【NZ、オーストラリア:12】オセアニア最上級のピノノワール2本

こんにちは、HKOです。
今回はカルト的なニュージーランドとオーストラリアのピノノワールの作り手、バスフィリップとベルヒルの2本です。それとグランド バージのシラーズです。


【データ】
バス フィリップはオーストラリア ヴィクトリア州のギップスランドに1979年に設立されたワイナリー。創設者はフィリップ ジョーンズ。
アンリジャイエに影響を受け、当時畑に植わっていたカベルネは全てピノノワールに植え替える程の完璧主義者。そのエピソードだけに留まらず作付け面積4haのうち、収量は超低収量で10hl/ha。数百ケース程度の生産数量となります。
栽培時は灌漑せず、殺虫剤は使用しない。ぶどうは全て手摘みで収穫、その場で選果(最大30%程度)
自然酵母によって発酵を行い、SO2の添加は最低限。樽熟成後無濾過で出荷。除梗有無、新樽有無は不明ですが、高い比率の除梗、新樽のニュアンスは控えめでこちらは高い比率ではなさそうです。
バスフィリップのピノノワールにはクラウンプリンス、エステート、プレミアム、リザーブとあって、今回はオリジナル エステート ヴィンヤードのプレミアムです。

ベルヒルは1997年にノースカンタベリー ウェカ パス地区に設立された、ニュージーランドのピノノワールだと最上と見なされるワイナリー。
代表はマーセル ギーセンとシャーウィン ヴェルデュイゼン。
もともと石灰岩の採堀場だった石灰質土壌の畑を持ち、北向き斜面に位置。
生産量は年間わずか200~500ケース。
ベルヒル ピノノワールは3つの区画のアッセンブラージュ。低く抑えられた収量のぶどうは区画毎に収穫と発酵を実施。最後にブレンド。除梗後、発酵前マセラシオンを実施。アルコール発酵の後フランス産オーク樽(新樽100%)で18ヶ月熟成、澱引き。1年後にブレンド。18カ月瓶内熟成をした後にリリースされます。


グラント・バージは1855年に南オーストラリアはバロッサヴァレーに設立された家族経営の老舗ワイナリー。
現在はバロッサヴァレーとイーデンヴァレー合わせて350haを保有しています。彼らが所有する畑のうち15%は樹齢80年、その他も10年から50年以上の古木を保有。 特に、トップキュヴェであるミシャックは100年を超える超古木を使用している。
今回のgb56はグランドバージの中では最も安価なグレードとなります。


【テイスティングコメント】
生産者: グランド バージ
銘柄: gb56 2013

外観は赤みの強いガーネット、粘性は強い。
素晴らしいデイリーワイン。ブルーベリーやプラムの様な酸味を伴う凝縮感の高い果実味が感じられる。ラベンダーやスミレの花、溶剤など。燻製肉やフレッシュハーブ。徐々に黒糖などの甘い香りも漂ってくる。リコリスなど。ややアルコーリックな風味が強い。
口に含むとグリップの強いタンニン、酸味があり、甘みはないがジャムの様なしっかりとした果実味が感じられる。


生産者: ベルヒル
銘柄: ベルヒル ピノノワール 2011

20000円、WA95pt(2010)
外観は深いガーネット、粘性は高い。
焦がした木材、ローストした様な樽香が前に出ており、その奥にダークチェリーやブラックベリーの果実味、やや堅牢な風味。燻製肉、黒土の風味。
落ち葉、タバコ。控えめなスミレの様な風味が感じられる。やや野生的な印象を受けるピノノワール。
香りとしてはクロ デ レアに似た印象。
酸味は豊かで、包み込むようなタンニンがあり、ブラックベリーと黒土、木材の余韻が感じられる。グッとパワフルなピノノワール。余韻に僅かな苦味を感じる。


生産者: バス フィリップ
銘柄: プレミアム ピノノワール 2011

約20000円、WA91pt(2010)
外観は明るいルビー、粘性は高い。
エキス感のあるアメリカンチェリーやダークチェリーの果実味、ミルクティーの様なまろやかさと共にオレンジの様な溌剌とした風味も感じられる。強いスミレやラベンダーの様な華やかな香り。
クローヴ、なめし革や鉄釘の様な風味。控えめな燻製や炭焼きの様な樽香。濡れた土の様な風味。
シャンボール的なエレガンスを感じる。
酸味は緻密できめ細やか、タンニンはほぼ感じられず滑らか。ミルクティーやダークチェリーの様な溌剌とした味わいが感じられる。


【所感】
いやー、バスフィリップいいっすねえ。
まるで透き通ったルビーの様な色合い。
受ける印象は、シャンボールミュジニー最上の生産者、例えばロベールグロフィエのプルミエクリュといった感じ。もっとも近そうなのはボンヌマールだけど、あそこまで肉厚ではない。
巧みなMLFと抽出によって、緻密なエレガントさと密度の高い凝縮感の果実味が両立されている。アルコール度数は低く抑えられており、栽培や立地の選び方、ブレンドの巧みさも見て取れる。
タンニンの抽出は抑えられており、きめ細やかな酸と凝縮した果実味を楽しめる優雅なワイン。
ただ価格的にもブルゴーニュ並みなので、そこが少し残念か。
次にベルヒル。
こちらも価格帯としてはバス フィリップ同様かなり高額ピノノワール。
キャッチーでしなやかな魅力があるバスフィリップのワインに対して、ベルヒルは極めて堅牢で内向的な性質のピノノワールだと思います。
その理由は明らかで強いローストの新樽が100%使用されているという点に尽きるかと。堅牢な樽香をかき分けるとパワフルな黒系果実の凝縮感のある果実味を感じる事が出来る。新世界には珍しい典型的なヴァン ド ガルドといった感じ。酸味もタンニンも豊かで、かなり筋肉質でスプリンター的な要素を強く感じるピノノワールだと思いました。
全体感を強いて言うのであればジュヴレシャンべルタン。でも結構特異なピノノワールです。


そんな感じで。
ベルヒルはエスカープメントやドライリヴァー、マウントフォードとはまた違ったキャラクターで面白いです。大元は似たようなものなのかもしれませんが醸造的な部分でかなり差が出ている様な印象です。
バス フィリップも自然派的なスタイルのピノノワールの生産者とは一線を引いた洗練された味わいでした。(これはクラウンプリンスもそうですが)

オセアニアのピノノワールは高品質だけど似た個性になると思っていましたが、最近多様性を感じる事が多いです。ブルゴーニュの2014年は幾分か値下がり傾向だということですが、基本2009年ほどにはならないと思っていて、やはり高止まりするかと思います。
そんななか、やっぱりオセアニアのピノノワールはありがたいです。(今回のは高いですが)
ブルゴーニュの代替となるピノノワールお待ちしております。

おっと、最後にgbを忘れていました。
デイリーラインにして極めて素晴らしいシラーでした。ミシャックが美味いのは当たり前なんだけど、デイリーラインですらブルーベリーやプラムの豊かな果実味があってとても良い。価格は本当に安いし、たまにスーパーでも手に入るのでいいですね。



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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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