【ブルゴーニュ:1】鮮烈なるエシェゾー。高密度のエシェゾーを醸す2生産者

こんばんわ。
さて、久々にブルゴーニュです。
このブログでブルゴーニュが無いなんて...と思われた皆様大変お待たせいたしました。(本人的には本気ですが)眉唾情報ブルゴーニュエントリーでございます。

今回はブルゴーニュはジャイエジル、リュシアン ル モワンヌのエシェゾーです。

ジャイエ ジルはアンリジャイエの従兄弟のドメーヌ。現当主の父であるロベールはDRCに従事し、ジャイエの後を次ぎ、ジャイエジルを立ち上げています。
今回のエシェゾー デュ ドスュはエシェゾー上部の小区画。植わっているピノノワールは樹齢60年。
通常より遅摘みを行うことで糖度の高い葡萄を収穫します。収穫後、除梗はせず、セメントタンクで5、6日の低温浸漬を経て高温でアルコール発酵を行います。
ピジャージュは1日2回程度。新樽100%で18ヶ月熟成を行い、無濾過、無清澄で瓶詰めされます。
フラッグシップはエシェゾー デュ ドスュ。その他は村名と広域名のキュヴェを醸しています。

リュシアン ル モワンヌは、1999年に立ち上げられた名だたる1級特級のみを瓶詰めする新進気鋭のネゴシアンです。
年間生産量は100樽以下。発酵後のワインを買い付けて瓶詰めするが、このネゴシアンの最も卓抜したところは、優れた生産者を見抜く力と、購入したバルクワインに適した樽を仕付けるセンス。
購入したワインは(当然バルクで買ったワインなので)徐梗されているもの、されていないものにバラツキがあるが、そのスタイルにあわせてシャサン社と連携を取りながら100%新樽で熟成、マロラクティック発酵を行っていく。
その評価はかなりのもので、もともとのワインの品質の良さと樽熟成の巧みさが非常に高く評価されています。
フラッグシップは白はモンラッシェ、赤はシャンベルタン クロ ド ベーズ。


生産者: ジャイエ ジル
銘柄: エシェゾー デュ ドスュ グランクリュ 2010

21000円、WA92-94pt(2009)
色調はより赤みの強いルビー、粘性は高い。
甘露で強靭なバネを持つパワフルなエシェゾー。
強烈なスミレのニュアンスと、甘露なアニス、カラメル、シナモン、徐々にクリームブリュレの様な風味も現れる。ダークチェリーやラズベリーを煮詰めたジャムの様な果実味。
トリュフやタイム。煮た小豆。わずかにスモーキーでパストラミハムなどのニュアンス。紅茶、リコリス。焼いたゴムなどの風味も。
とても甘露で柔らかい印象だが、やはりヴォーヌロマネに共通する緊張感のあるミネラルが漲っている。
酸はかなり強めでタンニンも比較的強く、パワフルで強固な体躯をしている。酸味の強いクランベリーのアフターが極めて長く続く。梅しばの様な極めて綺麗な旨味もある。まるで濃厚なフルーツチーズケーキを口に含んでいる様だ。
素晴らしい。


生産者: リュシアン ル モワンヌ
銘柄: エシェゾー グランクリュ 2010

25200円、WA92-95pt(2009)
強烈なスパイス。
色調は赤みの強いルビーで、粘性は高い。
こちらも豊満なエシェゾーだが、樽のニュアンスがやや強めに出ており、謎めいた官能的な印象を醸し出している。しかしエシェゾーらしい伸びやかな印象があり、そのミネラル感も十分に感じられる。
五香粉やコーヒー豆のロースト香。そしてダークチェリーやブルーベリー、オレンジなどのヴォーヌロマネらしい煌びやかな果実味。華やかな薔薇やスミレの香りも。基本的にはロースト香と抽出はやや強めに感じる。徐々にシナモンやシロップやベリージャムを掛けたワッフルなどの甘露さが現れる。
そしてフレッシュハーブ、なめし革、ヒノキ、森の下草、トリュフ、メントール、タイムなどの細やかなニュアンスも。
タンニンはあまり強くないが酸がとにかく際立っている。綺麗に伸びていく酸で凄まじく液体密度が高い。イチゴの様なアフターが長く続く。


まず、ジャイエジルのエシェゾーとリュシアンのエシェゾーの違いは樽にあると感じました。
リュシアンの方が樽が強くローストした風味が前に出ており、対してジャイエジルは果実味を強く前に押し出されていると思います。
しかしリュシアンは樽こそ強いものの、エシェゾーらしい果実の伸びやかさやミネラル、華やかさはしっかりと表現されていて、なおかつリュシアンらしいシナモンやシロップ、ベリーのジャムの甘露な風味が現れています。そういう意味ではテロワールを尊重したワイン作りがなされていると。
ジャイエジルは取りつく島の無い2009年のエシェゾーとは異なり2010年は幾分かはキャッチーで濃厚な作り。
クレームブリュレやカラメルの甘露な風味とスミレの華やかな風味、ジャムの様なベリーのニュアンスが前に出ています。とても非常に良くできたエシェゾーではあるものの、エシェゾーらしい伸びやかさ、華やかさにおいてはリュシアンの方が忠実にテロワールを再現していると感じました。豊満で濃厚な印象が中心で、酸は強いがシャープさがあまり見られない印象です。ともすれば鈍重にも感じますが、ボディの強度はなかなかのもので、時間が経過してもへこたれない。
比較でいうのならリュシアンの方がテロワールの再現度や樽、果実味ミネラルのバランスは上。
ただ若干まだ樽が強いのでもう少し熟成すると良い感じになるかもしれない。
ジャイエジルのエシェゾーはミネラル、酸はしっかりと存在するものの突出して果実味が際立っています。若干パワフルになりすぎてエシェゾーらしさは感じませんが、ブルゴーニュのピノノワールとしてはとても良い出来だと思います。
共に新樽100%という共通点はありますが、ここで決定的に異なるのはリュシアンはしっかりと樽をローストしている点と、ジャイエ ジルはやや遅摘みである点が差異を生み出している原因だと思います。
リュシアンは明らかにローストしたニュアンスが強いのと、ジャイエ ジルはかなり糖度が高い、果実味が強い部分が主軸になっている。これらは共に製法に由縁する相違だと思います。

いずれにせよ両方ともとてもよくできたエシェゾーだと思います。
特にジャイエ ジルはいささか固さが目立った2009年と比較するといい意味で軟化し、より近づきやすい味わいを保っていると感じました。
ちょっとお高いですが、試してみる価値は十分にあると思います。


関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

カテゴリ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
検索フォーム
ついった
物欲センサー
物欲センサー2
リンク
QRコード
QR