【ブルゴーニュ:31】ドメーヌ フーリエ、2011年ポートフォリオを利く


こんにちは。
先日からボチボチレビューをあげていますが、本日は2011年のフーリエ一挙6本レポートします。
対象はACブルゴーニュ赤白、村名ジュヴレシャンベルタン、一級シェルボード、一級コンブ オー モワンヌ、一級クロ サン ジャック。
特級グリオットシャンベルタン、一級グリュアンシェや一級シャンポーはありませんが、おおまかな方向性は見て取ることが出来たのではないかなと思います。

フーリエはブルゴーニュでジュヴレシャンベルタンに拠点を置く生産者で、非常に手に入りにくいドメーヌのひとつです。価格は高騰しているとはいえ品質を考慮するとまだ良心的な生産者とも言えます。
フラッグシップのクロ サン ジャック、そして特級グリオットシャンベルタンは毎年争奪戦。
栽培はリュットレゾネ。なるべく自然に近い状態で栽培を行っている。葡萄に負担をかける摘房はせず、摘芽で収量制限をおこなっている。樹齢はいずれも高く、樹齢100年のクロサンジャック、樹齢85年のコンブオーモワンヌ、樹齢74年のグリオットシャンベルタンを保有しています。
厳重に選果された葡萄は100%除梗し、半分が破砕される。低温浸漬は自然な温度によって行われ、その後アルコール発酵。空圧式のプレス機て圧搾の後、この手の生産者では珍しい最大20%という低い新樽比率で18ヶ月熟成。そして無濾過、無清張で瓶詰めされます。
抽出は...本人曰くし過ぎていないとのことですが、やや強めにも感じます。

さて、ではいってみましょう!



生産者: ドメーヌ フーリエ
銘柄: ブルゴーニュ ブラン 2011

約5000円。
外観は僅かに濁りのある淡いストローイエロー、粘性は低い。
去年同様とても良くできたブルゴーニュブラン。スタイルとしてはシャサーニュモンラッシェのシャルドネを想起させる。
しっかりとしたミネラル感とフレッシュなライチや洋梨の果実味、バターや白い花、フレッシュハーブ、リコリス、シナモンなど。
酸は穏やかでフレッシュ。ただニューワールド的なボリューミーな感じでもないし、過剰にシャープなわけでもない。マロラクティック発酵を経た順当なブルゴーニュシャルドネだと感じた。


生産者: ドメーヌ フーリエ
銘柄: ブルゴーニュ ルージュ 2011

5000円。
外観は濃いめのルビー、粘性は中庸。
香りからして既にブルゴーニュルージュの域を超えている。複雑で官能的な香り。
ワッフルやシナモン、リコリスなどのスパイスや軽い樽香。そして強烈なチェリーリキュールやブラックベリーの豊かな果実味が渾然一体となって立ち上がる。果皮由来の薔薇やスミレ、タバコやマッシュルーム、なめし革。
ややタンニンと酸味が強く、旨味の出方もクラス以上のものを感じされる。熟成にも耐えうるキュヴェだろう。やはり一級以上の濃密度と比較するとやや劣るものの、十分にフーリエの素晴らしさは体感できるワインだと思う。


生産者: ドメーヌ フーリエ
銘柄: ジュヴレ シャンベルタン 2011

約10000円、WA92pt(2009)
外観は濃いルビーで、粘性は中庸。
果実味主体、酸味を伴うダークチェリー、ラズベリーの豊かな果実味。スミレや茎、グローヴ、タイムの青い風味。鉄や燻製肉、コーヒー、焦げたゴムなどのほのかな樽の香り。華やかだがやや青い風味を伴う。
ブルゴーニュルージュとはやはり異なっていて、酸味、タンニンともにバランスが取れている。ボリューム感も地域名に比べるとしっかりとある。口の中でスミレやロースト香、ベリーの香りが広がる。ややドライ。


生産者: ドメーヌ フーリエ
銘柄: ジュヴレ シャンベルタン プルミエクリュ シェルボード 2011

約13000円、WA92pt(2009)
外観は澄んだ濃いルビー、粘性は高い。村名と比較すると、よりクリアで硬質な作りだが、一級群の中ではも最も柔らかい。
果皮ごと漬け込んだダークチェリーリキュール、なめし革や鉄の硬い風味。瑞々しい花の蜜や砂糖の入ったミルクティー、バニラの様な香り。口に含むとスミレやタイムやグローヴの青い風味が感じられる。香水の様な香り。藁の様なロースト香がほのかに感じられる。
滑らかだが、際立った酸味。柔らかいタンニン。蜜のほのかな甘みと旨味と酸味が規模は小さいながらもしっかりとまとまっている。


生産者: ドメーヌ フーリエ
銘柄: ジュヴレ シャンベルタン プルミエクリュ コンブ オー モワンヌ 2011

約16000円、WA93pt(2009)
外観は澄んだ濃いルビー、粘性は高い。ジュヴレシャンベルタンらしい強いミネラル感とロースト香がある。シェルボードと比べてより果皮の濃いダークチェリー、ブルーベリーの風味が強く出ている。シェルボードより硬質でなめし革や鉄の香りが強く出ている。紅茶やトリュフ、わずかにミルクコーヒーのロースト香が感じられる。(ロースト香は強め)花の蜜の香りも感じられるがシェルボードに対してやや控えめ。
シェルボードと比較するとより酸味と旨味が強く感じられる。タンニンは同程度。酸味が旨味となって口の中に広がる。ミルクやタイム、ダークチェリーの風味が強く感じられる。より凝縮した旨味が感じられる。


生産者: ドメーヌ フーリエ
銘柄: ジュヴレ シャンベルタン プルミエクリュ クロ サン ジャック 2011

約24000円、WA96pt(2009)
外観は澄んだ濃いルビー、粘性は高い。
明らかに香りの集中力、凝縮度が高い。(抽出も強く感じる)
コンブ オー モワンヌ、シェルボードを超えるミネラル感、果皮の強い香り。
漬け込んだダークチェリーのリキュール、ブラックベリー。最も強烈なミネラル感、鉄分やなめし革、トマトの風味が感じられる。最も閉じこもっている時間が長かったが、一時間程度で開き始めた。ミルクティーや糖蜜の広がりのある香り(二つの1級よりは開いていない)や強烈なスミレや薔薇の香り、タイム、土っぽさ、樹皮やグローヴ、炭焼きの様な(ややキャッチーでない)ロースト香。
コンブオーモワンヌをも超える厚みのある酸味と旨味が感じられる。タンニンもやや強めか。
よりハーブやタイムなどの青い香りやダークチェリーの風味、ミネラル感が感じられる。
いつまでも口の中にとどまる様な余韻の長さと奥行きの深さが感じられる。



さて、それぞれ比較していこうと思いますが、まぁ白はいいですね。前回やりましたので。今回は赤に焦点を絞って書いていこうと思います。
まずはACブル。
他のACブルゴーニュと比較してタンニン、酸味は強いが、かなり早い段階で開いてくる。
構成要素は村名ほど複雑ではないが、香りの豊かさは村名と同等程度。こじんまりとしているが良くまとまっている。
村名ジュヴレシャンベルタン。
ACブルより遥かに硬く、酸味を伴うドライな風味。村名だけにジュヴレシャンベルタンらしさがしっかりと表現されている。タンニンは比較的柔らかいが、酸はやや厳しめ。
より華やかで骨格のしっかりしたワイン。一級シェルボードやACブルほどではないものの、比較的早めに開いてくれる。そして開いた時のボリューム感はACブルを遥かに凌駕する。
一級シェルボード。
ひょっとしたら村名より開きやすいかもしれない。村名ジュヴレシャンベルタンを超えるクリアさと硬質さを持つが、すぐに膨大な甘露さとボリューム感が現れてくる。
タンニンは柔らかいが、酸はさらに村名より際立っている。村名より引き締まった体躯でありながら、比較的早い段階で開き甘露な姿を見せてくれる近付きやすい一級畑。
一級コンブ オー モワンヌ。
村名で感じられた硬質さは、強固なミネラルを伴い、より引き締まった濃縮感のある液体となっている。
故にシェルボードとは比較にならない程酸と旨味が全面に出ており(タンニンは同程度)、開くのには相当な時間(グラスで40分程度)を要した。ただ開いた状態で花の蜜程度なのだから、本来はもっと時間のかかるものなのか。
鉄やなめし革、果皮の冷たく華やかな成分が前に出ており、かなりジュヴレシャンベルタン的な造りだと感じた。
一級クロ サン ジャック。
方向性としてはコンブ オー モワンヌの流れを汲むスタイル。ただ際立って硬いコンブ オー モワンヌをも超えるミネラル、酸味、タンニンの含有量。その分液体から感じられる凝縮度、集中力は抜群に素晴らしい。
開く姿はほぼ全く見せず、サーヴ時からの時間変化はほぼ無し。延々と冷たい華やかさや鉄分、なめし革のニュアンスが立ち上がる。一瞬だけミルクティーや糖蜜も感じられたが、すぐに閉じてしまう。
コンブオーモワンヌと比較すると構成する要素はより複雑で、口に含んだ時の酸味と旨味が生み出す余韻と奥行きは最上級クラス。

まとめると以下の通り。

■香りが開き始めるまでの時間
(早い)地域名<シェルボード<村名<<<コンブ オー モワンヌ<<<<クロ サン ジャック(遅い)

■硬質さ・ミネラル
(柔らかい)地域名<<<村名<<シェルボード<<<<コンブ オー モワンヌ<<クロ サン ジャック(硬い)

■酸
(穏やか)地域名<<<村名<シェルボード<<コンブ オー モワンヌ<<クロ サン ジャック(シャープ)

■タンニン
(穏やか)地域名<<<村名=シェルボード=コンブ オー モワンヌ<<<<クロ サン ジャック(厳しい)

■旨味
(穏やか)地域名<村名<<<シェルボード<コンブ オー モワンヌ<<<クロ サン ジャック(豊か)

■甘露さ
(ドライ)クロ サン ジャック<<<<コンブ オーモワンヌ<<地域名<<<村名<<シェルボード(甘露)

■香りの複雑さ
(シンプル)地域名<<<<村名<シェルボード<<コンブ オー モワンヌ<<クロ サン ジャック(複雑さ)

とりあえず群を抜いてクロ サン ジャックが硬く強固である事はよくわかります。
1級内では微細な違いがあってコンブ オー モワンヌはクロ サン ジャックと同等の方向性を持っていて、シェルボードはちょっと違うタイプですね。取りつく島も無く硬い2つの1級畑と村名と比較して、かなりキャッチーに仕上げられている感じがしますね。
コート サン ジャックに位置するコンブ オー モワンヌとクロ サン ジャック、マジシャンベルタン下部にあるシェルボード。

クロ サン ジャックは立地としてはラヴォー サン ジャックやカズティエとほぼ同条件なんですが、土壌が上部・中部・下部で異なり、複雑な構成となっています。また斜面の急勾配は効率的な日照を実現し、ラヴォー渓谷から吹き付ける風を石垣が防ぎ、その熱を保持します。コンブオーモワンヌはラヴォー丘陵、カズティエの隣に位置する畑でクロ サン ジャック、ラヴォー サン ジャック、カズティエに比べて真東に向いています。背斜面からの風も受けにくい場所。白色泥炭土、鉄分の多い土壌で構成されています。シェルボードはシャペルシャンベルタンに隣接する一級畑でこちらも風の影響は受けにくい立地で、標高は低めに位置している。

土壌を考慮に入れると、シェルボードが柔らかく開きやすいというのは納得だとして、クロ サン ジャックとコンブ オー モワンヌが問題ですね。
クロ サン ジャックは葡萄が熟しやすい好条件がそろっており、コンブ オー モワンヌも風の影響を受けにくい所にあるので、果実味豊かな味わいが全面に感じられるのではないかと思うのですが、今まで飲んだクロ サン ジャックを考慮するとそうはならないようです。重厚でソリッドで複雑なワインがおおむね多い様な気がします。コンブ オー モワンヌもそうですね。
これらの畑は確かに果実味は豊かなのですが、どこかしら冷たさや硬質さを感じさせるワインが多い様な気がします。今回(2011年)のフーリエを飲んで果実味よりも硬質さをコンブ オー モワンヌとクロ サン ジャックから感じ取れたのは...やはりヴィンテージなのかなぁ、という気がしています。
というのも去年のフーリエはシェルボードはむしろ青さがあって、対してコンブ オー モワンヌとクロ サン ジャックはかなり甘露さが前に出ていたからで、それを考えると、ここまでコンブ オー モワンヌとクロ サン ジャックが硬いのは今ひとつ想像つきにくいな、と。
2010VTは2012年10月に飲んだので、今年はやや早め(8月)に飲んでいる事を考えると、そこも影響しているのかな?まぁ、あまり細かく考えてもキリが無いっちゃ無いのですが。

例年と比べると、フーリエのジュヴレシャンベルタンとしてはやや酸が目立った年なのかな、とは思います。
ミネラルも非常に良く出ていて甘露さ自体は2010年に劣るものの、冷涼で硬質なボディを持つジュヴレシャンベルタンらしいワインが出来ているのではないでしょうか。
個人的には割と好きな感じです。





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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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