【ボルドー:24】ロック ド カンブ、ド フューザル ブランに見る90年代中盤の姿。

こんにちは、HKOです。
本日はボルドーです。
例によって共通点はありません。熟成シンデレラワイン、グラーヴ白、そしてバリューボルドー白です。
しかし今回凄かったのはロック ド カンブ。右岸特性をしっかりと孕んだポムロール最上級のワインにも似た味わいです。


【データ】
プティットシレーヌ ブランはシャトージスクールの醸造チームが厳選したワインを買い付けて来てボトリングするネゴシアンワイン。ファーストヴィンテージは2010年。

シャトー ド フューザルはペサックレオニャンに拠点を置くシャトー。
品質向上におおいに貢献したのは、1974年から経営を引き継いだジェラール グリブランと元技術顧問兼醸造責任者であるデュプイ氏によって品質が向上し、温度調節機能付きのステンレス製の発酵槽の導入や、マセレーション期間の見直し、オーク新樽比率の向上を行った。
作付面積は10ha。平均樹齢30年。平均収量は40hl/ha。発酵および熟成は澱に触れたまま16~18ヶ月の熟成。セミヨンは新樽比率50%、ソーヴィニョンブランは1年樽を使用。無濾過。

ロック ド カンブは右岸コート ド ブールを代表するシャトー。ボルドー周辺地域では最も高額で取引されるシャトー。オーナーはテルトル ロートブッフのフランソワ ミジャヴィル。1988年から本格的に投資を始め、劇的に品質を向上させている。
年間生産量は約47000本。
作付面積は12ha。平均樹齢は40年。栽培はテルトル ロートブッフ同様低収量・100%手摘みの遅摘みで除梗は100%される。
コンクリートの発酵槽でアルコール発酵の後、フレンチオークの小樽(新樽比率100%)でMLF。14~16ヶ月間熟成。


【テイスティングコメント】
生産者: シャトー ジスクール
銘柄: プティット シレーヌ ブラン 2012

1500円。
外観はやや緑を帯びたストローイエロー、粘性は中庸。良質なグラーヴ ブランに見られる白い花やフレッシュハーブの香りを纏いながら、奥にムスクやピーマンの様な青い芳香、グレープフルーツや青りんごの果実味、石灰。わずかにシロップの様な風味が感じられる。値段の割にはしっかりとメドックのボルドーブラン的な味わいがあり、アントゥル ドゥ メール的な爽やかさだけではない、複雑さがある。(ピーマンなどのネガティヴ要素も良いエッセンスになっている)
爽やかな酸味があり、ライトなアタック。マスカットの様なアロマティックな余韻が残る。


生産者、銘柄: シャトー ド フューザル ブラン 1998
品種: セミヨン50%、ソーヴィニヨンブラン50%

約13000円、WA78pt
外観は黄金に近いストローイエロー、粘性は高い。
しっかりとしたミネラル感がある。
旨味を感じさせるレモンや(米糠的な)酵母の風味。バタークリーム、ミルクの風味。酸味と旨味を強く感じるリンゴやレモンの様な果実味。白い花、ヨーグルトや白胡椒、ドライハーブの様な風味が感じられる。
徐々にクリームブリュレの要素も。
酸味は穏やかで、豊かな酸味とバターやヨーグルトの様な余韻を感じる。酸味はありながら比較的厚みを感じる味わい。微細な雑味が気になるが、熟成を経て良くなっていると思う。


生産者、銘柄: ロック ド カンブ 1996
品種: メルロー65%、カベルネソーヴィニヨン20%、カベルネフラン10%

約15000円、WA-pt
外観はやや濃い目のガーネット、粘性は中庸。
まだ十分に若いが、2回目の飲み頃ピークだと思う。
個々の要素が調和し、液体に馴染んでいる。
バニラや白檀、西洋杉の樽香、バターの様な風味を主体として、熟したカシスやブラックベリーの果実味、ワッフルの様な風味、燻製肉、ミントや腐葉土の様な芳香。リコリスやナツメグなどのスパイシーな要素。
スミレ、クルミのような風味が感じられる。
ローストは大人しく、比較的MLFが良い方向に出ていると思う。
酸味は綺麗で、タンニンは滑らかで澄んでいる。バニラやバター、カシスの様な余韻が感じられる。かなり若々しく、マロラクティック発酵のボリューム感の高さを感じる。


【所感】
まずはプティット シレーヌ。
アンドゥル ドゥ メールの様な軽やかでフレッシュな爽快感のある味わいではなく、セミヨンの丸みのあるボディと白粉の様な特徴的な華やかさが強く感じられ、そこに細やかな酸味と青リンゴの様な果実味、そして青っぽいアロマが重なり、少し複雑な風合いを出している。人によってはネガティヴに感じられる要素があるのだけど、この価格としては良くやれている味わいだと思いました。
バリューボルドーには微妙に信用しきれない所があったのだけど、少しは試しても良いかも、と思いました。
ド フューザル ブラン。
最初は米糠を思わせる酵母的な要素を強く感じたが、すぐにバタークリームやミルク、酸味を感じさせるリンゴやレモンなどの果実味が綺麗に混じる。白胡椒やヨーグルトなどの要素も絡み合い、非常に複雑なボルドーブランを形成している。
ラヴィル オーブリオンやクラランス、クラルテの様な厚いボディの新世界ばりのボリューミーさはないものの、幾分かの抑制を持ったグラーヴ ブランの王道を突き詰めた感じの味わいです。微細な雑味はあるのですが、決して評価ほど悪いワインだとは思いません。
なかなか良くできた熟成グラーヴだと思います。
最後、ロック ド カンブ。
約20年でようやく馴染んできたのか、タンニンや酸味、ワインに含まれる要素が緩み再結合し、最初のプレニチュードを迎えている印象を受ける。
西洋杉を思わせる樽香はMLFの要素と馴染み、バニラを形成し、果実はドライフルーツの風体となり、更にバニラと結合する。その一方で熟成起因のリコリスやナツメグの要素が色合いを添える。元々の果実味が極めて高いためか、まだまだ果実味主体の味わい。
極めて濃密でボリューム感があり、ワインへの手の入れ方から多くの人はサテライトのワインと認識することはできないかも。
誰もが分かるように極めてポムロール的で、その実サテライトであるという事実。サテライトでは最高価格帯ながら、この価格帯でこの味わいか手に入るのは、サテライトならではかも。いやもうその域は余裕で超えてるか。

今回のボルドーはべらぼうに高いアイテムは扱っていません。どちらかといえば、周辺地域だけど高品質かつ熟成してる赤、さほど目立たないし点数的にも高くなく決して高額ではない白、バリューボルドーといった感じで、基本的には価格以上の価値があるものばかりです。手に入るか否かは別問題ですが、決して極端に高い金額を払わなくても最上クラスの美味しさに出会えるという。
勿論それなりの価格はボルドーですから覚悟は必要ですが、無理に若いラフィットやオーブリオンを飲むよりは、単純に楽しむという意味では建設的だと思います。


ロック・ド・カンブ [1996]

ロック・ド・カンブ [1996]
価格:11,880円(税込、送料別)


シャトー・テルトル・ロートブッフ[1996](赤)

シャトー・テルトル・ロートブッフ[1996](赤)
価格:16,300円(税込、送料別)

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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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