【ボルドー:10】熟成の頂点、不可逆を可能にするオーブリオン1989の優美なる本当の姿

こんにちは、HKOです。
本日も引き続きボルドーレポート。WA100ptを取得したシャトーオーブリオンの1989年です。

シャトー オーブリオンは5大シャトー唯一メドック以外から選定された第一級シャトー。拠点はグラーヴ地区ペサックレオニャン。現在はクラランス ディロンが指揮を執っている。一時期評価が低迷した時期があったが、1978年からネガティブセレクションをより厳格に行なうようになって以降、品質が回復し、今や第一級に恥じない品質を保持している。今回はセカンドラベル、クラランス オー ブリオン。
栽培面積は43ha、平均樹齢36年、平均収量は35ha/ha。
クリスチャンムエックス同様、房ごと切り取るグリーンハーヴェストを行ない収穫はすべて手作業で行なわれる。
温度調整をシステム的に行ないながらステンレスタンクでアルコール発酵を30℃で実施、新樽熟成期間は最大30ヶ月と瓶詰め時期が最も遅い。清澄は卵白を使用し、濾過はされない。
ロバートパーカーはオーブリオン1989に関して、「不死身のワイン1つであり、過去半世紀の若いボルドーワインでは最も偉大なものの1つであり続けている。多分これまでに造られた最も偉大なオー・ブリオンとも肩を並べられるワインとなるだろう。」と評しています。

では、行ってみましょう。


生産者、銘柄: シャトー オーブリオン 1989
品種: カベルネソーヴィニョン 45%、メルロー 37%、カベルネフラン 18%

300000円、WA100pt
飲み頃ジャストミート、恐ろしく素晴らしいボルドーと化している。外観はやや煉瓦色を帯びた淡いガーネットで粘性は高い。
形容し難い程若々しく、かつ熟成の風味が混じり合って複雑で煌びやかな様相を呈している。まず恐ろしい程の果実味がある。ただし決して下品にならずあくまで上品な果実味。濃厚というより濃密。熟したブラックベリーやコンポートしたブルーベリー、そこに絡みつく様にバニラや濡れた西洋杉、ドライイチジク、動物的な生肉、そしてスモーキーなタバコのニュアンスが現れている。枯葉やトリュフ、バラのアーシーな風味、リコリスやオリエンタルスパイス、炭焼きのニュアンスが感じられる。
これだけの要素があるのに、決して重苦しくない。むしろとても軽やかに感じられる。
酸やタンニンはとても穏やかでエキス感がある。口に含むと枯葉やハーブ、鉄分、鉛筆の芯、黒系ベリーの余韻が長く続いて行く。パンの要素も。素晴らしい。


私が今まで飲んだボルドーワインでも最上のボルドーワインだったかと思います。個人的に強く記憶に残っているラトゥール1991、レオヴィルラスカーズ1998、ムートンロートシルト2006、マルゴー1978、それらと同等以上の官能性と神懸り的なストラクチャーがあります。
個人的にはオーブリオンのミディアムボディ、スモーキーさ、ハーブっぽさがあまり好きではありませんでした。オーブリオンの真価は特に熟成した際に発揮されるというのは知識としては知っていましたが、あまり信じていなかったんですよね。
それがどうだ、このオーブリオン1989の素晴らしさ!
信じられない位、若々しく煌びやか。果実味が非常に豊かで、それでいてエレガント。そこに熟成の複雑な要素が絡み合う。
コンポートしたブラックベリー、ブルーベリーの果実味、ドライイチジク、タバコ、バニラ、生肉、濡れた西洋杉、バラなど。幾つもの要素が溶け合って一塊の凝縮したエキスを構成している。パワフルさはあまりなく、どちらかというとエレガンスの中に凄まじい熱量を潜ませているといった印象。
正直あの軽量で青い風味があるオーブリオンが熟成するとこんなにもエレガントになるのか全く理解出来ない。
ひょっとして飲んだヴィンテージが悪かったのか。いやいや、そんなことはないはずだが。
全くもって不思議ではあるものの、現実として素晴らしいオーブリオンがここにあるのだから信じざるを得ない。
不可逆を可能にする神に背く背徳の1989ヴィンテージ。素晴らしい体験でした。

[1989] ラ・ミッション・オーブリオン  750ML

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価格:139,650円(税込、送料別)

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Re: No title

こんにちは。
すみません、91年のラトゥールは飲んだことがございません...(96年はあるのですが...)
私も大概素人なので、無責任な事は申し上げられないのですが、ポイヤックの91年は、作柄的に平準的な年ですので、今まさに飲み頃、と言った見方が一般的だと思います。
ただご存知かもしれませんが、ラトゥールは極めて長期熟成するワインですので、ひょっとしたら、やや若めに感じられるかもしれません。
フレッシュな味わいが好みであれば、早めに飲むのがよろしいかと思われます。
ただ高級なワインですので、大切にご自身のよいタイミングで飲むのが一番かもしれないですね!羨ましいです!

No title

 HKOさんはじめましてこんばんわ、つなと申します。
 いきなりですが実はワインを飲み出した時からブログを拝読させていただいておりました。
 それから数年、私も学生から社会人になり、そしてこの冬に初のボーナスが支給される予定になりました。そして、この新入社員のボーナスの大半を記事を見た時から気になっていたシャトー・オー・ブリオン1989年に投入致しました!現在取り寄せ中のためまだ手元にありませんが居ても立っても居られなくなっている状況でこのようなコメントを書いています(笑
 では、これからひっそりとワイン選びの参考にさせていただきます。
 ありがとうございました。

Re: No title

こんにちは!HKOと申します。
ブログを見て頂いて有難うございます。

なんと社会人1年生目でワインとは!素晴らしいです!
私もワインを愛飲している身としては比較的若い方に含まれるのですが、それでも社会人10年選手ですからね。最初に飲んだのは社会人4年目だったはずなので、4年も早く!

オーブリオン1989素晴らしかったです。
確実に泥沼の入り口になりそうな1本です。
せっかくなので、残りのボーナスで2004年とか2000年代飲むと最高なんじゃないと思います!
プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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