【ブルゴーニュ:3】エマニュエル ルジェ、2010年ヴィンテージ4種を検証する

こんにちは。
本日は昨日に引き続きブルゴーニュ アンリの弟子特集。エマニュエル ルジェ5種でございます。

エマニュエル ルジェはヴォーヌロマネに拠点を置くスター生産者で最もアンリジャイエに近い生産者と言えるでしょう。ルーミエやフーリエの様に争奪戦が起こる訳ではないものの、ヴォーヌロマネ最上の生産者である事は間違いないでしょう。
ヴァンダンジュヴェールトによる収量制限、除梗は100%、コンクリートタンクでのマセラシオンには自然酵母の使用し、約1週間の低温浸漬。新樽比率は1級以上は100%で村名は50%、 無濾過、無清澄で瓶詰めされる。※栽培は完全なビオや有機農法では無いようです。
クラシックな造りですが、彼の手から作り出されるワインはエシェゾーは勿論サヴィニー レ ボーヌまで息をのむ程に素晴らしい。
フラッグシップは一級レ ボーモン、特級エシェゾー。そしてアンリジャイエから引き継いだ一級 クロ パラントゥ。


今回はブルゴーニュアリゴテから2種の村名、特級エシェゾーのルジェラベル、ジョルジュジャイエラベルの合計5種。最下級からの水平からルジェのスタイルを感じ取ってみたいと思います。
ちなみに今回ジョルジュジャイエのエシェゾーも入っていますが、これはジョルジュジャイエの畑を使用しているだけで、栽培から瓶詰まですべてエマニュエルルジェが行っています。つまりルジェのワインです。
過去、ジョルジュ畑はアンリジャイエが作っていましたが、代替わりでこの畑もルジェが作る事になっています。
ここらへんはとても微細な違いになるかな、と思ったのですが意外と大きな差異がありました。

また超どうでもいいですが、私はこの生産者の大ファンで(何回も書いていますが)非常に楽しくいただく事ができました。
ああもう、超官能的ですね...!最高...!


生産者: エマニュエル ルジェ
銘柄: ブルゴーニュ アリゴテ 2010

3100円
外観は淡いストローイエローで粘性は高い。
酸味とミネラルに満ちた清涼感のある味わい。とても軽妙で清涼感のある香りで、ボーヌのシャルドネの様な濃厚さは無い。
ライムや青リンゴの様な清涼感のある果実味。そして白い花やハチミツ、ムスク、フレッシュハーブなどの溌剌とした風味が強く感じられる。
アタックは甘露、ふくよかなリンゴのニュアンス。甘酸っぱい、心地よい酸味が感じられる。
キリッとした印象でありながら口当たりに甘みがある。香りや酸味はシャープなのに、口当たりに豊満な味わいが感じられる。


生産者: エマニュエル ルジェ
銘柄: ニュイ サン ジョルジュ 2010

約13000円、WA89-90pt(2009)
外観は赤みの強いルビー、粘性は高い。
まず村名にして、これだけの煌びやかさや華やかさがあるのに驚いてしまう。そういえば、最初にルジェのワインを飲んだ時も同じ部分で驚いたような気がする。
とても華やかで甘露。そして煌びやか。村名ヴォーヌロマネと比べると、重心が低めで太い味わい。ややタンニンと果皮の風味が強いからかもしれない。
コリアンダーや八角などのスパイシーな風味、ジャミーなダークチェリーやブルーベリーの凝縮した果実味、そして華やかな薔薇やスミレの強い香り。これらと均衡を取る様なシロップやワッフルなどの甘露さが中心にある。液体密度が高く、噛む様な厚みがあり、これらの要素を良いバランスでまとめ上げている。
そしね茎、若い葉、クローヴ、わずかに土っぽさ。
アタックは強い薔薇やスミレの華やかさとシロップや蜜の甘やかさ。タンニンと酸は生き生きとしているが、ボディに厚みがあり厳しさを感じる事は無い。非常に濃厚でありながら、透明感のある味わい。


生産者: エマニュエル ルジェ
銘柄: ヴォーヌ ロマネ 2010

約15000円、WA90-92pt(2009)
外観は赤みの強いルビー、粘性は高い。
ニュイサンジョルジュも村名クラスを遥かに超える品質だったが、ヴォーヌロマネは更に凄い。
どちらが上という訳ではないのだけど、NSGと比べるとより果実に凝縮感、一塊感がある。
また酸のシャープさ、ミネラル感も突出している。スパイシーさはやや押さえ気味。
NSGにも増してスミレの華やかが強調されている。また硬水の様なミネラル感も強め。
ダークチェリー、ブルーベリーの凝縮した果実味とオレンジの酸味の強い果実味があり、非常に伸びやかで、細身な印象を受ける。
そしてミルクティーやシナモン、アニス。甘露なシロップやワッフルなどのニュアンスと共に、タイム、松の葉、茎、クローヴの複雑な風味も。控えめながら燻製肉の要素も感じられる。
香り同様アタックは酸、タンニン共に溌剌としている。
蜜やシロップの濃厚な味わいと綺麗なベリージャムの酸味が感じられる。
とても清涼感があり、柔らかでいて芯の通ったヴォーヌロマネ。


生産者: エマニュエル ルジェ
銘柄: エシェゾー グランクリュ 2010

約46000円、WA93-95pt
凄まじい芳香、これがエマニュエル ルジェのエシェゾー。いつだって感動してしまう。確かなミネラルと強烈な果実味と華やかさ。
しかしジョルジュ ジャイエ畑に比べると遥かに華やかで甘露な風味が漂う。こんなに違うとは...!
外観は赤みの強いルビー、粘性は高い。
シナモンやシロップ、キャラメルなどの甘露な風味と、完熟したデーツやチェリーリキュールの果実味、スミレ、薔薇の華やかさ。村名と同様に伸びやかでありつつフワッと空間の広がりも感じる。そしてミルクティーの風味が主体となる。
なめし革、グローヴ、八角、白マッシュルーム。
凄まじくキラキラした味わい。蕩ける様に甘露で驚くくらい華やか。
口に含むとタンニン、酸味が溌剌としつつ、強烈なスミレと薔薇の華やかなニュアンスと完熟したダークチェリーの甘みと旨味が広がる。若くして驚異的なバランスを持ったエシェゾー。凄まじい美味さ。華やかさから甘みと旨味が押し寄せる感覚は途轍もない。
厚みというか凝集した味わいがある。余韻は長い。2009年よりバランスは良い様な気がする。


生産者: ジョルジュ ジャイエ(エマニュエル ルジェ)
銘柄: エシェゾー グランクリュ 2010

約28000円
外観は赤みの強いルビー、粘性は高い。
ややジョルジュ畑の方が硬い印象、抽出とミネラルが強く、甘さは劣る。
思った以上にジョルジュジャイエ畑は伸びない。
清涼感のあるオレンジや、ダークチェリー、ブルーベリーの熟した果実味。徐々に甘露さが強くなってくる。ワッフルやシロップ、シナモンが徐々に香ってくる。遅咲き。ただしっかりとした甘露な味わいは感じる。
ミルクティー、ドライハーブ、なめし革、お香、グローヴ。
口に含むとややキツイ薔薇のニュアンスと、果実の酸味と旨味が綺麗に広がって行く。方向性は同じで華やかさの後に旨味と酸味が広がっていく。ただ若干酸味とキツ目の抽出も感じる。ただ突出したエシェゾーではある。甘やか。


いや、エマニュエル ルジェを飲むと、毎度の事ながら、凄い幸福感があります。最初に村名ニュイ サン ジョルジュを飲んだ時から「こりゃ只者じゃないぞ」と以来ずっとファンです。まあ、嫌いな人なんていないと思いますが。
さて、早速。
今回はブルゴーニュアリゴテ、そして村名2種類、エシェゾーですが、まずアリゴテから。
ローレンジのワインでありながら、非常に良く出来ています。
鋭い酸と清涼感が特徴のアリゴテですが、意外とふっくらとしている印象。確かに、酸味が豊かで青りんごや柑橘系のニュアンスがいかにもアリゴテなのですが、非常に甘露なシロップの様な果実味があって全体的に丸みを帯びた印象を受けます。ドライなタイプではありません。
同じアリゴテでもシャンパーニュのブラン ド ブランの様なポンソのモン リュイザンとはちょっと違いますね。
ポンソのモン リュイザンはもっと複雑ですが、硬質でドライです。
そういう意味でこのアリゴテはボディにおいてはシャルドネっぽいのかな、と思います。

そして本命の赤。
ニュイサンジョルジュとヴォーヌロマネの差はボディと香りの太さ、そして微妙に異なる香りの要素でした。
まず全体でいうと、こちらも
NSGは非常に力強いです。果皮の成分によるものなのかわかりませんが、かなり煌びやかで太い果実味が感じられます。ボディの重心が低いです。
対してヴォーヌロマネは同じ質量を縦に伸ばした感じで、煌びやかさと酸、そして華やかさが突出しています。果皮の成分自体は同じくらいなのではないかとも思うのですが、重心が低いNSGに対してヴォーヌロマネは伸びやかで澄んだ高域に伸びるワインだと思います。
適切な分析はできないのですが、ヴォーヌロマネの華やかさはその強いミネラル感と酸味の強い果実味に支えられているのではないかと思います。
ミネラル、酸味、瑞々しい果実味、そしてその構成要素のスミレやアニスが渾然一体となって「伸びやかなヴォーヌロマネ」を象っていると。
対してニュイサンジョルジュはジャミーな果実味とミネラル、充実したタンニン、スパイシーな要素によって「力強いパワフルなニュイサンジョルジュ」が表現されているのでは、と思います。

そして大本命エシェゾー。これは本当に凄い。メチャクチャ濃密で甘露で官能的な味わい。伸びやかなヴォーヌロマネを更に順当に深化させた感じ。綺麗に一本筋が通った味わいは村名と方向性は変わらないけれども、その中に膨らみのある華やかさと確かな果実味の力強さがあるという。高域に伸びていきながら、広く拡散していく味わい。そしてシロップやキャラメルのような甘みが濃縮されている。
香りも驚くべき部分はたくさんあるんだけど、何より口に含んだ時のバランス感が凄い。綺麗なベリー系の酸味が旨味とシナモンやキャラメルなどの甘みを伴って広がっていく。焼いた肉を食べた時に肉汁が広がる、あの感覚。
しっかりした甘みや果実味があるんだけど、決して重さやベトつきはなくて、芯の通った極めてピュアな味わい。
対してジョルジュジャイエ畑はルジェのワインと比べると若干見劣りしてしまいます。
ルジェと比べるとミネラルに覆われており若干果実味と甘みが足りていない感じ。だから硬く感じる。徐々に時間を置くと綺麗に解けてくるんだけど、一歩ルジェのワインに届かない物足りなさを感じる。果実の凝縮度や集中力はほぼ変わらないんだけど、外に広がっていかない。
かなり勿体無いエシェゾーだと思います。ただ凡百のエシェゾーと比べると突出したエシェゾーではあると思います。明らかに手を抜いているのか...それとも畑に起因するものなのか...
ちょっとそこんとこ不明ですが、2回このヴィンテージのジョルジュとルジェを飲み比べてみて同じ感想が出るんだから間違いあるめえ。
ただ価格差を考えるとなんとなく仕方ないのかな?とも思います。

いや、とはいえ凄いテイスティング体験でした。やっぱりルジェは最高だ!





エマニュエル・ルジェ[2010] エシェゾー 750ml

エマニュエル・ルジェ[2010] エシェゾー 750ml
価格:69,000円(税込、送料別)


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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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