【イタリア:3】ネッビオーロ最終決戦!ブルーノジャコーザとエリオ グラッソのバローロ単一畑を利く



こんにちは、HKOです。
家庭の事情でしばらく更新が滞っておりました。すみません。
今回はピエモンテのバローロとバルバレスコの古典派とモダンを飲み比べてみました。
そういえば、このブログの第一回もモダンスタイルと古典派スタイルの比較でしたね。
バローロ カンヌビ ボスキスとバローロ チカラ。そちらの方も是非ご覧下さい。
さて、今回は古典派からはブルーノジャコーザとプロデュトゥーリ デル バルバレスコ。モダン派からはエリオ グラッソです。
ともにピエモンテでは最高峰の生産者です。

プロデュットーリ デル バルバレスコはピエモンテに拠点を構える世界最高峰のクオリティのネッビオーロを生み出す協同組合(所属組合員は56人)。バルバレスコの中でも最高の区画を所有し、特にレゼルヴァ...アジリ、オヴェロ、モンテフィコ、モッカガッタ、モンテステファノ、リオ ソルド、ラバヤ、ポラといった9つの単一畑バルバレスコは世界的にも高い評価を受けています。
栽培は契約農家(組合員)によるもので、栽培、醸造方法は不明ですが、伝統的な方式で行われていると推測されます。(味わいの方向性的にそんな感じです。)

エリオ グラッソはモダンなスタイルを旨とする伝統的古典派バローロと対になるバローロ ボーイズのひとり。3種類生産されるバローロの中でもルンコトはその最高峰。1995年から良年しか生産されないキュヴェ。2001年、2004年にも生産されており、特に2004年はリゼルヴァも存在する。
ヴァンダンジュ ヴェールトによる厳格な収量制限、ヴァンダンジュタルティヴに手摘みにて収穫し、凝縮感のある葡萄を収穫する。
フレンチバリックの新樽100%で45日間のマセラシオンと、36ヶ月の熟成し、8~10ヶ月間瓶熟の後出荷される。

ブルーノ ジャコーザはピエモンテ ランゲ地区に拠点を構える、古典派バローロ、古典派バルバレスコ最上の生産者のひとり。現在の当主は4代目のブルーノ。1961年がブルーノ ジャコーザとしての初ヴィンテージとなります。
現在は初契約農家から購入した葡萄を使用するカーサ ヴィニコラ ブルーノ ジャコーザ、そして自社畑から産出された葡萄を使用するファレット ディ ブルーノ ジャコーザの二つのラインが存在します
バルバレスコ アジリ、バローロ ロッケ デル ファレット、そのレゼルヴァは自社畑から、バルバレスコ サント ステファノは契約畑から作られているフラッグシップで、両者の醸造法、熟成はまったく同じです。
サントステファノはステンレスタンクで約20日間のマセラシオンを行った後、オーク樽で20ヶ月熟成、瓶内で熟成12ヶ月以上を経て瓶詰め。バローロ ファレットはステンレスタンクで21日間のマセラシオン、オーク樽で30ヶ月熟成、瓶熟成8ヶ月以上でリリースされる。
基本的には伝統的醸造法を踏襲し、バリックは一切使用しない。

では、いってみましょう。


生産者:プロディトゥーリ デル バルバレスコ
銘柄: バルバレスコ レゼルヴァ ヴィネッティ イン アジリ 2008
品種:ネッビオーロ100%

7000円、WA96pt
外観は赤みの強い澄んだガーネットで、粘性は高い。
非常に古典的なバルバレスコ。いわゆるバリック的な風味は感じられないが、突出した果実味と密度が液面に漲っている。
ネッビオーロらしいイースト香があり、木苺やブラックカラント、プラムの黒系果実の果実味。そして薔薇や鉄観音。なめし革、鉄釘の動物的な香り。そして甘草や溶剤、コリアンダー。
樽の風味はあまり強くは感じられない。
どっしりとしたタンニンとエッジーな酸があり、やや荒々しい印象を受ける。
口に含むと黒系ベリーとミルクティーの風味がに広がり余韻を残す。長熟さ、ボディ、香り高さ、どれを取っても最上級のバルバレスコであることは間違いない。


生産者: エリオ グラッソ
銘柄: バローロ ルンコト レゼルバ 2006
銘柄: ネッビオーロ100%

約14000円、WA96pt
ブルーノ ジャコーザのバローロとは大分趣が異なる味わいだと感じた。
外観はやや濃いめのガーネットで粘性は高い。ボルドーに通じる様な樽使いをしているが、明らかにネッビオーロ。スタイルとしてはガヤに近い。除光液の様。カシスやダークチェリーの果皮を感じさせる濃厚な果実味、キャラメルやバニラの甘露さ、鉄観音や樹皮、ポルチーニ茸などの土っぽいニュアンス、生肉。ドライハーブやスパイス(除梗に由縁する風味)が感じられる。
口当たりはタンニンより酸味に寄っておりエレガント。これに関してはブルゴーニュよ方にタッチは似通っている。乳酸やダークチェリーの綺麗な酸味が広がっていく。これはいいなあ。


生産者: ブルーノ ジャコーザ
銘柄: バルバレスコ アルベルサンティ サント ステファノ 2009
品種: ネッビオーロ100%

約17000円、WA95pt(2007)
外観は明るめのガーネット、粘性は比較的高め。
最初は干したような赤系果実のドライフルーツのニュアンスが前面に出ていたが、バローロと比べると徐々に瑞々しい熟したイチゴやフランボワーズの様な果実味も表してくる。バローロほどではないにせよイースト香もある。鉄観音やジンジャーブレッド、ナツメグ、オリーブなどの塩みも。燻製肉、薔薇のドライフラワーなど。香りから見て取れる果実味はとても豊かでみずみずしく、凝縮している。明るく瑞々しい果実味が広がる。
タンニンも酸味もとても力強い。一本筋の入った強さで乳酸の風味と明るいフランボワーズなどの果実が口に広がる。味わいの密度はとても高く、余韻も長い。より果実味に寄っているスタイル。味わいの透明度が高く最高だ。


生産者: ブルーノ ジャコーザ
銘柄: バローロ レ ロッケ デル ファレット 2009
品種: ネッビオーロ100%

約22000円、WA98pt(2007)
外観は明るめのガーネット、粘性は比較的高め。
ブリオッシュやイースト香、そしてラズベリー、チェリーなどの赤系果実のドライフルーツ(砂糖漬け)のニュアンスか非常に強い。ミントやドライハーブ、鉄観音、薔薇の香り。果実味、イースト、ハーブの香りが一塊となって立ち上がってくる。そしてナツメグ、ハチミツ、塩オリーブ、燻製肉のニュアンスも。
華やかではあるが、バルバレスコより重い印象。タンニンはバルバレスコより幾分か強く、酸味も豊か。強烈な凝縮感と、より明確な乳酸、ドライベリーっぽい味わいが広がる。余韻は長い。


王道のバルバレスコの作りですね。
赤黒系ベリーのジャミーな味わいに鉄観音の乾いた葉の香りや薔薇、イーストの香りが混ざるというスタイルです。
しっかりとした凝縮感がある味わい、かつ酸とタンニンのパワフルさも感じられます。
ブルーノ ジャコーザのサント ステファノと比べると透明感や洗練さは大きく劣りますが、果実味の豊かさ、鮮明さ、それを受け止めるボディとのバランスはとても良いワインだと思います。果実味が比較的豊かなのは、アジリの素晴らしい土壌で生まれたものだからかもしれません。
次に古典派バルバレスコ最高の生産者のバルバレスコのフラッグシップ。バルバレスコ アルベルサンティ サント ステファノ。
これがもう、本当に素晴らしい。バルバレスコの評価を根底から覆す様な味わい。
熟したイチゴやフランボワーズの瑞々しい果実味、鉄観音の様な干した葉、ジンジャーブレッド、スパイスや野生的な生肉。グラスの中で凝縮したり開いたり、まるで呼吸をしながら彩りを変えている様。そしてネッビオーロのイースト香が軽く備わっている。
バローロの様にこのイースト香や黒系果実味が強く前に出過ぎていないのがいい。瑞々しさとその他の要素のバランスが極めて良い。
その味わいたるやジョルジュ ルーミエの1級レ クラを飲んだ時の印象に非常に近い。むしろレ クラより複雑である。口に含んだ時のマロラクティック発酵による乳酸の爽やかな甘みをほのかに感じる。
次にテロワール違いのバローロ レ ロッケ デル ファレット。こちらはバローロのフラッグシップ。
ブルーノジャコーザのポートフォリオの中では最上級となるが、個人的にはバルバレスコの方が好みだ。
バルバレスコは瑞々しく熟した果実の風味が感じられるが、こちらはややブリオッシュやイーストっぽい香りが強く出ている印象。
全面にはそういった要素が出ていながら、果実味はよりドライで凝縮した濃厚な甘みがある。バルバレスコの瑞々しさとは全く逆の果実味。わずかに酸味を感じさせるベリーの香りも伴う。ミントやハーブの香りが前に出ているのもバルバレスコと異なる所だろう。
口当たりに関してもバローロの方がタンニンも酸も力強く重量感のある味わいだと思う。
乳酸を伴うアフターはバルバレスコと同様である。なるほど、見る人が見たら、こちらの方が上位かもしれない。
瑞々しさはないけどもドライフルーツの様な超凝縮した残糖、強烈なタンニン、豊かな酸。しっかりした樽香。これらからは数十年熟成するポテンシャルが感じられる。複雑味もあるし、途轍もないワインであることが伝わってきます。
最後、今までは古典派のバルバレスコを見てきましたが、こちらはモダン派のバローロボーイズのもの。エリオ グラッソのバローロ ルンコト。
樽使いは明らかに古典派と異なる部分でよりフレンチオークの甘露で香ばしいニュアンスが強く前に現れている。またやや強めに抽出を行っているのか、黒系果実の果実味や華やかさが強く現れている。そしてスパイシー。恐らく除梗は一部していないのでは、と思う。古典派と共通する部分はイーストの香り位か。ネッビオーロ固有の香りかもしれない。もしくはピエモンテの自然酵母か。
かなりワインの姿は違う。たしかにこちらの方が早飲みできるし、熟成も期待できる。
好みのスタイルだ。乳酸の出方もネッビオーロ固有かも。

やはりピエモンテは古典派とモダンの二極化されていると思う。古典派は古典派でスタイルは似通っているし、モダンはモダンで似ている。やはり醸造はかなりワインの味わい、香りに影響を与えている。バローロ、バルバレスコでも全く異なるワインだ。
たとえばガヤはモダンだし、アルドコンテルノは古典派だ。わかりやすいといえばわかりやすい。
市場に受け入れられやすい(というか販売しやすい)のはモダンだが、共に素晴らしく、どちらが優れている、ということを論じるのはナンセンスだろう。





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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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