【ボルドー:20】クラシック&モダン ポイヤック3種類を利く

こんにちは、HKOです。
本日は昨日に引き続きボルドーです。地域はポイヤック。王道ですが、たまに王道を振り返る事で色々分かることも多いです。
今回はロングヴィル バロン、ポンテカネ、ポイヤック ド ラトゥールの3種類です。

【データ】
シャトー ラトゥールはポイヤックに拠点を置くトーチカの様な塔が特徴的な第一級シャトー。現在はフランソワ ピノー氏が指揮を執る。ラトゥールはその品質を安定させる為に約60%がセカンドラベルに回される。1974年に至っては25%のみがグラン ヴァン ド シャトー ラトゥールとなる。また、その偉大なワインが産出がされる畑はメドックにおいて最も歴史が古い畑のうちの一つ。レオヴィルラスカーズに隣接する細かい砂利質で非常に水はけに良い土壌である。今回はサードラベル、ポイヤック ド ラトゥール。
栽培面積は60ha、平均樹齢は35年、収量は40hl/ha程度。マセラシオンは21日間行なわれ、温度調節機能付きのステンレスタンクで30℃を維持したままアルコール発酵。
新樽を100%使用し20~26ケ月熟成を行なう。清澄は行なうが濾過は行なわない。

シャトー ピジョン ロングヴィル バロンはコンテス ド ラランド、ラトゥールに隣接するメドック格付け2級シャトー。アペラシオンはポイヤック。
1980年終わりにAXAへ売却された後、ランシュ バージュのジャン ミシェル カーズを監督として雇用し、新たに導入された厳しい選別、収穫時期を遅らせる、セカンドワイン導入、新樽比率の向上によって劇的に品質が改善した。作付面積は68ha、平均樹齢は35年。収量は45hl/ha。
砂利質で生育したブドウは手摘みで収穫。100%除梗。ステンレスタンクで通常15~17日間発酵、マロラクティック発酵も一部行われる。3ヶ月後樽に移され、新樽は70%で12~15ヵ月熟成。清澄処理も濾過処理も実施。

シャトー ポンテ カネはムートン ロートシルトの向かいに位置するメドック格付け5級シャトー。1994年以降急激に品質を向上させており、現在は1級シャトーに匹敵、年によって凌駕する卓抜した品質を誇る。間違いなくピジョンララント、コスデストゥルネル、パルメ、レオヴィルラスカーズ、デュクリュボーカイユ、ランシュ バージュの6大スーパーセカンドの領域に足を踏み入れているシャトーと言える。とりわけ2009年、2010年に関してはWAで連続100ptを獲得しており、その名声を確かなものとした。
現在も品質向上に力を入れており醸造用のセラーの一新、セカンドラベルの導入、新樽比率の向上、機械収穫から手摘みへの変更を経て着実にその品質を向上させている。
栽培面積は78.9ha、平均樹齢30年の葡萄を50hl/haの収量で収穫。木製発酵槽50%、コンクリートタンク40%、ステンレスタンク10%で3~4週間発酵とマセラシオンを実施。新樽60%で16ヶ月熟成し軽い清澄と濾過を行う。


【テイスティングコメント】
生産者: シャトー ラトゥール
銘柄: ポイヤック ド ラトゥール 2008
品種: メルロー55%、カベルネソーヴィニヨン45%

14000円、WA88pt
外観は濃い色調のガーネット、粘性は高い。
堅牢なラトゥールのサードとは思えない程近づきやすく丸みがある体躯のワイン。恐らくメルローの比率がファーストに比べて圧倒的に高いからだろうか。
熟したブラックベリーやカシスの様な果実味が感じられる。果皮の強いアロマは控えめ。タバコや乾いた土の香りはラトゥールに似ているが、より果実味に合わせソフトに感じられる。バターやバニラ、焼いた杉、フルーツケーキの様な果実味。燻製肉、リコリス、クルミの要素が感じられる。
強靭でありながら、滑らかなタンニンと酸があり、嫌な余韻を一切感じさせない。カシスや土、果梗の様な余韻が感じられる。ラトゥールらしからぬ丸さに驚くサードラベル。


生産者、銘柄: シャトー ポンテ カネ 2011
品種: カベルネソーヴィニヨン60%、メルロー35%、カベルネフラン3%、プティヴェルド2%

約15000円、WA93-95pt
外観は濃い色調のガーネット、粘性は高い。
多分誰もが望むボルドーらしいボルドーの理想像の様なワインだと思う。熟したブラックベリーやカシスリキュール、シロップ漬けの様な甘露な香り。西洋杉や黒糖、炒ったナッツの香ばしい香りが果実味と結合する。ミルクのアロマ。ミント、スミレの様な香り。燻製肉の様な要素もある。ドライハーブ、ユーカリなど。鮮明で外交的、果実味に満ちていて、花開くような派手さと凝縮度があるポイヤック。香りはかなりリキュール的だが、高アルコールならではグリセリンっぽさは伴わない。
若いヴィンテージながら拒絶する様な硬さはなく、甘いタンニンと滑らかな酸が特徴的で丸みが感じられる。際立った旨味とブラックベリーやミルクの余韻が残っていく。素晴らしいボルドーだ...


生産者、銘柄: シャトー ピジョン ロングヴィル バロン 1999
品種: カベルネソーヴィニヨン60%、メルロー35%、カベルネフラン4%、プティヴェルド1%

19000円、WA89pt
外観は小豆の様な赤みの強いガーネット、粘性は中庸。
熟成のニュアンスが比較的はっきりと出ている様に感じられる。強めの獣香、生肉などの野生的な風味。果皮を強く感じさせるカシス、ブラックベリーの果実味。炭焼き、ナッツ、タバコなどのロースト香、乾いた土の様な大地香。ミント、トリュフ、リコリスなどの要素も。徐々に焼きホタテの様な風味も。
極めて強固で堅牢、ギュッと引き締まった凝縮感がある。やはりこの作りはどこかラトゥールに似ている。
熟成によりタンニンは滑らかで、酸味もきめ細やか。
梅やベリーを感じさせる旨味が感じられる、余韻も長い。


【所感】
第一級が如き風格で迫る第五級シャトー、ポンテ カネ。 2010年には及ばずとも2011年らしからぬ凝縮感、恐るべき密度を持ったワイン。
ポンテ カネの2010年はボルドーというより、完全にチューニングされたナパのカルトカベルネに近かった様な気がします。リキュールの様な果実味とツヤツヤして球体っぽい酸とタンニンがある。そんなにアルコール度数が高い訳ではないのに、アルコール度数が高そうな雰囲気を感じさせる。
それと比べると今回の2011年はしっかりとボルドー寄りの味わいで、極めて熟した果実的である事は変わらないのですが、過度のアルコール感というか、ニューワールド感は無くて、タンニンや酸の表れ方もビロードの様。派手なワインではあるんですが、ボルドーらしさを残した良い作りをしていると思います。
もちろんワイン本来の出来で言うのであれば2010年ですが。
次にポイヤック ド ラトゥール。
これはラトゥールを想定して飲むとあまりにも違いすぎて驚くのではないかと思ってしまいます。例えば抽出、例えば樽、例えば品種特性、すべての要素がラトゥールから想起される堅牢さと逆方向を向いている。メルローの甘く丸いタンニンと果実味、節度あるローストや抽出。若い頃は飲めませんよと雄弁に語るあの硬さは一切なし。
とても良く出来ているメルロー主体のボルドーワインだと思います。
ただ決してラトゥール的では無いと思うし、ひょっとしたらポイヤック的ですらないかもしれない。
とても美味しいけど、ポイヤックの名前を冠しているのにこの存在は、ちょっとシュールにも思えてしまうかもしれません。
最後にロングヴィル バロン。
先述したポイヤック ド ラトゥールと比べると、まだこちらの方がラトゥールに近いような気がします。
熟成香を帯びているものの、15年如きの熟成ではビクともしていない堅牢さ。強固なボディ。
比較的熟成香の表出自体は早そうなワインではあるのですが、ともかくタンニンと酸が分厚く、これがちょっとやそっとで落ち着きそうな感じじゃないんですよねえ。大分毛羽立ちは消えているのですが、まだ熟成しそうですね。

この中だとやはりポンテ カネ一択ですね。
2011年も超いいです。


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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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