【イタリア:1】最高峰のスーパータスカン2種とアマローネを利く

こんにちは。
本日もイタリアで。
昨日まではピエモンテのバローロとバルバレスコでしたが、今日はスーパータスカンとアマローネです。
何を隠そうこのわたくし、スーパータスカンはあまり飲んでいません。
オルネライアやサッシカイア、ソライアの有名どころは一通り飲みましたが、それより小さい小規模生産者のものや新進気鋭の生産者はほぼ素人です。
と言うのも、結局「既に値段も高くて、国際品種なら他の所飲めばいいーじゃん」となってしまうわけです。
きっとテロワールによって微妙な差異はあれど、国際品種向けの砂利質や粘土質の土壌、海洋性気候が整っていて日照が良ければ結局ボルドーやカリフォルニアでいいんじゃねえの?と。そりゃ美味いですけど、特に3万、4万クラスともなれば、イタリア以外の選択肢もあるよね...?
そんな感じでスーパータスカンには若干引き気味で接してきました。

今回はジャストスーパータスカン。
さて、「替えがいくらでもある」スーパータスカンの印象は変わるかな。

レ マッキオーレはボルゲリに1983年に設立された国際品種の評価の高い生産者。所謂スーパータスカン。ボルゲリのテロワールを表現したモノセパージュワイン、カベルネフラン100%のパレオロッソ、メルロー100%のメッソリオ、シラー100%のスクリオを生産しています。
生産はビオロジックを採用し、植樹密度を上げる事で本当たりの収量制限を行っています。収穫した葡萄は100%除梗されセメントタンクでアルコール発酵を行っています。30%新樽、70%1年樽を使用し20ヶ月のMLFを行いながら樽熟成、瓶詰めされた後18ヶ月の熟成を経て出荷されます。

テヌータ ディ オルネライアはスーパータスカンの中心的生産者。カリフォルニアで経験を積んだロドヴィコ アンティノリ氏によって、1981年ボルゲリに設立されたワイナリーです。ポートフォリオはオルネライア、そして旗艦銘柄であり、わずか7haの畑から作られるメルロー単一品種のマセット。
オルネライア同様、選定を行いながら手摘みした葡萄を再度選果し、除梗した後、温度管理機能付きのステンレスタンク、木製発酵槽で高めの温度でアルコール発酵。約ひと月のキュヴェゾンの後、100%新樽で20ヶ月間熟成される。12ヶ月目にブレンドされ、残り8ヶ月間はさらに熟成。16ヶ月間の瓶熟成後出荷されます。

ジュゼッペ クインタレッリは1924年にヴァルボリチェッラ地区に設立された老舗ドメーヌ。アマローネ最高の生産者のひとり。フラッグシップはこのアマローネクラシコとレチョート。
収穫はすべて手摘みで行われ、竹で作られた棚の裏で半乾燥させた葡萄を、約2ヶ月アルコール発酵させ、スロヴェニアオーク大樽で7年間の熟成後リリース。高いアルコールとエキス分の濃さ、このアマローネは良年にしか造られず、90年代には5ヴィンテージのみ造られています。

ではいってみましょう。


生産者: レ マッキオーレ
銘柄: パレオ ロッソ 2009
品種: カベルネフラン100%

9000円、WA93pt(2008)
外観は赤みの強いガーネット、粘性は高い。
全体的に甘い樽香と果実味が漲る。
またタバコのスモーキーさや、タイムの風味と共に、ミルクやワッフル、甘い糖蜜の香り。
そしてブラックベリー、カシスの蜜の様な自然かつ甘露な果実味。そしてミント、燻製、枯葉、シナモン、炭焼き、グローヴなどの風味も感じられる。
カベルネフランの割にはシシトウやピーマンの様な青っぽい風味や力強い酸があまり感じられないのか特徴で、シャトーフィジャックの様なエレガンスが感じ取れる。
柔らかでじわっとした酸、タンニンも穏やかで非常に全体の風味が柔らかく感じられる。極めてエレガントかつ果実味に満ち溢れた素晴らしいカベルネフラン。


生産者: テヌータ ディ オルネライア
銘柄: マセット 2009
品種: メルロー100%

35000円、WA96pt(2008)
外観は黒く濃いガーネット。
濃厚て豊満なブラックベリー、ドライプルーン、カシスの果実味。
ポムロールを連想させる濃厚なメルローの風味。素晴らしい。
非常に甘露な糖蜜のニュアンスが前に出ている。
僅かにスモーキーで、ビターなカカオ、枯葉、西洋杉。そしてピーマンや毛皮。ミルクなど。
グローヴのニュアンスが感じ取れる。
先述の通り非常にポムロール的だが、酸味はかなり強めに感じられる。またタンニンも強く収斂製が高い。ただ飲みにくさは感じられず、キャッチーなブラックベリーとミルクの甘い余韻が楽しめる。レディガフィの様なイタリアの産む突出したメルローだと思う。


生産者: ジュゼッペ クインタレッリ
銘柄: アマローネ デッラ ヴァリボリチェッラ 2003
品種:コルヴィーナ&コルヴィオーネ55%、ロンディネッラ30%、カベルネ&ネッビオーロ&クロアティーナ&サンジョヴェーゼ15%

約30000円、WA96pt(2000)
外観は中庸なガーネットで粘性は高い。香りは華やかでどこかネッビオーロを想起させる味わい。
極めてスパイシーで白胡椒やハーブ、コリアンダーなどの強い個性が感じられる。また溶剤、スミレ、葉巻、樽に由縁する糖蜜やバニラの様な風味が徐々に現れる。ドライプルーン、ブラックベリー、ドライトマトの果実味。グローヴ、タイム、シシトウのニュアンスも。
16%というアルコール度数に裏付けられたボディは極めて強固。タンニン、酸はかなり強めで、スパイシーな後味と青さの余韻が残る。濃厚かつ重厚、それでいてスパイシー。不思議な要素の一体感を持つアマローネ。


正直文頭の印象はあまり変わりませんでした。イタリアである必要はないかな...という印象。
しかしメチャクチャ美味い。マセットも美味しかったけど、パレオロッソがメチャクチャ美味い。
共に凄まじく良く出来たスーパータスカンで、マセットはポムロールのシンデレラワインを想起させるし、パレオロッソはサンテミリオンのシャトーフィジャックの様な複雑さやキャッチーさがありますね。とてもいいと思います。
まずパレオロッソの特筆すべきポイントは何よりもカベルネフラン100%。
有名なカベルネフランのモノセパージュはシュヴァルブランですが、受ける印象はむしろフィジャックの様にキャッチーな味わい。シシトウやピーマンなどの品種特性のマイナス要素は限りなく排除されています。(※これは葡萄の成熟度に由縁するものでしょうか。青い印象は受けませんでした。)
やや際立った樽香と、極めて瑞々しく甘露な黒系果実の果実味。青い風味は排除して複雑さや華やかなさなどのエレガントな風味だけを抽出している感じですかね。酸やタンニンの質感も滑らかで香りや風味と口当たりも合致しています。本当に完成度の高いワインです。
マセットはまさにポムロールのシンデレラワイン。黒系果実のリッチでダイナミックな果実味。糖蜜の様な甘露さ。そして燻した様なスモーキーさ。タンニンも例に漏れずとても強固でパワフル。ただ一点ポムロールと異なるのは、なんといってもこの突出した酸味。全体的にはボルドースタイルではあるものの、この酸味の強さはさながらシラーを想起させますね。その分とてもボディが強い様に感じました。
ちなみにボルゲリのテロワールは海が近く、河川から運ばれた砂利質土壌で構成されるボルドー的な要素と、寒暖の差が穏やか(ボルゲリは10-20度、ボルドーは6度から20度で降雨は頻繁)で夏に乾燥する地中海性気候などの新世界的な要素が見られます。日照条件も良く、確かに国際品種向けの良い土壌ですし、それらの側面を持っていると思いました。なるほど、それがスーパータスカンの個性なんですかね。
そして最後はアマローネ。
いや、濃くて凄い粘度、ちょっと喉が乾くくらいボディが強い。
その割には香りは比較的爽やかでスパイス、干草の香りが感じられます。ドライトマトやドライプルーンなどの干した果実の甘露さもしっかりある。
アルコール度数16%ってことで、殆ど残糖は無いんだろうな、と思いましたが、結構風味に甘みは残っています。
強いボディに見合うだけの果実味を有しながら、とても複雑な風味を放っています。
以前飲んだプラのアマローネはどちらかと言えば甘露さが先行していたと思います。複雑さはジュゼッペの方が上ですね。ただボディは同じくらい強かったです。
ちなみに余談ですがアマローネの意味は「苦味」。甘露なのに苦味とはこれいかに。

特にスーパータスカンは想定の範囲に収まる作りでしたが、偉大で素晴らしいワインでした。でも、やっぱりイタリアの国際品種は値段見合いでグランヴァンよりもデイリーの方がいいなあ、というのが正直な感想かも。
ネッビオーロやサンジョベーゼは面白いと思うんですけどね。




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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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