【ブルゴーニュ:79】生産者ごとの特徴を把握する、ブルゴーニュ古酒&ニューリリース4本を利く

こんにちは、HKOです。
また結構日が空いてしまいました。(一部更新したものはありますが...)
最近仕事が忙しくなんとも口惜しいですが、やむなしですかね。勘弁してください。

今回は新しいヴィンテージだったり、古酒だったりごちゃ混ぜですが、まあ、よろしくお願いします。

【データ】
ドメーヌ ジョセフ ドルーアンはブルゴーニュ最大級のネゴシアンのドメーヌ部門。
ジョセフドルーアンは1880年にワイントレーディングハウスを購入した時に設立され、二代目モーリスが経営を引き継いだ後にボーヌ付近に葡萄畑を購入し事業を拡大、三代目ロベールはミュジニー、グリオットシャンベルタン、シャンベルタン クロ ド ベーズ、ボンヌ マール、グランエシェゾーなどの特急畑を購入し世界的な名声を得るに至りました。現在の代表的な銘柄は幾つもありますが、何と言ってもマルキ ド ラギッシュのモンラッシェ、そしてパリスの審判でラモネやルフレーヴの銘柄を凌ぎ5位に付けた(でもモンテリーナにボロ負けた)伝説的な13.4haの自社畑 クロ デ ムーシュ(蜂蜜の畑)。
クロ デ ムーシュの土壌は石が多く、石灰岩や泥灰土で構成される畑。
新樽25%フレンチオークで115ヶ月熟成。

ベルナール デュガ ピィはジュヴレシャンベルタンに拠点を置くクロードデュガの従兄弟で、クロードデュガ同様、偉大なワイン達を産出しています。
全区画で行われるビオロジック、強い密植と厳しい選定による超低収量、そして若くとも20-30年、ヴィエイユヴィーニュともなると90年もの古木を使用しています。除梗はシャンベルタンとマジは100%全房、マゾワイエール30%除梗、シャルム50%除梗。低温浸漬はなしでアルコール発酵を行う。ピジャージュ、ルモンタージュは最小限に抑えています。(といっても色調やデュガピィの哲学からすると、それなりに行っている印象)、焼きの薄い新樽を1級以上は100%使用しノンフィルター、ノンコラージュで瓶詰め後出荷される。フラッグシップは生産量わずか1樽のシャンベルタン、マゾワイエール、シャルム、マジの特級群。

ユベールリニエはモレ サン ドニの代表的な生産者。ユベールが高齢の為、息子のロマン リニエが畑を引き続いだが、34歳にして他界。現在は引退したユベールとロマンの弟ローランがドメーヌを運営しています。代表的な畑はクロ ド ラ ロッシュとシャルム シャンベルタンの2枚看板。
樹齢は30年から40年ほどの古木が中心。栽培は有機農法。収量を抑えて収穫されたぶどうは100%除梗。低温浸漬を、1週間弱。アルコール発酵は2~3週間程度。ピジャージュ回数も比較的多めに行い、しっかりと色素、構成要素の抽出をおこなう。
新樽の割合は1級、特級で50%で熟成する。無濾過、無清澄で瓶詰めを行う。

アーサーバロレは、著名なドクターバロレコレクションに関連する銘柄。バロレコレクションはボーヌ生まれのアルバート バロレが生産者から直接買い集めた良質なワインの総称。バロレ亡き後ヴィラロン社に買い上げられ、以降オークションなどで高額で取引される様になっています。今回のクロ ヴージョは、ラベルからも分かるようにオークションに出品されるようなバロレコレクションではないです。ただバロレ存命中のものになりますし、一部アーサーバロレ名で出していたものもあるらしいので、多分ご自身で購入したものになるのかな? 真偽の程は不明ですが、貴重なものであることは間違いないと思います。

【テイスティングコメント】
生産者: ジョセフ ドルーアン
銘柄: ボーヌ プルミエクリュ クロ デ ムーシュ 1999

約10000円、WA90pt(1998)
外観はやや濃いめのストローイエロー、粘性は中庸。
若干柔らかくなっているもののオイルのようなミネラル感が残存。洋梨やシロップ漬けのパイン。バターやバニラの様な要素がある。白檀やシナモン、華やかな白い花やフレッシュハーブ。極めて若々しい。徐々に完熟した風味が現れ、グラスの中で結合し、ショートケーキの様な風味が感じられる。酸は柔らかく口の中で酸から旨味を伴う甘みが綺麗に膨らむ。洋梨、バニラ、ハチミツが官能的な余韻を残していく。
エレガントでありながら中庸、熟した果実味が感じられながら繊細。針の糸を通すような極めて高レベルのバランスが維持された素晴らしいシャルドネ。


生産者: ベルナール デュガピィ
銘柄: ジュヴレ シャンベルタン プルミエクリュ ラヴォー サン ジャック 2012

約43000円、WA93-95pt(2010)
外観は濃い色調のガーネット、粘性は高い。
土や炭焼き、燻製肉、タバコの様なロースティーな樽の香りが強く感じられる。果実味は大きく表出していない。奥の方に果皮の厚いブラックベリーやダークチェリーの風味が感じられる。徐々に甘い香りも。五香粉、オリエンタルスパイス、クローヴの要素。口に含むと強い旨味とスミレの花、燻製の香りが広がる。
酸とタンニンは充実し、幾分か粉っぽい要素も。
それと共に強い旨味の発露と華やかがあり、極めて強いボティを持った堅牢なラヴォーサンジャックだと思う。
まだまだ時間のかかりそうなワイン。


生産者: ユベール リニエ
銘柄: クロ ド ラ ロッシュ グランクリュ 2011

約40000円、WA95pt
外観は透明感のある赤みの強いルビー、粘性は低い。
全体的に瑞々しくも熟した果実味がある印象。
熟した黒系果実(ブラックベリーやラズベリー)のコンポートの様な果実味と共に果皮起因の華やかな赤い花の香り、ミルクティーの要素が感じられる。香りからみると極めて過熟している印象。若い葉やクローヴ。なめし革、スミレのアロマオイルの様な香り。
瑞々しくエキス感のある酸と旨味があり、合わせてマロラクティックなミルクティーの余韻が残っていく。ベリーや血液の要素もある。


生産者: アーサー バロレ
銘柄: クロ ヴージョ グランクリュ 1959

価格は不明。
外観は橙を帯びた淡い茶色、粘性は低い。
とても50年代とは思えないピノノワール。
熟成したブルゴーニュ白にも似たクリスピーかつ甘露な香りを感じさせる。非常に強いバニラやクリームブリュレの様な甘露な香り、炭焼きやわずかな帆立の要素。土や葉、葉巻の様な要素。燻製した肉の香り。驚くべきことにシロップの様な甘みとクリームブリュレにも似た味わいがあり、リリース直後はよほど長期熟成型に作ってあったのではないかな、と思う。
タンニンはわずかに感じる程度で、酸味も柔らかい。口に含むと土、バニラの香りとともに、キノコ系の膨大な旨味の奔流。


【所感】
まずはクロ デ ムーシュから。
ボディは繊細で厚みこそ無いものの、酸や旨味は充実しており水っぽい感じはしない。
ミネラルは充実、果実味は最初はドライな感じだが、徐々ブルゴーニュ的な熟したシャルドネを想起させるシロップの様な果実味が現れる。前面に出過ぎない均整の取れたマロラクティック発酵の要素があり、シナモン、花
、ハチミツやバニラの要素もそれに伴う。いずれかの要素が突出するワインではなく、緻密に構成されたバランスによって一体感を感じられるワインだった。特徴としてはピュリニー寄りだと思うけどどうだろうか...
しかし15年熟成していて、かなりいい感じになってる様な気がする。元々は結構ミネラリーでドライなワインだったのではと予想。
あと数年は熟成しそうだが、飲み頃だと思う。

次にアーサーバロレのクロ ヴージョ。
タンニンはほぼ抜け切っており、わずかな酸が残る。不思議な事に極めて熟成したブルゴーニュ白を思わせるクリームブリュレの様な甘露な香りを感じさせる。
そもそもこの年代のブルゴーニュ赤で出汁以外の要素を感じられるのは驚きだし、しっかりワインとして存命している。長期熟成によるホタテや葉巻、濡れた土、熟成肉の要素もある。
50年単位の経年変化は元の姿は読めないがなぜこうなったのか...タンニンが凄まじくて、それでいて果実味も新世界並みだったとか?
んー、なんかしっくりこないな...
ピノノワールの果皮を考えた時にここまで生き残っているワインって結構ホラーの様な気がしますね...

さて、気分を変えて次はリリースしたてのワインです。
デュガピィのラヴォー サン ジャック。
彼のワインは基本的に樽と抽出を強烈に効かせた作りが特徴的で、それが熟成を帯びて瑞々しい果実味が表出し、全体のバランスを取って行く、という作風です。
例年のワインもそうで、基本的にリリースしたては樽と抽出に覆われていて、膨大な果実味が横たわっているという状態なのですが、2012ヴィンテージに関しては極めて極端にその特徴が現れています。
トースティーな樽の要素が天面にぎっちりと敷き詰められていて、その奥を掻い潜った先にあるのは、抽出の壁。
ボディは重く果実味の気配は感じるものの、全く甘露さが表に漏れ出ていない。よって樽とタンニン、花の香りが強く感じられるのみで、ほぼ果実味は感じられない状況。
時間経過とともに徐々に和らぐが、それでも今飲んで楽しめるかといえば、非常に回答に困るところ。ただポテンシャルは感じるので、あと10年もすればいい感じになるんじゃないかと思います。

かなりの硬さを感じたデュガピィのラヴォーでしたが、ユベールリニエのクロ ド ラ ロッシュは始めからブリブリでツヤツヤした素晴らしいブルゴーニュでした。
ユベールリニエの特徴でもある瑞々しさを感じる果実味がこれでもかという程敷き詰められており熟した様なベリーの風味が感じられます。花のアロマオイルやミルクティーの要素もある。このシャンボールとジュヴレシャンベルタンの合いの子の様な要素を爆発的な果実味を付加して極めて精緻に捉えているな、という印象を受けます。
この生産者の村ごとの差別化は極めて極端に行われていて、たとえばシャンボールであればピノとしては最も薄い部類の外観とブルゴーニュの白の様な繊細な味わいを感じさせるし、シャルムは果皮起因の堅牢さと共に充実した果実味も併せて感じられます。ニュイ サン ジョルジュは黒系果実を主体としつつ極めてエキス感の強い味わいとなっています。今回のクロドラロッシュはユベールの虎の子とも言えるフラッグシップキュヴェとなっていて、華やかさと膨大な果実味を包含したものとなっています。

以上4種類。
この中だとユベールリニエとアーサーバロレがやっぱり良かったですね。クロ デ ムーシュは別のヴィンテージであれば、デュガピィはもう少し熟成すれば好みにストライクするかも。




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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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