【ブルゴーニュ:14】ドメーヌローラン、ドミニクローラン同一生産者別ブランドの圧倒的差異を利く
こんにちわ。
本日はドミニクローラン、ドメーヌローランのエシェゾーです。
そもそもネゴス部分から先に評価されたドミニクローランですが、近年ドメーヌ部門を彼の息子と共に設立しています。通常ネゴスとドメーヌ、方向性としては同一の方向に行くのがベーシックな流れだと思いますが...これは...
ドミニクローランは元々お菓子職人で、本職を投げ捨てて1988年からワインの世界に入り始めました。
当初から非常に高品質のワインを作っていることで評価は高かったのですが、新樽に拘りすぎたが故にテロワールを尊重していない、ギイアッカの影響下にあった等と、まぁ賛否両論があります。しかしながら樽へのこだわりは相当なもので、自身で理想とする樽を作る為に板材の選定から生産まで行ない、しかもそれを他のドメーヌや外国に販売している。ネゴシアンなのでワイン自体は樽ごと他の生産者のものを買い付けるのですが、その購入条件は「古木から作られた葡萄を手積みした」生産者のもののみと徹底しています。更に自身の樽に詰め替える事で、このドミニクローラン節を作り出しています。
次に彼とその息子のジャンが指揮するドメーヌ ローラン ペール エ フィス。
この特級畑はエジュラン・ジャイエから譲り受けたものでエシェゾーは小区画アンオルヴォーの単一小区画(0.26ha)のワインとなります。2006年が初ヴィンテージ。
ドメーヌでは新樽比率を抑えたエレガントなワイン造りを行っています。栽培はビオディナミを用い、栽培した葡萄は除梗せず、アルコール発酵に回します。SO2は瓶詰め時にわずかに用いる程度、補糖なし等。より自然な造りを心がけているようです。
ちなみに新樽に拘らなくなった理由として、理想とする樽を自身で作り出す事に成功しているから、という話もあります。
さて、どうでしょうか。
生産者:ドミニク ローラン
銘柄: エシェゾー グランクリュ 2010

12000円、WA92-93pt(2008)
外観は圧倒的にドミニクが濃いルビー色をしている。粘性も高い。
非常にローステッドな香り。ともすればボルドーの様な炒ったカカオやコーヒー、バニラの様な濃厚な樽香。抽出も強い。
ブラックベリーやプラムの様な果実味が感じられる。シロップの様な甘露さも。
黒糖の様な凄まじい甘露さ。ナパバレーの過熟ピノを想起させる。薔薇の華やかさ、トリュフなどの土っぽさ、燻製肉、グローヴなど。いやしかし凄いローステッドだな...
酸もタンニンも際立っている。
パワフルなボディで口に含むと華やかな薔薇とブラックベリーの果皮のニュアンスが感じ取れる。アフターはとても長い。
生産者: ドメーヌローラン
銘柄: エシェゾー アン オルヴォー グランクリュ 2010

12000円
ドミニクと比べるとかなり淡いルビーだが、粘性は高い。
いかにも全房発行といった感じの香り。複雑でありながら瑞々しい。
瑞々しさが際立っており、甘露なアメリカンチェリーやクランベリー、ラズベリーの赤い果実の溌剌とした果実味が感じられる。徐々にキャンディの様な、ベリー類のほのかな甘さが現れてくる。
まるでデュジャックのグランクリュの様な瑞々しいジャムの様な風味が感じられる。薔薇や茎、若葉、タイムのやや青っぽいニュアンス。なめし革やクルミなど。
樽のニュアンスはあまり感じられない。
酸は溌剌としており、タンニンは落ち着いている。梅しばなどの甘酸っぱい果実の風味。非常に澄んだ心地よい味わい。
同一生産者が手を加え、ほぼ同じ畑を使っているのにも関わらず、全然違いますねー。ドミニクの濃厚さ、リッチさ。ドメーヌの繊細さ、エレガントさ。どっちも素晴らしく、どっちもとても美味い。
前提としてドミニクは樽ごと買っており、ドメーヌは栽培から醸造まで一貫して行っているという事を考えると、ドメーヌが本来やりたいスタイルなんだろうな、というのが良く分かります。
樽ごと購入し、後に自社樽に詰め替えて熟成しているドミニクローランのワインは濃厚です。感覚としては古木に起因するプラムやブラックベリーの甘露さ、そして新樽に由縁するコーヒーやバニラの濃厚な樽香が感じられます。(といっても最近は少なくなったそうですが...本当に?)
そもそものバルクワインを更に樽熟成させるという時点で既に新樽比率は高いか...(ソノマではなく)ナパヴァレーの超濃厚なピノノワールを想起させる作りですね。畑ごとにこのスタイルで飲み比べてみないと分かりませんが、はたしてこれはエシェゾーといえるのか...という感じはしますね。
対するドメーヌローランは真反対。
さながらデュジャックやDRCに代表される全房発酵のニュアンスが良く出た瑞々しいスタイルです。
黒系果実の風味と樽を強く感じられたネゴスに比べて、こちらは赤系果実の瑞々しい果実味と豊かな旨味、そしてタイムやクローヴやハーブ、スパイスなどの全房発酵に由縁する複雑さが強く感じられます。またしっかりとしたミネラル感もあります。
伸びやかな酸や華やかさの感じられる味わいはこれぞエシェゾーだなあと。
ドミニクローランの特濃スタイルに反発するかの様なテロワールを尊重した作りですね。
ドメーヌのビオや全房発酵といった製法を見る限りだと確かにこの味わいになってしかるべきだし、ネゴスの古木のバルクワインを購入して自社樽で熟成させるというスタイルによって濃厚な風味が出るのは納得ですね。
ちなみに私としてはどちらも好きです。値段も同じくらいなので好みによって決めればよろしいのかな、と思います。
本日はドミニクローラン、ドメーヌローランのエシェゾーです。
そもそもネゴス部分から先に評価されたドミニクローランですが、近年ドメーヌ部門を彼の息子と共に設立しています。通常ネゴスとドメーヌ、方向性としては同一の方向に行くのがベーシックな流れだと思いますが...これは...
ドミニクローランは元々お菓子職人で、本職を投げ捨てて1988年からワインの世界に入り始めました。
当初から非常に高品質のワインを作っていることで評価は高かったのですが、新樽に拘りすぎたが故にテロワールを尊重していない、ギイアッカの影響下にあった等と、まぁ賛否両論があります。しかしながら樽へのこだわりは相当なもので、自身で理想とする樽を作る為に板材の選定から生産まで行ない、しかもそれを他のドメーヌや外国に販売している。ネゴシアンなのでワイン自体は樽ごと他の生産者のものを買い付けるのですが、その購入条件は「古木から作られた葡萄を手積みした」生産者のもののみと徹底しています。更に自身の樽に詰め替える事で、このドミニクローラン節を作り出しています。
次に彼とその息子のジャンが指揮するドメーヌ ローラン ペール エ フィス。
この特級畑はエジュラン・ジャイエから譲り受けたものでエシェゾーは小区画アンオルヴォーの単一小区画(0.26ha)のワインとなります。2006年が初ヴィンテージ。
ドメーヌでは新樽比率を抑えたエレガントなワイン造りを行っています。栽培はビオディナミを用い、栽培した葡萄は除梗せず、アルコール発酵に回します。SO2は瓶詰め時にわずかに用いる程度、補糖なし等。より自然な造りを心がけているようです。
ちなみに新樽に拘らなくなった理由として、理想とする樽を自身で作り出す事に成功しているから、という話もあります。
さて、どうでしょうか。
生産者:ドミニク ローラン
銘柄: エシェゾー グランクリュ 2010

12000円、WA92-93pt(2008)
外観は圧倒的にドミニクが濃いルビー色をしている。粘性も高い。
非常にローステッドな香り。ともすればボルドーの様な炒ったカカオやコーヒー、バニラの様な濃厚な樽香。抽出も強い。
ブラックベリーやプラムの様な果実味が感じられる。シロップの様な甘露さも。
黒糖の様な凄まじい甘露さ。ナパバレーの過熟ピノを想起させる。薔薇の華やかさ、トリュフなどの土っぽさ、燻製肉、グローヴなど。いやしかし凄いローステッドだな...
酸もタンニンも際立っている。
パワフルなボディで口に含むと華やかな薔薇とブラックベリーの果皮のニュアンスが感じ取れる。アフターはとても長い。
生産者: ドメーヌローラン
銘柄: エシェゾー アン オルヴォー グランクリュ 2010

12000円
ドミニクと比べるとかなり淡いルビーだが、粘性は高い。
いかにも全房発行といった感じの香り。複雑でありながら瑞々しい。
瑞々しさが際立っており、甘露なアメリカンチェリーやクランベリー、ラズベリーの赤い果実の溌剌とした果実味が感じられる。徐々にキャンディの様な、ベリー類のほのかな甘さが現れてくる。
まるでデュジャックのグランクリュの様な瑞々しいジャムの様な風味が感じられる。薔薇や茎、若葉、タイムのやや青っぽいニュアンス。なめし革やクルミなど。
樽のニュアンスはあまり感じられない。
酸は溌剌としており、タンニンは落ち着いている。梅しばなどの甘酸っぱい果実の風味。非常に澄んだ心地よい味わい。
同一生産者が手を加え、ほぼ同じ畑を使っているのにも関わらず、全然違いますねー。ドミニクの濃厚さ、リッチさ。ドメーヌの繊細さ、エレガントさ。どっちも素晴らしく、どっちもとても美味い。
前提としてドミニクは樽ごと買っており、ドメーヌは栽培から醸造まで一貫して行っているという事を考えると、ドメーヌが本来やりたいスタイルなんだろうな、というのが良く分かります。
樽ごと購入し、後に自社樽に詰め替えて熟成しているドミニクローランのワインは濃厚です。感覚としては古木に起因するプラムやブラックベリーの甘露さ、そして新樽に由縁するコーヒーやバニラの濃厚な樽香が感じられます。(といっても最近は少なくなったそうですが...本当に?)
そもそものバルクワインを更に樽熟成させるという時点で既に新樽比率は高いか...(ソノマではなく)ナパヴァレーの超濃厚なピノノワールを想起させる作りですね。畑ごとにこのスタイルで飲み比べてみないと分かりませんが、はたしてこれはエシェゾーといえるのか...という感じはしますね。
対するドメーヌローランは真反対。
さながらデュジャックやDRCに代表される全房発酵のニュアンスが良く出た瑞々しいスタイルです。
黒系果実の風味と樽を強く感じられたネゴスに比べて、こちらは赤系果実の瑞々しい果実味と豊かな旨味、そしてタイムやクローヴやハーブ、スパイスなどの全房発酵に由縁する複雑さが強く感じられます。またしっかりとしたミネラル感もあります。
伸びやかな酸や華やかさの感じられる味わいはこれぞエシェゾーだなあと。
ドミニクローランの特濃スタイルに反発するかの様なテロワールを尊重した作りですね。
ドメーヌのビオや全房発酵といった製法を見る限りだと確かにこの味わいになってしかるべきだし、ネゴスの古木のバルクワインを購入して自社樽で熟成させるというスタイルによって濃厚な風味が出るのは納得ですね。
ちなみに私としてはどちらも好きです。値段も同じくらいなので好みによって決めればよろしいのかな、と思います。
![]() [2009] ドミニク ローラン エシェゾー V.V 750ML |
![]() エシェゾー・グラン・クリュ・特級・ヴィエイユ・ヴィーニュ“アン・オルヴォー”[2009]年・蔵... |
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