【カリフォルニア:18】カリフォルニアカルト6種Part2、驚異的な凝縮感のコルギン、豊満でリッチなムッシュエタンを利く


※スケアクロウといえばThe Pillowsの曲を思い出しますね。

こんにちは、HKOです。
引き続きカリフォルニア特集です。
昨日の2種類はナパとしては比較的密度が低めの2本でしたが、今回の2本はそのテロワールの最上を体現する、極めて素晴らしいカベルネソーヴィニヨンです。
その精緻かつ濃密な味わいはワインの官能性を端的に表したものであると思います。スケアクロウのセカンドラベル、ムッシュエタン。そしてコルギンのナンバーナインエステートです。

スケアクロウは2003年が初ヴィンテージの新進気鋭の生産者。フラッグシップのスケアクロウはいきなりWA98pt、2007年にはWA100ptを計上した、現在最も勢いのある生産者です。このワインにはイングルヌックやオーパスワン、ダックホーンにも使われているコーン エステートのフィロキセラ禍を免れたセント ジョージのブドウが使われています。保有する畑は標高は70mから100mのラザフォード西側10haの畑で土壌は粘土質と砂利質で構成されています。手摘みで収穫されたブドウは幾つかのロットに分けて発酵。フレンチ・オーク新樽95%で22ヶ月熟成後、ブレンドされる。またセカンドのムッシュエタンはフレンチ・オーク新樽85%で16ヶ月熟成。無濾過無清澄で瓶詰めされます。

コルギン セラーズはアン コルギンとジョー ヴェンダーによって1990年代初めプリチャードヒルに設立されたワイナリー。所有する畑はヘネシー湖の丘の頂上にあり、近年ⅸエステート(標高950~1,400フィートの前述のヘネシー湖を見下ろす48ヘクタールの区画)の単一畑もリリースしている。当初へレン ターリーがコルギンを手がけていたが、現在は元ピーターマイケルのマーク オーバートが手がけている。栽培責任者はデイヴィッド エイブリュー、醸造コンサルタントはアラン レイノー。
醸造は重力を利用したグラヴィティフロー、オープントップの大樽と密閉式ステンレスタンクの併用を行い、フレンチオークの新樽100%で19ヶ月間熟成後、清澄濾過なしでボトル詰めにてリリースされる。

生産者: スケアクロー
銘柄: ムッシュエタン カベルネソーヴィニヨン 2011
品種: カベルネソーヴィニヨン100%

27000円、WA96-100pt(プロプライエタリレッド 2009)
外観は濃いガーネット、粘性は高い。
シロップの様な甘露さ、強烈な果実味、極めてリッチ。これぞナパヴァレーのカベルネといった風格を感じさせる。
西洋杉、黒糖、ビターチョコ、ワッフル、シナモンなどのローストした樽と突出した果実味に起因する甘露さを中心に、煮詰めたカシスやブラックベリー、清涼感を感じさせるミント、マロラクティック発酵に起因するミルクやヨーグルトのリッチな風味が感じられます。
またスミレやハーブ、燻製肉などの要素があり、濃厚で果実味に満ちている。
パワフルなカリフォルニアの王道カベルネ、その上級スタイルと呼べる。
そのくせ極めて酸とタンニンは繊細で滑らか。口に含むと濃厚なジャムの様なブラックベリーやカシスのアフターが爆発的に広がっていく。うーむ、これは素晴らしい。

生産者: コルギン
銘柄: コルギン ナンバーナイン エステート 2010
品種:カベルネソーヴィニヨン70%、メルロー21%、カベルネフラン5%、プティヴェルト4%

56000円、93-95pt(2009)
外観は黒に近いガーネット、粘性は非常に高い。
様々な側面をみせる特異なワインである。
液体密度は4本の中では群を抜いて高く、非常に凝縮感がある。甘露でローステッド、濃厚なスタイルのワイン。
まず主張するのが黒糖やブラックベリーやカシスのコンポートなどの果実味。そして急激に燻製肉の様な野生的な風味が現れ、ミントやコーヒー、タバコなどのローステッドな要素が強く現れる。
徐々にピーマンや、マロラクティック発酵に伴うミルク、それらが調和したチョコの要素。トリュフ、リコリスなどのスパイスや土の香りが彩を添える。
初めは果実味、中盤は終始コーヒーを思わせる強烈な樽香、後半はそれらの要素が融和する、劇的なワインとなっています。基本的な印象はやはりローステッドでしょうか。
液体の凝縮感、密度は極めて高く、蜜のような果実味を包含している。酸味もタンニン、収斂性も際立っている。半端じゃないボディの厚み。カシスやベリーの果皮に由縁する濃厚なアフターがあり、豊満というより筋肉質で力強い余韻を残していくワイン。

この2本は先日レポートしたクインテッサやキングスロウと比較すると一歩二歩先に進んでいるワインだと思います。
まず液体密度が先述したワインと異なります。例えば今回のムッシュエタンはスケアクローのセカンドラベルとなりますが、先述の2本と比べると明らかに目の詰まった果実味があります。
ムッシュエタンをコルギンと比較した場合はどちらかといえば、厚みや豊満さが目立ちますが、フラッグシップに見られる凝縮感、よく熟した味わいがしっかりと感じられます。
これぞナパヴァレーの本懐といったスタイルでしょう。
煮詰めた黒果実、黒砂糖、ミルクチョコなど、見事に果実味、樽香、MLFの要素がバランス良く結合した味わいで、かつカベルネの果皮から生み出される華やかな要素や野性的な部分も併せ持った味わいだと思います。
こういった味わいから、非常に広がりのある豊満さが際立った印象を受けます。
シェーファーやハーランなどとはタイプが異なりますが、ナパヴァレーのカベルネソーヴィニヨンの最上クラスの味わいだと思います。直感的にわかりやすいですしね。

コルギンはまたムッシュエタンと比較すると広がりと豊満さより、その液体の凝縮感が際立っています。
それは液体自体の粘性や包含する果実味、糖度など様々な要素に起因していますが、ラターシュにも感じられた液体の重さが異なる印象(これは本当に最上のワインにしか出ない要素)、舌に含んだ時の重さが違う。
故にコルギンを表す時に適切なのは突出した凝縮感であると言えます。
今回のナインエステートの凝縮した果実味は、恐らく極限とも言える収量制限(1本あたり800gとも言われています)と生理的成熟のタイミングを見極めた収穫時期の決定の成せる技だと思われます。収量が少なくなればそれだけ一つの木にまで目を行き届かせる事が可能だと思いますので、至極納得感のある話ですね。結果、あのトロトロ感のある凝縮感が出るのではないかと。
また突出したロースト香が特徴です。熟成期間が一般的なフラッグシップ級と比べると短いのにも関わらず、コーヒーを想起させるような樽香がある為、かなり強くローストした樽を使用しているのではないかと思います。
またマロラクティック発酵や土のニュアンスがキッチリと存在しています。
結果として最もリッチなワインとなっていると思いますが、樽の要素が極めて強い為、この要素が液体に溶け込むまではまだ暫く時間はかかるのではないかと思います。
ただ果実味が樽に対しての不足感は無いので、熟成に合わせてその本当の姿を見せてくれると思います。

両方ともポテンシャルを感じさせる素晴らしいワインだったと思います。ただ今飲んで美味しいのはムッシュエタンですね。
コルギンは(ⅸは無いですが)10年前のヴィンテージを買うとちょっとは落ち着いているかもしれませんね。



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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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