【日本酒:10】最上級の日本酒4本を検証していく。

こんにちは、HKOです。
本日は日本酒4種です。
言わずともしれた久保田 萬寿、そして田酒 純米大吟醸。そして黒龍酒造のフラッグシップ、「二左衛門」「石田屋」の2本です。

では行ってみましょう。

【テイスティングコメント】
生産者: 朝日酒造
銘柄: 萬寿 久保田 純米大吟醸
原料米: 五百万米
精米歩合: 35%
酵母: 協会9号

外観は透明色、粘性は高い。
米的な部分は比較的強く感じられるが、その米的な部分の純度が極めて高い。水飴や桜餅、葛の様な原料香、白桃やバナナ、ラディッシュ、ダイコン、青竹の様な風味。カッテージチーズの様な風味。
やや甘みを強く感じさせるねっとりとした味わい。
流行りのクリアな純米大吟醸というより、もっとトラディショナルな純米大吟醸と言った感じ。


生産者: 西田酒造
銘柄: 田酒 純米大吟醸
原料米: 山田錦
精米歩合: 40%
酵母: 協会9号

洗練された香り、山田錦にして冷涼で冷ややかな味わい。甘やかで蜜の様な風味。水飴や白桃、力強く芳香するメロンの香り、バターや生クリームの様な風味。梅の花や大根、月桂樹や新笹のような香りが感じられる。極めて冷涼で香り高く、優美な酒だ。
緻密な酸と共に、吟醸香と果実香、木材の仄かな要素が感じられる。
半端ないバランス感のある日本酒、突出した要素は無い。


生産者: 黒龍酒造株式会社
銘柄: 黒龍 二左衛門 純米大吟醸 斗瓶囲い
原料米: 山田錦
精米歩合: 35%
酵母: 蔵内保存酵母

こちらは田酒に増して洗練されている。
むしろ洗練されすぎていて堅牢さすら感じさせる。
例えるならばムルソーペリエールやシュヴァリエモンラッシェの様な背筋の張った日本酒だと思う。
雑味は一切なく水飴とバタークリーム、糖蜜、バニラの様な芳香と共にメロン、バナナなどの濃密なフルーツ、生クリーム、カッテージチーズ、リンゴやスダチを思わせる酸。大根、月桂樹などの芳香。
密度が比類なく高い。香りの冷涼さに対して、味わいの厚み、膨らむシロップや水飴の余韻が半端ない。
洗練されている。
酸味は柔らかくキュッと引き締まった味わいで甘やかな余韻を残していく。素晴らしい日本酒。


生産者: 黒龍酒造株式会社
銘柄: 黒龍 石田屋 熟成 純米大吟醸
原料米: 山田錦
精米歩合: 35%
酵母: 蔵内保存酵母

洗練されきった二左衛門と比較すると、かなり熟成感と複雑さ、旨味の厚みが突出した日本酒になっている。カッテージチーズやヨーグルト、バニラの様な乳酸的な風味が前に出ており、餅の様な要素があり、熟成による原料由来の味わいが前に出ている。その後に純米大吟醸らしいクリアな濃厚なシロップや水飴、葛の要素。リンゴなどの華やかな果実味、ラディッシュ、青竹のような風味が現れてくる。背筋の張った二左衛門に対して、より老獪で複雑な雰囲気を醸し出しているのが石田屋といった感じ。
酸味も充実しているが、含み香の旨味を感じさせる味わいが素晴らしい。難解で複雑な味わいを感じる日本酒だ。


【所感】
まず萬寿。
言わずとも知れた久保田のフラッグシップですが、飲んだ事はあれど、今までちゃんと向き合った事が無かったので、良い機会でした。
精米35%の割にはお米的な部分が結構感じられました。ただ純米大吟醸らしい甘い吟醸香ははっきりと感じられました。ねっとりとしたグリセリンがあり、ややトラディショナルな大吟醸といった感じがします。
いい日本酒ですが、ちょっと私の好みとは違う感じでした。
次に田酒の純米大吟醸。
これはすごく良かったです。精米歩合40%ですが、かなり洗練された味わいで、純米大吟醸らしい冷ややかでクリアな蜜や果実の要素が感じられます。
そこにほのかなバターや生クリームの様なアロマか絡みついて行きます。優美で香り高い日本酒だと思います。良い意味で突出した要素はなく、非常にバランスがよく、酸、吟醸香、木材の風味が感じられる。
柔らかくしなやかな酒だと思います。
最後に黒龍の二大巨頭、二左衛門と石田屋の比較です。
精米歩合、酒米の種類は同じ。方や斗瓶囲い、方や熟成と。
まず二左衛門ですが、非常にクリアで、かつ硬質な味わいの純米大吟醸だと感じました。
このブログを見て頂いている方ならリリースしたてのムルソーペリエールやシュヴァリエモンラッシェ、あるいはコルトンシャルルマーニュを想起させます。
雑味はほぼ無い甘露な蜜の要素と果実香が張り詰めた質感を与えています。ベトついた感じは無く、「厚み」というより「凝縮感」。米から出来ているのか不思議なくらい冷涼さを感じさせます。
引き算をして行った結果、残った最良の要素を集めたのが二左衛門といった感じがします。
いつ瓶詰めされたものかわかりませんが、ワインと照らし合わせると、マグナムとレギュラーだとマグナムの方が熟成が緩やかに進むというのが良く言われています。今回の二左衛門は一升瓶や四合瓶で熟成するより斗瓶の方が酸化しにくく、緩やかに複雑な要素を取り込んでいって完成度を高めるのが目的なのか。
まあ本当のところはわかりませんが、かなり硬質で雑味のない日本酒だとは感じました。
次に石田屋。
こちらは逆に酸化熟成的な要素が純米大吟醸に極めて複雑なテクスチャーを与えています。洗練さがものを言う純米大吟醸の中で、ごく僅かに感じさせる味醂や乳酸的な要素が、クリアさを壊さない程度に適度に散りばめられている。純米大吟醸の洗練された味わいに複雑さを最大限振っているのが石田屋の特徴かも。
洗練さでいうなら二左衛門、複雑さなら石田屋といったところでしょうか。
互いに違う方向を向きながら黒龍のスタイルを出していると思います。
これだけ違いが、わかりやすいと面白いですね。
瓶詰めは同じヴィンテージなんでしょうか。保管のみで巧みにこの2つを作り分けているのなら、とても興味深いですね。


◼︎あまり関係のない話。
実は先日danchuの日本酒クラシックスの酵母記事がありまして、へえー、と思いながら見てまして。
近年のワイン醸造だと蔵付き天然酵母を使用しているケースが多く、そもそもワイン自体樽や抽出、果実本来の糖度やミネラル、pH値が前面に出るので、酵母は全く気にしてませんでしたが、日本酒では仕込み水と共に酵母が重要な要素を締めるのですね。
なので、今後は精米歩合と共に酵母を記載する事にしました。

精米歩合 → 削る割合が多ければ、糖化する部分が多く、より雑味の少ない酒が出来る。
仕込み水→いわゆるテロワールにあたる部分。硬度によって舌触りのタッチが異なる。
酵母 → 種類によって様々な特性あり。科学的根拠は今度調べる。
絞り → 荒走り、中取り、責め。絞られて出てくる順番。抽出時含有する要素が異なる。
酒母作り → 生酛、山廃、速醸。酒母を作る方法。生酛が最も時間がかかる。時間経過による酒母を変質が影響を与えている?未検証。

他の醸造酒、蒸留酒と比べると日本酒の醸造工程はかなり難しいと思います。果実酒の様に糖をそもそも含有している訳ではないし、麦芽の様にアミラーゼを多く含む訳ではない。そもそもアルコール発酵に時間がかかる。醸造工程が長いからその分変動要素が増えると。ううむ、畑に向かい合うワインと醸造に命をかける日本酒。面白いですね。


【自分のメモ(Wikipediaより)】
協会1号~5号: 現在あまり使われていない。
協会6号(新政酵母):
穏やかな香りで、淡麗にしてソフトな酒質に適し、味は深みが出るとされる。糊精子の大きい環境下でも増殖が阻害されないので生もと系に適している。
※派生:協会601号

協会7号(真澄酵母):
発酵力が強くオレンジのような華やかな香りを出す。また、呼吸能が比較的弱い・醗酵能が強い・皮膜形成がやや弱いといった下面酵母的な性質を持っている。吟醸香の強さは協会9号ほどではない。
※派生:協会701号

協会8号:
協会6号の変異株。やや高温性で、酸多く、濃醇酒向きとされた。

協会9号(香露酵母):
酸は少なく香気が高いので吟醸酒に向いている。協会6号・7号酵母と同様に低温でよく醗酵するが、温暖地の吟醸造りに向いた前急短期醗酵型の醪になりやすい。※派生:協会901号

協会10号(小川酵母):
それまでのどの酵母よりも酸(特にリンゴ酸)が少ないこと、高い吟醸香を出すことが特徴である。香りが高いので吟醸酒に、また、酸が少ないため純米酒にも向いている。醪の経過は低温長期型で、アルコール耐性が弱いため扱いが難しい。
※派生:協会1001号

協会11号:
協会7号の変異株で「アルコール耐性酵母」とも呼ばれる。アルコール耐性が強く、もろみが長期になっても切れが良いので、大辛口酒などのアルコール度の高い酒を造るのに向いている。アミノ酸が少なく、リンゴ酸が多い。

協会12号(浦霞酵母):
低温長期型醪となり、山廃にも適し、芳香の高い吟醸酒向き。特有の吟醸香を醸し出すが、極度に水と造りを選ぶので一般的とはいえない。

協会13号:
良いキレと高い芳香を特徴とする。のち発売中止。

協会14号(金沢酵母):
生成される酸が少ないために綺麗な味の仕上がりとなる。低温中期型もろみの経過をとり、吟醸酒本来の香りを生むのに適する。特定名称清酒に多く用いられる。※派生:協会1401号

協会15号:
アルプス酵母などと同様に上立香の華やかな酒を造るのに向いている。※派生:協会1501号

協会1601号:
酸度が少なく、カプロン酸エチル高生産性で、純米酒や吟醸酒に適する。

協会1701号:
酸度はK7号酵母と同程度とされ、酢酸イソアミル及びカプロン酸エチル高生産性であり、純米酒、吟醸酒、低濃度酒に適するとされ、また吟醸香の高い酵母の芳香をおさえる。

協会1801号 28番酵母:
7号系のリンゴ酸高生産性多酸酵母。酸度が高いがコハク酸は少なく、リンゴ酸が全部の有機酸の80%をしめる。発酵力が強く華やかな香り。多酸酒、増醸酒、貴醸酒、長期熟成酒、低濃度酒に適する。




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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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