【ボルドー:4】繊細さと複雑さが際立った2007年モンローズ。アジュールの料理と共に。



こんにちは。
ひさっびさのボルドーです。
基本的にはボルドーは(高いので)あまり飲まないのですが、先日レストランに食事に行った際にいまひとつ求める価格帯で好みのワインが無く...まずまずお手頃なのを探していったら、たまたまボルドーだったという。
そんな理由です。いや、好きなんですけどね、ボルドー。高いんですよ、飲みたいのは。

シャトーラグランジュはメドック第三級格付けのシャトー。80年代前半までは所有者の手腕が至らず品質は低かったが、サントリーの買収以降並々ならぬ投資を経て劇的に品質を伸ばしている。 
白はレ ザルム ド ラグランジュ1銘柄のみ1997年に作られはじめている。
畑は4haで平均樹齢は15年。
厳しい選別と熟したブドウの収穫を徹底しており、収穫した葡萄はマストの圧搾、澱引きが行われる。その後オーク新樽は50%で発酵を行いながら、澱を残したまま12ヶ月熟成され、出荷される。

シャトーカントメルルはメドック第五級格付けシャトー。16世紀後半から存在する老舗シャトーだが、品質を伸ばしたのは1980年になってからである。新しい所有者はセラーの新設や醸造設備の一新し品質の向上に努めた。
畑の平均樹齢は25年で収量は55hl/ha。
発酵は最良ロットは木とコンクリートの槽で、残りはステンレス槽で行う。
発酵温度は品種ごとに変えている。最低22℃で30日間の醸しを行なう。
熟成は新樽40%で12ヶ月熟成を行なう。
軽い清澄のみで濾過はしない。
生産量の60%はセカンドワインのレ ザレ ド カントメルルに回される。

シャトー モンローズはメドック第二級格付けのシャトー。現在はジャン リュイ シャルモリュ氏の下良質なカベルネソーヴィニヨンが生み出されている。
所有する67haの粘土と泥炭土の表土、砂利質で構成された畑は、なだらかに川に傾斜しており、葡萄が熟度が上がる事に一役を買っている。
平均樹齢は40年、収量はわずか32hl/ha。収穫は手摘みで行われる。
醸造はオーク槽(カベルネソーヴィニヨン)とステンレスタンク(メルロー)を30度で発酵を行なう。醸しは20日程度。澱引きは6回。
新樽を25~30%使用で24ケ月熟成の後、濾過はせず瓶詰めされる。

さて、ボルドー、いってみましょう!


生産者:シャトー ラグランジュ
銘柄: レ ザルム ド ラグランジュ 2011
品種: ソーヴィニヨンブラン60%、セミヨン30%、ミュスカデル10%

3000円、WA87-89pt
外観は明るいストローイエロー。粘性は中庸。こないだ飲んだランシュ バージュ ブランに引き続き大当たり。とても清涼感のある綺麗な印象。
砕いた石の様なミネラル感。
いかにもボルドーブランらしいスモーキーな白檀やバターの香り。白い花、フレッシュハーブ、バニラの香りが感じられる。
そしてカリンの果実味や花の蜜などが感じられる。
非常に綺麗な酸味で、ソーヴィニヨンブランの荒々しい酸は感じない。口の中で繊細な酸味と瑞々しい果実味が広がっていく。
よく熟したソーヴィニヨンブラン。オーブリオンブランの様な効きすぎた樽の風味もなく、とてもバランスの良いボルドーブランだと思う。


生産者: シャトー カントメルル
銘柄:レ ザレ ド カントメルル 2008

2500円。
カントメルルのセカンドワイン。
外観は赤みの強いガーネット、粘性は中庸。
やはり価格的なものもあるのか、一般的なボルドールージュと比較すると液体密度が低いのが気になる。
ブラックベリーやプラムの果実味や西洋杉、そしめ腐葉土やトースト、蜜の様な甘みもあり、基本的なボルドー路線から外れてはいない。酸味が際立っており、よりエレガントであるように感じる。タンニンは穏やか。木材と果実の香りが際立つ。
薄いピノノワールの様なボディのボルドー。
ボルドーファンには受け入れ難いかもしれないが、ワインとしては決して悪くないとは思う。


生産者、銘柄: シャトー モンローズ 2007
品種: カベルネソーヴィニヨン54%、メルロー37%、カベルネフラン8%、プティヴェルト1%

約15000円、WA91pt。
外観は中庸なガーネット、粘性は中庸。
熟度は高くないが、ボルドーとしてとても均整の取れた味わいだと思う。スカスカなカントメルルのセカンドに対して、こちらはちゃんと目が詰まっている。そして何より複雑だ。
西洋杉や濡れた土、トリュフ、リコリス、ミントなどのスパイスやハーブ、木材の香りと共に、穏やかなカシスやブラックベリーの果実味が立ち上がる。薔薇のような華やかさ、スーボワ、そしてビターカカオの様な香り。
果実味は突出していない。ヴィンテージの影響かもしれないが、かなり繊細なボルドーと言える。
タンニンや酸味はとても柔らかい。口の中で土や西洋杉、カシスの華やかな風味が余韻を残す。まだまだ若い印象ではある。
均整の取れたエレガントで繊細なボルドーだ。


久々のボルドー、本当に素晴らしかった。
感動。これですよこれ。
まずレ ザルム ド ラグランジュ ブラン。
これで3000円はかなり安いと思う。ブラン ド ランシュ バージュの価格を考えると、こちらがいかにお得かというのが良く分かる。
もちろんブラン ド ランシュ バージュの方が果実味が際立っていて、非常に出来がいいんだけども、ちょっと新世界寄りっぽいんですよね。こちらはもっと繊細。ボリューム感はないんだけど、染み入るような蜜の甘さとか白い花や白檀の華やかさが感じられる。
これで3000円はちょっと破格だよね。
次赤。まずはザレ ド カントメルル。今回の飲んだ訳じゃないんだけど、ボルドーついでに入れといた。
いわゆるボルドールージュなのだけれども、何分密度が薄い。いかにも選定漏れの未熟な葡萄を使ってる感じ。ただ樽も贅沢に使っている訳ではなさそうだから、相対的に果実味は目立つ。その結果こじんまりとした印象を受けてしまう。正直3000円クラスのボルドーワインに注文を付けるつもりは全くないのだけど、結構切ない出来だと思う。
2008は決して悪い年ではないんだけれどもね。
ただ良い点を挙げればボルドーに必要な要素、カシスなどの黒系果実や西洋杉の風味は感じられるので、この価格ではボルドーを感じられるのはまずまずありだとは思う。

そう考えると、より悪いヴィンテージなはずの2007年モンローズがいかに素晴らしいかよく分かる。
2007年ヴィンテージのモンローズはグレートヴィンテージ2005、2009の間では最も悪い年で、果実味の凝縮度や熟度は他の年にかなり劣っている印象です。しかしながらそこで規模感が小さくなるわけではなく、他の要素(樽やスパイスの風味)が果実味を補っている。規模感を維持したまま複雑で繊細な要素が前に出た出来になったと思います。長熟はしないと思います。
ただ全く果実味がない訳では無く、平準的な格付けボルドー並みかそれ以上の果実味はあるかと思いますので、そこは十分に楽しめるのではないかと思います。悪い年なりの上手い作り方をしたなあ、という印象です。さすがモンローズ。

久々のボルドー、堪能致しました。
1級、スーパーセカンドクラスではありませんでしたが、なかなか楽しめました。
まあ、ここら辺が等身大のワインだと思います。

なお今回ボルドーと共に楽しんだ料理はこちら。横浜インターコンチネンタルの「Azur」、コースメニューはオトンヌ、秋の料理です。

◾︎Avant amuse


◾︎Les entree: オマール海老のマリネ、グリルの香りと緑胡椒のヴィネグレット


◾︎Les entree: 鴨フォアグラのポワレ、牛蒡のピュレとトリュフソース


◾︎Poisson: 旬の魚介の包み焼き、甲殻類の軽いクリームソース、ハーブサラダ添え


◾︎Viande: 霜降り牛ロースのグリル、フランス茸のソテー、ソースポワヴルヴェール


◾︎dessert: グランマルニエのパルフェ ダージリンのババロア添え


前菜のオマール海老にはレ ザルム ド ラグランジュ ブランを、メインの霜降り牛にはモンローズを合わせました。
奇跡的なマリアージュ。ラグランジュブランの樽香とソーヴィニヨンブランに由縁する酸味が見事にオマール海老のグリルと合致していた。霜降り牛ローズにも2007年ボルドーの突出し過ぎない果実味と西洋杉のニュアンスが脂の強い霜降りロースと里芋と茸のグリル、茸ソースの大地香と抱き合っていった。
その他はワインと合わせず単体で頂いた。
フォアグラと牛蒡と茸の土っぽい濃厚ソースはそれだけで完成されていたと思うし、土の強い香りが甘口ワインの華やかさの邪魔をするため合わせるべきではないと思った。
またポワソンに関しても、従来通りムルソー、もしくはニューワールドのシャルドネを合わせるべきだと思ったが、特に気分的に飲む気はしなかったので、そこは避けた。

とても素晴らしいディナーだった。
特にオマール海老と霜降り牛ロースとワインのマリアージュは素晴らしかった。



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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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