【ブルゴーニュ:48】偉大なるアンリボワイヨのクリオバタール、堅牢なプリウールのペリエール、ラフォンのシャルムを利く


こんにちは、HKOです。
最近特に寒くなりましたね...赤ワインが美味しい季節になってまいりました。
温度管理が難しい時期ですが、暖かい部屋で飲むワインは格別ですね。
本日はブルゴーニュの白になります。
ジャックプリウールのレ ペリエール、ラフォンのレ シャルム、アンリボワイヨのクリオ バタール モンラッシェです。

グランクリュコレクター、ジャックプリウール。18世紀に設立された老舗ドメーヌですが、この生産者のラインナップがびっくりするほど凄い。特級、特級格の一級だけ見ても、赤はシャンベルタン、ミュジニー、クロ ヴージョ、エシェゾー、コルトン。白はモンラッシェ、コルトンシャルルマーニュ、ムルソーペリエールと格村々の最も偉大な特級畑を大量に所有しています。過去はそんな素晴らしい畑を持ちながらもパッとしないワインを作っていた様ですが、1988年より運営会社が変わりナディーヌ ギュブランが参画してから劇的にその品質は向上しています。97年にはベストワインメーカー オブ ジ イヤーをとっている辺り、悪い作り手ではなさそうてす。今回のペリエールはビオロジックにて栽培され、19ヶ月の樽熟成を経て出荷されます。

説明不要かもしれませんが、コントラフォンはムルソーに拠点を置くドメーヌで、ブルゴーニュ、世界の生産者の中で常にルフレーヴ、コシュデュリと共にトップドメーヌとして語られる、シャルドネのスペシャリストです。
栽培醸造に関しては全ての畑でビオディナミを実践し、収量を25-40hl/haにまで落とし栽培を行う。収穫後2回の選定を行った上で圧搾、その後ステンレスタンクでデブルバージュ。新樽と旧樽へ移し低めの温度でアルコール発酵。
マロラクティック発酵を行いながら最大40%の新樽比率で21ヶ月の熟成を経て、無濾過、無清張で瓶詰めを行っています。
赤は除梗後、ステンレスタンクで6日間程度の低温浸漬。20日程度でアルコール発酵後圧搾。ピジャージュは最後の10日間のみ1日2回ピジャージュを行う。新樽比率は30%程度で18ヶ月から20ヶ月の熟成を経て瓶詰めされます。
コントラフォンの旗艦銘柄は特級モンラッシェ、ムルソー ペリエール、ジュヴヌヴィエール、シャルム。どの銘柄も人気が高く、上位銘柄は 価格も併せなかなか入手しづらいのが現状です。

アンリ ボワイヨは1885年創業のヴォルネイに拠点を置くドメーヌ。現在は5代目のアンリ ボワイヨが指揮を取っています。所有する畑はピュリニーモンラッシェとヴォルネイを中心に約15ha保有している。
リュットレゾネを実践、年に10回程度畑を耕し除草剤は不使用。収量は低く平均収量は白が45hl/ha、赤が35hl/ha程度。
春には摘芽し、夏にはグリーンハーヴェスト、収穫時は収穫しながら選定(病気の年にはピンセットで選果)、トラックに積む前に選定を行い、最良の粒のみを厳密に選び出します。暑い年はシャルドネを先に選定するなど過激な程のぶどう主体の生産を行っています。白は果実を空圧式プレスにて絞り、樽にて約20日間アルコール発酵を行います。熟成は通常よりも大きい350リットルの新樽(30-80%程度)を使用し、ワインと樽との接点を少なくして緩やかな熟成を促します。滓引きとコラージュ後、軽いフィルターをかけ瓶詰めを行います。

ではいってみましょう。


生産者: ジャックプリウール
銘柄: ムルソー プルミエクリュ ペリエール 2010

14000円、WA87-89pt(2009)
外観は淡く澄んだストローイエロー、粘性は中庸。石を舐めたようなミネラル感がある。
ムルソーらしくリッチな果実味がある、が、密度自体はそこまで高いわけではない。樽はそこまで強くないがマロラクティック発酵に起因するニュアンスがはしっかりと感じ取れる。豊かな花の蜜や洋梨、マンゴーなどの果実味、バニラやバターのニュアンス、ごくわずかにノワゼット。白い花やシナモン、ドライハーブの風味。だが根底にあるのは石のようなミネラルだ。
香りに関しては平準的なグランヴァンだが、味わいや舌触りが極めて素晴らしい!
柔らかい酸味と甘露な洋梨のニュアンス、バニラの余韻。一連の口当たりの立体感がしっかりとある。余韻は短めだが一瞬のうちにめくるめく味わいが感じられる。


生産者: コント ラフォン
銘柄: ムルソー プルミエクリュ シャルム 2010

約32000円、WA93-96pt
外観は淡いストローイエロー、粘性は中庸。
力強い樽とミネラルに隠れた膨大な果実味がある。(ソゼやルーロ、2009ラフォンと比べれば全然バランスは良いが)
張り巡らされたオイルの様なミネラル、シャンピニオン。フレッシュハーブ、素焼きのナッツのニュアンスが前にありながら、ライチや洋梨の果実味の旨味だけが感じられる。(甘みはまだ感じられないが、間違いなく香りから強固な果実味があることはわかる)
ヨーグルト、プレーンバターなどのマロラクティック発酵によるニュアンス、リコリス、樹皮など多様な要素が閉じた液体の中に包含されている。果実味はとても豊かだ。
口に含むと滑らかだが厚みのある酸と洋梨の果実味、バニラ、バター、シロップの風味が口内に広がっていく。ミネラル感も含め複雑な余韻が残る。


生産者: アンリ ボワイヨ
銘柄: クリオ バタール モンラッシェ グランクリュ 2006

約33000円、WA94-96pt(2008)
外観はやや濃い目のイエロー、粘性は高い。
樽と果実味が溶け込み始めており(完全に、ではない)クリスピーな表情が現れ始めている。あと2、3年でいい感じになりそうだ。
明確なバターやノワゼットの香り。甘露さはそこまで突出しているわけでは無いが、カリンや洋梨のしっかりとした果実味、シロップ。幾分かのミネラル感がある(この手のシャルドネにしては穏やかか)。ハーブや白い花、バニラやキノコなど。やや米酢っぽさも。
酸はまだまだ生き生きとしており熟成のポテンシャルは感じられる。まだまだフレッシュだ。口の中でカリンやマロラクティック発酵に由縁するバターの香りが広がる。
これから期待できそうなワイン。

さてさて、ではいってみましょう。
まずはジャックプリウールのムルソーペリエール。流石にラフォンやコシュデュリの様な引く手数多のスター生産者と比べると、やはり密度や樽香部分に関して不足感があります。しかし良い所はむしろそこで、今の段階でもとても美味しく飲める稀有なペリエールであります。
ペリエールはムルソー最上の1級畑。「石切場」を意味する畑名の通り若いヴィンテージだとミネラルが強すぎて、なかなか美味しく飲めません。その点プリウールのペリエールは果実味が豊かで、石を舐めた様なミネラル自体ははっきりと感じられるものの、果実味に蓋をしている訳ではありません。また樽やマロラクティック発酵によるニュアンスもワイン全体の複雑さ、果実味を際立たせる要素程度で抑えられています。密度は1級としては平準的ながらムルソーらしく洋梨やマンゴーなどのリッチで甘露な果実味、適度なミネラル、樽香が感じられる。
ムルソー一線級の生産者のスタイルに追従せず、自身のスタイルを押し出したムルソーでした。

ラフォンの2010シャルムはジャックプリウールのペリエールと比べると密度、果実味の厚みが突出しているが、それに合わせてパワフルな樽香とオイルの様な樽香があり、まさに果実味に蓋をしている状態。いわば完全に閉じている状態ですが、今飲んでも規模感とかポテンシャルは十分に感じられるのが凄いですね。流石です。
20年も熟成すれば恐ろしい姿を見せることでしょうね。
ただリリース当時の2008ヴィンテージのシャルムと比べると幾分か樽の印象が軟化している。果たして樽の利かせ方を変えたのか、果実味が際立って相対的に樽の要素か穏やかに感じられるのかは垂直しないとわかりませんが、2010年はラフォンの中では比較的わかりやすく作られていると思います。
甘露さはまだ出ていないが、ライチや洋梨の果実味の強靭な分厚い旨味だけが感じられる。プレーンバターや素焼きのナッツなどの要素も。
今飲むならプリウール、寝かせるならラフォンですね。価格差はまあ妥当だと思います。

最後はアンリボワイヨのクリオ バタール モンラッシェ。シャサーニュモンラッシェのみの唯一の特級畑(ル モンラッシェはピュリニーに跨っています)。栽培面積はわずか1ha。出会うのがそもそもレアですが、これがもう本当に素晴らしい。
樽と果実味が溶け込み始めておりクリスピーな表情が現れ始めている。あと2、3年で綺麗に熟成するのではないかと思います。果実味とマロラクティック発酵、樽のニュアンスそれぞれが均整が取れている。シャサーニュらしくミネラルは突出しておらず、あくまで果実味を前に押し出した作り。マルクコランの作りによく似ていると思います。白い花やバニラ、キノコなどの要素も感じられ、複雑なストラクチャーを構成している。
これから熟成していくと、とても良くなるのではないかと。シュヴァリエやバタール、ル モンラッシェと比べると、やはり格下感は否めませんが、ビアンヴニュと共にモンラッシェの脇を固める特級畑に相応しいワインだと思います。

やはりこのクラスのブルゴーニュ シャルドネを飲むとエレガンスさと果実味の奇跡的なバランスに驚かされますね。早飲みしても熟成させても美味い新世界のシャルドネも素晴らしいのですが、このエレガンス、複雑さ、そして一筋縄ではいかない味わいを感じるとブルゴーニュファンでよかったな、と思います。



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プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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