【シャンパーニュ:24】驚異の芳香を放つ熟成シャンパーニュ3種を利く

こんにちは、HKOです。
いよいよ長かったシャンパーニュレポートも最終回です。いやいや長かった。
やってた本人が、もう、うんざりしてるくらいですから、ご覧になられている方はもっとかもしれません。もう暫く泡はいい...
さて最後は熟成シャンパーニュ3本。


ポールロジェはエペルネに本拠地を置くグランメゾンで、エペルネとコート デ ブランに87haの自社畑を保有、モンターニュ ド ランス、ヴァレ ド ラ マルヌ、コート デ ブランのグラン クリュとプルミエ クリュ、合計20の小区画の葡萄を使用。
単一年のヴァン ド キュヴェのみを使用、清澄後、温度管理を行いながらステンレスタンクにて発酵。地下セラーで最低7年間熟成、その間手作業でのルミアージュを実施。ドザージュは8g/l。一時保管の後、出荷される。

ピエール ルグラはコート デ ブランのシュイィに拠点を置くメゾン。2002年よりRM→NMに登録変更していますが、現在も自社畑のぶどうのみで、珍しいシュイィ100%のシャンパーニュを作っています。現当主はヴァンサン ルグラ。リッチなムルソーを想起させる様なスタイルを得意とする生産者です。
作付面積は8.8ha、平均樹齢は40年。厳格なリュットレゾネで栽培を行っています。ステンレスタンクで醸造後、約15%をブルゴーニュ樽(228L)で8ヶ月間熟成。マロラクティック発酵を行う。ドザージュは5g/l。

ブルーノ パイヤールは1975年に設立された比較的新しいメゾンで、本詰めを始めるまでは仲買商を行っていました。
リリース以降、高い評価を受けており、ジョエル ロブションやオリエンタル急行、そしてロバートパーカー主催のヘドニストディナーなどでも供されています。
ブルーノパイヤールのシャンパーニュは100%ヴァン ド キュヴェのみ。第一次発酵は15-20%を木製樽を使用し、残りはステンレスタンクで醸造。シュールリーの熟成期間が法定期間の2~3倍程度。瓶内二次発酵は温度10.5℃、湿度80%にて管理され、出荷都度デコルジュマン、ドサージュは最低限に抑えられます。
今回の ル メニル ブラン ド ブランは
ルネ ジャルダンのブドゥペーニュという古い畑からのキュヴェ。生産本数はわずか1200本程度となっています。

では、いってみましょう。

生産者: ピエール ルグラ
銘柄: ブラン ド ブラン キュヴェ ミレジム グランクリュ シュイィ 1990
品種: シャルドネ100%


外観はやや濃いめのストローイエロー、粘性は高い。
いきなり最高の熟成シャルドネの洗礼を受ける。
第一印象は濃厚なバニラやバタークリームやシロップの豊満な果実味が感じられます。さながら熟成したムルソーといったところでしょうか。トースティーというより吹かした薩摩芋や焼き栗の様な風味が感じられます。
徐々に熟成香が現れます。熟した洋梨やマンゴー、ドライハーブ、わずかにカマンベールのアロマがあります。
芳香性は強く、豊満でポッテリとした印象を受けるシャンパーニュです。
酸味は旨味に転化し、広がりのある出汁やドライアプリコットの旨味が広がります。
ボディ密度は中程度ですが、熟成により緻密なテクスチャを形成しています。


生産者: ポール ロジェ
銘柄: ブリュット ヴィンテージ 1993
品種: シャルドネ50%、ピノノワール50%

外観は濃いめのストローイエロー、わずかに泡は立ち上り、粘性は中庸。
うわー、これも本当に素晴らしい!参った!
第一印象はピエール ルグラ同様バニラやバタークリーム、杏仁豆腐、シロップの要素が強く感じられます。ただ全体の香りの構成を占める割合としてこの第一印象が非常に強く、さながらカスタードプディングや焼き栗のような豊満な香りが感じられます。非常にリッチで果実味が高い。そして徐々にハーブ香やミネラル、熟した洋梨や力強い旨味を包含したリンゴのようなアロマが広がります。
わずかにシャンピニオンのアーシーな要素も。
ほのかに感じる発泡と穏やかな酸味、そして力強い旨味があり青リンゴやハーブ、温州みかんの様なアフターが広がっていく。緻密な酸味と旨味があり、今素晴らしい味わいになっている。


生産者: ブルーノ パイヤール
銘柄: ブラン ド ブラン グランクリュ ル メニル 1990
品種: シャルドネ100%

外観は濃いイエローで粘性は高い。
先の2つとは全く違うけど、凄まじいシャンパーニュで有ることは非常によく伝わってくる。
第一印象は強烈な石を砕いた様なミネラル感。白い花やフレッシュハーブ、焼きたてのトーストの香り。そしてバタークリームやバニラの芳香が徐々に主体的に現れてくる。ややオイリー。豊満さを感じた他の1990と比べるとかなり引き締まった印象。
そして酸を感じさせるカリンや洋梨の果実味、ヘーゼルナッツ、カフェモカの様な要素も。
酸は目が細かくなっているものの、今だ豊かで旨味が突出している。白檀のクリスピーさ、ハーブ、かつアプリコットのジャム、出汁様の長い余韻が残る。この中でもっとも複雑かつ引き締まったヴィンテージシャンパーニュだ。


いやいや、どれも素晴らしいシャンパーニュでした。やはり熟成したシャンパーニュは何にも代え難い。熟成白ワインと何が違うかは察してください。いいもんはいいんですよ...。
特に今回衝撃を受けたのはポール ロジェ。
ポール ロジェは比較的生産本数が多いグランメゾンで、言ってしまえば大量生産品。勿論大量生産品だからといって品質が悪いわけでは無いのですが、きめ細やかに目を配る事が出来る小規模生産者と比べると、やはりちょっと劣るところはあるのかな、と思ってしまいます。例えばフラッグシップのサーウィンストンチャーチルにしてもそうなんですけどね。ただ毎度ながら、そんなものは幻想で、マンパワーも技術もノウハウも潤沢に持っているグランメゾンの実力を垣間見れたのが、このブリュット ヴィンテージ。
いわゆるスタンダードなミレジムなのですが、これが本当に凄まじい。
元々1993年はあまり良い作柄では無いのですが、それでもこれだけ美しい姿になるとは。
いわゆる最上のシャルドネの味わいで、完全にマロラクティック発酵を終え、樽と豊かな果実味が結合し、さながらバタークリームや杏仁豆腐、カスタードプディングのような芳香が感じられます。
リッチな香りを放つが、酸は滑らかに、旨味は潤沢になり、えもいわれぬ素晴らしい味わいになっています。
ミネラルはさほど感じませんが、シャンパーニュのムルソー、あるいは新世界のシャルドネを想起させる様な香り。根本の葡萄の質が極めて高いからか、一切の果実味の不足は感じません。これがポール ロジェの本質だとしたら恐ろしい事です。

そしてピエール ルグラも基本的には同様の方向性の熟成を経ています。
ポール ロジェほどマロラクティック発酵の要素に傾倒している訳ではないのですが、マロンやバタークリーム、バニラ、シロップの様な甘露な風味が主体となっています。
シュイィ自体が比較的ミネラルか良く出るテロワールだからか、ポール ロジェより若干引き締まった印象を受けますが、基本は豊満なムルソースタイルと言えるでしょう。
個人的にはミネラル部分も含めて、全体的な完成度としてはこちらの方が若干高いと感じました。複雑で十分な甘露さを持ったバランスの良い一本だと思います。

最後、プルーノ パイヤールのル メニル。
こちらは先の2本とは異なり、バニラやプディングの様な風味は控えめ。そのかわり液体にはかなり硬質なミネラルを有しています。
もともとミネラルが強いのが、はたまたはまだ熟成途中なのか。充実した果実味、甘露さがありながら、かなり芯のある味わいです。
やや樽の影響もあり、トースティーかつクリスピーな味わいを感じることができます。
酸がまだ生き生きとしてますから、まだ熟成によってよくなっていきそうな感じですね。
かなりレベルの高い仕上がりになっている印象です。

この3本はかなり熟成によってピークに近い形になっていると思います。
今熟成シャンパーニュを飲むならば90年代前半、フラッグシップクラスなら80年代後半がオススメです。
ピエール ルグラとポール ロジェは特にオススメですね。




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プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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