【ブルゴーニュ:26】エマニュエルルジェ、村名NSG 2007-2010までをバーチカルで。

こんにちは。
今日はルジェの村名ニュイ サン ジョルジュを2007年から2010年までを垂直でレポートします。
ルジェの年ごとのスタイルとは何か。共通するものとは何か。ルジェはヴィンテージに勝てるのか。
それらを追って行きたいと思います。

エマニュエル ルジェはヴォーヌロマネに拠点を置くスター生産者で最もアンリジャイエに近い生産者と言えるでしょう。ルーミエやフーリエの様に争奪戦が起こる訳ではないものの、ヴォーヌロマネ最上の生産者である事は間違いないでしょう。
ヴァンダンジュヴェールトによる収量制限、除梗は100%、コンクリートタンクでのマセラシオンには自然酵母の使用し、約1週間の低温浸漬。新樽比率は1級以上は100%で村名は50%、 無濾過、無清澄で瓶詰めされる。※栽培は完全なビオや有機農法では無いようです。
クラシックな造りですが、彼の手から作り出されるワインはエシェゾーは勿論サヴィニー レ ボーヌまで息をのむ程に素晴らしい。
フラッグシップは一級レ ボーモン、特級エシェゾー。そしてアンリジャイエから引き継いだ一級 クロ パラントゥ。

さていってみましょう。


生産者: エマニュエル ルジェ
銘柄: ニュイ サン ジョルジュ 2007

10000円。
外観は赤みの強いルビー、粘性は中庸。
ロースト香が強すぎる。線香や五香粉などの強い樽の香りが感じられる。控えめながら紫スモモ、ダークチェリーの果実味が感じられる。全体的に樽が効きすぎて全貌は分かりにくいが、根本のボディが他のヴィンテージと比べると弱めに感じる。
タンニンと酸味は充実しているが、この中ではやや弱めの体躯で旨味の出方も不十分。口の中に樽と果実の香りが広がる。作りは流石にしっかりとしている。


生産者: エマニュエル ルジェ
銘柄: ニュイ サン ジョルジュ 2008

10000円、WA89-90pt
外観は赤みの強いルビー、粘性は中庸。やや熟成感を感じる香り。
瑞々しいダークチェリーやブルーベリーの果実味。やや生肉や燻製肉、鉛筆の針、ムスクなどの野生的な熟成香も感じられる。タイム、ドライハーブ、濡れた木材、土などの風味なども。
酸味と旨味が凄く均等が取れている。梅しばの様なジワッとくる味わい。
酸味とタンニンは豊かで口当たり自体は非常に突出したものがある。


生産者: エマニュエル ルジェ
銘柄: ニュイ サン ジョルジュ 2009

14000円、WA89-91pt
外観は赤みの強いルビー、粘性は中庸。
2010年と比べるとやや丸みを帯びている。よりダークチェリーやプルーンなどの果実味がしっかりと感じられる。全体的に非常に柔らかくミルクティーの甘露な風味も感じ取れる。(MLF起因?)豊満で柔らかい印象を受ける。
樽の五香粉、オリエンタルスパイス。薔薇、スミレ、シナモンの風味、ハーブ、なめし革、溶剤など。
酸味、タンニンは豊かで、旨味と甘み、酸味のバランスはよい。
ジワリとくる旨味。余韻は非常に長い。


生産者: エマニュエル ルジェ
銘柄: ニュイ サン ジョルジュ 2010

15000円
外観は赤みの強いルビー、粘性は中庸。
非常に華やかで五香粉やオリエンタルスパイス、薔薇の様な香り。抽出が強めに感じる。併せてブラックベリーやプラムの甘い黒系果実の風味が感じられる。ベリーの酸味成分が強い。オレンジの様な柑橘の香りが感じられる。薔薇、スミレ、木材、ドライハーブ、なめし革、燻製肉、ミルクティー、焼いたゴムなど。
酸味、旨味が非常に強い。染み入る様な太い味わいがある。豊かなベリー、樽のバランスがいい。


各々の年によって大枠は同じですが、大分個性が異なりますね。ヴィンテージの差がかなり反映していると感じました。
その中で共通している事もあります。口に含んだ時に広がる圧倒的な旨味。どのヴィンテージでも基本的に強烈な旨味を放っています。そして酸味、タンニンとのバランスがとても良い。
特に2008年の渾然一体となった旨味と酸味は流石ですね。こと口当たりに関してはとても凝縮しているし、密度も申し分の無い絶妙なバランスの味わいだったと思います。
ただし、その一方で経年に対して香りから感じ取れる熟成感がかなり強く、体躯として2009年、2010年と比べてかなり劣っていると感じました。そういう意味合いでは完璧な口当たりと熟成した香りがややアンバランスだと思います。
別格だったのは2009年と2010年。これは完全にレベルが異なります。
まず香りの豊満さ。
方向性としては極めて近く非常に甘露です。その中で2009年はマロラクティック発酵によるミルクティーの風味や丸みが、2010年は強い樽のロースト香と澄んだ硬い風味が特徴的でした。樽香に関しては単純に経年の違いもあると思いますが、総じて果実味の豊かさが際立っています。旨味の広がり方や酸味のバランス、余韻の長さも申し分の無い突出した味わい。
熟成によって更に調和の取れた味わいになるのでは無いかと思います。熟成ポテンシャルもとても高いです。村名とは思えないですね。
この中で異端なのは2007年。
基本的に2008年で既に熟成香が出ていたのですから、更に熟成香が主体となる事が想像されましたが、実際は強烈な樽香が主張しておりました。それこそ熟成香や果実味を覆い隠す程の樽香ですね。
一見極めてヴァンドガルドに見えますが、その実全体の果実味やボディは2008年と同程度でしたので、このまま樽香が純減していったとしても、最後まで樽のニュアンスは残って行くのかな、と思います。ちょっとバランスが悪いですね。旨味や酸味の出方も他のヴィンテージと比べると穏やかです。ここも2008年が経年熟成するとこんな感じになるのかなあ、と思いました。ただ一般的な生産者のそれと比較すると十分に卓抜した村名だと思います。
結論、個性や品質に差はあれど、やはり村名のクラスは優に超えていると思います。
さすがエマニュエル ルジェ。
エシェゾーはすべての面で上回っている事は確認出来ていますが、村名ですらこのクオリティというのは本当に恐ろしい事です。
値段も一級クラスですけどね。

個人的には2010年がオススメです。ブルゴーニュらしさがありつつ豊かな果実味があり、そして熟成ポテンシャルも高いので。




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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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