【ローヌ:2】南部ローヌ、2人の卓抜したCNDPを利く

こんにちは。
今回と次回はローヌです。
本日はローヌのカルトワイン、ヴィエイユ ジュリエンヌのCNDP、CNDP最高の生産者シャトー ラヤスのセカンドラベル ピニャンを。

ヴィエイユ ジュリエンヌはジャンポール ドメーン率いるシャトーヌフのカルト的ワイナリー。
平均樹齢60年、最長樹齢104年のヴィーニュフランセーズが植わったシャトーヌフの畑を保有しており、ただでさえ収量が落ちる古木から、さらに20hl/ha程度に収量を落す。(ローヌでもかなり切り詰めている方だと思う。)掘り起こしは乾燥対策にあまり行わない。栽培はすべてビオディナミで行われている。収穫は全て手摘み。
除梗は100%行い、コンクリートタンクでアルコール発酵、10-15日程度のマセラシオンを行う。新樽比率は分かりませんが、多分高そうな気がする。

シャトーラヤスは現当主エマニュエル レイノー率いるシャトーヌフデュパプ最高の生産者のうちの一人です。
フラッグシップのシャトーラヤス、そしてセカンドはピニャン。アペラシオンはシャトーヌフデュパプです。
わずか15hl/haという徹底した収量制限を行い、丁寧に栽培を行っています。
新樽は使用せず、10年来の旧樽を使用して熟成を行っています。他の醸造に関する文章は見つかりませんでしたが、個人的に恐らく除梗はしてないんじゃないかな、と思います。多分。

ではいってみましょう。


生産者: ヴィエイユ ジュリエンヌ
銘柄:シャトー ヌフ デュ パブ 2005

13000円、WA95pt
外観は濃いガーネット、粘性は高い。
ややインキーで香りは閉じている。トーストやスミレ、オリーブの風味が前面にある。そして強烈なアプリコットとプラムの濃厚な果実味を放っている。白マッシュルームや果皮の硬い風味。そしてスパイシーな燻製肉や黒胡椒。甘露な焼いた黒砂糖。グローヴ、リコリス、漢方などの風味も。
口に含んだ時の重みが違う。非常にどっしりとしておりドライフルーツや黒果実の果皮の様な風味が強く感じられる。タンニンはパワフルで収斂性が高い。


生産者:シャトー ラヤス
銘柄: シャトー ヌフ デュ パプ ピニャン 2007

約20000円、WA93pt
素晴らしい!果実味に溢れた粘性の高いドライリアプリコットを想起させるパワフルな果実味がある。
外観はやや茶を帯びた澄んだ淡いガーネット、粘性は高い。
瑞々しいブラックベリーやブルーベリーのジャムの様な果実味。僅かにスパイシーなパストラミハムや胡椒、グローヴ、リコリス、青い草などのハーブのニュアンス。このフレッシュハーブやスパイスの香りはとてもラヤスらしい。
徐々にシロップや蜜の強烈な甘さが現れてくる。スミレやトーストの香ばしい香りも。
酸は柔らかで非常に強固なタンニンがある。ボディは力強く、口に含むとドライアプリコットなどの干したフルーツの濃厚な果実味がドカンと押し寄せる。凄い濃密でブリブリのCNDP。


生産者: シャトー ラヤス
銘柄: シャトー ラヤス 1992
約55,000円、WA89pt
外観は濃いルビーで、粘性は高い。とても華やかな香り。
グルナッシュ100%でありながら濃密さやねっとりとした甘みは控えめに、青い草やフレッシュなハーブなどの自然の香り、芯の通ったミネラル感と果実味が感じられる。
液体に強い清涼感があり、タイムやリコリスなどの澄んだフレッシュハーブの香りや、草を潰した様な青っぽいニュアンスが強く感じられる。そして果実味も豊かでブラックベリーやブルーベリーのジャムの様な味わい。若干のスパイシーさも感じられる。
タンニン、酸味も未だ生き残っており、果実味はとても豊か。甘露な味わいが感じられるアフター。


いやー、やはりラヤスはすごいですね...半端ないです。
なんというかシャトーヌフにおいても本当に特異的な存在というか、全く、他の生産者とスタイルが違いますね。
他の生産者、特に近年評価の高い生産者のスタイルは古木の凝縮度、収量の極端な制限によるリッチで豊満な(ともすれば新世界のグルナッシュと同一方向の)果実味に満ちたスタイルなのですが、ラヤスはその点、少し違います。
果実味が高く密度が高い部分は、他と同じですが、圧倒的に複雑でエレガントなワインに仕上げられています。
特徴で言えば、ハーブやスパイス(シラー的な黒胡椒のニュアンスではありません)の香りが前に出ています。
具体的な製法は不明ですが、これと同じ特徴をデュジャックやフィリップパカレで感じた事があります。恐らく除梗に起因するものであろうと思います。
悪い言い方だと「青さがかなり目立つ」のですが、果実味に不足がある訳ではなく、むしろ密度で言うと他のワインと比べると高いと思います。故に青いニュアンスを複雑さを構成する一因として上手く昇華出来ているのではないかな、と。
果実味はジャムや果実の蜜を強く感じさせるもので、いわゆる黒糖やキャンディを想起させるものではありません。それに青草やハーブの要素が綺麗に乗ってくる事で、その特異な姿を形勢しています。ローヌとしてはかなり異端のCNDPだと思います。(流行のスタイルとも伝統的なスタイルとも異なると感じました。)果実を噛む様な豊かな質感、密度も感じられます。グルナッシュの別の可能性といったところでしょうか。
さて、シャトーラヤスとピニャンに関してはヴィンテージ的な差異が大きいので2本の間では何が違うのかは全くわかりませんでしたが、このスタイルの経年による変化という意味ではいくつか。
まずこのハーブやスパイスのニュアンスは殆ど落ち込みを見せませんし、姿も変わりません。ただ構成する果実味はフレッシュさを失い、熟成による更なる複雑さを獲得しています。
しかしながら、変化としてはブルゴーニュやボルドーほど顕著ではなく、1992年でも驚くくらい若々しさを保っていたのが印象的でした。
この2本を頂いて、もう、一気にファンになりましたね。もともと綺麗な全房発酵を感じさせるワインが好きなのですが、アンリボノーとラヤスはCNDPではもう別格ですね。素晴らしいです。
ヴィエイユジュリエンヌはラヤスと比べると典型的な流行を捉えたヌフスタイル。若干の硬さ...というか閉じてる状態だったのですが、これも開き始めると比類なきヌフである事が良く分かります。旨味もしっかりとあり高い評価なのも頷けます。果実の凝縮度も高く、素晴らしいCNDPだったと思います。
ただラヤスのインパクトと比べると、想像の域を出ない作りでしたので、今回のインパクトはやや薄い感じでしたね。もったいない。
とはいえ、こちらも優れたワインである事は間違いないので、価格も比較的良心的ですし、オススメと言えばオススメです。

やはりほぼ生産者による品質が確定してしまっているブルゴーニュやボルドーと比べると、まだまだローヌは面白いですね。


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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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