【ボルドー:22】ラフィット、レヴァンジル、イグレック、デュフォールヴィヴァンを利く

こんにちは、HKOです。
本日はボルドーグランヴァン5種類です。
アペラシオンはバラバラでソーテルヌ、マルゴー、ポムロール、ポイヤック。品種もバラバラ。

イグレック、デュフォールヴィヴァン、カリュアド ド ラフィット、シャトー ラフィット ロートシルト、レヴァンジルです。

【データ】
シャトーディケムはソーテルヌに拠点を構える世界最高の貴腐ワインを産出するシャトー。現地ソーテルヌの格付けでは、ただ唯一の第一特別級(プルミエクリュスペリュール)として君臨しています。
驚異的な低収量が特徴で、平均して葡萄一本につきグラス一杯のみしか取れない、これは木の樹齢の高い事、貴腐粒だけを丁寧に選別している事、そして長期間の樽熟成に伴う蒸発に起因します。100%オーク新樽で42ヶ月の樽熟成。全行程に渡って当然ながら補糖補酸は行われません。不作の年はリリースされません。(直近だと2012年ですね)
今回は辛口のセカンド的なポジションであるイグレックです。選果されたブドウは軽くプレスされ、温度管理されたステンレスタンクで発酵。発酵が終わる直前に、新樽比率33%の木樽で10ヶ月熟成。

シャトーデュフォールヴィヴァンはゴンザーク リュルトンが保有するメドック2級シャトー。品質を伸ばしている下位シャトーの台頭もあり、現状格付けには見合っていないとも言われます。ただし、その分値段はリーズナブルで手は出しやすく、意外とコストパフォーマンスの良い銘柄かと思われます。もちろん他の2級シャトーに比べると厳しいですが、決して悪くはないと思います。
平均樹齢25年の20haを保有。平均収量は50~55hl/ha。新樽30~50%で12~18ヶ月熟成。清澄も濾過もする。

シャトーレヴァンジルはポムロールに拠点を置くいわゆるシンデレラワイン。現在はラフィットの傘下にあり、価格、品質共に急上昇を続けるシャトー。
コンセイヤント、ヴィユー シャトー セルタン、ペトリュス、シュヴァル ブランに隣接する高いポテンシャルを持つ極上の14haを保有。土壌は粘土と砂が混じった深い砂利質土壌。現在品質的にはペトリュスやラフルールに双肩すると言われている。
平均樹齢40年の14haの畑を保有。平均収量は40hl/ha。発酵とマセレーションは温度管理されたステンレスとコンクリートのタンクで25~30日間。発酵槽内でMLF。その後新樽80%で18ヶ月熟成。清澄や濾過も実施。

ラフィット ロートシルトは、伝統と格式に満ちたボルドー最高のシャトー(という見られ方をする)。ラフィットを生み出しているものの、1974年までは一級としては比較的凡庸でありながら、75年以降、エリックの行き届いた管理と、32~36ヶ月の樽熟成期間を20~30ヶ月に変更、さらに徹底したグリーンハーヴェストと意識的な遅摘みを行う事で果実味を引き出し、現在はその地位を不動のものとしている。現在はシャルル シュヴァリエがその指揮をとっている。
栽培面積は100ha、平均樹齢は45年。収量は平均で48hl/haとなっている。
栽培は先に述べたとおりグリーンハーヴェストで収量を抑えた果実を選定し、除梗機で除梗したのち、ステンレスと木製のタンクで18~24日間のマセレーションとアルコール発酵が行われる。オーク新樽16~20ヶ月で熟成を経た後に、無濾過で瓶詰めされる。
今回は最新ヴィンテージ2011のファースト、セカンド。


【テイスティングコメント】
生産者: シャトー ディケム
銘柄: イグレック ド シャトー ディケム 2011
品種:セミヨン80%、ソーヴィニヨンブラン20%

27000円、WA-pt
外観は透明に近い淡いストローイエロー、粘性は低い。芳香はやや控えめ。
熟度はさほど高くは感じないが、石を砕いたようなミネラル感が豊かで品の良いハチミツやマスカテルな香りが芳香する。クリーンで樽の要素やMLF的な部分はあまり感じない。ライチやシトラスの清涼感のある果実味、バター、白胡椒、ニンニク、白檀などの要素も感じられる。
香りは微妙だったが口に含むと出自の良さを証明するかのような滑らかな酸と甘いパッションフルーツのような果実味が感じられる。エレガントなセミヨン。
グラーヴの様なビッグなセミヨンとは少し性質が異なるみたい。

生産者、銘柄: シャトー デュフォール ヴィヴァン 1969
品種: カベルネソーヴィニヨン82%、カベルネフラン10%、プティヴェルト8%

WA-pt
外観はレンガ色で粘性は低い。
極めてエレガントな古酒。
タンニンや酸などの要素はほぼ抜け落ちている。土やキノコの風味、アセロラや梅しばの品のある果実味。
ドライハーブの風味、炭焼き、鉄分。腐葉土の風味。
綺和風のお出汁の様な繊細な旨味、エキス感がある。優美な純度の高い旨味成分の塊。


生産者、銘柄: シャトー レヴァンジル 2008
品種: メルロー75%、カベルネフラン25%

16000円、WA94pt
外観は赤みの強いガーネット、粘性は高い。
極めて熟度は高いが、新世界っぽさは無く、あくまでボルドーに寄り添った味わい。
バターなどの丸みがある風味、ドライハーブ、フルーツケーキ、よく熟したブルーベリーやブラックベリーの風味。スミレ、小豆のような要素が全面に現れている。乾いた土や燻製、リコリス、バニラ。
ロースト香をまとい、キャラメリゼしたフルーツの様な果実味が突出している。リキュール的な丸みもある。
酸とタンニンは豊かでボディはパワフル、フルーツケーキやキャラメリゼした厚い風味が感じ取ることができる。洗練されていながら果実味の厚みがあり、とはいえ新世界的な風味には至らない綺麗な味わいを感じることができる。素晴らしいポムロール。


生産者: シャトー ラフィット ロートシルト
銘柄: カリュアド ド ラフィット 2011

品種: カベルネソーヴィニヨン55%、メルロー39%、カベルネフラン、プティヴェルト6%
26000円、WA87-89pt
外観は紫色に近いガーネット、粘性は中庸。
典型的なポイヤックだが、やや青さを感じるカベルネソーヴィニヨンだ。ラフィットで現れたネガティヴな部分がより目立って感じられた。
西洋杉、イーストや僅かなピーマン香。果皮を感じるカシスやブラックベリーの果実味。果実味は十分に熟していると考えられるが、どこか散漫な印象があり、どちらかいえばリコリス、ハーブの香りが主体的に感じられる。
タバコ、土の香り。燻製肉、炭焼き、バニラなどの風味がある。やや密度が低いボディに対して、ギラついたタンニンや酸にアンマッチ感がある。


生産者、銘柄: シャトー ラフィット ロートシルト 2011
品種: カベルネソーヴィニヨン80%、メルロー20%

96000円、WA90-93pt
外観は紫色に近いガーネット、粘性は中庸。
カリュアドに比べると香りの規模感は大きく引き締まった体躯をしたワイン。構成要素は近く、基本完全なる上位互換のワイン。(見方としてはカリュアドが下位互換というべきか)
エシレバターやブリオッシュ、西洋杉の様なトースティーな風味と共に熟度の高いカシスやブラックベリーの凝縮した果実味を感じられる。こちらもカリュアド程ではないにせよ青さを感じられ、目立たないながらもピーマンやハーブの香りが感じられる。時間が経過するとコーヒーやリコリスが目立ってくる。僅かに小豆の風味。またカラメルやシロップの風味が感じられる。スミレ、燻製肉、マホガニーの様な風味がある。
タンニンは力強いが拡散していくような滑らかさがある。酸も豊かでカシスや西洋杉の様な果実味の余韻が残る。


【所感】
まずはイグレック。期待値が高すぎたのか、やや空振り。そしてこんなものか。という気持ち。
些か主観的な見方にはなるのですが、ディケムはどんなに期待を抱いても期待を下回る事は絶対無かっただけに正直「あれれ?」と。
香りに関しては閉じているだけかと思いますが、少し繊細の様に感じました。
まず表層にあるのは強いミネラル感、そして徐々に現れる蜂蜜やマスカットの様なフレーヴァー。
少しバターの香りはありますが、樽の要素やMLFによる丸さはあまり感じませんでした。クリーンで清涼感のある、どこかスパイシーなセミヨンです。
ただ口当たりは流石と驚嘆せざるを得ない滑らかさで、優美な酸とシルクのような質感を感じました。
香りが開いてくれるとかなり良くなりそうな気がしますが、今の段階だと、人によってはガッカリかも。

次にデュフォール ヴィヴァン。
評論家受けの悪いシャトーですが、この古酒はとても良かったです。もともとボルドーとしては非常に繊細なワインを作っていますが、古酒になるとこれほど美しくなるとは!状態も極めて良かったです。
タンニンは既に完全に抜け落ちており、このワインの核となっている目の細かい酸とエキス感、旨味が優しい液体に溶け込んでいる。腐葉土や梅しばなどの熟成香りを纏いながら、浸透していく味わい。
評価が悪いからこそ、このクラスの古酒を飲めると考えると、デュフォールヴィヴァンはお得かも。
若いヴィンテージは些か力不足を感じますが、古酒は探してみて損はなさそうです。

ポムロールはレヴァンジル。
デュフォールとは真逆。リッチでゴージャスなメルローです。ただそこに確固たる優美さが存在している。
破裂しそうな熟した果実味、バタースコッチの風味を主軸としてスミレの様な華やかさと小豆や乾いた土、燻香をまとっている。
ポムロール、ひいてはメルローの典型的かつ理想的なスタイル。豊かなグリセリンを持ちながら、決してアルコール感頼りの球体を重視しない。分厚いワイン。
ルパンは新世界的ですし、ペトリュスはもっと重厚。ラフルールほど複雑ではない。コンセイヤントほど繊細ではない。というと意外とオルネライアのマセットが一番近いかもしれない。豊満なメルロー。

最後はラフィット、そのセカンドのカリュアド ド ラフィット。2011年のヴィンテージ。
今ひとつ覇気が足りない感じ...というと凄く曖昧な表現ですね。密度が不足していて、タンニンのトゲトゲしさがやや目立つ味わいといった感じです。
とはいえラフィットの方はそれなりに良くまとまっていて、一級なりの風格が感じ取れるのですが、セカンドがちょっと良くない。
カベルネソーヴィニヨンの青いネガティブな要素が目立ち、液体密度も低くシャバシャバです。
果実味はあるのですが、それに立体感を出す為のボディが足りてない。樽と抽出がしっかりと為されており、要素だけ見ればリッチですが、ボディとの兼ね合いでかなりのアンマッチ感があります。
1級シャトーのセカンドワインとしてはかなり厳しいかなと。
ラフィット本体に関してもボディの弱さを感じるのですが、カベルネソーヴィニヨンのネガティブ要素はほぼに排除しているし、液体に香りに付いていけるだけの凝縮感もあるので、樽の要素、抽出の要素に不自然感は無く、例年に比べるとかなり小振りではあるものの、良好なバランスを保っていると思います。完成度は高いと思いました。
カリュアドも勿論素性は確かなワインではあり、グランヴァンを飲んでいる感覚にはなれるとは思いますが、この年のポイヤックに遥かに安く、品質が高いワインがある事を考えると、個人的にはあえてカリュアドを選ぶ事はないと思います。
ラフィット本体も同じくあえて選ぶ事はないと思います。確かに一級のマジックはありますが...

全体でいうならばレヴァンジルと時空魔法にかかったデュフォールヴィヴァンが良かったです。




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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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