こんばんわ。
いや、かなり間を空けてしまいました。連続更新が売りのこのブログで更新が止まるとはどういう事なの...?
さて、久々の更新はコント リジェ ベレールが造るチリのカベルネソーヴィニヨンです。
アリストスはブルゴーニュの生産者コント リジェ ベレールがチリで興したワイナリー。ペドロ バラとフランソワ マソックとのジョイントベンチャーです。特徴的なのはその畑の立地です。
例えばブルゴーニュであれば日照条件の良い立地を選定して場所を選びますが、これはブルゴーニュにおいて葡萄の成熟を満たす日照量が場所を考慮しないと確保できない事に起因しています。しかし例えばチリに限らずスペインなどでは、すでに天候に寄って十分な日照が確保出来ているため、逆に条件の良い場所では日照量が過多となります。その結果晩熟のカベルネソーヴィニヨンですら熟度が上がってしまい、土壌から十分な複雑さを得ないままボリューム感だけ高いワインが出来てしまいます。(ですので、昔の新世界のワインはビッグワインばかりでした。今は大分状況が変わりましたが)
そこでアリストスのワインはあえて高い標高(1000m)かつ日照量を制御する為に日当りの良い立地を選んでいません。これによってエレガントで複雑なワインが出来るとのこと。葡萄は当然手摘みでの収穫が行なわれ、ステンレスタンクで発酵後、フレンチオークの新樽(比率は不明ですが恐らく100%)で26ヶ月熟成されています。
生産者: アリストス
銘柄: デューク ダ 2008

8400円
黒に近いガーネット、粘性は非常に高い。
いやいや、想像以上に凄まじいカベルネソーヴィニヨンだ。
濃厚さな風味がが途轍もない凝縮感で襲ってくる。甘露で酸味も際立っている。
カラメルやバニラ、シロップ漬けのカシスや熟れたプラムの強烈な果実味。
そしてブラックチェリーを想起させる酸味。ドライハーブやミント、西洋杉、薔薇。
そしてミルクコーヒー、ピーマン、タバコ、パストラミハム、溶剤、リコリスなど。
(十二分にあるが)タンニンよりも充実した酸味を強く感じさせるのは生産者の個性だろうか。
アタックはパワフルでカシスやプラムの強靭なアフター。凄まじい。
リジェベレールが作るピノと比較すると、当然ながらカベルネソーヴィニヨン。タニックで力強く、豊満だ。
しかしその異質なほどの強い酸味と凝縮感、品の良さは、同じく濃厚で酸味の強いシラーより、品が良いピノノワール的でブルゴーニュのスタイルを感じさせる。
素晴らしいカベルネソーヴィニヨンでした。力押しだけでない作りの巧さを感じました。
かなりいい線行っているワインで、チリワインの中でもかなり好みな部類。
豊満で膨らみのある過熟感というより、密度の高い凝縮感とキャラメルの様な甘さを持ちながら、一本筋の通った骨格のしっかりしたワインだと思います。重さというより密度と力強さがある。
チリ的な熟した味わいがあり、かつ樽も強いのですが、作りの方向性が凝縮感を目指しているのが良くわかります。
そしていささか酸味に欠けるチリワインの中でも突出した酸を保っており、勿論構成要素は全く異なる前提で、あえていうならブルゴーニュ的な側面を強く感じさせるカベルネソーヴィニヨンでした。葡萄としてはやはりチリっぽいのですが、作りが違うとここまで異なるという好例だと思います。
コント リジェ ベレールが作るカベルネソーヴィニヨンという事で興味本位で飲みましたが、想像以上に良いと思いました。出自がハッキリと出たスタイルですね。
今までブルゴーニュの生産者が海外の葡萄に手をつけるのを見たことがなかったので(ハイド ヴィレーヌとか)結構衝撃的でした。小規模生産者が多いので自分の所だけでいっぱいいっぱいなんだとは思いますが、予算とビジネス手腕が卓抜した生産者にはどんどん海外に手を広げて貰いたいですね!
価格的には品質を考えると妥当ですかね。
正直アルマヴィーヴァとかと比べるとよっぽど好みなカベルネソーヴィニヨンです。
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