【シャンパーニュ:27】ジャックセロス、テロワールを緻密に映し出すキュヴェ リューディ2種を利く

こんにちは、HKOです。
昨日に引き続きシャンパーニュ、ジャックセロスのリューディ シリーズ、ブラン ド ノワール2本です。
グランクリュ「アイ」の単一畑「コート ファロン」。プルミエクリュ「マレイユ シュール アイ」の単一畑「スー ル モン」です。

ジャック セロスは現在シャンパーニュで最も注目されているレコルタン マニピュラン。
ビオディナミから一線を引き、自然派でありながらロジカルにビオの必要不必要を判断している。
アイとアンボネイに0.7haのピノ ノワールを保有し、リューディを少量生産している。
一次発酵には2種類のサイズ、5つの樽メーカーを使用し、平準化をしている。発酵には天然酵母を使用し澱引き、濾過せずに翌年5月頃まで新樽比率10で樽熟成。マロラクティック発酵は行わない。この時点でリザーブかボトリングかを判断する。ボトリング後、3年間のカーヴで瓶熟成。デゴルジュマンは瓶口を凍らせずに手作業で行う。
今回のアイ コート ファロンは国内割り当てはわずか48本。樽発酵後1年の熟成が行われ、さらに6年の瓶熟成を経てリリースされたエクストラブリュット。2003年を主体に2004年、2005年がブレンド。ドサージュは2g/Lのエクストラブリュット。ソレラシステム使用。デコルジュマンは2012年。
マレイユ シュール アイ スー ル モンはプルミエクリュであるマレイユ シュール アイの6haの単一畑スー ル モンのぶどうを使用。6年の瓶内熟成、ノンドサージュのエクストラブリュット、ソレラシステム使用。デコルジュマンは2013年。

では、いってみましょう!


生産者: ジャック セロス
銘柄: リューディ マレイユ シュール アイ エクストラ ブリュット NV(degorgee 2013)
品種: ピノノワール100%

60000円。
外観は濃い黄金色、粘性は高い、泡は穏やかに立ち上る。
引き締まったミネラルと、伸びていく様なクリーミーな丸みのある甘露さがある。
石の様なミネラル感、クリームやバニラの様な甘露さ。そして柑橘系のレモンやカリンの果実味、ハチミツの要素が中心になり、大変甘露で溶ける様な味わいが特徴。フレッシュハーブや白い花、白檀の様な華やかで陽性の香りが感じられる。ごくわずかにナッツの風味も。
酸は滑らかで、強烈な旨味と凝縮度が感じられる。レモンやハチミツ、フレッシュハーブのアフターが感じられ、ナッツの要素もほのかに感じさせる。


生産者: ジャック セロス
銘柄: リューディ アイ コート ファロン エクストラ ブリュット NV(degorgee 2012)
品種: ピノノワール100%

60000円。
外観は濃い黄金色、粘性は高い、泡は穏やかに立ち上る。
全体を覆う様な力強いミネラル感、アーシーさ、重厚なボディと甘露さが感じられる。
砕いた石の様なミネラル感、強い旨味を包含する出汁香、ローストした塩ナッツ、ドライハーブ、乾いた土や枯葉のアーシーなニュアンス。そしてのカリンや洋梨の様な香りが特徴的。酸化的なニュアンスが強く現れており、複雑な骨格を形成している。その中に僅かなエシレバターやハチミツ、白胡椒やシャンピニオンの要素もある。
ただ同じ酸化系でもボディの重さはアルゴンヌほどではなくエレガント。
マレイユ シュール アイと明らかに特徴が異なり、より今後の熟成を見越した重厚で重みのある味わい。
酸と旨味の規模感はより大きく、パワフル。
ナッツやかれ、オレンジピール、レモンの様なアフター。アンズの様な旨味も顔を覗かせる。


いやー、同じブラン ド ノワールなのに、これは想像以上にハッキリと違いますね。マレイユ シュール アイはクリーンかつフレッシュ、アイは濃厚なボディかつ複雑。
マレイユ シュール アイがどんな特徴なのかはわかりませんが、少なくともアイ村は力強いピノノワールが特徴で、コートファロンはそのイメージに則った造りをしている印象を受けます。

ただ前提としてジャックセロス自体がシャンパーニュメゾンとしてはかなり異端な醸造を行っているので、素直に「これがアイ、マレイユ シュール アイだ」とは言えません。
従ってここから読み取るのはあくまで村ごとのイメージをジャックセロスが再現している、ということだけです。

それを前提に置きながら、それぞれのキュヴェにはどの様な差異があるのか、というのを見ていこうと思います。
まず果実味。
マレイユ シュール アイはフレッシュです。
ハチミツやバニラクリームの様な溶ける甘露さに柑橘系の爽やかな果実味が特徴です。
フレッシュでありつつ甘露。極めてキャッチーな味わいだと思います
対してアイは果実味はやや後ろに下がっており、酸化的な出汁の様な香り、そしてカリンや洋梨の果実味が感じられます。熟成したニュアンスが主体ですね。ただその中に確かな甘露さも感じられます。

次に樽香。
マレイユ シュール アイは、やや樽の要素は控えめでごくわずかにナッツのアロマが感じられる程度。
アイはローストした塩ナッツや乾いた土、枯葉の様な香りが、旨味の強い果実味と有機的に結合して表出しています。酸化熟成&樽香という構成はアンリジローのアルゴンヌにも似ていますね。

ミネラル。
これはどちらも大変豊かなんですが、ややアイの方が力強いミネラル感を感じます。
なので、どちらのワインも引き締まった味わいかありましたね。

全体でいうのであれば、果実味を前面に押し出し、クリーンかつ凝縮感を極めたものがマレイユ シュール アイ。より樽と熟成、その他の副次的な要素が多層的に組み合わさっているのがアイ、と言ったところでしょうか。
アイは難解、マレイユ シュール アイはキャッチーだと思います。一般的に好まれるのは後者でしょうね。
ただアンリ ジロー的な良さが好きならば、もしくはジャックセロスそのもののファンなら前者でしょう。

どちらとも個性があり、甲乙付け難い2本ですね。



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プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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