【ボルドー:9】天から舞い降りた黄金の雫、シャトーディケム2001

こんにちは、HKOです。
今回から3回はボルドーのテイスティングレポートです。しかも全てWA100pt。
豪華ですね。
まず第一回はシャトーディケムの2001です。

シャトーディケムはソーテルヌに拠点を構える世界最高の貴腐ワインを産出するシャトー。現地ソーテルヌの格付けでは、ただ唯一の特別一級(プルミエクリュスペリュール)として君臨しています。
驚異的な低収量が特徴で、平均して葡萄一本につきグラス一杯のみしか取れない、これは木の樹齢の高い事、貴腐粒だけを丁寧に選別している事、そして長期間の樽熟成に伴う蒸発に起因します。100%オーク新樽で42ヶ月の樽熟成。全行程に渡って当然ながら補糖補酸は行われません。不作の年はリリースされません。(直近だと2012年ですね)

では行ってみましょう。

生産者、銘柄: シャトー ディケム 2001

126000円、WA100pt
外観は濃いストローイエロー、粘性は高い。
強烈な濃厚さ、果実味が感じられるディケム。やや熟成を帯びているのかカマンベールの様な風味も現れている。しかしヴィンテージを考慮すると驚くべき若々しさと言える。
比較的しっかりとしたミネラルがあり、かつ濃厚な桃や洋梨のコンポート、強烈な白い花やバニラの芳香、カマンベールの熟成香。時折アンズの様な香りも。ハチミツ、ドライハーブの風味。
口に含むと豊かな酸と共に、さながら桃のシロップかと思うような甘みが感じられる。ただ平面的ではなく、旨味を帯びた立体的な甘露さがあり、また他のヴィンテージ同様に香りからは想像出来ない清らかで清涼感のあるタッチを感じる事ができる。余韻も長く完璧な貴腐。


もうどの年のものを飲んでもディケムは凄まじいですね。甘口ワインの完璧な形というのはこういうワインの事を言うんでしょうね...
さて、折角なので過去のヴィンテージもちょっと比較してみますね。

◼︎1940
濡れた樹皮や腐葉土、キノコ、タール、そしてカマンベールなどの強い熟成香。若いヴィンテージに見られた清涼感や透明感は見られない。
その複雑な要素の中に核として洋梨やドライマンゴーの濃厚な甘露さが生き残っている。そして濡れた土や藺草やドライハーブ、白胡椒、香ばしいナッツなどの風味が徐々に解きほぐされていく。

◼︎1995
しっかりとしたミネラル感のベースにクレームブリュレ、熟した洋梨、黄桃の様な豊満で分厚い果実味。清涼感のある白い花、ハチミツや溶剤、出汁、ヘーゼルナッツ、カマンベール、リコリスなど複雑で深い余韻が楽しめる。バターや濡れた木材のニュアンス、リコリスの風味に熟成を感じるが、あと幾年熟成を重ねても全く朽ちる気配はない。官能的。2000年代と比べて明らかに濃厚になっている気がする。

◼︎2006
濃厚な黄桃やアプリコットのコンポート、蜂蜜、白い花、僅かに白胡椒、ややナッツっぽさ、マンゴーの様なトロピカルフルーツのニュアンスも。クリーム感も。
奇跡的な程均整の取れたボディでアタックは軽やか、要素が非常に濃縮されている。この軽量感で濃度の高さはなんなんだろうね。とろける様な香り。

この中で言うのならば明らかに2001年寄りですね。ほぼ構成するストラクチャーは老いていない。むしろヴィンテージ差か、2006年の様な軽量感は一切なく、重厚なボディだと思います。一滴に含む重量や濃度が他のヴィンテージと全く異なります。ただ僅かにカマンベールの様な香りがあるので、少し熟成感は感じられます。
2006年以上のボディ、濃度を持っていながら、熟成香が感じられるのはちょっと不思議なヴィンテージだと思います。
勿論1995年ほど円熟はしておらず、官能的なクレームブリュレの様な風味はありません。
とにかく若々しく、まるで2000年代後半のヴィンテージにわずかな熟成感を付加している感じ。なのでまだまだ硬く、更に数十年経過しないと1995の様な完璧な姿にはならないのではないかな、と思います。
純粋無垢で神々しい程の液体ですが、それゆえに他を全く寄せ付けない。容易いワインではありません。
口当たりは立体的でボディの甘露さ、香りの複雑さが複合的に絡み合い強烈な密度を構成しています。旨味は1940、1995ほどではないと思いますが、包含する豊かな酸味が円熟とともに旨味に転化していくことと思います。
ぐうの音も出ないほどの神々しいワインです。ワインを何かに例えたりするのは、あくまでイメージだけで栽培、醸造の本質から遠ざかる為好きではないのですが、さながらこの黄金の液体は、「錬金術の至高の創作物」であり「不老不死の薬」である「神の杯(エリクサー)」と呼ぶに相応しい。
末恐ろしいワインです。本当に人によって作られたものかすら怪しい。

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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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