【カリフォルニア:13】カリフォルニア最高峰のシャルドネ3本を利く


こんにちは、HKOです。
今回はカリフォルニアの最高のシャルドネたちです。
それぞれスタイルの違うシャルドネで、カリフォルニアの多様性を感じさせてくれる3本です。
キスラーのキャスリーン、オーベールのリッチーヴィンヤード、モンテレーナのシャルドネの3本。いずれも素晴らしいシャルドネでした。...コストを考えなければね...


シャトーモンテリーナは1882年、ナパヴァレーに設立された老舗ワイナリーで1972年にジム バレットが買収してから目覚ましい功績を残しています。中でも有名なのが76年パリテイスティングでルーロのムルソーシャルム、ジョセフドルーアンのクロ ド ムーシュ、ラモネのバタールモンラッシェを抑えて白部門でトップに選ばれた伝説的なシャルドネを作ったことが有名です。
ナパヴァレーのシャルドネとしてはマロラクティック発酵は行わずステンレスタンクにて発酵。新樽は15%以下に押さえて熟成させるスタイル。そのスタイルはシャブリにも似通っていると言われています。(個人的には果実味的にシャサーニュかな、と思いますが)

キスラーは1978年にルシアンリヴァーヴァレーに設立されたカリフォルニア最高峰のシャルドネを産出する生産者。収量を抑え、丁寧な栽培を行った樹齢の高いシャルドネやピノノワールは収穫後選果され、それぞれのキュヴェに回される。
キャスリーン、キャサリン共に新樽比率は100%で熟成され無濾過、無清澄で瓶詰めが行われる。マロラクティック発酵は完全に行われる。フラックシップはキュヴェ キャスリーン(Ch100%)、キュヴェ エリザベス(PN100%)。
オーベールはピーターマイケル、コルギンなどの醸造コンサルタントを務めたマーク オーベール夫妻によって設立されたワイナリー。ソノマでシャルドネとピノノワールをメインに生産しています。 (ちなみにあの気難しいヘレンターリーのアシスタントも務めていたとのこと!)日本への輸入は2010年が初。今回のリッチーヴィンヤードは樹齢36年のシャルドネを使用しており、発酵は4ヶ月程度、フレンチオーク新樽で14ヶ月の熟成。おそらく新樽比率は100%でフルマロラクティック。

ではいってみましょう。

生産者: シャトー モンテリーナ
銘柄: シャルドネ 2010
品種:シャルドネ100%

約8000円、WA89pt(2009)
外観はやや濃い目のストローイエローで、粘性は高め。
マロラクティック発酵を行っていないと思えないリッチな果実味。キスラーをもう少しシャープにした様な味わい。
豊かなミネラル感、フレッシュハーブや白い花の蜜、ライチや洋梨の様な果実味が感じられる。そしてヘーゼルナッツや白檀のニュアンスが感じられる。
果実味が豊かで樽も程よく効いているので、マロラクティック発酵なしのシャープさを見事に受け止めている様に感じる。
酸味はシャープで口当たりにもしっかりとしたミネラル感がある。ライチやレモンなどの酸味を強く感じる味わいがある。
グレートヴィンテージのブルゴーニュにも似ている部分がある。


生産者: オーベール
銘柄: シャルドネ リッチーヴィンヤード 2011
品種:シャルドネ100%

約17000円、WA94-96pt(2009)
外観はやや濃い目の澄んだストローイエロー、粘性は高く、とろみがある。
埒外の果実味豊かさ、極めて豊満な熟したシャルドネ。カリフォルニアの日差しを感じさせる過熟感がある。それでいてミネラル感や酸味もしっかりと有している。
熟したパイナップルやカリン、パッションフルーツなどの果実味、そしてねっとりとした核種系の蜜、バタースコッチ、そして白い花の香りを主体として、ドライハーブ、ヨーグルト、ヘーゼルナッツなどの風味が強く感じられる。
酸味は繊細できめ細やか。バニラとモカ、黒砂糖の豊満な余韻が広がっていく。濃厚でありながら複雑。クリーミーかつ高密度。
突出したシャルドネだ。


生産者: キスラー
銘柄: キスラーヴィンヤード キュヴェ キャスリーン 2010
品種:シャルドネ100%

約30000円、WA94pt
外観は中庸なストローイエロー、粘性は高い。
ノワゼッティエールや単一畑のシャルドネはそこそこボリューミーかつしっかりとした酸をもった素晴らしいシャルドネだったが、ちょっと様子が違う。
よりブルゴーニュらしい作りのシャルドネ。醸し出す雰囲気はカリフォルニアなのだが、酸味の出方がそっくりだ。ミネラル感は強く感じない。
ドライハーブ、杏仁豆腐、ロイヤルミルクティーのエレガントな風味。そして白い花、カリン、マンゴーの柔らかい果実味。僅かに火打石の様なニュアンス。焦がしたバタースコッチ、リコリス、ヘーゼルナッツなど。
ややオーベールと比べるとやや酸が際立っており、果実味についても控えめである。
エレガントと表現すべきか。ただキスラーに望んでいるシャルドネの方向性とはちょっと逸れている。核種系の蜜や白い花、マンゴーの果実味が舌を抜ける。ふくよかな部分はありながら、バランスが良くしっかりと凝縮している。


今回のキスラーはシャルドネのフラッグシップ、キュヴェ キャスリーン。
ノワゼッティエール、ストーンフラットヴィンヤードと幾つかのシャルドネを飲んでいるが、今年のキスラーはちょっと果実味が控えめかな、と思う。
それを活かしてか、非常にブルゴーニュ的にまとめているのだけど、それにしたってミネラル感が不足している。バランスは良い、それは間違いないのだけど、いささか看板に対して拍子抜けしてしまう味わい。
カリフォルニアらしい果実味はしっかりとあり、まとめ方はブルゴーニュ的。果実味、ミネラルが少なくて、(カリフォルニアとしては)酸がやや強め。
徐々に甘露さも現れてくるものの、オーベールのリッチーヴィンヤードと比べると不足感が否めない。マックレアヴィンヤードも同一ヴィンテージだったが、確かに以前のレビューを見るといきなり全力ではなく、徐々に甘露さを増していて、ハーブの香りが主体となっていたようだ。
パーカーポイントも2009年と打って変わって2010年のキスラーには、やや辛めの点数を付けているが、つまりそういうことなんだろうと。ちなみに09のストーンフラットは2010キャスリーンより93-95pt高いポイント。
別に点数で見てるわけじゃないんだけども、このスタイルから見ると当然かなあ、30000円台と言い張るのはやや厳しいと思います。
次にオーベール。
これがまこと素晴らしい!本職はピノノワールですが、シャルドネでここまでのものが出来るとは!カリフォルニアらしいシャルドネのほぼ最高レベルといっても良いのではないか。濃厚でねっとりとした過熟した南国フルーツの味わい。でもしっかりと酸味も保有している。添えるように白い花やバタースコッチの風味。パワフルなボディによって誤解しそうだけども、意外と精緻な作りだと思う。
クリーミーなシャルドネだ。
キスラーの最高のヴィンテージはミネラル、酸、果実味が一体化している(最高のブルゴーニュの)お手本の様な味わいでしたが、こちらは完全に果実味突出型のワイン。ブルゴーニュで言えばムルソーだけど、それでもここまで果実味と樽がしっかり効いているわけではない。リッチなシャルドネの最高峰だ。
最後はシャトー モンテリーナ。
パリテイスティングの主役ともなったワインですが、とんと話を聞きません、何故でしょうか。わかりませんが、品質は流石の一言。
ノンマロラクティックによる酸のシャープネス、それでいて果実の熟度は高く樽も程よく効いているので、切れ味の鋭いシャブリや寒冷地のシャルドネの様なスタイルにはなっていない。十分に熟した味わいが感じられるバランス重視の味わい。クリーミーな風味はありませんが、ボディがしっかりしたワインだと思います。たしかにこれなら70年代の微妙なブルゴーニュには余裕で評価は上回るでしょう。

これらを見る限り、カリフォルニアのシャルドネを見ても、かなり生産者に違いがあることがわかります。
実は私としては、違いを生み出している第一要因はテロワールではなく、その醸造スタイルがかなり大きいと思っています。
もし、テロワールが上回るならナパにあるモンテレーナがより過熟し、ソノマのオーベールはよりミネラリーになるはずなので。
ブルゴーニュでも醸造スタイルによる違いが違いを生み出す最も大きな要因ですが、カリフォルニアも例外ではないと。
今回のテイスティングを通してより強く実感した次第でございます。



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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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