【シンクさん:2】大手フランチャコルタの近代史とそのお味―今こそ飲むべし超弩級泡!―

こんにちは。
今回の記事はシンクさんより寄稿いただいています。今回はフランチャコルタだそうです。
あんまり飲んだことのないスプマンテ。あんまり自分ではやらないと思うんで助かります(笑
(管理人:HKO)
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ボナセーラ!
お久しぶりの登場です、私です、シンクです!!

さて。
前回、オーパス・ワンでの更新をさせていただきましたが、実は凄く迷っていた事がありました。それは
「お祝い回って、やっぱ泡の方がいいかな!?」
という。
え、どーでもいいです?そっか・・・・・・

さてさて。
そうした訳で、本日は「フランチャコルタからイタリアワインの近代史を感じてみよう」というのがお題です。

フランチャコルタ、というイタリアのDOCGと言いますかスタイルがあります。
単刀直入に言ってしまうと
「イタリアでシャンパーニュめいた作り方をした泡」
という事。
ただ、成り立ちやその歴史感はフランスと全く異なり……そして実に「イタリアの近代ワイン感」を考えるのにイイのです。
今回はちょっと歴史の授業めいたところかスタートし、とても短いながら印象的な「フランチャコルタの歴史感とイタリアワインの歴史感」を照らし合わせるという事をしようかと。
長いですよ~覚悟してね~

―フランチャコルタと近代イタリアワイン―

まず、フランチャコルタのスタートは1950年代頃に若いエノロゴ達が

「なぁ、うちさぁ……シャンパーニュっぽいの作ろと思うんだけど、やってかない?」
「あぁ^~イイっすねぇ^~」

と言うノリで始めたのがスタートとされています。
ついでに、この50年頃のアクションはそんなに重要視されていません。

スタート年号が若すぎ!
と、フランス人なら卒倒します。ドン・ペリ僧侶がうっかりシャンパンを作っちゃったのが1668年です。
パクるにしても遅すぎるスタート。
そしてちょうどこの頃、イタリアワインの「本格的な商業&輸出の高品質化スタート」なのです。

今回のティスティングノートにもなる、カ・デル・ボスコとベラヴィスタも相当遅いスタート。
カ・デル・ボスコの――フランチャコルタの父とすら呼ばれる――マウリツィオ氏の畑の始まりは1967年、彼がワインに目覚めるのが1971年。
またはヴィットリオ・モレッティ氏がベラヴィスタを創設したのは1976年。
70年台後半ぐらいからフランチャコルタは本格始動する訳ですが、ここでお気づきの方は多いはず。
かのサッシカイアの農園設立が1968年、デキャンター誌で(根回ししまくって)一躍スーパーワインになったのが1978年。
そう、まさに「カベルネやシャルドネなどの国際品種のブーム」が到来している訳です。

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今回取り上げるカ・デル・ボスコとベラヴィスタも当然ノリノリで

「あ?クラレット風のがめっちゃブームってるの?」
「んじゃ、俺らはシャンパーニュの代わりになっちゃお^^」
「あ、いいっすねぇ~^^」

と考えたに違いありません。
もともと土地を広くもっていたカ・デル・ボスコと、工業建設業者としてめちゃくちゃお金持ちだったベラヴィスタのトップ達はガツガツとフランチャコルタを作ります。
そしてガツガツと醸造家を集め、計算されたシャンパーニュレシピを元にし、1990年には自分たちの「フランチャコルタ組合」まで作るほどに一気に成長します。
これはもともとの彼らの資金も大きく関係していますが、最大の要因は
「フランス風のワインをイタリアで作る」
という、スーパータスカンをはじめとする国際品種ブームの勢いに完璧にノれた事でしょう。
その中で、聞きつけた連中がフランスでいうRM(レコルタン・マニピュラン)のように小規模でポツポツとわいているというのが流れ。
その為、日本輸入の種類も豊富ではありません。が、そもそも「現地でもやってるワイナリーがあんまりない」という。
なので、技術レベルで言ってしまうとフランチャコルタは大手の最安値~中規模クラスのが安くて買い。
これがフランスの「RMも案外いける」とは若干概念が違う部分ですね。

また、フランチャコルタ系のワイナリーを語る上で欠かせないのが、近代的な設備投資と財力です。
ベッラヴィスタ、カ・デル・ボスコは共にフランチャコルタという泡ワインを作りつつ、なかなかにお高く評価も高い赤ワインを作っています。
それも、それぞれトスカーナやロンバルディアなどの一等地を所有しているのも特筆すべき点です。
それらがそれぞれに近代建築(ペトラ・ワイナリーなど)を行っているのもまさにモダン。
しかも、両者とも「国際品種で」赤ワインもやっているのです。お金がなければ出来ません。

林茂氏著の「基本イタリアワイン」という辞書よりブ厚い本の中で、カ・デル・ボスコが紹介されているページがありますが見出しが
「近代設備を誇る」
であり内容も
「1983年段階でアメリカ人醸造家などを呼び、コンピューター使用」
「ワイン倉庫の上にヘリポートを作るきまんまん」
「まるで映画のスタジオに来た気分になる」
と言った内容。
こうした記述を読むと、アメリカライクだと思う方も多いかもしれませんね。
この辺りのビジネスライクな作り手と、昔からの貴族の作り手が混在しているのがイタリアの面白さだったりします。
どちらかというと当たり外れのない、という点では近代化が進んでいるワイナリーの方が「ハズレ」は引きづらいのもイタリアワインの特徴(博打という意味では小規模生産者を攻めたいですね)
すっごく単刀直入に、

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こうしたフランチャコルタの生い立ちを見ていくと、とても近代的かつ成功の歴史です。
ただ、これも90年台頃の話。
2000年台から見られ始める「イタリア現地品種をもっと大事に祭り」の波にはあまり乗れていません。
ベッラヴィスタがガンベロ・ロッソを2008年に好評価だったなどの見る部分はありますが、現に
「フランチャコルタの歴史感」
が知られていない以上――ここで私が書いているのはイタリア通にとっては常識レベルの話であろう事――から見ても「尊重はされきっていない」「知名度があがりきっていない」「ブーム自体は去っている」訳です。
(より実例をだすと、2013年8月の日本のワイン2大誌であろうワイナートとワイン王国はカンパーニャとシチリアの特集…つまり現地品種やDOCGの特集でした)

それ故か、比較的安く品質の高いモノが未だに飲むことが出来ます。
今こそ、真の狙い目はこの
「近代系の国際品種ワイナリーではないか」
というのが私の
……てなところで、実際のお味の方にいきますね。

―本日のティスティング☆―

なっがい前置きでしたが、ここでようやくティスティングノートです。
まずは
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カ・デル・ボスコの最安値キュベプレステージ。

・・・ですが、実は自分のブログでたっぷり賞賛して書いてるので是非おいでませ~
個人的に最高評価の泡ワインです。

続いては
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ベラヴィスタの最安値、通常キュベです。

色はゴールド系で香りはスッと通るバター。
味わいは甘味と酸味のバランスだと甘味が強めで泡の強度もなかなか細やか。
バター、クリーム、アフターのレモン、若干のココナッツ要素・・・
この辺りの配分にこっそりとチョコを1ピース置いてくれるような質感。
比較的飲みやすく甘みも強めなものの、雑味なくしなやかなバランスと品の高い香りで「安い泡ワイン」とは一線をがしているんですね。

この最安値価格帯を見てみると感じるのは「甘みの良さ」と「この時点から既に感じられるシャンパーニュ風味」という事。
同価格帯やより低価格帯で「甘くて美味しい泡」は結構あるんですが、このシャンパーニュニュアンスというの表現ができているものは無いと経験からの推測をしております。
NVのシャンパーニュと価格としては近しいものの、NVのシャンパーニュより遥かに「シャンパーニュっぽい」と私は思います。
日本人的、またはワイン慣れしていない人にはむしろ高額品よりもこちらを薦めていきたいお味ナノデス!
両方共価格にして4000円でお釣りがきます。

次は中級価格ラインで

カ・デル・ボスコ・ドサージュ0
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カ・デル・ボスコ側の比較的新しいシリーズ。
補糖0のシャンパーニュスタイル。
色はギリギリ透けない程度のイエロー。香りはクリアにバターとパンの印象。
ここまでは割りと下位キュベと代わりはないのです。
ただ、口にしてみるとドサージュ0の意味がハッキリわかります。
ドライ。
甘味は果実系の味わいがほんの少量感じられるだけになっており、乳化を感じさせる部分のみで勝負をかけています。
苦味や泡の細かさの伝わりがハッキリと如実に出るようになっており「のどごしで呑める」シャンパーニュとなっていました。
これは結構異質な味ながら、元々の質感が良くないと「出来ない味」でもあるのです。

次々いきますよ~今度は上のドサージュ0と同価格ぐらいのベッラヴィスタ・グランキュベ
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こちらはヴィンテージ入り。ラベルがわっかりづらい!
色は黄金がかっており泡のたち方もより強い。
香りにバターの質感が豊富に感じられ、清涼感ある白系の香りが目立ちます。
味わいはチョコレートの質感は非常に強くなっており「まさにシャンパーニュ」を感じられる仕上がり。
しかしながら泡のキメの良さとバランスのいい甘さは健在。
より爽やかになったアフターの果実感とハーブ感によってサラッと飲ませてくれる。
最後にチョコ要素が来ることの多いシャンパーニュと比べると、このサラッ感が産地の違いからくるものかしら?
よりパーティー的な印象があり。

という訳で、中域2つですね。
この辺りのヴィンテージ入りになってくると7000円台でシャンパーニュお値段に近くなります・・・が、ミレジムが入っている点では相当安い。
そしてこの辺りに来るとシャンパーニュと言って遜色がなくなります。
ドサージュ0は若干変わり種なのでさておき、ベッラヴィスタのグランキュベなどはとても質感のレベルでも高い次元。
ただ、寝かせた時の質感まではちょっと図りかねます。
比較的軽さもあるスタイルで、今飲んで美味しいという点はありますからね^^;

そして、フラッグシップ・・・これは私、カ・デル・ボスコ側は未経験なので

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ベッラヴィスタのヴィットリオ・モレッティで〆。
なお、これは04の「スカラ座のリニューアル記念?で出されたスペシャルボトル版」です。

色は完全にゴールド。泡の強さもみるからにしっかりしています。
香りは注がれた瞬間から感じられる心地良いナッツ、バター、品のいい洋梨。
味わいも更に繊細かつバランスの良い仕立になっていて。
ナッツとバターの絡み、レモン感の後にグレープフルーツの質感、少しのソープニュアンスを追ってホワイトチョコレートが網状にかけられるよう。
アフターまで心地よくそれらのデザートのような要素がでています。
泡も見た目よりはキツすぎず細やかなタッチ。
シャンパーニュと比べて熟成感はまだないものの、泡としては格上のモノすら感じる素晴らしい逸品です。

これに関してはもう箱とか装飾まで見るべきなのですが、あくまで今回は「大手シャンパーニュを見る」という単元なので省きます・・・うう・・・
ここまでくると1万円中盤に入ってきて、いよいよシャンパーニュ買えちゃいますね?って感じではあります。
なので中域価格帯のようにコスパ良好!とは若干推奨しがたくなってくるのですが、同時にここまでくるとシャンパーニュと本格的にタメを張っている事がわかります。
また、写真をよーく見るとお分かりいただけるんですが今回のベッラヴィスタの最安値とは比較試飲でした。
その範囲だと、確実に香りとシャンパーニュへの近接は、上位キュベのほうが段違い。
私は良く「シャンパーニュの主要要素はチョコニュアンスで、この重たさでシャンパーニュはドイツ法のように価格を定めている」なんて考えちゃったりするんですけれど、それで言うとそこまで重たくありません。
ただ、要素要素の泡感だったりはこのぐらいのヴィンテージで戦わせ合うならば遥かにバランスがとれています。
傾向としてはシャンパーニュの中でも軽め・・・う~ん、ベル・エポックよりは濃いかな?ぐらいのスタイルなのかしら。
また、このクラスのラインでも甘味の飲みやすさというのは特徴的というか、通に言わせると「甘い部分」かもしれませんね。

……以上!
総評としてシャンパーニュを目指した結果、より「家庭的なシャンパーニュ」として完成されている感がどのフランチャコルタにもあります。
他のフランチャコルタも幾つかティスティングしてみたりもしましたが、構造美といいますか値段と釣り合っていないと思わせるようなワインはほとんどありませんでした。
今回の大手2つのハズレなさ、というのは特に鉄板。
なんとなーく「イタリア泡ってイマイチだよな」と錯覚している方は、是非低価格帯のフランチャコルタからお試しください。
そこには
「技術×立地+財力=最強」
というシャンパーニュと全く同じ次元の存在を感じられるかと思います。

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とりあえず試す、ならハーフもいいと思います。


この辺りになると、「シャンパーニュを超える」という意気込みを感じられるのではないかな~
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プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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