィンヤードとは異なる、酸味を伴う自然な果実味を感じ取れる。
焼いた黒砂糖や、アメリカンチェリーのリキュールやアプリコットの酸味と旨味を伴う果実味が感じ取れる。とてもピゾーニらしいピゾーニ。そして華やかな薔薇やスミレ、ドライハーブや溶剤、土っぽさ、血液の様な鉄分、紅茶、グローヴ、ローリエなど僅かに青っぽいニュアンスも。
力強さ、パワフル感で言うとオーベールには届かないが、各要素の均衡はとてもよく取れている。03とは思えない程生き生きしているのが特徴的だ。
花や溶剤の華やかな香りが口に広がる。タンニン、酸ともかなり力強く凝縮した印象を受ける。


それぞれ別の方向を向いている。
いかにもカリフォルニアのピノノワールといった感じの甘露で力強いリヴァーズマリー、その甘露さと樽をより強くしたオーベール。酸味と凝縮した果実味を感じるピーターマイケル。
同じカリフォルニアのピノノワールなのにここまで違うのかと。
今回の共通点でいうと、押し並べてサーヴ直後は非常に閉じていたと思います。
果実はどのワインもキッチリと熟しており、かつオーベールとピーターマイケルはブルゴーニュ顔負けの複雑さ。
適度な時間をかけて成熟し、かつ完熟している。ニュイのグレードヴィンテージを飲んでいる様な果実味の豊かさであると思います。
醸造のタイプなのか果実に由縁するものなのかはわかりませんが、やはりブルゴーニュの方が華やかで官能性が高い様に思えます。ミネラル感や華やかさが瑞々しく、テロワールによってはスパイシーな味わいを持つブルゴーニュと比べると、このクラスでも葡萄と樽の力を前に出したキャラクターといえると思います。
この2本のタイプは全体感でいうと似通っていますが、リバースマリーはニュイサンジョルジュ的な構造を持ち、かつ幾分か複雑さに欠ける部分があります。オーベールはジュヴレシャンベルタン的な強固さな構造を持っていると思います。
それらのブルゴーニュ的要素に果実味と甘い樽香を強く前に押し出したのがこれらのワインだと理解しています。
ブルピノとは印象が全く事なりますが、細かくみていくと表現は違えど構成要素に関しては似通った部分が見受けられると思います。

ピーターマイケルのピゾーニはピゾーニらしい作りで甘露でありながら強い凝縮感を感じさせるピノノワールで、非常に酸味と旨味がとても豊か。
完熟した葡萄でありながら豊かな酸味があって、この部分はあまりブルゴーニュには無いスタイルだと思います。
豊満かつ甘酸っぱい。
ピゾーニはカリフォルニアのグランクリュ的なポジションだと思ってるのですが、生産者の技量も含めて流石クオリティがべらぼうに高いです。
タンタラやピゾーニピゾーニ的なスタイル。2003年という事で結構熟成しているのですが、熟成してなおこの凝縮感、噛む様な厚さを持ったピノノワールだと思います。

この3つのピノノワールはいずれも方向性を別々に向きながら、そのクオリティは突出しています。どれも本当に美味しいピノノワール。
ブルゴーニュ好きには「これは違う」と思われるかもしれませんが、品種の個性の一側面としてとても楽しめる作りだと思います。

これからも注目ですね!




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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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