【オーストラリア:9】素晴らしき中庸、新世代の黄金比を体現する自然派生産者

こんにちは、HKOです。
まただいぶ更新が滞ってしまいました。すみません。
本日はルーシーマルゴーとヤウマの新鋭オーストラリアワインでございます。


【データ】
ルーシーマルゴーは元料理人であるアントン ファン クロッパーが2002年にアデレードヒルズに設立したワイナリー。ワイナリーの名前は娘の名前から。
アデレード大学で醸造学と農業科学を学び、首席で大学を卒業、以降ドイツ、ニュージーランド、オレゴンでワイン造りに携わった。酵母、バクテリア、酸、糖など一切の添加物は加えない。
今回はドメーヌルッチラインのメルロー、そして単一畑のピノノワール。
メルローは標高450mにある砂泥が主質のローム層に鉄石土壌が覆うスロープ が無い丘の上部にあるマグパイスプリングスヴィンヤードで作られる。
収穫したメルローは全房発酵。500リットルの開放槽で自然発酵し、1日に1度だけピジャージュ。果皮はそのまま11週間マセラシオンする。ほぼフリーランジュースのみを使用。50%新樽で熟成する。
リトルクリークエステート ピノノワールはアデレード ヒルズ、バスケット レンジにある自社畑。全房発酵、オーク発酵槽にてマセラシオンと発酵を行う。

ヤウマは2006年にオーストラリア最優秀ソムリエのジェームス ダンビー アースキンが南オーストラリア マクラーレンヴェールに設立したワイナリー。ヤウマはカタラン語でジェームスを意味します。
自然派の生産者で収穫は手作業。全て野生発酵で発酵し、酵母も酵素も、清澄濾過剤、酸、タンニン等何も加ず、フィルターも清澄も行わない。グラビティーフローによって全工程が行われる。
今回のグランパンはマクラーレンヴェールの中でも最高の区画とされているアセンシオンとタラーという2つのヴィンヤードから収穫されているグルナッシュを使用。
ジェームスの娘の名前を冠するオードリーはオーガニックで運営されるウッド ヴィンヤードから収穫されたシラーとグルナッシュを使用しています。


【テイスティングコメント】
生産者: ルーシーマルゴー
銘柄: ドメーヌ ルッチ メルロー 2013
品種: メルロー100%

外観は濃いガーネットだが、粘性は中庸。
熟度より酸味を強く感じさせる極めてエレガントなメルロー。とはいえ熟度は十分にあり、ブルーベリーやブラックベリーの果実味があり、フルーツケーキやバタートーストの香ばしい風味、リコリス、華やかなスミレの香りが感じられる。やや土や小豆の様な風味も。特徴としては香りに丸みがあり、メルローらしいが、果皮と酸味のバランスが極めてエレガントでバランスのとれた味わいを感じさせる。
香り通り酸味が豊かで乾いたアプリコットの様な旨味と酸味が口の中に広がっていく、スパイスなどの余韻を残していく。美味い。


生産者: ルーシー マルゴー
銘柄: リトルクリーク エステート ピノノワール 2013
品種: ピノノワール100%

外観は淡い色調のルビーで、粘性は中庸。
ビオライクかつ全房発酵的な風味を強く感じさせるピノノワール。プリューレロック的。極めて瑞々しい果実味が魅力的。ダークチェリー、ブルーベリーの瑞々しい果実味やスパイシーな要素が強い。クローヴや枯れた葉、スミレやラベンダーの要素や生肉など。ほのかにシロップのような甘みも包含されている。極めてエレガントな風味が感じられる。ジンジャーブレッド。
タンニンは柔らかく、酸味が綺麗でブルーベリーやダークチェリーの風味が感じられる。極めてナチュラルなピノノワール。


生産者: ヤウマ
銘柄: グランパン グルナッシュ 2013
品種: グルナッシュ100%

外観は赤みの強い淡いルビー、粘性は中庸。
こちらも極めて瑞々しく酸が綺麗なグルナッシュ。
イチゴやチェリーリキュール、スモモなどの赤系の果実味と抑制の効いたシロップのような甘さを感じることが出来る。華やかなスミレやクローヴなどのハーブの風味と甘みが同時に広がっていく。生肉や燻製、樹皮、クルミ、トーストの様な風味が感じられる。
酸味もタンニンも穏やかで滑らか。どちらかというと酸味が前に出ている。スミレやチェリーリキュール、スモモの風味を感じる。エレガントでとてもよろしい。


生産者: ヤウマ
銘柄: オードリー シラーズ グルナッシュ 2013
品種: グルナッシュ75%、シラー25%

外観は濃いガーネットだが、他のキュヴェ同様エレガントな果実味と綺麗な酸が感じられる。しっかりと抽出されており、プラムやダークチェリーの果皮を感じさせる果実味がある。わずかにバニラの要素があり、スミレやクローヴ、黒胡椒、フレッシュハーブ。なめし革、樹皮などの複合的な要素が感じられる。
果皮の要素と酸味が極めて強く、旨味も充実している。華やかでキュッと引き締まった綺麗な果実味がある。ローヌ的な雰囲気を醸し出すシラー・グルナッシュ。


【所感】
個人差あるかもしれませんが、私的には凄い好きなタイプのワインでした。プリューレロックやフィリップパカレ、ちょっと前のデュジャックなんかが好きな人は結構ハマりそうな味わいです。
今回、いずれも品種は違いますが、共通してエレガントで自然派的な味わいに満ちています。
まずルッチメルローから。
例えるならば熟度の高いドメーヌソガのメルローと言った感じでしょうか。新世界的でもボルドー的でもありません。酸がしっかりと際立っていながら、十二分の果実味を包含しています。この綺麗な酸っていうのがなかなか新世界では珍しくて、酸の代わりに糖度とタンニンを多分に含みアルコール度数が上がるワインが多い中で、こういうエレガントな作風は貴重です。
また全房発酵らしいスパイシーさと果皮の要素がしっかりと感じられます。凝縮感のある旨味も際立っており、一般的なメルローとは少し異なった味わいです。
ただ完成度は非常に高いです。
次にリトルクリークエステート ピノノワール。
ある種全房発酵のスタンダード、ビオのスタンダードの様なピノノワール。プリューレロック的なワインです。果実味は極めて瑞々しく、黒系果実の果皮の香りとスパイス、枯葉、シロップの様な緻密な果実味が感じられます。こちらもエレガントで、かつ十分に熟度の上がった味わい。バランス感が良いと思いました。
高い標高に起因する凝縮感が大変素晴らしい。
100%除梗的なクリアな作りではありませんが、良い意味で複雑でありつつ、エレガントな口当たりになっていると思います。

ヤウマもそういった意味では大枠では非常に近い生産者です。しかしながら使用しているのはローヌ品種。グルナッシュ、そしてわずかながらのシラーです。
ただローヌや新世界的なグルナッシュのあり方とは完全に決別した味わいで、例えるならばラウルペレス、そしてラヤスなどの生産者のそれに幾分か近いと思う。極めてエレガントで、綺麗な酸が感じられる冷涼なタッチのワイン。グランパンはビッグなアルコール度数やカラメルなどの極端な甘さは一切なく、赤系果実と抑制の効いた蜜の様な甘さ、スモモの様な旨味がしっかりと感じられる。樹皮やトーストの様な風味もあり、まるでピノノワールの様なエレガントさを醸し出している。
オードリーはそれよりかは幾分かローヌらしさがありますが、抽出の強さに起因するもので、綺麗な酸や瑞々しい果実味はグランパン同様、しっかりと存在しています。バニラや黒胡椒などの要素が立体的に交差し、複雑な骨格を形成しています。この品種から想起される味わいとしては細さを感じますが、密度は高いです。
ヤウマとルーシーマルゴー、話題の二人の生産者を見ていると、濃いワインが持て囃される時代は昔の話、という風に感じてしまいます。スペイン新潮流を見ても、より精緻なワインが今求められているみたいですし、よりこれからワインは多様化していきそうですね。



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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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