【ボルドー:21】熟成した1999年ってどうなの?いいの?悪いの?

こんにちは、HKOです。
本日もボルドーです。ただしコミューンに関しては限定せず、サンテステフ、サンジュリアン、マルゴーの3種とポムロール1種です。
ベタなアイテムばかりですが...どうぞよろしくお願いします。


【データ】
シャトー カロン セギュールはサンテステフ最北端に位置するメドック第3級シャトー。所有者はカルベン ガスクトン夫人。1982年以降のオーナー変更に伴って品質が向上しコスデストゥルネルやモンローズに迫るものを作っており、格付けに見合うシャトーとなっている。
保有している畑は樹齢35年のブドウが植わる砂礫と鉄分の多い石灰岩の55ha。平均収量は40hl/ha。栽培されたブドウは手摘みで収穫したのち、3週間、温度調節された発酵槽で発酵。生産量の20%は新品の大樽でMLF。残り80%は18~20ヵ月間発酵槽でMLF。オーク樽に移され新樽30%で樽熟成される。無濾過でボトリング。

シャトー レオヴィル ポワフェレはサンジュリアンに位置するメドック第2級シャトー。元々はラスカーズやバルトンと同一シャトーだった歴史がある。畑のポテンシャル自体は2級の中でも最上と言われていたが、1961年以降1980年代に至るまでそのポテンシャルを発揮していなかった。ディディエ キュヴェリエ、ミシェルローランの関与以降、セラーは近代化され、セカンドワインの導入によりファーストラベルの品質の安定化、新樽比率の向上を経て、その名声を高めた。
平均樹齢は25年、収量は45~50hl/ha。
収穫したぶどうは温度管理されたタンクで7日間のアルコール発酵と15~30日間のマセレーション。新樽比率75%で22ヶ月熟成。無濾過で瓶詰め。

シャトージスクールはマルゴーのコミューンの最南部に位置するシャトー。
ぶどうの栽培区画はわずか1/3ながら240haを超す広大な敷地を保有している。現在の所有者はエリック アルバダ イェルヘルスマ。1950年代までそのポテンシャルを発揮することは無かったピエール タリにより品質が向上し、多くのシャトーが不調に陥った1970年代1980年代を乗り切っている。(これは同年代の間同氏がユニオン デ グランクリュの会長であった事に起因するのかもしれない)、ただその格付けに対する価値については至極妥当なものであると評される場合が多い。作付面積は80ha、平均樹齢30年、平均収量45hl/ha。
収穫されたぶどうは温度管理されたステンレスタンクで15~18日間マセレーション、6~8日間の発酵。
新樽30%程度で18ヶ月の熟成、無濾過で瓶詰め。

シャトークリネは1700年よりポムロールに拠点を置くシャトー。現在ミシェルローランの影響下にある数あるシャトーの中の一つ。醸造責任者はジャン ミッシェル アルコート氏。何回か所有者が変わっていますが、現在はラボルト家所有となっており、ミシェルローランがコンサルタントに就いてからの90年代以降評価を上げています。
レグリーズ クリネ、クロ レグリーズに隣接する粘土(砂利含む)/鉄分を含む青粘土で構成される畑(8ha)を保有。平均樹齢は40年。平均収量は35hl/ha。除草剤は使用しない。収穫は手摘によって行われる。
プレス後、1週間の低温浸漬。その後木製槽にて3%週間から5週間、30℃から33℃で発酵。そしてマロラクティック発酵を行います。フレンチオーク新樽100%にて16ケ月から22ケ月の熟成後、無清澄、無濾過でリリースされます。セカンドはフルール ド クリネ。


【テイスティングコメント】
生産者、銘柄: シャトー カロン セギュール 1999
品種: カベルネソーヴィニヨン60%、メルロー30%、カベルネフラン10%

17000円、WA87pt
赤みの強いガーネット、粘性は中庸。
従来の樽香の強さと共にMLF的な要素が前に出ている印象を受けます。香ばしいブリオッシュやミルクティー、バニラの丸みを感じさせるアロマ。そしてカシス、ブラックベリーの果実味、熟成による燻製肉や土っぽさが徐々にあらわれる。トリュフ、リコリスの様なアーシーさを少し感じる。黒糖の様な甘露さ。
ボルドーの中でも比較的キャッチーな味わいに感じる。
タンニンと酸は充実している。タンニンにやや毛羽立ちが感じられる。キノコ系の旨味がしっかり感じられる。


生産者、銘柄: シャトー レオヴィル ポワフェレ 1999
品種: カベルネソーヴィニヨン65%、メルロー25%、カベルネフラン8%、プティヴェルド2%

19000円、WA89pt
赤みの強いガーネット、粘性は中庸。
瑞々しくフレッシュな果実味。大きな規模感は無いものの堅実に仕上がった魅力的なワインだと思う。ミディアムボディ。
花の蜜や、ブラックベリー、ブルーベリーの様な黒系小果実の果実味。ほのかにミルクやバニラ、西洋杉、徐々に枯葉や土の風味が出始める。僅かなキャンティ香。スミレ、パストラミハム、リコリス、ローリエ。
タンニンは極めて柔らかいが、どちらかというと酸が際立つ仕上がり。土やブルーベリーの果皮、熟成肉の様な余韻を伴う。この中ではもっとも軽やかなエレガントな味わい。エキス感を感じる。


生産者、銘柄: シャトー ジスクール 1999
品種: カベルネソーヴィニヨン55%、メルロー40%、カベルネフラン5%

13000円、WA89pt
黒に近いガーネット、粘性は中庸。
マルゴーらしい作りのハーブや花の香りが主軸となるエレガントなワインだ。柔らかくしなやかなタンニンとスパイシーさが特徴的だ。
オレンジなどの柑橘の香りと、スミレや薔薇などの花やミントやリコリス、ローリエなどのハーブの様な清涼感のある香り。カシス、ダークチェリーの果皮の強い果実味。どこかミネラル感がある。なめし革、紅茶、炭焼き、パチュリーなどのアーシーさも伴う。
タンニンと酸の均衡がとれており、どちらかが突出して主張する事はない。オレンジなどの柑橘系、黒系果実などの果皮起因の余韻か感じられる。


生産者、銘柄: シャトー クリネ 1999
品種: メルロー85%、カベルネソーヴィニヨン12%、カベルネフラン3%

18000円、WA88pt
黒に近いガーネット、粘性は高い。
ロースト香が主体で、メルローらしい果実味はあまり出ていない様に見受けられる。バランスはあまり良くないかもしれない。
帆立や炭焼きの風味、タバコ、土、燻製肉、極めてトースティーで土っぽい要素が前面にある。あまり果実味は前に出ていないがカシスの風味が感じられる。
どこか熟成した新世界のカベルネソーヴィニヨンの様なオイリーな香り。樹脂、リコリス、ハーブティーの様なアロマがある。
香りから早期される様に、充実したタンニンがあり、どちらかというと酸はやや控えめ。全体的に厚いボティがあり燻製肉、タバコ、ロースト香が感じられる。
比較的足が速いのか熟成香は強めに出ている。

【所感】
ボルドーの機微は感じられるものの、やはりどのワインも一押し足りない不満足感か残るワインだったと思います。確かに飲み頃であることは間違いないのですが、最上クラスの熟成ボルドーと比べると密度やバランス共にレベルの低さが目立った気がします。
そんな中でも検討していたのはレオヴィル ポワフェレで、密度や厚みという意味ではこの中で最も低いのですが、各要素のバランスが極めて良くエレガントで一塊感がある様に思えました。やや酸が際立つものの、そこから現れる緻密で繊細な果実味はなんとも魅力的です。まさにトラディショナルな「クラレット」。
少なくとも今日クラレットと表現できる淡いボルドーワインが少ない中、このボルドーはクラレットと呼ぶのが相応しいワインではないかと。
次はカロンセギュール。
MLFと樽香がしっかりとある、比較的キャッチーなスタイルのボルドーではあるのですが、このスタイルでいうならばどうしても不足感を感じてしまいます。
極めて飲みやすいワインではあるものの、香りに対して熟成によるボティの落ち込みがやや早いように思えます。ボディがやや薄めの割にはタンニンにざらつきがあり、口当たりがちょっと悪いように感じました。
素晴らしいヴィンテージではないのでやむなしとは思いますが、この生産者の良質なヴィンテージの素晴らしさを見るに、少しガッカリしてしまう味わいでした。
シャトージスクール。
エレガントなワインですが、少し青さを感じてしまいます。華やかでハーブの香りが魅力的ですが、果実味は穏やかで少し土の要素を感じます。なんというかシャンボールミュジニー的というか、そんな感じの雰囲気ですが、さほど魅力的なワインだとは思えませんでした。
シャトー クリネ。
2003年でも結構な熟成感を感じましたが、1999年を飲んで、改めて足の早いワインだな、と感じました。翻せば熟成の味わいを比較的早くから楽しめるワインではあるのですが、フレッシュな時期が短いので、そういったワインが好きな人にはあまり楽しめないと思います。
1999年は既に熟成香が強く出ています。ただその熟成香とは裏腹にロースト香が消えずに強く残っている。これがかなりアンバランスというかあまり良くない傾向かなと思っていて、果実味が先に失われてしまっている感じ。タンニンは強いのでまだ生き残るだろうが、ヴァンドガルドとしては失敗なんじゃないかな、と思ってしまいます。

というわけで1999年のワインですが、やはり期待外れというか微妙な造りのが多かった様に思えました。レオヴィルポワフェレなんかは良かったのですが、ボルドーのベーシックなスタイルかと言われれば、まあボルドーではあるのですが、流行り系ではないです。
個人的にオフでもボルドーは好きなのですが、じゃあ熟成したらどうなのよ、と言われれば微妙かも。若いボルドーはむしろオフの方が良かったり飲みやすかったりするんですが、熟成を重ねるとバランスを失うことが多いと思いました。

パーカーポイントが全てではないですが、レオヴィルポワフェレ、クリネは2009年に100ptだった訳だし、ジスクールやカロンだって2009年に94ptなんですから、不思議ですよね。
贅沢ですかねー?



シャトー・ジスクール 2009

シャトー・ジスクール 2009
価格:8,550円(税込、送料別)


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プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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