【ボルドー:14】悠久の時を駆けるデュクリュ ボーカイユ、1893年、1986年、2001年垂直テイスティング。



こんにちは、HKOです。
本日はデュクリュ ボーカイユの垂直テイスティングです。
といってもあんまり垂直になっていません。
なぜなら2001(13年熟成)と1986(15年差、28年熟成)、そして1893(108年差、121年熟成)だからです。

121年って...!
ちなみに日清戦争の前の年ですね。
歴史の教科書でしか見たことのない時代のワインです。恐ろしい!
ボルドーのシャトーの歴史を感じますね。

デュクリュボーカイユはオレンジ色のラベルが特徴的なメドック第二級シャトー。こちらも年によっては第一級を凌駕する事からスーパーセカンドとされています。2003年からメドックの名士、ボリー家のブリュノ ボリーがこのシャトーを牽引しています。
ボリー家が所有して以降30年間に渡ってその品質を高めたため、現在の地位を築き上げたといえる。
栽培面積は52ha、平均樹齢38年、平均収量49hl/ha。畑で選果を行い手摘みで収穫後、除梗機で除梗。温度管理されたステンレスとコンクリートのタンクで17~21日間、アルコール発酵とマセレーションを行う。新樽50~65%で18~20ヶ月樽内熟成を行います。

それではいってみましょう!


生産者、銘柄: シャトー デュクリュ ボーカイユ 2001


外観は橙を帯びたガーネット、粘性は中庸。
いつもは古く感じる2001年も相対的に非常に若々しく溌剌とした印象を感じる果実味とを感じることができる。
ミントや熟したブラックベリー、ブルーベリー、そしてオレンジピール、カフェモカなどのロースト香、西洋杉が中心になり、薔薇、タバコ、ドライハーブや燻製肉、紅茶、シナモンなど。わずかにトリュフの風味も漂う。
熟成差し引いても非常にエレガントなボルドーで清涼感と豊かな果実味のある味わいのワイン。
タンニン、酸ともに突出しているが、やや酸の方が優っている。グレープフルーツや果皮、カフェモカのような余韻があり、旨味はそこまで表出していない。柔らかくなってはいるものの、酸、タンニンともに溌剌としており実態感がある。


生産者、銘柄: シャトー デュクリュ ボーカイユ 1986


外観は橙を帯びたガーネット、粘性は中庸。
大変良い状態の古酒で果実味も十分に残っている。熟成香が主体ではある。
枯葉と濡れた土、リコリス、生肉や獣香、熟した紫スモモとドライイチジクの果実味。鰹節の出汁香を中心に、ミント、ドライハーブやローリエ、クローヴ、炭焼きなどのロースト香など。熟成は経ているものの、まだまだ耐久度があり、香りも非常に高密度、順当な80年代ボルドー。
タンニンより酸が突出しており、合わせてわずかな土っぽさを帯びた果皮や梅しばのような旨味を感じさせるアロマが広がっていく。
ボディは先述のヴィンテージと比べるとかなり豊か。透明感のある1893と比べ実態を感じる味わいだ。


生産者、銘柄: シャトー デュクリュ ボーカイユ 1893


リコルクは1989年。
外観は煉瓦色の淡い橙、粘性は低い。
これだけの年月を経ていながら、しっかりとした香りの立ち上がり方をしており、湿った様な熟成香と果実味が両立している。
濡れた木やスーボワ、トリュフのアーシーな香り、野生的な生肉、パストラミハム。ナツメグ、ローリエ、リコリスなどのスパイス、そしてドライハーブなどのアロマが主体的。それだけに留まらず凝縮感のある梅しば、黒オリーブなどの果実味、ほのかにドライフラワー、煙草。ものすごく綺麗に熟成されていて全ての要素が完全に溶け込み一塊となっている。消毒液の風味も。
すっぽ抜けた味わいでは全くない。
酸とタンニンはほぼなく、マツタケなどの出汁と濡れた木、旨味の塊というべきアセロラのアフターがしなやかに口の中に広がっていく。正直期待はしていなかったが、非常に良い状態のワインだった。
グラス供出20分後に焼きホタテやマツタケの風味が表出。染み入る様なワインだ。


※シャトー蔵出し品。


※リコルクは1989年。


※精度の低いボトルの成形技術


※何故か750mlではなく730ml。


デュクリュ ボーカイユの特徴としては、豊かな果実味とリッチな樽香、そして濃さ。ただ今回は13年、28年、121年と一番若いものでもそれなりに熟成期間が長くなっているので、基本的には上記のような特徴は幾分か軟化しています。
最も若い2001年は2000年代後半に見られる熟したブラックベリーなどの若々しさが垣間見れますが、果実味だけではなく、果皮や樽の要素がバランス良く溶け込んで、僅かにアーシーな熟成香も見て取れます。
濃厚なスタイルが軟化し、若さを残しつつもエレガントさを纏っています。
オレンジピールの様な清涼感のある風味もありますし、かなり綺麗に熟成し始めている印象を受けます。しっかりとしたタンニンと酸もあり、まだまだ熟成しそうです。

そしてさらに熟成をして28年。 グレートヴィンテージ1986年。
外観はオレンジを帯びてきています。
果実味を充分に残しながら、アーシーな熟成香が主体となっています。
枯葉と濡れた土、リコリスなどの風味と共に、野性的な生肉や獣香のアロマがあり、そこに熟した紫スモモとドライイチジクの潤沢な旨みと甘みが感じられます。密度は依然高く力強さを残します。徐々に強固なタンニンは落ち着き、どちらかというと酸と旨みの方が突出。いわゆるボルドーの良質な古酒といえる状態です。まだ実態感ありますね。

そして最後1893年。
スカスカの泥で濁った雨水の様な液体を予想していたのだが、想像以上に液体が生きていて驚いた。抜栓直後だったからかもしれない。
アーシーな熟成香に加え、パストラミハム、ヨード香、様々なスパイスやハーブの香りを包含している。そして熟成したピノノワールによく似た梅しばや黒オリーブなどのエキス感のある果実が香る。
グラス20分程度で収束し、焼きホタテやシイタケの様な香りとなる。
酸とタンニンはほぼ消失。アセロラ、シイタケなどの旨みの塊で構成された出汁。
121年経過した液体が、ほん一瞬とはいえ、こうした輝きを放っているのはとても興味深い。日清戦争、第一次世界大戦、関東大震災、日露戦争、第二次世界大戦、神武・いざなぎ・岩戸景気、バブル崩壊、2000年、世界金融危機、東日本大震災という激動の近代史を横目に見ながら「劫」が如き徐々に削ぎ通された液体は味わい以上の価値が感じられます。

いままで甘口以外だと最も古いヴィンテージのワインは1921年のリシュブールでしたが、ボルドーという性質を差し引いても年号以上の力強さを感じるワインだと感じました。

なかなか感慨深いものがありますね。
大変良い経験になりました。

Ch.Ducru BeaucaillouChデュクリュ・ボーカイユ 2001

Ch.Ducru BeaucaillouChデュクリュ・ボーカイユ 2001
価格:13,800円(税込、送料別)




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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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