【シンクさん:4】エルミタゼ、反逆のセパージュ~今だからこそテーブルで

こんにちは、HKOです。
本日はシンクさんの記事です。
今回のテーマはシラー、カベルネソーヴィニヨンのアッセンブラージュについての記事です。
この試み自体はニューワールド(特にオーストラリアのシラーズカベルネが有名ですね)比較的以前より行われているもので、酸度が低いカベルネに酸を添加するというものですが、その昔ボルドーでも行われていました。勿論現在の様に厳格にAOCが定められる前(1935年以前)の話ではあるのですが...
今回はそんな興味深い素晴らしい記事です!

お楽しみに!
※ちなみにHKOはピノとシラーズの混醸はウェルカムです。混醸がダメならパスグラとかオルディネールもダメじゃん?


・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ぼんじゅーる!

ゲスト寄稿もこれで4回目、トップのご紹介では私ボルドーが得意なことになってますがこれまでカリフォルニア・イタリア2回と見事にフランスで記事やってませんでした☆テヘペロ
という事で、今回こそはボルドー・・・と見せかけて裏ワザ的に全世界!
エルミタゼ(エルミターゼ)のお話です。

erumitazen.jpg
(これ超適当にパロったけど、元ネタわかっていただけるのだろうか?)

■そもそも、エルミタゼって何?

とりあえず、エルミタゼでグーグル検索すると、グーグル先生が即効で
「エルミタージュの間違いやろ^^変えておくわ感謝せぇよ^^」
と余計な事をします。
先生をかなぐり捨てて検索すると、私のブログが出てきます(苦笑
というわけで、殆ど認知されていない感じなのですが、要約すると
北ローヌのシラーがクパージュされたクラレット

です。くぱー☆ではありません。クパージュ(混醸)です。
単刀直入にカベルネ・メルロ・シラーブレンドです。
もっともわかりやすく、かつ詳しいのが漫画「ソムリエール」でっていうかこれの造語なんじゃないの?みたいな感じですらあります。

もう詳しくはコレ読んでねって感じ。
某ブックオフなら100円で売ってることもありますし立ち読み出来ますし。

2013年に日本を騒がせた「ホテルの食品偽装問題」なんて目じゃないぐらい、「エルミタゼ」はサラッとトンでもない事です。
かの昔はマルゴーやらラフィットやら(一本当時だって1万円以上のフランス最高級が)が「本来やってはいけない混ぜ物をしている」という事ですからね。
ホテルの件に例えれば
「最高級仙台牛A5ランクステーキって書いてましたけど、実は米沢牛を少し混ぜた加工肉です」
という事なワケで大問題ですよ!
・・・・・・で、この例えを聞いた時に
「え、仙台牛でも米沢でも加工がどーであれ、美味しければよくね?」
という方には、今、あえてオススメしたいのがエルミタゼなワケです。


■世界のエルミタゼを敢えて呑んでみよう!

今回の記事は、こういう提案をしたいなぁという事ナノデス。
地味にエルミタゼであることを明記しているワインってあんまりありません。
アッサンブラージュとしては、あんまり褒められた伝統ではないからです。
しかしながら、テーブル価格帯において微々に存在するコレらのワインは、特徴を把握すると結構お買い得な事も多いんですね。

☆ボルドー
GDHDo.jpg
これが噂のパルメ版エルミタゼ、ヒストリカル・センチュリー。
これでSSを書いちゃうぐらい、私の好きな一本です。
ボルドーで最も中二病な愛すべきワイナリー。なにせメドック格付けワイナリーの中でも高評価で1級クラスの値段で日本では売られているにもかかわらずコレを出しちゃうワケですから。
現状、カベルネ・メルロ・シラーなエルミタゼブレンドでは最高級の一品になります。
これに関しては同じく詳しくは「漫画ソムリエールで」という気もしますので早速自分のノートから雰囲気を。

色は濃度がかなり高く赤紫。
香りにしっとりとしたカシス、ブラックベリー、キャラメル。
味わいは非常になめらかな質感があるがシラーの印象が思いの外強く、紫系の果実感が個性を発揮しています。
綺麗にそそるカシス、プラムの印象は流石のパルメでアフターもさっぱりとしたハーブの余韻です。
口当たり自体はサラッとしているかな?と思うのですが果実味が感じられた辺りから急に沈むように重たさを感じさせるですね。
スパイシーさなどは漂失しておらず、甘味と酸味のバランスは高い位置で推移しています。
果実のパワーが先立っており本来のパルメとはかなり別物。どちらかというと「カルト」な味ナノデス。
それでいて、テクスチャはボルドーのそれ。なんとも不思議でダイナミック。独創性のある一品。

そう、カルトワイン的な濃厚さがあるんですね。
パルメって本来、マルゴーおよびカントナック付近で割りと静かなワインなのですがそこに大胆さが加わった感じ。
それでも高級感があるのがホントすごくて、パルメ本体よりも面白さなら上だと思います。

☆オーストラリア
FYHrY.jpg
カベルネ&シラー(シラーズ)といえば、この国です。
むしろオーストラリアブレンドと言った方が理解が早いかもしれませんね。シラーズメインの国で色々やるなら、当然出てくるワケで。
しかしながら、国際化という視点からだんだんとこの手のブレンドは減っているようで案外と探せなかったりします。
本来としては、逆にこの国の伝統的アッサンブラージュなのでちょっと残念?
さて今回はその中から、オックスフォードランディング・カベルネ&シラーズです。
このワイン、作り手はオックスフォードの名前だけにイギリス移民で、オーストラリアで作っているというスタンス。
値段はド安めの1500円アンダーという何とも「エルミタゼらしい」感じで購入が出来ます。

色は赤紫系で、シラーズの強さがみられ香りから味わいまでハッキリとハーブ系の葉物とユーカリの印象が強いワインです。
とことん、葉系なあたりあんまり成熟した葡萄を使っていない?ないしはユーカリ感を隠していないとも言えるのがオーストラリア的・・・・・・いえ、もしかすると葉っぱぽいの大好きなイギリス的といえるかもしれません。
これも果実部分にブルーベリーが感じられ、シラーの特徴といえる黒胡椒感はほぼ感じられませんでした。

☆イタリア
2013-05-19 17-43-16-610
イタリアにとって「カベルネもメルロもシラーも伝統品種」ですから、そこそこに混醸されてきたというのは推測されます。
「え、それって国際品種でしょ?だからDOCGもサッシカイアが例外的にあるけどないでしょ?トスカーナの連中が流行りで植えたんでしょ?」
と思った方はソムリエ試験対策しすぎです。
元々が「安く飲める水みてーなモンだぜー!うぉー!くあー!」とイタリアではワインは飲まれています。
畑に隣り合って色んなぶどう品種がうわっている=区域でぶどう品種が管理されていないような地域ですから。
むしろ、イタリアワインにおいて正確にぶどう品種が混醸されているのは近代派です(大体のセパージュ表記はあくまでも畑に植わってる木がそんな感じッスよ程度のモノ)
あのシノニムの多さやそもそもサンジョベーゼ種の葡萄の大きさが云々とか妙に細かいのは、逆に言えば「良くわかってないからこそ、分類を何とかしよう」という努力なのですから。
明確にエルミタゼ、なイタリアワインを私もあまり経験していませんが、呑んだ覚えがあるものをペタリ。
これ、インポーターでは「サッシカイアのめっちゃ近く!サッシカイアに並ぶ!」という誇大広告で売っています。
そして、その誇大広告を信ずれば、サッシカイアにシラーが使われてても不思議ではなくない?とか私みたいなのは疑ってしまうのでした。
味わいの中にこのワイン、どこかスミレっぽさが感じられ本家サッシカイアに比べるとすぐに飲める仕上がりになっていました。

☆ワシントン
715745997.jpg
うまけりゃいいだろ原理主義、といえばそうアメリカですね!
その中でも現在、色々な試行錯誤が行われているのがワシントン。
その一環としてこちらは「カベルネ50%シラー50%」というコンセプトワインです。
左下のオッサンニキ二人のコラボワインだから、それぞれが得意な葡萄を半分ずつぶっこんだら旨いぜ!
というロックなこのワイン。ドがつくほど濃いか・・・というとむしろワシントンらしい「ちょっと安い感じがする薄さだけど旨味はあるよ」というタイプ。
呑んだ当時の自分のノートを概ね抜粋しておきましょう
「色はかなり濃い紫系、香りからシラーらしいスパイスが感じられますがガツンという程ではありません。
ブルーベリージャムの味わいと、スパイシーさとコーヒーのような香ばしさが後に続き、カベルネのハーブ感もしっかり入ってきます。
これらの味わいの要素が中抜けなく、かつド派手でもなく技巧派なんですね。
樽からくるバニラもそこそこですが、基本は果実の味わい。複雑さは流石にないものの、ガツガツも飲めてしまう。
うーん、ロックだなぁ。栓を抜いた直後からバッチリ美味しく、日持ちもなかなかです。
ただし、温度は適温より低めの方がいいかも。あんまり温かいとケバケバしいでしょう」
やっぱり、ジャミーさがどこか存在しているんですね。

☆チリ
rQCjF.jpg
サラリマンH氏が絶対に取り上げないだろうワインです。絶対にだ!
何故ならば「ピノ&シラー」です。
ブルゴーニュ・フェチが聞いたらそれだけで飲みません。なのでラベルにも現れておらず私もインポーター調べしてて改めてわかったぐらい。
ちょっとエルミタゼですらないのですが、この機会に是非試してほしい代物。
そして、私自体はシラーが含まれていたとは知らずに呑んでおり更に結構高評価をつけるワインです(詳しくは自分のブログで今後とりあげようと思っているぐらいテーブルとしていいワイン)
なので簡単に書きますと「簡易RRV」なんですね。
お値段が1500円アンダーにしては、果実の勢いや甘さがあってタイミング良く飲むとルシアンリヴァーめいた濃厚なピノ果汁を感じられるんです。
ちょっとスモーキーさや肉々しいスパイシーさがあるけど、チリの特性かな?と思ったらシラーでしたっていうオチ。


■エルミタゼの特徴とは
ということで、各国から1つずつ程度紹介してまいりました。
案外とエルミタゼの多いのがイタリア、探してみると「少々のシラー」という事が結構あります。
逆に書いてて気づいたのですが、南仏特にヌフなどの南ローヌ~ラングドックルーション葡萄を主に使うスペインではシラーを使っているというケースがあまり見られません。
アルゼンチンやチリもカルメネールやマルベックがあるためか、それほど思いつかないですね。
ニュージーランドもピノや白を主軸にしているので、そもそもクラレットスタイルを探すのが難しい。
ようするに「安旨新世界」よりも「安旨伝統国家」の方がこの手のブレンドが多いワケです。

各国それぞれですが共通している特徴は

・シラーの果実感が全体に強く出るため、結果として強い味わいのワインが生まれる
・スパイシーさは案外と感じさせない事が多い(よってシラーワインとしての食べ合わせ向けでもないことが多い)
・どの国においても成り立ち以上に安めに作られる事が多い
・主だってエルミタゼであることを主張する生産者は少ない
・よって、テーブル価格帯にしては強い果実を感じた場合、疑っても良い

といった感じでしょうか。
シラー自体が「割りとわかりやすい葡萄」だけに、味わいを安定させる役目をになっていて安いワインに多い「味がうすい」を回避する手段として用いられている。

その成り立ちや異教的なブレンド(なんと、これらオージーブレンドを「世界の常識ハズレ?」と表する初心者向けワインぼんがある程です!)からか意外と狙いを定めて買うのが難しくあるエルミタゼ・ブレンド。
ただ、もしも「安めのテーブルワインで濃いのをちょっと飲みたい」というのであれば、多くの単一ブレンドなどよりも選択して面白さを感じられるかもしれません。

今だからこそ、エルミタゼ。
反逆的で中二病な、尖った高校生みたいな世界観も案外楽しいのではと思います。

sinqosusume.jpg

個人的にスッゴク買いたいセット


エルミタゼ感を知る+ワシントンを知るという2つの利点があり。カルトっぽいし
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

カテゴリ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
検索フォーム
ついった
物欲センサー
物欲センサー2
リンク
QRコード
QR