【日本酒:1】テロワール別13種から品種、醸造、磨きを眺める。



こんにちは。
ここ3週間ほど、結構な時間を割いて日本酒に集中していました。
勿論このブログのメインはワインなんですけれども、同じ醸造酒であることと、海外市場で盛り上がっている事を鑑みて、ちょっと片手間に勉強していきたいなあ、と思っております。

さて、今回は北は秋田、西は山口県まで、一挙13種類、行ってみたいと思います。


生産者: 阿桜酒造(秋田)
銘柄: 阿櫻 特別純米 活性にごり酒
品種:秋田県産酒小町
精米歩合:60%
アルコール度数:16%

残糖分がやや多めに感じられる。
熟した洋梨の果実味、ややアルコーリック。
泡の刺激もあり、やや酸味も強く感じられる。


生産者: 亀の井酒造(山形)
銘柄: くどき上手 純米吟醸
品種: 山形県庄内産美山錦
精米歩合:50%
アルコール度数:16%

ややアルコーリックな風味。
青リンゴの果実味。
酸味はやや強めで甘みも強い。


生産者:楯の川酒造(山形)
銘柄:主流 楯野川 純米大吟醸
品種:山田錦
精米歩合:50%
アルコール度数:15%

外観は僅かに黄色を帯びた透明色。粘性は中庸。
全体的に丸みがある香りで吟醸香が前に出ている。洋梨やマンゴーの甘露さ、ラディッシュや餅、金木犀、ショートブレッドや生クリームの風味が感じられる。
酸味はとても柔らかで滑らか。平面的に綺麗に広がっていく味わい。


生産者: 新藤酒造(山形)
銘柄: 雅山流 翠月 純米大吟醸
品種:山形県産出羽燦々
精米歩合:50%
アルコール度数:16%

やや黄色を帯びた透明色、
鳳凰美田と比べると、よりなめらかな舌触りで、糠の様な風味は完全に消えている。
より純度の高い香り。よりはっきりとしたメロンと洋梨の風味が感じられる。丸みがある。過剰に甘ったるくなく、酸味も穏やかに感じられる。香りは強いわけではないけど、よく纏まってる日本酒だなあ。


生産者: 酒田酒造(山形)
銘柄: 上喜元 雄町 生酛 純吟 中取り
品種: 岡山県産赤磐雄町
精米歩合: 50%
アルコール度数:16%

濃厚で重みのある香りで粘性も高い。
洋梨のコンポートやショートブレッドの様な甘みが感じられる。クローヴ、杏仁豆腐の香り。
アタックは醸し人九平次と比べると幾分かエッジーな酸が見られる。豊かな甘みを感じさせる洋梨の含み香がある。


生産者: 宮泉銘醸(福島)
銘柄: 寫樂 純米吟醸
品種:福島県会津産 五百万石
精米歩合:50%
アルコール度数:16%

メロンや洋梨などの豊かな熱帯の果実の風味が感じられる。とても滑らかなタッチでソフトな口当たり。ボディは強め。ややドライ。


生産者:萩野酒造(宮城)
銘柄:萩の鶴 純米大吟醸 試験醸造酒
品種:五百万石
精米歩合:50%
アルコール度数:14%

外観は白濁色、微発泡しているが、外観にまでは現れていない。
旨味と甘みが強い。水飴の様な甘露さ、葛の様な旨味が感じられる。マンゴーやアプリコットの果実味、ショートブレッド。
アタックの酸味は柔らかく、セックの様な僅かな甘み、微発泡のピリッとした舌触りを感じさせる。


生産者:小林酒造(栃木)
銘柄: 鳳凰美田 純米吟醸 Wine cell
品種:兵庫県産山田錦
精米歩合:50%
アルコール度数:16%

やや黄色を帯びた透明色、
香りは強くは立っておらず、やや糠の様な風味が感じられる。洋梨や胡瓜の青っぽさがある。
酸味は強めで、ややトゲトゲした甘みが感じられる。


生産者: 萬乗醸造(愛知)
銘柄: 醸し人九平次 雄町 純米大吟醸 2012
銘柄:岡山県産雄町
精米歩合: 50%
アルコール度数:16%

クリーミーだが、ややアルコールっぽさを強く感じる。熟しきった洋梨やメロンの香り。バター。餅米などの原料香。
アタックは驚くくらいシルキーで滑らか。
きめ細やかさが際立っている。熟した洋梨の含み香が感じられる。ボリューム感のある純米大吟醸。温度は低めの方が良いだろうか。


生産者:北川本家(京都)
銘柄:京の夜桜 純米吟醸
品種:山田錦
精米歩合:55%
アルコール度数:15%

外観は僅かに黄色を帯びた透明色。粘性は中庸。
よりシャープさが際立った冷たい印象を受ける。桜餅や水飴の風味や炊きたての米、金木犀、バターなどの風味が感じられる。
アタックはやや酸味と旨味が際立っている。純米大吟醸程の清涼感はないか旨味は前に出ていると思う。


生産者: 旭酒造(山口)
銘柄: 獺祭 純米大吟醸 50
品種: 山田錦
精米歩合:50%
アルコール度数:16%

外観は透明色、粘性は高い。
最も重量感があるふくよかな甘露さが感じられる。
トップノートは熟したリンゴや洋梨。瓜や月桂樹の葉、ショートブレット、桜餅、マシュマロ、葛など。
厚いアルコールのアタックがあり、やや酸味を感じるリンゴの含み香が感じられる。
やや太い作りの日本酒なので、冷やした方がより味わいに纏まりが出そう。


生産者: 旭酒造(山口)
銘柄: 獺祭 純米大吟醸 磨き3割9分
品種: 山田錦
精米歩合:39%
アルコール度数:16%

外観はやや黄色がかった透明色、粘性は高い。
冷ややか、かつ華やかさを増した甘露さが感じられる。
トップノートは熟した洋梨やメロンの吟醸香。餅米や金木犀、ローレル、バターや桜餅、水飴のニュアンス。
アタックは50よりシャープでアルコールによるインパクトは少し落ち着いている。
メロンと水飴の含み香が感じられる。十分冷ややかなので常温でも十分楽しめる。


生産者: 旭酒造(山口)
銘柄: 獺祭 純米大吟醸 磨き2割3分
品種: 山田錦
精米歩合:23%
アルコール度数:16%

外観はやや黄色がかった透明色、粘性は非常に高い。
華やかで透明感のあるシロップ的な甘露さが感じられる。
トップノートは熟したメロン、白桃の吟醸香。金木犀、瓜、ローレル、新茶。バター、僅かに餅米のニュアンスは感じられるものの、ほぼ原料香は無い。ほぼ吟醸香とバターのニュアンスで構成されている華やかな作りだ。
洗練されていて雑味が無い。
アタックも絹の様に滑らかできめ細やか。豊かなメロンの含み香が感じられる。こちらも常温の方が香りが十分に楽しめる。


生産者: 平和酒造(和歌山)
銘柄: Shibata's 紀土 純米吟醸
品種: 山田錦
精米歩合: 50%
アルコール度数:16.7%

澄んだ華やかな香り
含み香に米糠や穀物の香りが感じられるが、トップノーズはかなり華やかで、和梨や温州蜜柑の様な香りが感じられる。桜餅や水飴、金木犀の香りが感じられる。
アタックはピリッとした酸があり和梨や蜜、ローレルの様な含み香りがある。


以下分かったこと。

1: 必ずしも酒蔵のある場所で酒米が作られている訳ではない。
例えば雄町であれば岡山県産、山田錦であれば兵庫県産のものが他県の酒蔵でも使われている。という事を考えると、立ち位置的には酒蔵=ネゴシアン マニピュランの図式が最も良くフィットする。確かにあまり酒蔵が自身で酒米を作っているという話は聞いたことがない。


2:では日本酒におけるテロワールとは何なのか。
醸造工程で使用する水、もしくは酵母。
ただし酵母は協会酵母を使っている例が多く見受けられる為、実質は水かと思われる。
この水が日本酒の風味にどれだけ大きな影響を及ぼしているのかはわからない。
むしろテロワールより酒米の品種、磨き、酵母が味わいを決めている印象を受ける。


3:磨きによる違い。
磨きは米のタンパク質や脂肪胚分を除去する作業。
それを念頭においた上で今回の13種類は全て純米吟醸、もしくは純米大吟醸を比較している。(1本だけ特別醸造があったかもしれない)

・精米歩合50%以上
膨らみのある原料由来の甘い香り。
桜餅や餅米、水飴などの香りが主体。丸みのある余韻。ややアルコール香が感じられる。

・精米歩合50%以下
雑味の無い透明感のある甘露な香り。
フルーツ(洋梨やメロン)などの吟醸香が主体。シャープな余韻。芳香性は高く酵母の影響が強く出ている。

精米歩合が低くなればなるほど、旨味、雑味(というか原料香)が削ぎ落とされ、残糖と酵母(フルーツなどのニュアンス)の芳香が強くなっていく。またデンプンが削ぎ落とされて行くので口当たりもシャープで澄んだタッチになる。
つまり磨きを極めれば極めるほど、ワインで言う複雑さやボディを引き換えに、純粋て無駄のない味わいをを追求していると言えるだろうか。(除梗を行うか、行わないかに近い?)

個人的な感覚だと、純米吟醸の方が香りに多様性があり、複雑で、ボディもしっかりしていたと感じるのだけど、口当たりは今ひとつだった。
純米大吟醸は完全除梗したピノノワールの様に繊細で伸びやかな芳香があり、原料本来の香りより酵母のフルーティな香りが突出していた。シンプルだが口内に抜ける香りから口当たりまで一貫して澄んだ印象を受ける。


4:品種による違い。
今回は山田錦、雄町、五百万石、出羽燦々、美山錦の5つの品目。
同一生産者のものでテイスティングした訳では無いので正確な味わいを分析する事は出来ないが、山田錦に対して雄町は原料香が強く現れている(ような気がする)※同一の磨きで比較。出羽燦々は華やかな印象を受ける。
単純に結論付ける事は出来ない。
あと100種類はサンプルが欲しいところ。


5:個人的な好み
雅山流 翠月 純米大吟醸
獺祭
醸し人九平次
3番でアレコレ言っていたのも関わらず、よく磨いた純粋な味わいの日本酒が好きみたい。やはり精米歩合の高い日本酒の米糠の様な風味とこってりとした舌触りが微妙なのかも。


そんな感じです。
もともと日本酒は好きでしたが、初めてしっかりと向き合いました。
まだまだ要素を捉え切れてないのと、醸造工程と発現する風味を紐付けられてないので、微妙なテイスティングコメントとなりましたが...これから行く行く勉強していこうと思います。適度に。



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プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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