【ローヌ:16】本能に訴えかける、考えうる最上のエルミタージュ3種。

こんにちは、HKOです。
昨日に引き続きローヌでございます。
今回はタン エルミタージュ周辺のアペラシオンとなります。
コンビエのクローズエルミタージュ、シャプティエのブラン ド ロレ、ル パヴィヨン、シャーヴのエルミタージュ ルージュです。


【データ】
ドメーヌ・コンビエはローヌに拠点を置く自然派生産者。現当主はローラン コンビエ氏。1970年代からビオロジーに傾倒しており、葡萄畑のみならず、周辺を取り巻く環境を視野に入れビオを実践。当代から醸造所をリニューアルし、温度調節装置付きステンレスタンクなどの最新の設備が備わっています。高低差を利用したグラビティーフローを採用し、葡萄に負担をかけない醸造を行っています。
収穫された葡萄は100%除梗。マセラシオンの期間を長めに行い、温度調節装置付きステンレスタンクで約25日の発酵、その後、80%は新樽もしくは5年以下の樽で熟成される。

Mシャプティエは1808年にタン エルミタージュに設立された老舗ドメーヌ。点字ラベルで有名なこの生産者は、コート デュ ローヌなどのデイリーラインに力を入れる一方で、ローヌ随一のフラッグシップラインも手がけています。
それが「セレクション パーセレール」。単一畑区画名入りのローヌワインで畑の個性を強く押し出したスタイル。現在は「パヴィヨン」「レルミット」「メアル」「ロレ」「グレフェ」などの合計14の畑がリリースされています。すべて完全なビオディナミによって栽培がなされています。
パヴィヨンは樹齢70-140年のシラーの古木を使用し、手摘みにて収穫した葡萄は木製開放桶で野生酵母でアルコール発酵。毎日1-2回程度ピジャージュを行います。発酵温度は20-32度とやや高めで、キュヴェゾンは3-4週間。新樽100%で20ヶ月の熟成を行った後、無濾過、無清澄で瓶詰め。
ロレ ブランはビオディナミで栽培したマルサンヌを手摘みしフレンチオークとステンレスタンクで30日間17度で発酵。 フレンチオークの新樽30%、ステンレスタンク70%でMLFを行いながら16ヶ月間熟成の後無濾過、無清澄で瓶詰めされる。

ジャン ルイ シャーヴをエルミタージュ最高の生産者と呼ぶ事に異論が出ることは無いでしょう。シャーヴのエルミタージュルージュは9つのリューディから成り(その中にはシャプティエのレルミット、ドゥラスのベッサールも含まれています)基本的に単一畑で醸造することは無いようです。シャーヴの芸術的な所はそれらの個性のブレンド技術に起因するものだと言われています。これらはまさにローヌ北部のトップワインと言って差し支え無いだけに値段も高く、それでも引く手数多なので入手しにくいのが現状です。生産本数は30000本程度、平均樹齢は60年程度。収穫された葡萄は10%新樽で1年間熟成させたのちに、大樽に移し替えさらに18~24ヶ月の熟成をかさねてから瓶詰めし、最低12ヶ月は瓶熟してから出荷されている。
ちなみに最良ヴィンテージのベッサールは100%新樽でひと樽のみ熟成されキュヴェ カトランという名前でリリースされている。


【テイスティングコメント】
生産者: ドメーヌ コンビエ
銘柄: クローズ エルミタージュ 2012
品種: シラー100%

5000円、WA88-90pt
いわゆるクローズエルミタージュと比べるとはるかにエレガントで、ブルゴーニュにも通じるニュアンスがある。
シラーらしい濃いガーネットの色調で、粘性は高い。鉄釘やなめし革の様な強い果皮のニュアンスと、黒胡椒や燻製肉の様なスパイシーさがある。ダークチェリーやブラックベリーの果実味や薔薇の様な華やかさ、炭焼きなどの要素が強く感じられる。果皮と冷涼な果実味からブルゴーニュらしさも垣間見れる。
スパイシーなキャラクターは間違いなくシラーだけど、ローヌっぽい過熟感が無い。酸味と旨みを前に出したスタイル。硬質感があり冷涼。
酸味は力強く、またタンニンも溌剌としている。スパイシーな茎や胡椒、そして黒い果実の余韻が長く残る。酸が際立っている。
若干マロラクティックな要素もあるか。エレガントでクリーンなシラー。華やかさと酸。かなり官能的なワインだな...。ギガルの様に甘くない。シャーヴを淡く小ぶりにした様な感じだ。


生産者: シャプティエ
銘柄: エルミタージュ ブラン デ ロレ 2011
品種: マルサンヌ100%

約30000円、WA100pt
外観は淡いストローイエロー、粘性は高い。
極めて新世界的な甘露で濃厚な味わい。
バターやヘーゼルナッツなどの風味と共に、濃厚で甘露な洋梨や黄桃の様なアロマが感じられる。
杏仁豆腐やドライハーブ、白胡椒、ブリオッシュのアロマ。極端に厚みがありボリューム感たっぷり。甘さはオーベールに似るがどこか感じるハーブっぽさが特異性を感じさせる。
酸味は滑らかで柔らかい。甘い花の蜜やハチミツ、バニラの様な甘露さが余韻として広がる。ボディが圧倒的に厚く、わずかに苦味を感じる余韻がある。


生産者: シャプティエ
銘柄: エルミタージュ ル パヴィヨン 1989
品種:シラー100%

WA100pt、約90000円
外観は橙を帯びたガーネット、粘性は強い。
穏やかになりつつも獣香がしっかりとあり、かなり熟した果実を感じさせる印象。
獣香、濡れた土や葉、熟したブラックベリーやシロップ漬けのプルーンの様な果実味。ミルク。キノコや生肉の様な風味、非常に出汁様の香りがある。ムスクやジビエ、シナモンや黒胡椒の風味。よく焼いた牛脂の様な香りもある。
口に広がる血液や獣香、黒胡椒の様な風味。
酸味、タンニンは柔らかく滑らかで突出した旨味がある。わずかな井草の様な渋み。素晴らしい。


生産者: ジャン ルイ シャーヴ
銘柄: エルミタージュ ルージュ 2011
品種: シラー100%

約30000円、WA95-98pt
外観は紫に近いガーネットで、粘性は高い。
強烈な凝縮感があり内外にそのエネルギーと果実味を振りまいている。単にパワフルなだけではなく突出して目が詰まっている。
ジャムの様なプルーンやブラックベリーの様な果実味、ワッフルやミルクコーヒーの濃厚さ。乾いた土やタバコ、生肉の様な野性味があるが果実味には劣る。徐々にスミレやフレッシュなベリーの様な強烈な華やかさが現れる。
酸はなめらかで、タンニンは潤沢が、目が細かく、切り立ったような部分がない。
ミルクチョコレートや黒系果実のコンポートの様な余韻が残る。まろやかかつ重厚。素晴らしい。


【所感】
さて、エルミタージュです。
個人的にはエルミタージュよりコート ロティ派なのですが、そうはいっても最上のエルミタージュはえもいわれぬ魅力があります。
ことシャーヴのエルミタージュに関してはどのコートロティよりも好みです。
今回はそんなシャーヴのエルミタージュをはじめとして、大御所シャプティエのセレクション パーセレール2種といった、まさに最高のエルミタージュ、そして周辺地域のクローズエルミタージュを追って行きました。
まずは周辺地域のクローズエルミタージュから。
ドメーヌコンビエはエルミタージュこそ保有していませんが、周辺地域のクローズエルミタージュで非常にレベルの高いワインを作っています。
スタイルとしては鋭角的でエレガント。
荒削りで野性的な果実味が魅力のエルミタージュと比べると、よく言えば洗練された雰囲気。悪く言えば果実味がエルミタージュに比べると少なめである事が言えます。
シラー由来の燻製肉や黒胡椒の様なアロマはそのままに果皮に起因する華やかさが前面に出ていて、ブルゴーニュ的な雰囲気を纏っている様にも思えます。冷涼な雰囲気があります。ジュヴレシャンベルタンの特徴に近いです。かなり官能的なクローズエルミタージュでなかなかいいと思います。
次にブラン ド ロレ。
これが凄まじいエルミタージュ ブランで一部のスキも無い。想起させるのはオーベールのリッチーヴィンヤード。極めて濃厚で重量感のあるマルサンヌで香ばしい樽の風味と過熟した果実味、ブリオッシュ。そして白胡椒とハーブの要素が特異性を際立たせる。
口に含むとシロップや花の蜜、バニラが球体となって膨らんで行く。
その分酸はトレードオフされているものの、日照条件か良いテロワールを極めて精緻に映し出している様にも思えます。
後味に僅かな苦味があり、その苦味すら全体を引き締める役割を担っており、1つの世界観として完全に確立されている。
新世界的だけど、ローヌらしさがしっかりと存在し、それでいて隙がない。
今飲んでも美味しいけれども、きっと熟成ポテンシャルもとても高いと思う。最上のマルサンヌ。
次にエルミタージュ パヴィヨン。
このパヴィヨンはシャプティエの単一畑としては初のヴィンテージで、かつパーカーポイント100点というなかなか無いレアな代物。
まず思うのが、若い。80年代のワインにも関わらず、この果実味の充実度よ。
熟した黒系果実やシロップ漬けのプルーンが詰まったジャムの様な香りを骨子にエルミタージュ独特の強い獣香、熟成による濡れた土や葉、生肉、血液の要素。シナモンや黒胡椒などの複雑な要素が一塊となって立ち上がって行く。
これだけ複雑な熟成起因の香りがありながら、充実した果実味が存在する奇跡。
タンニン、酸は滑らかでフルーツ、獣香、黒胡椒の余韻が残る。
元のタンニン、パワフルさは推して知るべし。今なお良好のバランスを見せるパヴィヨン。素晴らしい。まだまだ熟成の伸び代がある。若いヴィンテージからの変移としては順当。しかしながら力強いタンニンと強烈な果実味はそのままに熟成を纏うのは、やはり奇跡的だよなあ。
最後、シャーヴのエルミタージュ。
もはやこれば説明不要。今回も本当にグウの音が出ないほど素晴らしい。
やはりシャーヴの凄まじいところって、この果実味の目の詰まり方、凝縮感、それとシルクの様な質感を高レベルで両立してるところだよなあ。あるときはジャミーで、あるときはフレッシュな果実味が優美に変遷する。
甘露でありながら、緻密。果実味と他の要素、口に含んだときの滑らかさとのバランス感の絶妙さは本当に凄い。毛羽立ちがない。
2011年のシャーヴも極めて安定のクオリティと言って過言ではないかと思われます。
ただ2010年と比べると密度や口に含んだ時の質感がちょっと違う感じがしますね。
2010年はより引き締まっていて、球体の印象のあるアタックだったと思います。
2011年も比類なきエルミタージュだとは思いますが、2010年の奇跡の様なエルミタージュと比べるとほんの僅かの不足感を感じるかもしれませんね。
とはいえ、このクラスのワインには、もう平伏するばかりです。本当に毎年感動させてくれます。

以上、ローヌでした。
やはりシャーヴは最高ですな...シャプティエも凄かったし、凄い幸福な気分になれるワインでした...






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プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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