CHIC peut-etre(シック プッテートル: 八丁堀)

【前提】
※メニュー横の★はHKO主観の「もう一度食べたい度」です。シェフ渾身の一皿を素人如きの尺度と個人の趣味嗜好で、それがさも絶対の事実の様に評価するものでは一切ありません。
当てになりません、メモです。
★★★★★→今日にでももう一度食べたい!
★★★★→明日にでももう一度食べたい。
★★★→必ずもう一度食べたい。
★★→機会があればもう一度。
★→日常的に食べられると最高。
※★無しは「普通」です。好きじゃなかったのはそもそも書きません。


HKOです。
少し前ですが、予約を取ってシック プッテートルに行ってきました。
今回初めてミシュラン1つ星を獲得したと言う事で、かなり予約を取りにくくなっているらしいのですが、たまたま取ることが出来ました。


場所は銀座でも青山でも麻布でもなく、八丁堀。
所用で東京駅に居たので、そこから15分くらいかけて早歩きで。


高速の高架下を超えて、細い道を抜けて行くと、ビストロの様な佇まいのお店が見えてきます。




シック プッテートル(=カッコいいかもしれないね)という意味らしいです。オーナー兼ソムリエの星氏と、シェフの生井氏が営むガストロノミックなお店です。



店内はシャビーシックな風合い。豪華な内装では全くありません。照明も落とされていてとても落ち着く空間です。

メニューはシェフのおすすめ一本のみ。
※3~4日前予約であればもう一つ選べたらしいです。

飲み物はシャンパーニュから。ガストン シケだなんて中々渋いけどクールなチョイスです。


生産者: ガストン シケ
銘柄: プルミエクリュ トラディショナル ブリュット NV

ビスケットやブリオッシュ、ミネラル感を感じさせる素晴らしいシャンパーニュ。ややオイリーで、りんごやシトラスの様な溌剌とした果実味、チーズやバターの様なアロマが感じられる。フレッシュハーブの風味が感じられる。酸味は穏やかでクリスピーでふくよかなトゲの無い赤リンゴの様なふくよかな味わいが感じられる。


トースティなシャンパーニュの風合いを楽しみながら、早速アミューズが始まっていきます。


◼︎アミューズ#1(-)
「ラングドック産 リュック種のグリーンオリーブ」

ハーブや香草、お香などの風味を感じる、程よく塩辛いオリーブ。ガストンシケのトースティーな風味のシャンパーニュとはよくマッチングする、いい香りのオリーブだ。
ただ星氏の仰る通りジンが最高にマリアージュしそうだ。


◼︎アミューズ#2(-)
「バスク産キントアのサラミ」


一枚一枚とても薄いのに強烈な...さながらチーズを思わせるギュッと引き締まった強烈な旨味とスパイスの風味、柔らかい塩味がある。乾いた藁の様な風味もあり、脂っぽくなくエネルギッシュな味わい。バルバレスコに合いそうな味わい。


◼︎アミューズ#3(-)
「キャラウェイシードに隠れたチーズクッキー」

キャラウェイシードのスパイシーな香りの中にチーズの凝縮した旨味を感じるクッキー。チーズクッキーなのにキャラウェイのカレーっぽいスパイシーな風味を帯びていて、複雑な風味を感じる。クッキーはぎゅっとチーズの風味を飛びていて最高。美味しい。


◼︎アミューズ#4(★★)
「パンプキンシードオイルとミルク、攪拌して温度を下げるとともに形作ったギモーヴ。ピスタチオをローストしたパウダーと塩気を外側につけて。レンゲとの間に紅茶の葉とハチミツを挟んで」

ギモーヴ(生マシュマロ)。しかしよくこれで四角く形を保っているな...って位フニフニ!(事実数分で形が崩れるみたい)
口に含むと中からミルクの様な風味の液体が溢れ、全体が口の中で液体になって溶けていく。そして柔らかい葛と紅茶の風味、ピスタチオの香ばしい味わいが混じり合う。すごい面白い体験。ふわぁっとした味わい。


◼︎アミューズ#5(★★)
「2日間茹でて、一日掛けて乾かし高温で一気に揚げた豚の皮せんべい 玉ねぎを使ったヴィネグレットソース」

下に敷いてある大部分の豚皮は食べられません。一応口に含んでみましたが、硬くて脂っぽくて無理ですね。
本チャンの揚げてある豚皮は、物凄くサクサクカリカリ。カリッとした揚げた面を食い破るとヴィネグレットソースの酸っぱさと玉ねぎの甘さが際立つトロッとしたソースが溢れ出る。ふくよかな脂っこさを酸味の綺麗な余韻が残る。素晴らしいアイディアと味わい。


◼︎アミューズ#6(★★★★)
「ベルギー産キャビア、サワークリーム、自家製マヨネーズ、刻んだエシャロット、砕いたカシューナッツと、ヨーグルトの酸味を残したメレンゲサンド」

これが本当に最高!
食感とサウンドのエンターテイメントや!!
ヨーグルトの酸味を活かしたメレンゲ。カシューナッツとキャビア、自家製マヨネーズとサワークリーム。
サクッとしたメレンゲを噛み締めると、コリコリしたカシューナッツとプチプチしたキャビアの食感が一気に溢れる。サクッ!ほろっ!コリコリ!プチプチ!
酸っぱくて甘くて香ばしい!
ヨーグルトのサワー的な酸味を、そこから生まれる甘み、全ての楽しい食感と味わいがパレード状態。キャビアは塩味を感じさせる程度であり主張していない。最高に色々な食感と楽しい風味を感じさせる一品。この小さい中にロックンロールが詰まっている。


◼︎アミューズ#7(★★★★)
「ポップコーンをコーティングしたフォアグラのテリーヌ。塩気のある生クリームとアンリジロー、ラタフィア ド シャンパーニュと共に」


酸味と甘みの余韻に浸る間も無く次のアミューズへ。これも本当に素晴らしい。
ポップコーンのカリカリした食感を超えるとフォアグラの厚み、油分、独特の風味。それらが生クリームと結合し、最高に滑らかな味わいに転化されていく。と同時にラタフィアを含むとポップコーンのロースト感が引き立ち、フォアグラの塩味とラタフィアの甘さが相乗効果を生み出し驚くべき一品になっている。凄まじいふくよかさ、複雑さ。
クリーミーさの渦に溺れそう。カリカリ食感も楽しい。最高。


アミューズ長い!すでにここまでで満足感ある!
ただアミューズの後半3品はどれも美味しかったのでもう少し量を頂きたかった...
一口で終わってしまうなんて、なんて意地の悪い店なんだw

次に前菜です。


◼︎アントレ(★★★★)
「ペリゴール産の黒トリュフとマッシュルーム。北海道産帆立、岩手県産地鶏のトリュフ風味のサラダ仕立て。クリスティアンテした鶏皮で挟んだシャンピニオンのムース。クレソンのソース」


黒トリュフ、マッシュルームがメインと説明。鶏皮とシャンピニオンのムースも帆立と地鶏のサラダ、クレソンのソースすべてがそれらの素材を引き立たせるものだと。
クレソンのソースはややニンニク風味。
クニクニした食感の帆立や地鶏の程よい酸味とクリーミーなサラダ、カリッカリの鶏皮とシャンピニオンのオイリーな濃厚なムース。
各々で既に食感も味わいも楽しいが、これにメインとなる黒トリュフとマッシュルームが加わると一段と凄い。
まずマッシュルームがポッキポキ、そして強烈な黒トリュフの芳香が口の中に広がっていく。トリュフの風味で帆立と地鶏の食感と繋がり、地鶏がカリカリの鶏皮と繋がっていく。全ての食材がマッシュルームの為にあり、繋がり、調和していく。


生産者: バシュレ モノ
銘柄: マランジェ プルミエクリュ ラ フシエール 2012

樽をあまり使っていないクリーンなシャルドネ。MLFもあまり効かせておらず、比較的シャープな味わい。


◼︎パン


小麦の風味を強く感じるカリカリのバケット。濃厚な無塩バターがたまらない。


◼︎ポワソン(★★★★★)
「スライスした九州産の筍に隠したアンキモ、揚げた桜海老、スナップエンドウ。焦がしバターとフォアグラを入れた筍の泡のソース。」

これも食感と風味のマジックに強くかかっている。
甘~い九州産の新筍に、香ばしい風味の濃厚なエスプーマ。プチプチ弾けるスナップエンドウ、サクサクの揚げ玉、カリカリの桜エビ。そしてその中核にはクリーミーなあん肝が据えられている。
あん肝とエスプーマは濃厚さとクリーミーさを、桜エビと筍は食感と甘みと磯の風味を、スナップエンドウと揚げ玉は食感をもたらしている。
サクサクした筍と共にプチプチサクサクカリカリ食感。濃厚なあん肝がそれらの味わいを優しく包み込んでいく。食感のパレード!
そして食感だけではなく、エスプーマが素晴らしくフォアグラの要素はあん肝と手をつなぎ、筍は新筍を繋ぎ合わせる。様々な食感と要素があん肝の濃厚さと泡と香ばしさに包まれて完璧な調和を見せている。一瞬シソを感じたような気もする。
最高の一皿。数多くの食材が含まれていて、それなのに一つにキッチリと集約している。


生産者: ドメーヌ ド クロワ
銘柄: ボーヌ プルミエクリュ 2009

クリーンなピノノワール。こちらも過剰な樽や抽出などは感じない、かなりプレーンで食事に合わせやすいタイプの味わいだった。


生産者:ドメーヌ レ アフィラント
銘柄: ラストー 1921 2012

色調は濃いガーネット、凝縮した果実味が感じられる。黒系ベリーの果実味とシロップの様な甘み、そしね広域に伸びていく煌びやかな華やかさ。強い花のアロマオイルやハーブの香りが感じられる。
臭みの強い羊肉に合いそうだったが、そもそも非常にメインの肉料理がエレガントかつプレーンに仕上がっていたため、ピノノワールが最適だったと思う。


◼︎ヴィアンドゥ(★★★★)
「パン粉、脂身とひき肉、縮みほうれん草でコーティングした子羊の赤身をゆっくりと1時間30分掛けてソテーしたもの。バスクの唐辛子、スパイスの羊肉のソーセージ。芽キャベツとジュ ダニョー」


非凡な魚料理と比べるとメインの肉料理は食感的に地味ではある。しかし風味の多様性は素晴らしい。
ソテーは羊肉的な臭みはほぼ無い。赤身のみをゆっくりとソテーしているからだろうか、淡いピンク色で見目も麗しい。羊肉の旨味だけがいいところだけ完全に抽出されている。プレーンな味わいで、非常に柔らかい肉質。そこにパンの香ばしさやほうれん草のほのかな風味が混じる。濃厚なジュ ダニョーもいい。
羊肉のソーセージは唐辛子とスパイスを入れた若干の辛味を感じるシシカバブ的な味わい。非常に肉感的でギュムギュムしている食感。かなりスパイシー。
付け合せはソラマメ、芽キャベツ、マッシュポテト、ナメコ。


前菜からメインまで終わりました。
どれも決定的にポーションが少ない訳ではなく、かなり満足度の高い量、そして味わいでした。
羊肉も良かったが、特にあん肝と前菜が素晴らしい。
複雑さと食感の楽しさが奇跡的だ。

次にデザートに進んでいきます。


◼︎アヴァンデゼール(★★★)
「キクイモのアイスクリーム、エスプレッソ風味のキクイモチップ、コーヒー風味のアングレーズソース」

ほとんど砂糖を使っておらず自然の甘みだという。
芋類というか牛蒡っぽい風味はあるけど、びっくりするくらい甘さを感じるアイスクリーム。急激に冷やすと甘みが出るという。そして繊維などは感じず、非常にスムーズな味わい。カリカリのキクイモチップスの甘さにほのかにエスプレッソのロースト香が加わる。生のキクイモもこっそりと入っていてジャキジャキした食感も加わる。ジャキジャキ、カリカリ、フワフワ、これも食感を活かした素晴らしいアヴァンデゼール。


◼︎グランデゼール(★★★★)
「苦味のあるキャラメルのムース、塩のメレンゲ、マンゴー、キャラメリゼしたナッツの風味」


ビターなキャラメルムースの上に棒状に仕立てた塩風味のメレンゲとナッツ。ナッツとカラメルムースのビター感と、苦味に隠された甘みを強力に引き出す塩気を帯びたメレンゲとの調和が非常に素晴らしい。ほのかに感じるマンゴーの要素。
モートラック1995の熟成シングルモルトのスモーキーさと最高に合致する。ねっとりとしたカラメルのスモーキーなムース、メレンゲのサクサク感、カリカリとしたナッツの食感の3つの食感が楽しい。絶妙な味わい。シングルモルト、モートラック 1995と共に。


デザートと素晴らしいです。
どちらもやはり食感と風味の調和を感じさせるものです。星氏が選ぶアルコールとのマッチングも恐ろしい位マリアージュしていく。

最後にこれまた面白いプティフールとハーブティーを頂きお終い。


◼︎プティフール(★★)
「パチパチキャンディーを添えたキャンディーで固めたとちおとめ」

とちおとめの外側をパチパチキャンディー、キャンディーでコーティングしたもの。カリッとした外観からストロベリーの甘みや酸味、華やかさが溢れてる。パチパチする食感も楽しい。


◼︎ハーブティー
「レモングラス、ベルガモットオレンジミントのハーブティー」

清涼感のあるハーブの華やかな味わい。美しい。




まさに圧巻の13皿(アミューズ7皿+前菜+魚料理+肉料理+アヴァンデゼール+グランデゼール+プティフール)。
果たしてこれほどのエンターテイメント性と美味さを両立するレストランはどれだけあるのか。
全体的に感じたのは、それぞれの食材を巧みな調理法で風味を繋げ、際立たせ、一つの料理として調和させるガストロノミックな側面だけではなく、食感=音を大きく取り入れている部分が大変素晴らしいと感じました。それはアミューズ4以降に特に顕著で、見た目とのギャップを演出したり、かならず3~4種類の異なる食感を一皿の中に含めたり、皿の中に沢山のリズムや音が隠れています。
それでいて味わいの調和が全く崩れていない。
生井氏のクリエイティブな一皿は厳格なクラシックというより、厳密に計算されつつ砕けたジャズの様にも思えます。あるいはプログレッシブか。

ぐうの音も出ませんねー!
食材の切り替わり時にまた必ず行きたいと思います。


住所: 東京都中央区八丁堀3丁目6−3
店名: CHIC peut-etre(シック プッテートル)
電話番号: 03 5542 0884
営業時間:
[月~金] 12:00~13:00(L.O.) 18:00~21:00(L.O)
[土] 12:00~13:00(L.O.) 18:00~21:00(L.O)
ランチ営業





関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

カテゴリ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
検索フォーム
ついった
物欲センサー
物欲センサー2
リンク
QRコード
QR