こんにちは、HKOです。
本日から3回はNMをレポートいたします。
しかし、ここのところのシャンパーニュの集中テイスティングをして改めて感じるのが、NMの品質の安定感と品質の高さです。
そもそも家族経営のRMは作付面積もNM程大きくなく、買い葡萄を使用するという代替手段を取らない、メゾンの方が保有しているリューディごとのリザーブワインの種類が多い(メゾンの歴史の長さとか作付面積の広さなどによる)など、特にNVに関してはNM程の広い選択肢を持てないのが現実です。同じ理由でミレジムに関しても同様で各村のアッセンブラージュの点でも選択肢は狭いと言えるでしょう。※キャッシュフローに関してはこの際置いておきます。
よってシャンパーニュにおいては、生産者のセンスさえあれば、概ね事業規模=品質というのが当てはまる。ホント、センスさえあれば。いくら素材を選びたい放題でもブレンドのセンスがなければ最終的には良いものは作れませんからねえ。
ただ勿論RMにはRMには良い所があって、作付面積が狭いからこそ栽培に目が行き届き、拠点のテロワールを熟知している。よって単一村のミレジムに関してはそれこそ対等の勝負、本当の力を発揮します。こちらもセンスがあれば、ですが。ピエールカロみたいに極小の作付面積でも高レベルのワインは作られますけどね。最終的な出来はやはり生産者だと思います。
この構図はなかなかおもしろいですよね。
今回はリュイナール。NMとしてはいわゆる超大手メゾンほどの規模感は無いですが、相当レベルの高い造りをしていると思います。
リュイナールは、1729年にベネディクト派修道僧であるドン ティエリー リュイナールが創設した老舗メゾン。伝統的なシャンパーニュの製法で作られており、繊細なコート ド ブラン、パワフルなモンターニュ ド ランスのグランクリュのシャルドネを100%使用。地下のクレイエルで一定の温度を保ちながら、最低3年間、フラッグシップのドン リュイナールになると8年間もの瓶内でゆっくりと熟成させてから出荷されます。
では、いってみましょう。
生産者: リュイナール
銘柄: リュイナール ブラン ド ブラン NV
品種: シャルドネ100%

9000円、WA91pt
外観は淡いストローイエロー、粘性は低い。熟した果実の様な蕩ける様な甘露さ、そして華やかさを併せ持ったブラン ド ブラン。ミネラルは柔らかく、摩り下ろした赤リンゴ、洋梨の甘露な果実味、そしてフレッシュハーブやナッツ、白胡椒のニュアンス。繊細さと熟した豊満な果実味が両立している。ボリューミーな酸味と旨味があり蜜の様な甘露さと柑橘系のアフターを残す。
繊細でありながら豊満な味わいのシャルドネ。
生産者: リュイナール
銘柄: ドン リュイナール 2002
品種: シャルドネ100%

24000円、WA96pt
外観は淡いストローイエロー、粘性は低い。
新世界の白ワインかと思うような豊かなロースト香、リッチな果実味が感じられるブラン ド ブラン。
ルイナールを超える強い甘露さがあり洋梨やマンゴー、それと均整を取るようなローストナッツ、ノワゼットの様なリッチな樽香が感じられる。石を砕いたようなミネラル感が全体を引き締めており、バター、フレッシュハーブ、バニラ、シナモンなどの要素も包含している。
旨味の規模感はノンヴィンテージより広がりがあり、やや酸味も強く、確かな骨格が感じられる。洋梨やミネラル、ナッツの余韻が残る。王道ブラン ド ブランに力強い樽香を加えたシャンパーニュ。
もともとリュイナールのブラン ド ブランはメチャクチャ好きなんですが、ドン リュイナール、半端なくいいです。
そもそもリュイナールの基本的なスタイルとしては、極めてリッチな果実味があり、かつフレッシュさや繊細さといった部分を両立したシャンパーニュだと思います。セロスやクリュッグなどの酸化ニュアンス系とは真逆。複雑さよりクリーンさが際立つ味わい。
ドン リュイナールはそのスタイルの果実味の規模感を増大させつつ、フレンチオークのトースティーな香りが付加されより複雑になった印象を受けます。詳しいデータはわかりませんが、二次発酵前の何処かのタイミングで樽で寝かせていることは間違いないかと。
単純な印象としてはシャンパーニュのムルソーペリエール。
旨味やミネラルの広がりもあり、ブラン ド ブランの一つの頂点的な味わいとも思えます。テタンジェのコント ド シャンパーニュが果実味重視に対して、樽の豊かなニュアンスが付加されることによって特異な存在感を放っている。
素晴らしいシャンパーニュです。
あと10年も熟成したら、それは凄いことになるんだろうなあ、という印象を受けます。
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