【ブルゴーニュ: 35】悠久の豊穣、特級モンラッシェ1984, 1994を利く。


こんにちは。
先日に引き続き、ピュリニー、シャサーニュの特級畑特集です。
今回は虎の子モンラッシェ。生産者はジョセフドルーアンとエティエンヌソゼでこざいます。
なかなか飲む機会のない特級モンラッシェ...こう、ミュジニー、シャンベルタン、リシュブールを飲むようなワクワク感がありますなあ。


エティエンヌソゼは約150年前から続く老舗ドメーヌ。品質はピュリニー、シャサーニュで5指に入る生産者で、約70年ほど前よりドメーヌ元詰めを始めています。2代目当主のジェラールは大学で醸造学を学び、ヴォルネイのプスドールに師事。その後ワインを生産し始めました。
相続によって大部分の土地を失った事もあり、大部分を買い葡萄を使用するネゴススタイルだが、基本的には購入先を変更する事はなく、ドメーヌと品質は変わらない。
アルコール発酵は木樽を使用し、やや高めの温度で行われる。バドナージュは1日1回。樽熟成は1級15ヶ月、特級18ヶ月。新樽比率は村名20%、1級30%、特級50%以下で熟成された後、瓶詰めされる。
フラッグシップは特級モンラッシェ、シュヴァリエモンラッシェ、バタールモンラッシェの特級畑です。

マルキ ド ラギッシュは、特級モンラッシェの約4分の1(2.6ha)にあたる区画(ピュリニー側)を保有している最大所有者。この偉大なるモンラッシェの栽培、醸造から販売は全てジョセフ ドルーアンが行っています。樹齢は最高52年、ビオディナミですが、詳しい栽培方法などは不明。アルコール発酵後フレンチオーク新樽20%で15-18ヶ月熟成を行い、瓶詰め、出荷を行っています。

さて、世界最高の白ワイン、如何でしょうか。


生産者: ジョセフ ドルーアン
銘柄: モンラッシェ グランクリュ 1983

約76000円。WA94-96pt(1989)
外観は濃いゴールド、粘性は高い。
ソゼにも劣らない、圧倒されるくらいに素晴らしいモンラッシェ。こちらは飲み頃に間違いなく差し掛かっている。馥郁たる香りとはまさにこの事。
熟成により果実味、樽の芳香が完璧に調和している。
カラメルやバニラビーンズ、クレームブリュレの香ばしい甘露さ、モカの香りが主体的。
30年近くの熟成を経て、未だに岩を砕いた様なしっかりとしたミネラル感が残っている。
そして複雑味をもたらすシャンピニオン、ヘーゼルナッツ。清涼感のあるドライハーブ、白檀などの要素も感じられる。こちらもソゼ同様驚くべき奥行きと緻密なテクスチャーがある。
全体的にとろける様な甘露さ、豊満な香りとは裏腹に、ミネラルとともに酸味も力強く旨味も強烈に現れている。
その分、質感はややゴツゴツしているが、クレームブリュレとアプリコットを想起させる余韻は美しく伸びていく。
まだまだ全然熟成しそうなモンラッシェ。


生産者: エティエンヌ ソゼ
銘柄: モンラッシェ グランクリュ 1994

約104000円、WA94pr
外観は濃いイエロー。
完全で偉大なるシャルドネ。
現段階では樽、ミネラル、果実の要素は完全には一体化していない。ただ非常に高レベルで溶け込みはじめている。故にまだまだ伸び代が残されている、ということとなる。恐ろしいことだ!残存しているミネラルもソゼらしくエレガントで鋭いし、若い頃に閉じこもっていただろう果実味も非常に優美に現れている。
まず目立つのがクレームブリュレ的な豊満な甘露さと、バニラ、カラメル、ドライハーブや焼いたホタテのニュアンス。そして徐々にヘーゼルナッツのオイリーさ、そして硬いミネラルが現れてくる。大地を感じさせる濡れた木材、トリュフ。徐々にハチミツやシロップのようなニュアンスも混じる。
ボトルも終盤に近づくと野生的で生々しいムスクの香りも漂う。ありとあらゆる要素を包含している様な気がする。複雑で深い奥行きを感じさせる。
20年近くの熟成を経ているのにも関わらず、ボディの不足感はない。
酸...というか旨味の層が厚く、滑らか。全くギザギザ感がない。旨味が綺麗に広がり、シャンピニオンやクレームブリュレの甘露さに変化して、至福の余韻を残す。




凄まじく豪華ですね。熟成した特級モンラッシェ2種類です。
共に熟成によって蕩ける様な官能的な姿を見せているのにも関わらず、まだまだ伸び代があるのが凄まじいですね。
共に主軸となるのはクリームブリュレを想起させる甘露さ。マルキ ド ラギッシュはバニラビーンズとカラメルに近いかもしれません。
卓抜した果実味と豊かな樽香の官能的な調和。これは最高クラスの熟成シャルドネが共通して放つ香りですが、バタールより遥かに豊満で分厚く、複雑で奥行きがある。ブルゴーニュにあって特異な特級畑だと思います。

さて、今回同一のテロワールを持つ2本で大きく異なるのは、何と言ってもヴィンテージ。エティエンヌ ソゼとラギッシュのそれは10年近く差異があります。こりゃあ、かなり大きな違いが出るだろうと思っていたのですが、ちょっと想像と違いました。
というのも、ソゼより熟成期間が長いマルキ ド ラギッシュの方が、香りと味わいのバランスがこなれていない印象。
ソゼのモンラッシェはまだまだ熟成の伸び代を残しながらも、香りは円熟しアタックにも滑らかさがありました。マルキ ド ラギッシュはその点、香りはとても円熟しており、ほぼ最高の状態と言っても過言ではないと思います。しかしアタックや舌触りの点で、かなり強い酸とミネラルを残している状態で、口に含んだ瞬間に荒々しい側面が現れてくる。さらに熟成を経れば酸もも落ち着いてくるでしょうが、果たして酸が落ち着いた時に、香りが今の状態を維持しているか(もしくは更に複雑に豊満になっているか)は結構微妙かもですね。
正直香りだけでいうと、この素晴らしい状態から更に良くなる想像がつかないです。
ソゼの方は香り、口当たり共にバランス良く熟成しているように感じられます。香りは基本的には豊満ですが、ミネラルも硬さもどこか残っている状態。口当たりは柔らかくしなやかですが、ボディはしっかりと残っていると。なので、これから熟成を経た際にどちらもより角がとれて綺麗な姿になる可能性があるように思えます。
ソゼは若いバタール、シュヴァリエを飲んだ感じ相当強いミネラル感があるのですが、マルキ ド ラギッシュは多分それを超える硬さ、ヴァンドガルドだったのではないかと思います。

正直言ってみたものの、83年ヴィンテージにして強烈な香りを放っているラギッシュ、やや硬さを残しながらバランス良くまとまっているソゼ、どちらも偉大と言う他ないですね。
そもそものテロワールの強さに加えて生産者の気合の入れ様が透けて見える途轍もないワインだったと思います。

さすがモンラッシェ。替えのきかないグランクリュですな...圧倒されました。


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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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