【ボージョレ2013】2013年ヌーヴォーと2011年クリュボージョレを利く。

こんにちは、HKOです。
昨日はボージョレ解禁日でした。
毎年思うのですが、この時期になるとワイン人口が増えてとても楽しいです。
素直に自分の好きなものに周りが興味を持ってくれるのは嬉しいですよね。
なので、このブログは積極的にお祭りには乗っかって行こうとおもいます。
今回は2013年のマルセル ラピエールのヌーヴォー、そしてドメーヌ ド ラ グラン クールのクリュ ボージョレ、フルーリー、シャトー デ ジャックのムーラン ナヴァンです。

マルセル ラピエールはボージョレ地区モルゴンに拠点を置くボージョレ最上の生産者。そしてビオの先駆者の一人でもあります。
現在は息子のマチュ ラピエールが指揮をとっています。
決して他の地域のワインは作らずモルゴンのテロワールの個性を大切に丁寧に描き出している。
栽培はビオロジックによって行われ、手作業で収穫、自然酵母で発酵、密閉タンクに直接炭酸ガスは注入せず、20度前後で5~6日間、自然発生した二酸化炭素で色素と果皮成分を抽出していく。(セミ マセラシオンカルボニック)古樽に移し澱とともに熟成。SO2添加は原則行わない。ポートフォリオはACボージョレ、モルゴン、モルゴン サン スフル、ジュリエナ、コート ド ブルイィ、シエナ、シルーブル、フラッグシップはモルゴン キュヴェ マルセル ラピエール。
今回はそのボージョレ ヌーヴォーです。

ドメーヌ ド ラ グラン クールはボジョレー地区フルーリーの最古の生産者。当主ジャン ルイ デュトレーヴが指揮を取っています。
自然派生産者でエコセール認証を取得しています。
葡萄は手摘みで収穫し、圧搾。自然酵母を使用し発酵、熟成期間を経て出荷されます。テロワールと畑仕事を存分に表現したワインには定評があります。 フラッグシップのクロ ド ラ グラン クールは平均樹齢30年の古木を使用し熟成には30%をオーク樽、35%をステンレスタンク、残りの35%をオークの大樽を使用している。

シャトー デ ジャックはルイジャドがボージョレで運用しているムーラン ナヴァン最良の名門ドメーヌ。醸造責任者はギョーム ド カステルノー。ムーランナヴァンに27haの畑を保有し、5つの単独畑(クロ デ ロシュグレ、クロ デ グラン カルクラン、シャン ド クール、ラ ロッシュ、クロ デ トラン)を個別に醸造しています。またモルゴンとシエナにも畑を保有しています。
これらのガメイ畑をピノノワール同様、除梗を行い、自然酵母を使用、開放槽でピジャージュをしながら発酵させていきます。また発酵後は通常のムーランナヴァンで一部新樽を使用し8-9ヶ月、5つの単一畑では新樽100%で24ヶ月熟成にて出荷されます。

では、いってみましょう。


生産者: マルセル ラピエール
銘柄: ボージョレ ヌーヴォー 2013
品種: ガメイ100%

約3400円
外観は澄んだ淡いルビー、粘性は低い。
マセラシオン カルボニックに由縁するバナナ香は感じられない。摘んだばかりのフレッシュなイチゴやフランボワーズの果実味、キャンディ香、マロラクティック発酵に由縁するヨーグルトのニュアンス、ローリエ、ほのかに赤い花の蜜など。
基本骨子はシンプルで、骨格もライトボディであるものの、魅力的なフレッシュさとアセロラの様な旨味があり、短いが綺麗に消えていく余韻がある。タンニンは僅かに感じられる程度、柔らかい酸がある。
2012年の方が果実味は強いかもしれない


生産者: ドメーヌ ド ラ グランクール
銘柄: フルーリー クロ ド ラ グランクール 2011
品種: ガメイ100%

約2500円
外観は非常に濃いルビー、粘性は中程度。ボージョレ新酒とは完全に趣が異なるボディと骨格がしっかりしたガメイ。そして自然派らしい、ブレタノ臭に近い香りも感じさせる。
まず主体となるのが、その厠臭ではあるのだけど、幾分か時期を過ぎると寒冷地のピノノワールの様な風味が現れてくる。
ドライハーブや八角、クローヴなどのハーブ、スパイス香。そしてやや果皮を強めに感じるダークチェリーや黒すぐりの果実味、薔薇やスミレ。なめし革、獣香。スパイシーさや獣香が主体となっており、かなりクセは強い。
酸味、タンニンともに豊かでややギスギスしたところがある。ラムネの様な風味。果皮や酸味の強いベリーをかじった時の印象。
ただフルーティーなだけではなく、強固なタンニンと確かな骨格を持っている。


生産者: シャトー ド ジャック(メゾン ルイジャド)
銘柄: ムーラン ナヴァン 2010

3500円、WA88-89pt
外観はやや濃い色調のルビー、粘性は中庸。
ブルゴーニュ、コートドールのワインにも迫る偉大なムーランナヴァンだ。ルイジャドの上位ワインに似ている。
正直ガメイと言われなければ気がつかない程果実は凝縮しており
柔らかな紅茶やバニラ。梗のクローヴ、果皮によるスミレ、凝縮したイチゴやブラックチェリーの果実味が感じられる。燻製肉やシナモン、線香やシロップの甘露な風味が感じられる。黄金飴。全体的にルイジャド印が強く感じられる作り。
酸味は柔らかく、タンニンは感じられるが収斂性は高くないように感じられる。
砂糖に漬けた黒系果実の果実味の余韻が残る。


はい、今年のボージョレ ヌーヴォーとクリュ ボージョレを比較してみました。
全く違いますね。当然ボディ、香り、酸、タンニン、全てがクリュが深く力強い。
これにはマセラシオン カルボニックの有無と樽熟成期間、そしてテロワールの違い全てが関わってきています。良質なテロワールを持つフルーリーとACボージョレの新酒だと、やはり条件が違いますし、簡易的な抽出のマセラシオンカルボニックの適用有無もボディ、酸、タンニンの抽出に大きく影響を及ぼしています。まあリリース日ありきの新酒とだと手を加える期間(樽熟成期間)も変わります。
ただカルボニックを採用している時点で長期の樽熟成期間はマイナス要素にしかなりません(タンニン、酸の抽出があまりされないのでボディが生まれず、樽熟成に耐えられない)ので、造りとしては妥当だと思います。
果皮成分はワインの官能成分になりますので、その要素が抽出されない時点で、全くの別物であり、新酒はテロワールの再現に向きません。
故に一般的なボージョレヌーヴォーは「ワインではない」というワイン好きの間で流布されている思考は、至極真っ当というか、まあ理解できる所ではあります。
まあ、ただ、そういう特徴を持ったワインであり、フレッシュさが売りのワインなので、それをやれブルゴーニュやボルドーのグランヴァンと比較するのは野暮ってもんだと思います。正直結構そういう話を聞くので辟易しています。例えばボルドーとブルゴーニュは同列には語らないのに何故ブルゴーニュと新酒を並列で考えるのか。
さて今年のボジョレーはどうだったか。
2012年は不作の年でしたが、今回の2013年は幾分か果実味が落ちていると感じました。見方としては2012年は自然が行った剪定がありましたので、ちゃんと選果を行った生産者は成功していたと思います。2013年は幾分か恵まれた年ではありましたが、翻ってフレッシュな作りになっていました。ヴェレゾンの部分で弱かったのか、比較的強い抽出となるセミカルボニックでもタンニンと酸の抽出は穏やかだったと感じています。
これはこれでフレッシュで美味いですが、単純に出来としては2012かな、と思います。
対して2011年のクリュボージョレもまずまず良い年(ブルゴーニュでいえば一般的な)だったと思いますが、しっかりした体躯の味わいのワインとなっていたと思います。
今回のフルーリーはハーブの香りと黒系果実の風味が感じられました。カチッとまとまった造り。ただ自然派的な部分で、一部ブレタノ系の香りが感じられた(汚染ではないと思いますが...)のが、やや残念な所ではありますが、ガメイの本質を感じられる作りにはなっていたと思いますね。冷涼な作りではありますが、なかなか良く出来ていると思います。
追記ですが、ルイジャドのムーランナヴァンは流石に凄かった。グラン クールのフルーリーもなかなか良かったけれども群を抜いてブルゴーニュのピノノワールに追従する出来だ。ブラインドで利いたらジャドのジュヴレシャンベルタンと間違えるかもしれない。
マロラクティック発酵に起因するミルクやしっかりとした抽出に由縁するスミレなど、樽によるバニラの香りもある。複雑で力強いボディ。そして黒系果実の凝縮した果実味。
ガメイを思わせるキャンディ香はなく、よりコートドールのピノノワールに近い味わいである。唯一ガメイ的だと感じる部分は色調の割にタンニンの抽出が穏やかだという点くらい。(それでもボージョレという枠内で考えると強固ではある)
そもそも醸造方法からしてヌーヴォーとは異なりますし、グランクールのフルーリーとは近代的な醸造が、伝統的な醸造かで大分差異があるように感じられますね。
本来はここに含めていいワインなのかはわかりませんが、ボージョレの可能性の一端ですね。

以上比較してみましたが、やはりワインとしての質は完全にクリュだと思います。そして驚くべきはその値段でたとえば今回のラピエールのヌーヴォー、約3700円で購入しましたが、1000円足せば最上位のモルゴン キュヴェ ラピエールが手に入ります、ただの村名モルゴンなら2000円代で。
いかにヌーヴォーが高いか分かります。
まあお祭りの屋台で売っている高い素人の焼きそばにケチを付けないように、ヌーヴォーもまずは収穫の喜びを楽しもうではありませんか。そしてガメイの本当の姿が気になったら、クリュを飲めば幸せになれるかもしれません。

さて、今年のお祭りも終わったので、残ったラピエールのヌーヴォーを土日で消化していこうと思います。ありがとうございました。



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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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