【ローヌ:6】荒ぶるパーカーポイント、ギガル最高のコートロティ3兄弟とエルミタージュ。


※面白い事に値段もパーカーポイントも横並び。

こんにちは、HKOです。
今日は何回かに渡ってローヌを扱います。
まずはいきなりギガルの最上級キュヴェの水平です。

エティエンヌ ギガルはローヌ地方において最も偉大なコートロティやエルミタージュを自社畑から生み出しながら、ネゴシアンとしてリーズナブルで高品質なワインも供給する優良生産者。
ギガルの代表的な赤ワインとして、やはり有名なのは単一ブランドを持つコートロティの4つのキュヴェとエルミタージュの混醸キュヴェ。
粘土と酸化鉄で形成されたコートブロンドに1ha保有する「ムーリーヌ(樹齢80-85年)」、砂とスレートで形成されたコートブリュンヌに2ha保有する「ランドンヌ(樹齢30年)」、同じくブリュンヌに保有する1ha「トゥルク(樹齢35年)」、そしてそれらの弟分でありブロンドとブリュンヌに保有する6つのリューディからなる「シャトーダンピュイ(樹齢45-95年)」。
これらのコートロティ群と、エルミタージュの小区画 ベッサール30%、グレフュー30%、ミュレ20%、レルミット20%で構成された「エルミタージュ エックス ヴォト(樹齢70-100年)」。
収量は十分に抑制され、収穫は概ね遅摘みによって凝縮度を上げた状態で収穫される。
除梗は基本的に行われないが、実験的に部分的な除梗を行っている。
自動ピジャージュシステム付きのステンレスタンクを用い、ルモンタージュしながら4週間のマセラシオンを行う。アリエとヌヴェール産の新樽100%で40ヶ月以上(ダンピュイは36ヶ月)にも及ぶ長期熟成を施した上でリリースされる。

貴重なギガル最上級の水平テイスティングです。しっかりと特徴を捉えて行こうと思います。


生産者: エティエンヌ ギガル
銘柄: エルミタージュ エクスヴォト ルージュ 2009
品種: シラー100%

約42000円、WA100pt
外観は濃いガーネット。
よりロティに比べると果実味が豊かで甘露。
シャーヴに比べるとよりまろやかで豊満な味わいのブラックベリー、チェリーリキュールのジャムだとか溶剤の香りが強く前に出ている。ミルクティーやキャラメルの豊満な風味。徐々に酸味を伴うプラムの様な味わいに引き締まってくる、シベットやコーヒーの様な風味も、リコリス、薔薇や茎、枯葉や土、などの風味。
変化がドラスティックでアーシー→スイート→アーシーを繰り返す。
果実味に触れた時には素晴らしく官能的で柔らかい味わい。
口の中で凝縮された酸味と旨みが広がっていく。梅しばやチェリーなどの酸味を伴う果実が余韻を残して行く。


生産者: エティエンヌ ギガル
銘柄: コート ロティ ラ ランドンヌ 2009
品種: シラー100%

約42000円、WA100pt
外観は濃いガーネット。粘性は高い。
最初からドライフルーツ(ドライプルーン、ブラックベリーのシロップ漬け)が如き濃厚な甘露さが全開だが、徐々にスパイシーでウッディな香りに変化していく。
そして西洋杉やタバコ、乾いた土、枯葉のスモーキーなニュアンス。
強いコーヒーや線香の樽香。燻製肉などの野性味。リコリスなど。
とてもスモーキーでパワフルなコートロティで、酸味とタンニンの質感は滑らかだが、しっかりと目の詰まった密度の高さがある。
口に含むと土や甘草、そしてブラックベリーの黒い果実の余韻が広がっていく。
当然まだ硬いが、熟成ポテンシャルは非常に高い。


生産者: エティエンヌ ギガル
銘柄: コート ロティ ラ ムーリーヌ 2009
品種: シラー89%、ヴィオニエ11%

約42000円、WA100pt。
外観は濃いガーネット。粘性は高い。
ランドンヌに比べると、酸とミネラルを強く感じさせる芳香があり、かなり張り詰めた印象を受ける。
チェリーリキュールや瑞々しいプラム。凝縮感のある黒系の果実味、酸を感じさせる無糖ヨーグルト。他のコートロティと比べると瑞々しくより薔薇や若い葉の様な風味が感じられる。コートロティの中では最も瑞々しい印象を受ける。摘みたてのベリーを頬張る様な瑞々しさがある。
そして西洋杉、トリュフ、リコリスなどの木材やスパイスの要素。ムスク、燻製肉などの野性的な要素。徐々にドライハーブや線香の香りも。
徐々に果実味がランドンヌを上回り、強烈に凝縮した甘みが現れてくる。エッジの効いた酸味とベリーの蜜や旨味が調和。
口の中でヨーグルティな風味とベリーの豊かな味わいが広がる。余韻も長い。
この3本の中で最も瑞々しく酸の漲ったエレガントなコートロティ。


生産者: エティエンヌ ギガル
銘柄: コート ロティ ラ トゥルク 2009
品種: シラー93%、ヴィオニエ7%

約42000円、WA100pt
外観は濃いガーネット。粘性は高い。
抜栓直後のランドンヌ並みの濃厚な甘さと共に強い果皮成分に由縁する薔薇のような華やかさが感じられる。
濃厚なブラックベリーのコンポート、チェリーリキュールなどの酸味を伴う濃厚な果実味。八角、コーヒーやカラメル、シロップ。
そして華やかな薔薇のリキュール、紅茶、ドライハーブ、燻製肉の芳香が全面に現れている。そしてわずかに黒胡椒の風味も感じられる。甘露さと華やかさが高いレベルで均衡を取っている。素晴らしい。
酸味は滑らかだが、目の詰まった旨みがある。極めて豊満な甘露さと共に、非常に心地よい薔薇と紅茶、チェリーの華やかな余韻を残す。この3本の中では華やかさ、甘露さが突出した最もリッチなコートロティだと思う。


いや、どれも素晴らしかったです。
では比較して行きます。まず各々の開き方からです。
コートロティから行きましょう。
まず強烈な開き方をしたのはシラー100%のラ ランドンヌです。ドライフルーツやシロップ漬けの黒い果実の風味が力強く立ち上がってきます。この時点では圧倒的にランドンヌが重厚で甘露です。
同タイミングのムーリーヌはより酸味と旨味が張り詰めており、瑞々しいプラムやチェリーリキュールなどが感じられました。シャープな印象ですね。またトゥルクも酸味を伴う凝縮感のある黒系果実が感じられましたが、より果皮成分が強く抽出されており、華やかでありながらインキーでした。
徐々に香りに変化が現れます。
甘露で豊満、キャッチーだったランドンヌが急激に落ち着き、タバコや枯葉、コーヒーや線香などのスモーキーでウッディな香りを放ちはじめます。より複雑さを増してくる。
対してムーリーヌはここにきてまだまだ甘露さを増していきますが、そこに薔薇の様な華やかな風味や酸味を感じさせるヨーグルト、そしてムスクの様な野生的な香りが混じってきます。この時点では豊かな果実味と華やかさか極めてバランス良く調和しています。
口述するトゥルクと比較するとより繊細でシャープです。
トゥルクは徐々にインクのような風味が溶けはじめ、強烈な甘露さが前に出てきます。
ブラックベリーのコンポート、チェリーリキュール、八角、カラメル。シロップに漬けた薔薇やスミレの華やかな香りとの調和。蕩ける様な甘みが柔らかいタンニンと共に広がっていく。
1時間30分を超えると、ランドンヌはかなり当初の印象から変化した。燻製肉、クローヴ、炭焼きなど大地と旨味に満ちた味わいに変化した。
ムーリーヌに関してはドライハーブや線香の香りが漂い始めるも、変わらぬ瑞々しさとシャープな甘露さが最後までしっかりと感じられた。
トゥルクも基本的に大きく味わいが変化...崩れる事は無く力強い甘露さ、華やかさに黒胡椒の風味が付加されていきます。

口当たりは前述した通り、ムーリーヌの酸味がやや際立っていましたが、押し並べてタンニン、酸味はとても充実しています。
ただ果実味がとても強い為、質感は滑らかに感じます。
引っ掛かるようなタンニンも酸味も無く、舌先を転がるようなスムーズな質感だったと思います。

以上の時間変化を考慮して各ワインを特徴付けるとすれば、ランドンヌは「複雑性に富んたわウッディでスモーキーなコートロティ」、ムーリーヌは「瑞々しく酸味が力強いエレガントなコートロティ」、トゥルクは「華やかで甘露さが際立ったリッチなコートロティ」と言えるのではないかと。
ただ全体的に濃厚で甘露である事は変わらないので、微細な違いを感じ取るのであれば選びわけは必要ですが基本的にはどれを飲んでもギガルのコートロティの美味さは堪能出来ると思います。

さて、ここまではコートロティ。
次はエルミタージュを絡めて行きます。
ほぼセパージュや製法は殆ど同じですが、味わいはかなり異なります。
まずエレガントで微細な要素を幾つも含んだコートロティに比べると、よりシンプルでジャミーな果実味が特徴的です。
極めて甘露で、砂糖で煮詰めた黒系果実の果実味(ランドンヌに近いかも)、そして樽もやや強くミルクティーやキャラメルの様な風味があります。徐々に(ムーリーヌに近い)酸味を伴うプラムの様な味わいに変化していく。
液体の質感は滑らかで凝縮感があります。
より果実味に寄ったパワフルワインです。

何がこの違いを生み出しているのでしょうか。醸造に関してはあまり大きな違いはありませんが、テロワール、セパージュ、樹齢は各キュヴェ毎にハッキリと異なっています。
まずは樹齢。
エルミタージュ エックス ヴォト(樹齢70-100年>ムーリーヌ(樹齢80-85年)>トゥルク(樹齢35年)>ランドンヌ(樹齢30年)となっています。
なるほど、エルミタージュはいかにも古木らしい果実味の力強さ、複雑な風味があります。これは納得です。
問題はムーリーヌとトゥルク。
個人的な感覚としては果実味の充実さで言うならばトゥルクの方がリッチであると感じました。対してムーリーヌはやや酸に恵まれている。樹齢に関してはムーリーヌの方が高いのですから、より熟度の高い葡萄が取れるはず。そこで、土壌に目を向けてみるとムーリーヌは石灰質土壌、トゥルクは粘土質土壌とのこと。
石灰土壌は水はけが良いため、これまたムーリーヌに対して条件が良くなっています。酸化鉄混じりの粘土質は繊細なシラーが産出しますが、パワフルなワインが作れるよ...というのは聞いたことがありません。
答えがなかなか出てこなさそうなので別途探すしか無いですね...ちなみに一般的にはムーリーヌはボリューム、トゥルクは酸とのこと。確かにテクニカルデータを見る限りはそうなんだけども。
ちなランドンヌは超硬いです。これだけスタイルは違いますね、ガッチリしています。
これはもう少し熟成したものを飲んでみたいですねえ。

以上。
個人的な好みとしては、やはりエクス ヴォト。もともとエルミタージュのスタイルが好きですし、ビックワインですしね。
次はビッグワインのトゥルクか凝縮感のムーリーヌ。ランドンヌが好みから遠かった。
ただ、正直どれもメチャクチャ凄かったと思います!ギガル最高!

まあ、欲を言えばブリュヌ エ ブロンドとシャトーダンピュイなどの下位コートロティとも比べて見たかったけれども!





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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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