【日本酒:3】4種類の日本酒古酒から熟成を考える。

こんにちは、HKOです。
今回はちょっと熟成した日本酒、それぞれちょっとパターンが変わっています。
三重錦は瓶詰めから6年、武勇は瓶詰め前に3年、瓶詰め後1年、菊姫は瓶詰め後1年前、双鶴は購入から1年自宅のセラーで寝かせたものです。
品種が違ったり、精米歩合が異なるので、今回は熟成に絞って見て行きたいと思います。

ではいってみましょう。


生産者: 中井酒造
銘柄: 三重錦 斗瓶取り 純米吟醸 H19
品種:八反錦100%
精米歩合:50%
アルコール度数:17%

ヨーグルトやカッテージチーズの風味が感じられる。栗、水飴、餅、シクラメン、ダイコン、そば茶、ゴマ。
酸味は柔らかく滑らか。滑らかで際立った酸味はない。熟成感はあまり感じられない。


生産者:武勇酒造
銘柄: 武勇 道春 純米大吟醸 熟成古酒 H25 BY
品種:山田錦100%
精米歩合:40%
アルコール度数:16%

瓶詰め前に3年間の熟成を行う。
やや黄色を帯びた透明色、粘性は高い。
カッテージチーズ、バターの風味、桜餅、蒸した米、落花生。糖蜜、酒ぬか、熟した洋梨、チェリーなどの果実味。黒糖、ヒノキ、胡麻、和紙など。
酸はきめ細やかで重量感がある。やや熟成に起因する味わいでどっしりとした風味がある。


生産者:賀茂鶴酒造
銘柄: 賀茂鶴 双鶴 大吟醸(B.Y H24)
品種:兵庫県産山田錦100%
精米歩合:32%
アルコール度数:17%

6000円、WA88pt
外観は透明色で、粘性は高い。
1年の瓶熟成を経て抜栓。熟成してなお驚くべき華やかさ、常温にして突出した透明感。
醸造用アルコールが添加されている純米でない大吟醸であるものの、磨きは68%(精米歩合32%)と非常に高く、それの数値に準じた純米大吟醸クラスの味わいを保っているといって過言は無いと思う。(醸造用アルコールの影響を全く感じない)
水飴や桜の花、洋梨やメロンの吟醸香、月桂樹の葉、竹、ショートブレッドのアロマが感じられる。
透明感があり、香りから本醸造や特別純米の様な糠っぽさは一切感じられない。張り詰めた様な冷たさを感じる。
対して口に含むと蒸した米の豊かな味わいと残糖感が感じられる。酸は柔らかい。


生産者: 菊姫合資会社
銘柄: 菊姫 荒走り 大吟醸 B.Y H24
品種: 兵庫県三木市芳川町産山田錦100%
精米歩合: 50%
アルコール度数: 17%

6800円
外観は透明色、粘性は高い。
全体的な印象としてはやや重心の低い味わいが感じられる。葛やわらび餅の濃厚なアロマが感じられる。栗やショートブレッド、洋梨、オーク、チョコレートの風味が感じられる。充実した旨味がある。
口に含んだ際に感じさせる重厚感、粘性、パワフルさは随一。口当たりは滑らかで酸味は落ち着いている印象。


◼︎まず日本酒の熟成傾向について。
これが合っているかは別として、共通項として感じられたのが、いわゆるワインで言うマロラクティック発酵に似たニュアンスが出てくるという部分。
そもそも日本酒の酸の構成としては吟醸酒に少量リンゴ酸が表出するくらいで、ほとんどが乳酸と言われています。
そのため、熟成を経ていない本醸造、純米酒に関しては熟成を考慮せずともバターやショートブレッド、乳酸発酵に起因する要素が現れている訳ですね。

では吟醸酒はどうなのか。
吟醸酒以上を飲んだ時に感じるのは、以下の2点。

1:米糠や酒粕(雑味)の香りが少ない
2:酸が非常に際立っている。

上記で説明した通り、目の荒い生き生きとした酸は多分少量のリンゴ酸に起因するものではないかと思います。

ちなみに今回は全て吟醸酒以上を選定、熟成したものを見ていっています。
その上で通常の瓶詰め直後の吟醸酒と比べると下記2点が変化した点だと思われます。

1:酸が軟化している。
2:乳酸発酵の要素を感じる。

先述した通り、日本酒の酸はほとんどが乳酸ではありますが、熟成により吟醸酒に見られたリンゴ酸のシャープな要素は消えて、より純米酒、本醸造酒に寄った構成に変化しています。(ただし米糠や酒粕の様な香りは無いですが)
予想ですが、恐らく吟醸酒に含まれるわずかなリンゴ酸を原資にマロラクティック発酵(リンゴ酸が乳酸菌によって、乳酸と炭酸ガスに分解される)が発生しているのではないかと思います。

◼︎最初に記載したとおり今回の4種類は下記の様な熟成方法の違いがあります。
三重錦は瓶詰めから6年、武勇は瓶詰め前に3年、瓶詰め後1年、菊姫は瓶詰め後1年前、双鶴は購入から1年自宅のセラーで寝かせたもの。

ではこの中で最も熟成感が感じられたのは何か。順番でいうと下記の通り。

1 三重錦→2 武勇→3 菊姫→4: 賀茂鶴

妥当な順番だとは思います。
日本酒のマロラクティック発酵が起こる条件は不明ですが、基本的に高温でのみ発現します。三重錦は瓶詰め後6年なので、状況によっては大きく変質する可能性はあると思います。かなりの熟成感が感じられましたり。また武勇は貯蔵タンクで3年なので、大きく変質はしていませんでしたが、はっきりとした熟成感はありました。
問題は菊姫と賀茂鶴。
条件としては賀茂鶴の方が自宅セラーなので条件は悪いはずですが、最も純吟らしい若々しさ、シャープさがあったと思います、対して菊姫はより熟成感があったと思います。
なんとなく思うのが、これは精米歩合の差かな、と。
賀茂鶴は32%、菊姫は50%。これはかなり大きな差ではないかな、と。
環境変化による熟成の差より、精米歩合の差の方がはっきりと出ている。
これが2、3年と進んだ時にどう違いが出るかは不明ですが、検証してみたいところですねー。

◼︎この際それぞれの要素は置いておいて、一番美味しかったのは賀茂鶴 双鶴ですね。
醸造アルコールっぽさは全く感じません。緻密で精密な大吟醸といった感じ。次に菊姫でしょうか。

そんなかんじです。
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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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