【ブルゴーニュ:32】J.M. フーリエ、2011年ポートフォリオを利く

こんにちは。
本日は前回に続きフーリエ特集です。
前回は本家本元ドメーヌものでしたが、今回は2011年ヴィンテージよりリリース(つまり今年からリリース)されたネゴシアンを中心にテイスティングしました。ほら、ちゃんとボトルの右下に「ジャン マリー フーリエ」と書いてあるでしょう?うわーわかりずれー。

フーリエはブルゴーニュでジュヴレシャンベルタンに拠点を置く生産者で、非常に手に入りにくいドメーヌのひとつです。価格は高騰しているとはいえ品質を考慮するとまだ良心的な生産者とも言えます。
栽培はリュットレゾネ。なるべく自然に近い状態で栽培を行っている。葡萄に負担をかける摘房はせず、摘芽で収量制限をおこなっている。樹齢はいずれも高く、樹齢100年のクロサンジャック、樹齢85年のコンブオーモワンヌ、樹齢74年のグリオットシャンベルタンを保有しています。厳重に選果された葡萄は100%除梗し、半分が破砕される。低温浸漬は自然な温度によって行われ、その後アルコール発酵。空圧式のプレス機て圧搾の後、この手の生産者では珍しい最大20%という低い新樽比率で18ヶ月熟成。そして無濾過、無清張で瓶詰めされます。
...というのはドメーヌの話。今回はネゴシアンボトル。醸造は同じかも知れませんが、葡萄は買い葡萄を使用しています。

さて、ネゴシアンボトルでもフーリエはフーリエたりうるのか。
ネゴシアンもののエシェゾー、グロ ヴージョ、シャンボールミュジニー1級ゼシャンジュに、ドメーヌフーリエのシャンボールミュジニー1級グリュアンシェを織り交ぜて比較していきたいと思います。


生産者: ドメーヌ フーリエ
銘柄: シャンボール ミュジニー プルミエクリュ レ グリュアンシェ 2011

約14000円。
外観は比較的濃いルビー、粘性は高い。
ゼシャンジュ同様やや青さがあるものの、ネゴスと比べるとより瑞々しく澄んだ風味が感じられる。赤いラズベリーやブルーベリーの瑞々しい果実味、花の蜜の様な甘露さ、強烈なスミレの香り、石を砕いたミネラル、オレンジピールやドライハーブ、なめし革、茎やグローヴの風味。軽く樹皮の香りが感じられる。
ネゴスっぽいスパイシーさはやや抑え気味か。
タンニン、酸味はネゴスに比べると柔らかめ。硬いが綺麗な質感で、口の中で赤いベリーの香りが広がる。旨味はさほど強くは感じられない。


生産者: ジャン マリー フーリエ
銘柄: シャンボール ミュジニー プルミエクリュ オー ゼシャンジュ 2011

約16000円。
外観は比較的濃いルビー、粘性は高い。
こちらも甘露だが、凝縮しており硬い造りのワイン。ミネラル感が感じられる。
ドライハーブ、井草やタイム、やや青いスパイシーさが、全面に出ている。時に甘露さが現れるが、炒ったクルミの様な甘さが感じられる。
やや未熟なダークチェリーやオリーブの様な果実味がある。
こちらも強烈なスミレっぽさかあり、ローズマリーと生肉、樹皮、コリアンダーなど、全体的に青い風味が強く感じられる作りだった。
タンニンと酸味がやや強く感じられる。収斂性はやや高め。口の中で花の香りが膨らんでいく。質感はグランクリュには劣る。


生産者: ジャン マリー フーリエ
銘柄: クロ ヴージョ グランクリュ 2011

約28000円。
外観は比較的濃いルビー、粘性は高い。
こちらも甘やかだが、エシェゾー以上に引き締まっており硬質。強烈な甘やかさは無い。
基本的には果皮の香りが強く瑞々しいダークチェリーやブルーベリー(シロップに漬けた様な)のニュアンスが感じられる。明確で強いスミレのニュアンスが感じられる。
グローヴや井草のスパイシーな風味、土っぽさ、茎。
鉄っぽさは抑え気味で、なめし革っぽい味わいが感じられる。
エシェゾーに比べると樽っぽさはあまり感じられない。やや硬い作り。(ドメーヌほどではないにせよ)
口に含んだ時の印象はエシェゾーとよく似ており、綺麗な旨味があるが、ややタンニンと甘みがクロ ヴージョの方が優っている。ソフトな作りだ。


生産者: ジャン マリー フーリエ
銘柄: エシェゾー グランクリュ 2011

約30000円。
外観は比較的濃いルビー、粘性は高い。
スパイシーで甘露さが豊かなエシェゾーだ。
井草のスパイシーさ、薔薇やスミレの華やかな香り。果皮の強いダークチェリーと熟したフランボワーズの凝縮感が感じられる。徐々に八角、黒檀とキャラメル、フルーツケーキの香り。やや樽が強めに感じられる。ドライハーブ、鉄釘、グローヴ、コリアンダーなどの風味。
今年のフーリエにしては開きやすく、甘露さは強い。ミネラル感があり筋が通った味わいは確かにある。
酸と旨味は充実しており、タンニンは柔らかい。口の中で豊かなベリーの果皮の風味が広がる。
旨味はなかなか突出していると思う。


うーん、面白いですね。
まずシャンボールミュジニーでドメーヌとネゴシアン比較をしてみるとしっかりとした違いがありました。
ネゴシアンの1級ゼシャンジュは、しっかりとしたミネラル感とスパイシーさと森の中にいる様な草(スーボワ)やスミレなどの複雑な香りが主体となっています。
これはこれで、とてもシャンボールミュジニー的な造りのワインでしたが、ややドライな印象を受ける味わいでした。
ドメーヌの1級グリュアンシェは、ネゴシアン同様強いミネラル感がありますがその他の構成が若干異なります。
ネゴスに強く感じられたスパイシーさや土や草などの青さは若干後ろに隠れ、よりスミレなどの華やかな要素やラズベリーやブルーベリーの風味や蜜の様な甘露さを感じる事が出来ました。
あくまで方向性が同じあたり醸造はあまりネゴスとドメーヌで変えていないのかもしれませんが、葡萄の熟度にかなり違いがあるのかなあ、と思いました。ドメーヌの方がしっかりと果実味が感じられました。

次はクロ ヴージョとエシェゾー。
ネゴシアンものとはいえ、フーリエの作るグリオットシャンベルタン以外の特級畑。期待しない方が嘘だって感じです。
しかし当然ながらか、意識的にか分かりませんか、大きな造り分けがなされています。極論を言うとドメーヌのジュヴレシャンベルタンとは全く異なります。ただ出来はネゴスとは思えないほど良いです。
ドメーヌ フーリエの既存のイメージが適用されない未所有の畑だからこそ可能となった、買い葡萄によるテロワールの表現だったと思います。
で、ドメーヌはジュヴレシャンベルタンとシャンボールミュジニー、モレサンドニしか出してない訳ですけれども、クロ ヴージョ、エシェゾーは全く違う。
前回レポートした通り、2011年のフーリエは、凝縮感と硬質さがしっかりとありながらも、どこか冷ややかなニュアンスを感じさせるものでした。これはジュヴレシャンベルタンの一般的なイメージと概ね合致するものですが、ネゴシアンとして出してきたエシェゾーとクロ ヴージョは全くの別物。
まずエシェゾーは2011年とは思えないほど果実味が豊かで伸びやか、かつ芯の強さが感じられました。ネゴスに共通して見られたスパイシーがありながら、より華やかさと熟したフランボワーズの凝縮感とフルーツケーキの甘露さがハッキリと感じ取る事が出来ました。樽が強めに感じられる。硬質さは無く、よりヴォーヌロマネらしい妖艶な作りと言える。
またクロ ヴージョは、エシェゾーと比較してより硬質さや華やかさが際立っているものの、シロップ漬けのダークチェリーやブルーベリーの甘露な味わいも内包している。ドメーヌのジュヴレシャンベルタンの様な鉄っぽさより野性的でなめし革っぽい風味が感じられる。

と、以上の様にネゴスとして出されたワインはドメーヌとは一味違った味わいだと思いました。
ただ同じシャンボールミュジニー1級のゼシャンジュとグリュアンシェの味わいが比較的近いという事を考えると、「ドメーヌとネゴシアンだから違う」というより「テロワールに合わせた表現の違い」という風に考える方が妥当っぽいです。
そもそもドメーヌの主力がジュヴレシャンベルタンである事を考えると、ドメーヌとネゴシアンでリリースしているアペラシオンが異なるから単純比較は難しいと思います。
ネゴスでジュヴレシャンベルタンを出していたら比較も出来るとは思うのですが。
値段は高いですが、非常に良く出来たワインだとは思います。




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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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