【ローヌ:8】自然派シャトーヌフの重鎮、ラヤスのコートデュローヌからシャトーラヤスまで利き比べる。



こんにちは。
またもや引き続き、ローヌ特集です。
今回はラヤスが栽培、醸造、販売まで全てを手がけるシャトー ド フォンサレットのコート デュ ローヌ3ヴィンテージ、そしてラヤスのシャトーヌフ デュ パプ2種類(ピニャン、シャトー ラヤス)をレポートします。

シャトーラヤスは偉大なるジャック レイノーの息子、エマニュエル レイノー率いるシャトーヌフデュパプ最高の生産者。いわゆる最新のニューワールド的なシャトーヌフではなく、古典的で、かつ(アンリ ボノーの様な)独創的なワインを作っています。ポートフォリオはシャトーラヤス、そしてセカンドのピニャン、シャトー ド フォンサレットのコート デュ ローヌが瓶詰めされます。
平均樹齢はいずれも50年。わずか15hl/haという徹底した収量制限を行い、丁寧に栽培を行っています。おそらく除梗はしず、全房発酵を行っていると思われる。
近代的な醸造(ステンレスタンクや温度管理、オーク新樽使用など)を嫌い、自然のまま醸造を行っています。
シャトーラヤス、ピニャン共にセメントタンクにて発酵を行い、10年来の旧樽を使用して22ヶ月の熟成を行っています。

さて、ラヤスの赤の2008年水平、フォンサレットの垂直、いってみましょう。


生産者: シャトー ド フォンサレット
銘柄: コート デュ ローヌ ルージュ 2003
品種:グルナッシュ50%、サンソー35%、シラー15%

約9700円、
外観は濁ったルビー、粘性は高い。
梅しば、熟成肉などの凝縮した旨味が主体となっている。やや軽めのミネラルがある。
紅茶、タイムなどのやや枯れた木材。そして熟したブルーベリーや紫すももの果実味が感じられる。また土やトリュフ、ワッフルなども感じられる。時間が経つとすごく良くなるタイプ。
コートデュローヌにしては、突出したの縮度、瑞々しい酸味と旨みが一塊となっている。タンニンは柔らかい。


生産者: シャトー ド フォンサレット
銘柄: コート デュ ローヌ ルージュ 2004
品種:グルナッシュ50%、サンソー35%、シラー15%

約8900円。
外観は濁ったルビー、粘性は高い。
03同様熟成香に満ちているが、より酸味と旨みの層が厚く、より凝縮度が高く奥行きがある印象を受ける。対して甘露さは2003年の方が強く感じる。
濃厚な紫スモモや梅しば、熟成肉の様な旨みの塊感がある。
そしてドライハーブやローズヒップティー、漢方。クローヴ、タイム。炭焼きなどの風味。
酸味に関しては2003より滑らかで綺麗なタンニンがある。気持ちいい旨味。余韻の広がり方がとても綺麗。


生産者: シャトー ド フォンサレット
銘柄: コート デュ ローヌ ルージュ 2008
品種:グルナッシュ50%、サンソー35%、シラー15%

約8700円、WA89pt
外観は澄んだルビー、粘性は高い。
全房発酵らしいスパイシーで、瑞々しく綺麗な味わいが感じられる。
清涼感のあるオレンジ、そしてレッドカラント、ラズベリーの瑞々しい果実味、スパイシー。クローヴ、コリアンダー、甘草、土の香り。若々しいハーブ、葉の様な風味。生肉、樹皮の香り。ラズベリーのティー。
もっともシャープな酸味がある代わりにタンニンはもっとも柔らかく、じわっと広がっていく様な綺麗な旨味がある。青さとベリーの瑞々しさを気持ち良く感じられる。


2003年、2004年、両方とも結構熟成を経ており熟成肉や紫スモモ、梅しばの様な風味が感じられます。かなり綺麗に熟成していますね、2003年も2004年も酸がキツすぎたりタンニンが強すぎたりする事はありませんでした。良質なピノノワールの様な熟成タイプ。ギュッと引き締まった旨味が綺麗に広がっていく感じ。
ヴィンテージの質としてはこの2ヴィンテージはほぼ同等ですが、感覚としては2004年の方が、よりドライで強い骨格と凝縮感、複雑さがあり、生育に時間がかかったのではないかと推察します。対して2003年は骨格や凝縮感は劣るものの、しっかりと熟した果実の甘露さがあり、日照条件がかなり良かったのではないかな、と思います。
恐らく2004年の方がより長期熟成型のはずです。
次に2008年。このフォンサレットはもっともラヤスらしい作りになっています。
特徴的なオレンジピールや赤系の果実味、全房らしいフレッシュな味わいに満ちている。
過去のヴィンテージの様に凝縮した旨味や密度は生まれていないもののフレッシュで瑞々しく、スパイシーな味わいがもっとも強く感じられます。若いというのもあり、2003年、2004年とはちょっと違いすぎて、あまり比べる対象にはならないですね。
それと2008年はローヌでは珍しい10年に一度くらいのバッドヴィンテージでした。そう考えると、ローヌらしからぬ、この瑞々しさは納得です。ラヤスのスタイルには合っているヴィンテージかもしれません。
ACコート デュ ローヌとしては出色の出来だと思います。値段もその分高いですけどね。

はい、では次は本家ラヤスのピニャンとシャトーラヤスです。


生産者: シャトー ラヤス
銘柄: シャトーヌフ デュ パプ ピニャン 2008
品種:グルナッシュ100%

約13000円、WA89pt。
外観はピノノワールを想起させる淡いルビーで、香りも同じく冷涼地域のピノと近い芳香を放つ。
アンリボノー同様、極めて自然派的な香りだが、より洗練されていて、雑味がなく、透明感のあるヌフになっている。素晴らしい。
溌剌としたオレンジの皮、野性的なアメリカンチェリー、ブルーベリーの瑞々しい果実味。全房に由縁するスパイシーさがあり、リコリス、クローヴなどのドライハーブの香りが強く感じられる。ジャスミン、紅茶などのニュアンスも感じられる。
タンニンより断然酸味の方が豊かで、複雑なスパイスやオレンジ、ベリーの風味が口の中に広がる。古典的なヌフや最新鋭のヌフ、どちらとも当てはまらない個性的なヌフ。
滑らかなテクスチャ、美しい酸味、複雑な要素の調和がやはり素晴らしい。


生産者: シャトー ラヤス
銘柄: シャトーヌフ デュ パプ シャトー ラヤス 2008
品種:グルナッシュ100%

約28000円、WA93pt。
外観はピノノワールを想起させる淡いルビーで、香りも同じく近い芳香を放つ。ピニャンと全体的な構成は近いが、より密度が凝縮し、構成が緻密になっているのがわかる。
例えば果実味であれば、瑞々しいアメリカンチェリー、ブルーベリーの風味に鉄分や果皮の濃い香りが付加されているし、それに合わせるように、タイムや若草、ジャスミンなどのドライハーブや、リコリス、クローヴ、コリアンダーなどのスパイス香が力強く立ち上ってくる。オレンジピールの風味は変わらず存在している。より生々しく燻製肉が感じられる。
こちもタンニンより酸味の方が豊か。ピニャンより液面に強い凝縮感が感じられる。長熟する様な酸味と旨味のバランス。官能的な味わい。


コート デュ ローヌはグルナッシュ、サンソー、シラーのアッセンブラージュでしたが、ラヤスのシャトーヌフ デュ パプは100%グルナッシュです。
セカンドとファーストの違いは、テイスティングコメントの中でほとんど全て書いてしまっているのですが、改めて。
セカンドとファーストの違いは、その液体密度と複雑さに集約されると思います。しかもかなり明確に差が現れています。
まずアタックとしてはタンニンは同程度ですが、酸および旨味に関しては、より厚い層が感じられます。熟度はシャトーラヤスの方が高いはずですが、2008年というヴィンテージから凝縮度の高い方向性に触れているのかな、と思います。
香りに関しては、より鉄分や熟成肉の様な風味、そしてドライハーブやスパイスの香りが強く感じられ、かつ均整の取れた芳香が感じられます。
共通する点としてはフォンサレットにも感じられた強い旨味成分。これが本当に唸るように凄くて、ブルゴーニュの古酒と比べても突出している。グルナッシュという品種でここまでエレガントかつ強い旨味を放つワインはボノーとラヤスくらいなんじゃないかと。
ここでキーとなるのは恐らく樽熟成期間の長さにも由縁するのではないかと。
見たところ新樽は使用されておらず旧樽を使っていて、かつ22ヶ月の熟成期間を経ている。見たところ、現在ラヤスの最新ヴィンテージは2008なので、瓶熟成期間もたっぷりと取っている。おそらくこれでしょう。
本当に半端ないシャトーヌフだと思います。
例えばオーストラリアやカリフォルニア並みの果実味爆弾グルナッシュや黒胡椒風味の伝統的なグルナッシュは結構ありますが、このタイプは珍しい。
アンリボノーと共にエレガント系ローヌの最高峰を見たような気がしますね。

素晴らしいワインでした...!






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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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