【カリフォルニア: 26】新進気鋭の赤、赤の老舗生産者が作る白を検証

こんにちは、HKOです。
本日はカリフォルニアワイン4種類です。
赤は新進気鋭の生産者、アントヒルファームズとスクライブ。白は老舗生産者、スタッグスリープ ワインセラーズ、マーカッシンとなります。


【データ】
マーカッシンは女傑ヘレン ターリー、ハイジ パレットが運営するワインメーカー。ソノマからカリフォルニア最高のピノノワールを送り出す。ワインジャーナリスト山本昭彦氏曰く、その佇まいはラルービーズルロワに似ているという。なるほど、このカリスマ性は確かにその通りだと思う。
ビオ、新樽、抽出度合は不明ですが、ヴァンダンジュヴェールトはしっかりと行われているようで、収量を極端に制限し糖度の高い葡萄を作っています。その制限によって生産できるケースにして2500cs以下。
フラッグシップはなんといってもマーカッシンヴィンヤードですが、今回はシャルドネのガウアーヴィンヤード。

ニッキ プリュスが指揮を執るスタッグスリープ ワインセラーズ。パリテイスティングの主役とも言える生産者。
樹齢14年から40年のカベルネソーヴィニヨンを持つスタッグスリープ ヴィンヤードとフェイ ヴィンヤードで収穫した良質な葡萄を更にポジティブセレクション。MOGシステムで除梗を行いそれぞれステンレスタンクで醗酵。MLF後、新樽比率90%のフレンチオーク小樽で20ヶ月熟成、ブレンドされ出荷されます。
今回はそのソーヴィニヨンブラン。

スクライブ ワイナリーは2007年にアンドリュー マリアーニが弟のアダムとハシエンダに設立したワイナリー。カリフォルニアのニューウェーブと呼ばれる世代で、カルトスタイルに影響を受けず、少量のワインを生産しています。
アンドリューはワイナリー設立にあたりハシエンダの土壌改善を徹底、栽培は全て有機農法が実践され、発酵は天然酵母によって行われます。
ピノ ノワールは50%マルティーニクローン、50%ポマールクローンを使用。使用済のフレンチオークで熟成する事で強い樽香を避け、ピュアなワインに仕上げています。

アントヒル ファームは2004年に、ウィリアムセリエム出身のアンソニー フィリベルティ、デイヴィッド ロウ、そしてウェブスター マルケスによってソノマはブーンヴィルに設立されたワイナリー。
ブーンヴィルの町を見下ろす丘にあるアビー・ハリス ヴィンヤードとデムス ヴィンヤード単一畑を2004年に手掛け、醸造施設はパパピエトロペリーのものを使用。すぐに話題となり高い評価を得た。
栽培はサスティナブル農法が実践され、収穫後は一部のみ除梗。プラスティック製の開放型の発酵槽と天然酵母でアルコール発酵を行う。熟成はフレンチオーク小樽で15ヶ月。新樽率10-40%。



【テイスティングコメント】
生産者: スクライブ
銘柄: カーネロス ピノノワール 2011

外観は非常に明るいルビー、粘性は低い。
キャンディ香すら感じられる極めてエレガントかつ華やかで瑞々しいガメイにも似た明るい印象のピノノワール。
アセロラやクランベリー、フランボワーズの様な酸味が前面に出る華やかな果実味、スミレの様な華やかな味わいが同居。クローヴ、フレッシュハーブ、バター、紅茶の要素。樽の香りは殆ど感じられない、華やかでキュートなピノノワール。
香りとは裏腹に酸味、タンニンは極めて穏やかで旨味との極めて高いバランスを堅持している。決してガメイの様に細く無く、しっかりとしたボディがある。華やか、かつ丸みを帯びた体躯のバランスは極めて良い。


生産者: アントヒル ファームズ
銘柄: アヴィ ハリス ピノノワール 2012

WA92pt(2010)
外観は非常に深いルビー、粘性は低い。
ややアルコール的な面が前に出ており、ドライフルーツやドライベリーの様な凝縮した果実味が感じられる。スミレや溶剤、鉄釘の様な華やかさが突出している。そして焦がした木材、タバコの様な要素も包含しています。なめし革、ハーブさや西洋杉などの風味、徐々に黒糖の様な風味が感じられる。
酸味は柔らかく、ややタンニンは際立って感じられる。ギュッと引き締まった味わいでドライフルーツやドライベリーの果実味が感じられる。


生産者: スタッグスリープ ワインセラーズ
銘柄: ナパヴァレー ソーヴィニヨン ブラン 2009

外観は明るめのストローイエローで粘性は高い。
極めて新世界的なソーヴィニヨンブラン。酸が穏やかで僅かに苦味があり、ボリューム感のあるオイリーさを包含している。
基本的にはシトラスやグレープフルーツの様な柑橘系の要素やフレッシュハーブの様な典型的なソーヴィニヨンブランの香りがあるが、そこにナッツやオイルの様な重みや粘性を想起させる香りと僅かなハチミツの甘みが感じられる。白胡椒やヨード香などのアロマも感じられる。
酸は柔らかく、やや苦味が先行する。
ナッツや甘草、フレッシュハーブ。そしてグレープフルーツとハチミツの余韻を残す。


生産者: マーカッシン
銘柄: ガウアー ヴィンヤード アッパーバーン シャルドネ 1997
品種: シャルドネ100%

約40000円、WA96pt
外観はやや濃い目のレモンイエローで、粘性は高い。
王道的なカリフォルニアのシャルドネだが、濃いだけではなく、その完成度は非常に高い。
完全に行われたMLFと樽熟成、そして高濃度に熟した果実味が魅力的。バタークリームやバニラの芳香と共に、キャラメリゼしたヘーゼルナッツ、黄桃や洋梨のコンポートを想起させる濃厚な果実味を感じる。焼き栗の様な芳香。白い花や杏仁豆腐の要素。強烈に濃厚なシャルドネだが、ボリューム感だけではなく、どこかしっかりとしたミネラル感は残る。
酸味はしなやかで柔らかく、滑らか。驚異のスムースさ。
強烈なマロラクティック発酵があるが、苦味は全く残っていない。バターやバニラ、ヘーゼルナッツの甘く厚みのある余韻が残る。



【所感】
スクライブのワインを飲むと、オーベールの様に過熟的ではなく、ピーターマイケルやタンタラ、ポールラトーの様な凝縮感を押し出したワインでもない事がすぐに分かる。ブルゴーニュでも特にフレッシュネスと中庸的な抽出を行う様なクリーンなワインだと感じました。かなり冷涼な印象のある雰囲気を醸し出している為、なかなかこれをカリフォルニアと看破するのは難しいと思います。
かなりキャンディ香があるので、これが時を追うごとにどの様に変化して行くか楽しみですね。
先のスクライブと比較すると、ソノマらしい凝縮感と華やかさを感じるピノノワールになっていると思います。分類するとサークやシースモークと同類に含まれるのではないかと。徐々に黒糖の風味も現れ、充実した果実味とともにしっかりとした樽のニュアンスも(新樽比率は低いですが)感じられます。
ブルゴーニュ的では無く、ソノマ的な要素が強いピノノワールだと思います。
引き締まった果実味もとても魅力的です。
ややアルコール感は感じますが、アルコール度数は低めです。

共に新進生産者の素晴らしいピノノワールでした。一昔前と比べると完全にムチムチ系のピノノワールって減ってきましたね。
後者はソノマ的ではありますが、どちらもエレガント系のピノノワールで有ることは間違いないですね。

では次は白です。それも赤が強い生産者の白品種です。
まずはスタッグスリープ ワインセラーズのソーヴィニヨンブランです。
新世界らしい極めてボリューミーなソーヴィニヨンブランだと思います。ピーターマイケルのラプレ ミディに近いボリューム感がありますが、こっちの方がすこし洗練されていない感じがします。MLFによくある苦味が感じられるのが気になりますね。
基本骨子は品種特性の柑橘系、そこに樽とMLFでボリューム感を出している感じですかね。なかなかいいですが、値段なりといった感じがします。

最後にマーカッシンのシャルドネ。
メチャクチャいいシャルドネです。
もうホント最高。カリフォルニアのシャルドネと王道を行く様な、いわゆるMLF、樽がっつり、果実味爆発のシャルドネなんですが、そのバランス感が素晴らしい。
果実味の密度がバタークリーム、バニラ、キャラメリゼしたナッツを思わせる濃厚な香りと見事にマッチングしている。たまに香りは立派ながら酸とボディが抜け落ちているワインが多い中、ボディと香りの筋が通っている。そこに一本線、鋭いミネラルが骨子を作る。外面に焼き栗や白い花を纏うボリューム感を維持しながら奇跡的なバランス感を保ったワインとなっていると思います。オーベールのリッチーヴィンヤードなんかはこのスタイルに近いと思います。
そして既に18年熟成しているのにも関わらず、この若々しさ。まだまだ熟成余地を残しています。ミネラルも酸も滑らかながらまだしっかり残っていますし、この先まだまだ良くなりそう。
ただ、このスタイルのワインの30年熟成は経験したことないので、どうなるかは全く想像がつきませんな...

以上、カリフォルニアの素晴らしい白と赤でした。うーん、いいのばかりですね。
マーカッシンはさすがでした...




関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

カテゴリ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
検索フォーム
ついった
物欲センサー
物欲センサー2
リンク
QRコード
QR