【カリフォルニア:7】シン クア ノン、貫く官能と耽溺の洪水。ファイヴシューター シラー、グルナッシュ。



こんにちは。
本日はシン クア ノンの2010ファイヴシューターを利き比べます。

シン クア ノンはマンフレッド クランクルが運営するサンタバーバラの生産者。ポートフォリオはコロコロ変わるので、イマイチ掴み難いんですが、僕の知ってる限りだとグルナッシュ、シラー、シャルドネ、ルーサンヌ、ヴィオニエ、それらの混醸。(ワインアドヴォケイトもバレルテイスティング時のものは名称を明確に書いていませんでしたね。「まだ名前がない白ワイン」...とかそんな。)南仏の匂いのするカリフォルニアカルトの生産者ですね。
初リリース以降キュヴェ別にラベルは毎年異なるデザインが用いられ、同じラベルは二度と使用されません。
今回は2009年からリリースされているファイヴシューターです。品種はそれぞれシラー主体とグルナッシュ主体。
シラーは全体の76%がイレブン コンフェッション エステート、サード ツイン エステート、キュムラス エステートから残りはホワイト ホーク、ビエン ナシード ヴィンヤードから収穫されたぶどうを使用しています。フレンチオーク樽(新樽59%)にて22ヶ月熟成する。
グルナッシュは96%がイレブン コンフェッション エステート、キュムラス エステート、残りはビエン ナシード ヴィンヤードからです。600L樽11%、300L樽21%、228L樽55%(新樽率12%)、コンクリートタンク13%を併用し20ヶ月熟成を行っています。

いやしかし、今回のは度肝を抜かれました。得にシラーがやばい。


生産者: シン クア ノン
銘柄:ファイヴシューター グルナッシュ 2010(95+)
品種: グルナッシュ75%、シラー16% ムルヴェードル2.5%、ルーサンヌ4.5%、ヴィオニエ2%

約33000円、WA97pt(2009, The Line)
外観は赤みの強い濃いルビー、粘性は高い。
このグルナッシュも(ファイヴシューター)シラー同様に黒胡椒の様なスパイシーさが主体となっているが、芯のある酸や華やかさの代わりに、より丸みや甘露さが重視されている。とても滑らかなワイン。
挽きたてのブラックペッパー、薔薇とスミレの華やかさ、焼いたホタテの様な風味が感じられる。高密度に引き締まったシラーを飲んだ後だとやや締まりが無い様に感じられる。
より豊満なプルーンやブラックベリーなどの果実味。糖蜜の様な甘露さ。そしてドライハーブやグローヴ、濡れた土や樹皮の香り、燻製肉の風味も感じられる。ほのかに柑橘系のニュアンスも。
酸とタンニンは柔らかく、しなやか。
感覚的にはかなり弱く感じられるが、ちょっとびっくりする程の旨味が広がり方をしていく。シラーにもよく似ているが、より柔らかく豊満な果実味が感じられるワイン。


生産者: シン クア ノン
銘柄: ファイヴシューター シラー 2010(100)
品種: シラー85%、グルナッシュ5%、プティ・シラー3%、ルーサンヌ5%、ヴィオニエ2%

約33000円、WA96-98pt(2009, The rhrill of)
外観は赤みの強い濃いルビー、粘性は高い。
なんかもう、これが最高のシラーと言い切ってしまっていいような気がする。新世界的ではなくシャーヴやギガルと同列に語られるべき、ローヌの伝統的なシラーを極めた味わい。素晴らしい。
シラーらしい薔薇やスミレなどの強烈な華やかさ。その華やかさに骨格を与える芯のあるミネラルと酸。そしてブラックペッパーなどのスパイシーさが見事に同居している。そしてダークチェリーやプラムの瑞々しい果実味は、ある一点を超えた時に急激に黒砂糖の風味を伴う。そしてパストラミハムや燻製肉の野性的な風味やミルクティー、漢方、シナモン、グローヴ、焼いた藁などの大地系の香りも。
味わいの構成は全く違うのだけど、ブルゴーニュのグランヴァンの様な香りの妖艶さがある。グルナッシュと比べるとシャープで旨味を伴う強い酸があり、タンニンも豊かである。
内容を考えると価格は至極妥当なものだと感じられる。強烈だ。


グルナッシュ、シラー共に予想以上の凄まじい出来でしたね。
全体的に受ける印象としては、オーストラリアのシラーズやモダンなシャトー ヌフ デュ パプの様なスタイルでは無くて、よりローヌ北部の伝統的なコートロティやエルミタージュに近い味わいだと思いました。果実味が充実しつつ、強烈なスパイシー(といっても青っぽさではなく、ローヌ特有の黒胡椒の様なニュアンス)さがあります。
そんな中でこのワインのグルナッシュとシラーの違いとしては、品種の特性の違いをそのまま反映していると思います。
まずファイヴシューター グルナッシュの特徴としては、エッジの効いたシラーに対してより滑らかさや丸み、甘露さが全面に出ています。シラーに比べるとグルナッシュは酸やタンニンがシルキーなので、それがそのまま印象に反映している感じでしょうか。旨味はしっかりとあります。それと豊満な黒系果実の甘露な果実味や焼帆立の様なロースト香もあり、複雑かつ甘露さに満ちていると思います。
次、シラー。グルナッシュと比べると、より酸とタンニンが前に出ており(特に酸)凝縮感と芯の通った印象を強く感じられます。
シラーらしい薔薇やスミレなどの強烈な華やかさと、それに骨格を与える芯のあるミネラルと酸、黒砂糖の甘露さ、黒系果実の瑞々しさ、そして黒胡椒のスパイシーさ。これらが渾然一体となって高密度に凝縮されている。
ただそんな膨大な熱量を含んでいながらも、綺麗な質感がある(特に口当たり)。グルナッシュはそもそもタンニン、酸共に柔らかく感じましたが、シラーは強固な酸とタンニンがありつつも、とてもツヤツヤしている。
グルナッシュが羽綿だとしたらシラーは目の細かいシルクの質感。

いや、グルナッシュもシラーも本当に素晴らしい。半端ないです。
ファイヴシューター シラーの項にも書きましたが、ギガルのコートロティやシャーヴのエルミタージュに並ぶ(というか今回の2本に関しては、個人的に優っていると思う)奇跡的なワインだと思います。
共に品種特性を最大限に活かしていて、かつ官能的な味わいを表現しているのは驚くべきことですねえ。
来年も飲めるといいんですが、なかなか球数が...

いやいや、素晴らしい体験でした。
ちなみにビエンナシードってたしかタンタラも葡萄作ってるヴィンヤードだったような...どうだったかな?



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ビエンナシッドはタンタラもやってますね。
ビエンナシッド単体だと、サンタバーバラAVAの中でもサンタマリアになる訳で、サンタバーバラのグルナッシュ&シラー産地としてはまさに適正なんですよね。

カリフォルニア=ナパのイメージが日本では圧倒的ですけど、サンタバーバラ周辺のクオリティの高さのが上な気がしてならないなぁとも(サンタバーバラ周辺好きすぎる人間の感想
プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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