【ローヌ:9】ラヤスとアンリボノー、自然派2生産者を利き比べる、



こんにちわ、昨日に引き続きローヌ特集です。
前回はシャトーラヤスの垂直、水平に焦点を当てましたが、今回は同一ヴィンテージの別生産者にて追っていこうと思います。
生産者はラヤス、そしてアンリ ボノー翁です。

シャトーラヤスは偉大なるジャック レイノーの息子である、現当主エマニュエル レイノー率いるシャトーヌフデュパプ最高の生産者のうちの一人です。いわゆる最新のニューワールド的なシャトーヌフではなく、古典的で、かつ(アンリ ボノーの様な)独創的なワインを作っています。ポートフォリオはシャトーラヤス、そしてセカンドのピニャン、シャトー ド フォンサレットのコート デュ ローヌが瓶詰めされます。
平均樹齢はいずれも50年。わずか15hl/haという徹底した収量制限を行い、丁寧に栽培を行っています。おそらく除梗はしておらず、全房発酵を行っていると思われる。
近代的な醸造(ステンレスタンクや温度管理、オーク新樽使用など)を嫌い、自然のまま醸造を行っています。
シャトーラヤス、ピニャン共にセメントタンクにて発酵を行い、10年来の旧樽を使用して22ヶ月の熟成を行っています。

アンリ ボノーはラヤスやボーカステルに並ぶシャトーヌフ デュ パプ最高の生産者。
最新の濃厚なシャトーヌフではなく、より古典的なスタイルで、その栽培、醸造の哲学はジャック レイノーに近い。
ただこちらの方がより適当で雑多であるのだけど、出来るワインはローヌ有数の恐るべきものとなる。シャトーヌフで十分凄まじい味わいではあるが、ボノーのフラッグシップであるレゼルヴ ド セレスタンはそれを遥かに上回る。
樹齢は60年程度。基本はラヤス同様極端な遅摘みを行う。醸造は古典的で、熟成は小樽か大きめのドミ ミュイ、フードルで48ヶ月熟成が行われ、無濾過で瓶詰めされる。
最高のワインは良年にのみ、わずか12000本程度のみ詰められるレゼルヴ ド セレスタン。もしくはマリーブーリエ。

さて、いってみましょう!


生産者: シャトー ラヤス
銘柄: シャトーヌフ デュ パプ ピニャン 2008
品種:グルナッシュ100%

約13000円、WA89pt。
外観はピノノワールを想起させる淡いルビーで、香りも同じく冷涼地域のピノと近い芳香を放つ。
アンリボノー同様、極めて自然派的な香りだが、より洗練されていて、雑味がなく、透明感のあるヌフになっている。素晴らしい。
溌剌としたオレンジの皮、野性的なアメリカンチェリー、ブルーベリーの瑞々しい果実味。全房に由縁するスパイシーさがあり、リコリス、クローヴなどのドライハーブの香りが強く感じられる。ジャスミン、紅茶などのニュアンスも感じられる。
タンニンより断然酸味の方が豊かで、複雑なスパイスやオレンジ、ベリーの風味が口の中に広がる。古典的なヌフや最新鋭のヌフ、どちらとも当てはまらない個性的なヌフ。
滑らかなテクスチャ、美しい酸味、複雑な要素の調和がやはり素晴らしい。


生産者: シャトー ラヤス
銘柄: シャトーヌフ デュ パプ シャトー ラヤス 2008
品種:グルナッシュ100%

約28000円、WA93pt。
外観はピノノワールを想起させる淡いルビーで、香りも同じく近い芳香を放つ。ピニャンと全体的な構成は近いが、より密度が凝縮し、構成が緻密になっているのがわかる。
例えば果実味であれば、瑞々しいアメリカンチェリー、ブルーベリーの風味に鉄分や果皮の濃い香りが付加されているし、それに合わせるように、タイムや若草、ジャスミンなどのドライハーブや、リコリス、クローヴ、コリアンダーなどのスパイス香が力強く立ち上ってくる。オレンジピールの風味は変わらず存在している。より生々しく燻製肉が感じられる。
こちもタンニンより酸味の方が豊か。ピニャンより液面に強い凝縮感が感じられる。長熟する様な酸味と旨味のバランス。官能的な味わい。


生産者: アンリ ボノー
銘柄: シャトーヌフ デュ パプ レゼルヴ ド セレスティン 2008
品種:グルナッシュ90%、その他10%

約28000円、WA90-93pt
外観は中庸なガーネット、粘性は高い。
とても野性的でパワフルなワイン。
自然派独特の強烈な芳香を放つ。華やかで非常に凝縮している印象。ジュヴレシャンベルタンの様な硬質な印象も受ける。
瑞々しいブルーベリーやラズベリーの果実味、湿った土などの豊かな大地香。シラーらしい獣臭、タイムなどの複数のハーブの香り。熟成肉などの旨味の凝縮した肉の香り。クローヴ、コリアンダー、リコリスなどのスパイスの風味。
口に含むと強い青い香りと土の香り、果実の香りが口の中に広がり、柔らかい酸味とタンニンが感じられる。香りはこんなにも野性的なのに余韻はエレガントに広がっていく。
個性的かつ複雑でパワフルなワインだ。


アンリ ボノーとラヤス。
基本的な哲学というか、方向性は似ていると思います。自然に、なるたけ人の手を介さずにぶどう本来の力を出し切るという方向性。
だからいかにもヌフらしい過剰に熟した果実味は出ないし重みのあるグルナッシュにはならないんだけど、極めて自然な、ともすればブルゴーニュの自然派生産者の様な風味。梗に由縁するスパイシーさや瑞々しい果実味(青果売場の様な)が強く感じられる。
これがベース。ただその中でこの2人の生産者はまた違った個性をもっている。
まずラヤスは前回書いた通り柑橘系の風味や瑞々しいベリー類の果実味、(2008年は異なるが)凝縮した旨味と酸味の厚みがあります。良いヴィンテージ、例えば2007年のピニャンなどには目の詰まった滑らかな凝縮度とテクスチャーがあります。
対してアンリ ボノーは実感としては、やや荒いと言わざるを得ない。
しかしながら獣香や土、ハーブ、熟成肉のとても複雑な香りが力強く芳香する。十分にパワフルに感じるが2008年、他のヴィンテージはより強烈なんでしょうね。若干抽出が強く果皮の香りは強めに感じられました。
例えですが、シャンボールミュジニーとジュヴレシャンベルタンくらいの違いはあるのではないかと。
酸味とタンニンは比較的柔らかいが、ラヤスほどではない。ラヤスと比べると堅牢。
余韻は土やハーブを残して広がっていく。
全体的な方向性は近いのですが、アンリボノーの方が堅牢で野性的ですね。複雑。
ボディや方向性に差異はあれど、シャトーボーカステルの最上のシャトーヌフ デュ パプにも通じる複雑さがあります。
それに比べるとラヤスは断然瑞々しいと思います。

樹齢はほぼ同じですが、分かっている範囲で大きく異なっているのが樽熟成期間ですかね。ラヤスの22ヶ月に対して、アンリボノー
は約2倍以上の48ヶ月にも及ぶ旧樽熟成を行っています。
この複雑味は長い旧樽での樽熟成期間によるのでしょうね。あと特徴的な獣香はよく蔵の中の自然酵母に由縁するという話も聞いているので、ひょっとしたらそれかもしれないですね。はい。

2008年で今回は比較しましたが、2009年、2010年がリリースされた折には是非再検討してみたいですね。



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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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