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【イタリア:7】ブルネッロ最高峰、ビオンティ サンティのモンタルチーノ アンナータ、リゼルヴァを利く



こんにちは、HKOです。
久々のスティルワインです。ビオンティ サンティのブルネッロ ディ モンタルチーノ2種のレポートです。
ブルネッロは幾つか飲みましたが、率直な話、そこまで「オオッ」となる様なキュヴェに出会った事は正直あまりありませんでした。基本的にはサンジョベーゼの亜種なのですが、どうにもカステッロ ディ アマなどの単一サンジョベーゼと比べると、そっちのほうが素晴らしくて、ブルネッロは?という感覚が拭えませんでした。
ですので、正直ちょっと敬遠していた部分もあるのですが、ビオンティサンティのブルネッロは正直半端なくすごいです。半端ないです。値段も半端ないんですが。

ビオンディ サンティはトスカーナに拠点を置く、ブルネッロ ディ モンタルチーノのオリジネイター。
クレメンティ氏がサンジョヴェーゼを品種改良したサンジョヴェーゼ グロッソを生み出し、ワイナリー元詰めでリリース。その後フランコによって更なる品種改良や技術改善を行いながら、幅広いプロモーションを行った。その結果当時76haしかなかった栽培面積は2100haにまで拡大し、現在の地位を確立しました。
ビオンティサンティが手がけるフラッグシップがブルネッロ ディ モンタルチーノ アンナータとブルネッロ ディ モンタルチーノ リゼルヴァ。
アンナータはビオンディ サンティのスタンダードなブルネッロ ディ モンタルチーノ。ビオンディ サンティが所有する最も古い畑であるイル グレッポに植わっている樹齢10年~25年を使用し、熟成は新旧織り交ぜたスロヴェニアンオークの大樽で3年半熟成されます。リゼルヴァは優良年にのみ生産されるキュヴェでイル グレッポの樹齢25年以上の葡萄のみを使用。スロヴェニアンオークの大樽で3年程度熟成します。

では、いってみましょう。


生産者: ビオンティ サンティ
銘柄: ブルネッロ ディ モンタルチーノ アンナータ 2007

20000円、WA94pt
外観は赤みの強いルビーで粘性は中庸。
まるで最上のピノノワールの様に官能的でバルバレスコの様に力強い体躯のワイン。例えるならばサンジョヴェーゼのクロ ヴージョか。
強烈な鉄分やダークチェリーやブルーベリーの果実味。黒砂糖、それらの黒い果皮を感じる薔薇や生肉、なめし革の様な華やかさがある。僅かな腐葉土、ドライハーブ、クローヴやナツメグの様なスパイシーさが感じられる。
口に含むときめ細やかな酸味とタンニンが広がり、クローヴやリコリスなどのスパイス、スミレの華やかな余韻が長く続いていく。
アロマオイルの様に華やかなワインだ。


生産者: ビオンティ サンティ
銘柄: ブルネッロ ディ モンタルチーノ リゼルヴァ 2007

82000円、WA94pt
外観は赤みの強いルビーで粘性は中庸。
アンナータと比べてより華やかさに重点が置かれており、さながらリシュブールにも通じる官能性がある。アンナータと比べるとより高域に伸びる香りがあり、雑味が少ない。
十分な鉄分があり、かつスパイシー。糖度の高くシロップを想起させるダークチェリー、ブラックベリーの果実味。華やかな薔薇や鉄観音。クローヴ、ナツメグ、そして獣香が一塊となって立ち上る。土の香りは控えめでスパイスや花のより純粋な香りが特徴的。鉄観音やなめし革、ドライハーブなどの要素も。
アンナータ同様きめ細やかなタンニンと酸がありスミレの華やかな風味やクローヴやリコリスなどのスパイスの余韻が長く続く。
香水の様に華やかでありながら、強靭な体躯を持ったサンジョヴェーゼ グロッソだ。


最上級のピノノワールにも似た印象を受けます。例えばリゼルヴァは黙って出されたら「リシュブール!」と思うかもしれません。
それだけ筋肉質で強靭な体躯があり、かつ広域に伸びて行く様な突出した華やかな味わいがありました。
もともとサンジョベーゼ自体が冷涼な地域でしか育たない、ピノノワールと似た性質(ミディアム~フルボディ)がありますし、最上のサンジョベーゼに見られる野性的な鉄の香りはヴォーヌロマネにも見られる要素です。
今回のはサンジョベーゼ グロッソですからよりパワフルで筋肉質と言えるのですが、それがより最上のピノノワールにも似た雰囲気を醸し出しているんですよね。
リゼルヴァはリシュブール。ヴォーヌロマネのエシェゾーであるとか1級群と比べると、力強く筋肉質なので、あくまでリシュブールです。
アンナータはクロ ヴージョ。豊富な鉄分と黒系果実、黒砂糖、そしてアーシーさや野性味。リゼルヴァほどの重心の高さはなく、華やかさとアーシーさ、スパイシーさ、黒系果実のニュアンスはクロ ヴージョ グランモーペルテュイを想起。
大樽に起因するものか、新樽比率が低いのかはわかりませんが、あまりトースティーな風味は無い様な気がします。ただどことなく感じさせるバローロやバルバレスコの様なイーストっぽい風味はスロヴェキアンオークを使用している事に起因しているのではないかと思います。特にそれはアンナータが顕著で、レゼルヴァに関しては、ほぼ感じませんでした。
果実味はどちらも充実していました。ただ流石にレゼルヴァの方が豊かにかんじられました。古木とポジティブセレクションによる味わいの違いかと思います。レゼルヴァの方か凝縮感が感じられますね。

微細な違いはいくつもあるのですが、個人的にこのブルネッロ、今まで飲んだどのブルネッロより最上のピノノワールに近いと思います。色は濃いのでその点分かり易いですが、単純に味わいと香りの点においては、ほぼ受ける印象は同じかもしれません。素晴らしい!高いですが!

しかし、このワインを作り出したフランコ ビオンディ サンティ氏、去年の今頃亡くなってしまいました。2008年ヴィンテージ以降どうなるんでしょうか...
ご冥福をお祈りします。



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プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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